個人立幼稚園等の教育用財産に対する非課税制度の適用条件

Q.私は先祖から幼稚園経営の事業を継承したのですが、この教育用財産に対して相続税の非課税制度の適用を受けるためにはどのような条件が必要ですか?

A.個人が経営する幼稚園などの事業を相続する場合、その教育用財産に対して相続税の非課税制度を利用することができます。この特例を適用するために必要な条件は以下の通りです。

1. 相続する人が、相続開始日の5年前の1月1日以前からずっと、個人経営の幼稚園などを継続して運営しており、税務署長に届け出た教育用財産を引き続き事業用に使用することが確実であること。

2. 相続開始日の5年前の年から、以下の条件を満たしていること。

   a. 経営者は、幼稚園等の事業から得た資産を自身の報酬に使用する金額が、相続開始の少なくとも5年前に、同じサイズの法人立幼稚園と比べ適正水準であると税務署長に認定されており、この金額が相続開始前の少なくとも5年間、認定された金額以下であること。

   b. 経営者が幼稚園等の事業以外への支出をしていないこと。

   c. 経営者や特別関係者の労働の程度や同様の法人立幼稚園の給与状況などを踏まえた給与が妥当であることを認められること。

   d. 経営者が相続税、贈与税、または所得税において過去に申告漏れ等のペナルティを受けたことがないこと。

   e. 青色申告をしていること。

   f. 幼稚園等の経営に関する所得と他の所得が明確に分けられており、支払い給与など必要な情報が記載された帳簿を正しく保管していること。

   g. 幼稚園等の施設をその事業以外に使用しておらず、担保にも使っていないこと。

視力回復センターヘ支払った費用

Q.長男が生まれつき弱視であるため眼科医で治療を受けさせていましたが、いっこうに効果がないので、A視力回復センターヘ通わせています。この視力回復センターヘ支払った費用は、医療費控除の対象となりますか。

A.A視力回復センターは、公式な医療機関として登録されておらず、眼科医を含まない機関で、主に機器を使用して目のトレーニングを通じて視力を改善させることを目指しています。このため、A視力回復センターに支払った費用は、医師などに支払う医療費とは見なされず、従って医療費控除の対象外となります(所得税法第73条)。なお、医療機関で治療を行う場合は、必ず県知事への届出が求められています。

親族に支払う付添料の医療費控除について

Q. 妻が脳いっ血で倒れ、重症のため長期入院治療が必要となりました。そのため、長男の嫁が入院期間中付き添うことになりましたが、長男の嫁はパートタイマーとして勤めていますので、それに見合う金額を付添い料として支払うこととしています。この付添い料は、医療費控除の対象になるでしょうか。

A. 医療費控除の対象となるのは、保健師、看護師、または准看護師が提供する療養上の世話の費用です。しかし、病院で十分な看護を受けられない場合に、家政婦など専門でない人に特に依頼して療養上の世話を受ける場合も、医療費控除の対象となりえます。ただし、この特例は家政婦など業として人的サービスを提供する人に限られ、身内や親族など、元々労働の対価を前提としていない人に支払う付添い料は、医療費控除の対象外となります。そのため、あなたの場合では、長男の嫁に支払う付添い料は医療費控除の対象にはならないでしょう。

申告期限後に支給された退職手当金を公益法人に寄附した場合の非課税規定の適用

Q.申告期限後に支給された退職手当金を公益法人に寄附した場合、非課税規定の適用は受けられるか?また、退職手当金の非課税規定との関係はどのようになるか?

A.退職手当金を受け取った後、修正申告書を提出するまでの間に公益法人へ寄附した場合、その寄附金は非課税になります。さらに、退職手当金の非課税規定と相続税法との関係では、まず租税特別措置法に基づき500万円までが非課税になり、その後、2,500万円までの金額を基に退職手当金の非課税額を算出します。相続や遺贈による財産として退職手当金などを受け取り、国などに寄附した場合、特定の条件が満たされることで非課税とされます。この非課税規定の適用は、相続税の申告期限後に退職手当金などの支給額が確定され、国などへの寄附が相続税の修正申告書提出までに行われた場合にも可能です。

家政婦に支払った療養費

Q. 3月に胃の手術を受けて2か月間入院した際、出産で療養上の世話ができない妻の代わりに家政婦に世話を依頼し、その費用を支払いましたが、これは医療費控除の対象になりますか?また、家政婦紹介所に支払った紹介手数料は対象になりますか?

A. 医療費控除の対象となる費用には、医師や歯科医師の診療や治療費の他、保健師や看護師による療養上の世話の費用も含まれます。保健師や看護師に準ずる人から特別に療養上の世話を受けるために支払った費用も含まれるため、家政婦に支払った費用はすべて療養上の世話であると考えられ、医療費控除の対象と認められます。また、家政婦紹介所に支払った紹介手数料も、療養上の世話をする人を紹介してもらった対価として支払われたものであれば、医療費控除の対象として問題ありません。

相続財産を公益法人設立のために提供した場合

Q.被相続人Aが生前慈善事業のための公益法人設立を望んでいましたが、亡くなった後、相続人がその遺志に従い遺産の一部を新たに設立する公益法人に提供した場合、相続税の非課税規定の適用は受けられるでしょうか?

A.被相続人Aの亡き後、相続人が遺志に従って提供した相続財産をもって新規に公益法人を設立した場合でも、租税特別措置法第70条の非課税規定は適用されません。この規定は、既に設立されている公益法人への寄付のみに適用され、新規設立のための寄付には適用されないからです。ただし、例外として、公益法人の設立許可申請が相続開始前または相続開始後に行われ、特定の条件を満たす場合には、正式な遺言による遺贈と同じ扱いを受け、非課税の特例が適用されることがあります。これらの条件に該当しない場合は、相続人や公益法人に対し、所得税や贈与税の課税が生じる可能性があります。

朝鮮人参やビタミン剤等の購入費用

Q.生まれつきの虚弱体質でしばしば内臓を患い、仕事にも支障があるため、常時ビタミン剤やいろいろなホルモン剤を服用しています。また、友人の勧めで朝鮮人参等の高価な漢方薬も購入しています。これらは医師の処方に基づいたものではないのですが、医療費控除の対象に認められないでしょうか。

A.医療費控除の対象となる医療費とは、治療や療養に必要な医薬品の購入費用を含みます。しかし、医薬品であっても疾病の予防や健康増進のために用いられるものは、医療費控除の対象にはなりません。そのため、ビタミン剤や漢方薬を病気を予防するためや体調を整えるために用いている場合は、これらの購入費用は医療費控除の対象外となります。ただし、医師の処方に基づき病気の治療のために必要とされる漢方薬などは対象になることがあります。また、特定の条件下では、特定一般用医薬品等の購入費用が一部控除の対象となる場合がありますが、これは健康の保持増進や疾病の予防への取り組みとして一定の活動を行っていることが条件です。

禁煙治療に係る費用

Q.禁煙治療を受けた場合、その費用は医療費控除の対象になりますか?

A.はい、禁煙治療でかかった費用は医療費控除の対象となります。これは、医療費控除の対象となるのは、医師や歯科医師による治療や診療、それに必要な医薬品を購入する費用など、一般的に支出される範囲の金額であるからです。禁煙治療は、医師の指導下で行われる一酸化炭素の測定や禁煙補助薬の処方などを含み、ニコチン依存症を改善し禁煙を目指す治療です。平成18年4月以降、特定の条件を満たす人には保険適用が認められていますので、その場合にあなたが支払った自己負担分は医療費控除の対象になります。また、保険適用外でも実際に支払った禁煙治療費は自費診療分として医療費控除の対象です。

生命保険の剰余金に対する課税関係

Q.この度、父の死亡により生命保険金とともに保険契約に基づいて剰余金の支払を受けました。この剰余金についても保険金と同様に相続税法第12条の非課税財産の規定の適用があるでしょうか。

A.はい、剰余金についても保険金と同様に非課税規定の適用があります。保険契約で発生した保険事故により、保険金受取人が保険金とともに受け取る剰余金、割戻金、そして前納保険料は、保険約款に基づき保険金受取人が得るものであり、保険金による経済的なメリットと変わりません。そのため、剰余金などに関しては、相続税法第3条第1項第1号に規定される保険金に含めることとされています。

不妊症のための人工受精費用

Q.私たち夫婦が不妊症の治療で受けた人工受精の処置費用35万円は、医療費控除の対象になりますか?

A.医療費控除とは、医師などによる診療や治療のために支払った費用が対象となるものです。これには、費用がその病状に対する一般的な支出の範囲を大きく超えない限り、対象となります。不妊症の治療として受けた人工受精も、治療の一環として行われ、35万円という費用が一般の範囲内である場合、医療費控除の対象になります。また、不妊症治療費全般が、医師による診療の対価として認められれば、医療費控除の対象となります。