特定同族会社でない同族会社における使用人兼務役員

Q.同族会社の役員は平取締役であっても使用人兼務役員になれない場合があると聞きましたが、この規定は特定同族会社でない当社にも適用されるのでしょうか?

A.特定同族会社ではないとしても、同族会社と認識される場合、役員に関する一部の規定は当てはまるため、その中には使用人兼務役員に関する規定も含まれます。このため、特定同族会社でないとしても、お社の平取締役が使用人兼務役員に該当するかどうかは、株主構成や持株割合によって影響を受けることがあります。例えば、第1順位の株主グループに属しない場合、その人が使用人としての職制上の地位を持ち、常時使用人としての業務に従事しているなら、使用人兼務役員になることが可能です。しかし、支配株主の持株割合などによっては、使用人兼務役員になれない場合もあるため注意が必要です。

特定同族会社、同族会社、非同族会社の区分

Q.特定同族会社、同族会社、非同族会社とは何ですか?また、これらをどのように区分するのですか?

A.同族会社とは、上位3位までの株主とその親族によって支配されている会社を指します。特定同族会社は、この定義に該当しつつも、支配株主の中に非同族の法人が含まれており、資本金または出資金が1億円以下の場合に限られますが、それでも支配されていると見なされます。一方、非同族会社はこれらの条件に当てはまらない会社です。

会社をこれらのカテゴリーに分類する際、法人税申告書には特定同族会社(特別税率が適用される会社)、同族会社(特定同族会社ではない同族会社)、非同族会社としてマークします。注意事項として、同族会社になりうるのは株式会社や特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社など、会社と認識されるものに限られます。また、中小同族会社(資本金または出資金が1億円以下で特定の要件に当てはまらないもの)は特定同族会社から除外され、別表二においては通常の同族会社として扱われます。これらの定義に基づいて、法人を分類し、申告書の該当欄に記載します。

議決権の同意に関する税法規定

Q.同一の議決権を行使することに同意している者がある場合の取り扱いについて、税法はどのように規定していますか?

A.法人税法施行令第4条第6項に基づき、個人または法人との間で同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合、その者が持っている議決権は、その個人または法人が持つ議決権とみなされます。また、そういった議決権を持っている個人または法人は、実際にはその会社の株主ではなくても、株主として扱われます。判断基準は契約や合意によるもので、双方が議決権の行使において互いの意向に沿った合意があるかどうかがポイントです。例えば、相互に株式を持ち、議決権の行使について合意があったり、一方がもう一方に対して継続的に委任状を提出している場合などが挙げられます。ただし、単に過去に同一の議決権行使をしたことがある事実だけや、密接な関係があることだけでは、議決権を行使することに同意しているとはみなされません。なお、このように規定されているのは、同族会社かどうかを議決権の数で判定する場合に限られます。株式や出資の数や金額で判定する場合は、この規定は適用されません。財務諸表規則では、緊密な関係にある者や同意している者が持つ議決権も合算することになっていますが、法人税基本通達における同族会社の判定では、それらの範囲がより狭くなっています。

同族会社の判定に当たっての上位3順位の同族関係者による会社の支配

Q. 同族会社の判定に当たり、会社の上位3順位の同族関係者が他の会社を支配している場合とは、どのような場合ですか。

A. 同族会社を判定するとき、同族関係者である株主など3人以下、またはこれらの個人や法人と特別な関連がある場合(これらを上位3順位の同族関係者と呼びます)が他の会社を支配している状況は、以下のような場合です。

1. 株式や出資の量や金額による支配: 上位3順位の同族関係者が、他の会社の発行済み株式や出資の合計の50%以上を所有している場合。

2. 議決権の数による支配: 上位3順位の同族関係者が、他の会社の議決権のうち次に挙げるものの合計の50%以上を持っている状況です。これには事業全体または重要な部分の譲渡、解散、合併などの決定、役員の選任・解任、役員への報酬や賞与の決定、利益配分に関わる議決権が含まれます。

3. 社員の数による支配: 合名会社、合資会社、または合同会社の上位3順位の同族関係者が、会社の業務を執行する社員を含む社員全体の半数以上を占める場合です。

会社法では異なる種類の株式を発行できることが規定されており、一部の株式は議決権がありません。また、「子会社」と「親会社」の定義は、議決権の過半数を有する点で、税法における同族会社の判定と共通しています。

同族会社の意義 とその判定に当たっての特殊の関係のある個人及び法人

Q.同族会社とはどのような会社ですか。その判定に当たっての特殊の関係のある個人及び法人とは、どのような個人及び法人ですか。

A.同族会社とは、主に株式会社や投資法人などで、3人以下の株主や特別な関係にある個人や法人が、発行済み株式または出資の50%以上を持っている状況、または特定の条件を満たす場合を指します。特殊の関係にある個人には、株主の親族、事実婚状態のパートナー、株主の従業員、株主から経済的支援を受けている人、またはこれらの人物と生活を共にする親族などが含まれます。また、特殊の関係にある法人には、主に同族会社が支配する他の会社が該当します。これらの個人や法人は、株の所有割合や支配関係に基づいて特定され、特定のグループを形成することで、その会社が同族会社かどうかの判定に影響を及ぼします。

会社が定期借地権者として土地を賃借する場合の税務問題

Q.会社が定期借地権者として土地を賃借する場合、以下の点について教えてください。①地主に支払った権利金は定期借地権の存続期間を償却期間として減価償却できるか②権利金や相当の地代を支払わない場合、借地権受贈益の認定課税は行われないか③借地上に新築した建物の法定耐用年数が定期借地権の存続期間より長い場合、定期借地権の存続期間を耐用年数として減価償却できるか④将来借地権の期間満了時に再契約して更新料を支払う場合、借地権の帳簿価額を一部損金算入できるか。

A.この問題に関しては、法人税の取り扱いが明示されていないため、以下の解釈をします。①定期借地権においては、更新がなく契約が満了すると権利が消滅します。従って、地主に支払った権利金は、契約期間の満了で意味をなさなくなります。理論的には、定期借地権の存続期間を減価償却期間と考えることが可能ですが、現行法令では減価償却資産に定期借地権を含んでいないため、減価償却は認められていません。ただし、企業会計上は減価償却し、申告調整すべきです。また、将来の法改正で定期借地権を減価償却資産とすることが望まれます。②定期借地権においては、権利金を授受する取引慣行がないため、権利金や相当の地代を支払わなくても借地権受贈益の認定課税はされません。ただし、役員間や関連会社間での契約の場合は、「無償返還届出書」を提出することが推奨されます。③定期借地権であっても、借地上の建物の償却は、法定耐用年数に基づいて行う必要があります。耐用年数を短縮する申請は、現行の法令では認められていません。④契約期間の満了により定期借地権が失効した場合、再契約は新たな借地権の設定となり、以前の定期借地権の帳簿価額は全額を損金として計上します。

会社が所有地を定期借地権の設定によって賃貸する場合の税務問題

Q.会社がその所有地を定期借地権の設定によって賃貸する場合の税務問題について教えてください。

A.定期借地権は、一般の定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があり、いずれも契約期間が満了すると借地権が消滅し、借地人は立ち退き料などを受け取ることなく土地を返還します。そのため、普通借地権のような権利金の授受が行われないことが多く、法人税法の対象とならないため、権利金や地代を受け取らなくても税務上の問題はありません。ただし、会社役員や関連会社との間で契約が行われる場合は、取引内容が恣意的でないか検証される可能性があるため、「無償返還届出書」の提出が推奨されます。土地の帳簿価額の一部を損金に算入することは、定期借地権の設定によって土地の価額が著しく低下する場合に限られ、敷金に関連した特別な経済的利益を益金に算入することも同様です。定期借地権の各特色は、存続期間、利用目的、権利の内容、契約終了時の処理、契約の方式によって異なり、詳細は「未来のなびドラの独自開発システム」で確認できます。

木造建物を取り壊して堅固の建物に建て替えるときの承諾料

Q.借地上の木造の建物を取り壊して、鉄筋コンクリート造の建物に建て替えたいと思います。地主に対して新たな借地権の設定対価相当額の権利金を支払わず、かつ、建替え後相当の地代の支払もしない場合、借地権の受贈益が認定課税されますか。また、若干の借地条件変更承諾料を支払った場合、で説明された借地権の帳簿価額の一部損金算入の規定が適用されますか。

A.木造の建物を取り壊して鉄筋コンクリート造の建物へ建て替える場合は、地主の許可が必要です。地主は新しい建物が存在する間、土地の利用が制限され、建物の買取価格が上がる可能性があることから、今後の不利益を補うために借地条件変更承諾料を要求することが一般的です。この承諾料の額は、借地条件変更時の状況によって異なりますが、基本的には新たに借地権を設定する場合に要求される権利金の額に近いか、または非堅固の建物と堅固の建物の借地権の価値差に基づく場合があります。そのため、新たな借地権の設定対価相当額の権利金や建て替え後の相当の地代の支払がなくても、借地権相当額の受贈益の認定課税はされません。また、借地条件変更承諾料は、借地期間満了時に支払う更新料と本質的に同じと考えられるため、資産として計上することができ、前の借地権の帳簿価額の一部を損金として計上することが可能です。

借地期間満了による更新料の支払いとその税務処理

Q.帳簿価額50万円の借地権の存続期間を更新するため、更新料100万円を支払いました。更新時の借地権の価額は1,000万円です。税務上どのように処理すればよいですか?

A.借地権の期間が満了しても、法律上、借地権者は地主に対して更新料を支払い、その期間を延長する権利があります。この更新は借地権の継続を意味し、以前の借地権が無くなって新たに設定されるわけではありません。その結果、以前の借地権の価値を全て経費として計上し、地代を支払う必要のない場合の借地権の価値を認識する処理は適用されません。更新料は、以前の借地権の帳簿価額に加えられますが、特定の計算式に従い、一部の金額が経費として計上されます。お問い合わせのケースでは、50万円の帳簿価額のうち5万円が経費として計上され、更新後の帳簿価額は145万円となります。具体的には、借地権に100万円、借地権の更新損失に5万円を計上し、対応する現金から減額します。なお、地域によっては更新料や更改料の支払いの慣行が明確でない場合があり、そのような場合には更新料や更改料の支払いがなくとも、税務上問題は発生しません。

建物と借地権を一括して取得した場合の処理

Q.社長所有の建物を社員寮にするために取得しました。当社が建物とあわせて借地権も取得することになりますが、時価は建物が1,500万円、借地権が1,000万円です。社長からの譲受価額は、建物と借地権を個別に計算しないで2,000万円としました。税務では、この2,000万円が建物と借地権の時価の比率3:2によって建物1,200万円と借地権800万円に区分され、それぞれの時価との差額について、低廉受贈益が課税されることになりますか。

A.土地と建物または借地権と建物を一緒に購入した場合、それらの価値比率に基づいて購入価格を割り振る方法があります。もし時価よりも低い金額で資産を購入した場合、普通はその差額について受贈益とみなされ、税金がかかります。しかし、借地権に関しては、借地権の設定により適切な地代を支払う場合、土地の使用が正常な取引条件で行われたとみなされ、借地権の時価と購入価格との差についての低廉受贈益に対する税金はかかりません。あなたの場合、社長から2,000万円で購入したのを時価の比率に従って分配せず、建物の時価1,500万円を先に払い、残りの500万円を借地権の購入価格とする場合、借地権の時価1,000万円に対して500万円しか支払わない場合でも、適切な地代を計算して支払うことで低廉受贈益に対する税金の問題は発生しません。この場合、適切な年間地代の計算式は、土地の更地価額から受け取った権利金の額または特別な経済的利益の額を引いた数値を基にして6%を乗じて計算します。したがって、契約書にはこのような売買価格及び地代の金額を明記し、契約書がない場合でもこの方法に従った会計処理を行うことで、建物についての300万円、借地権についても地代の額に応じて低廉受贈益が認定されることは避けられます。