セルフメディケーション税制

Q.セルフメディケーション税制とはどんな制度ですか。

A.セルフメディケーション税制は、あなたやあなたの家族が健康の維持や病気の予防のために特定の健康増進活動に取り組んでいる場合、ドラッグストア等で購入した特定の医薬品の費用を所得税の計算から差し引くことができる特別な控除です。この制度は2017年から2028年まで適用されています。控除される額は、その年に購入した特定医薬品の費用から保険などで補填された金額を引いたものから12,000円を差し引いた金額ですが、最大で88,000円の控除を受けることができます。参加するには、保険者が行う健康診断や予防接種などの健康増進活動に取り組む必要があります。セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、参加した活動の内容やそれを行ったことを示す書類を確定申告書に添付して提出する必要があります。注意点として、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合、従来の医療費控除の適用は受けられなくなります。また、支出した医薬品の費用を証明する書類は、確定申告から5年間は保管しておく必要があり、税務署からの要求があれば提出することが求められます。

生計を一にしない父のために支出した医療費

Q.同居している父親が入院したときに、同居している長男だけでなく、それぞれ別に生計を営んでいる次男と三男も医療費を分担した場合、次男と三男も医療費控除の対象になるのでしょうか。

A.医療費控除は、本人または本人と一緒に生活を支え合っている家族のために支払った医療費についてのみ適用されます。したがって、質問の状況で次男や三男が支払った医療費は、彼らが父親と経済的に独立して生活しているため、医療費控除の対象外となります。ここで、「生計を一にする」ことは必ずしも同じ家に住んでいる必要はなく、日々の生活費を共有するなど、経済的に支え合っている状態を指します。ただし、ある特定の状況で医療費を支払っただけでは、この基準を満たしたとはみなされません。

医療費のお知らせに基づく医療費の計算

Q.令和5年中に入院し医療費を支払ったが、領収書が見当たらず、会社の健康保険組合から送られてきた「医療費のお知らせ」を確定申告に使用しても良いか?

A.はい、医療費控除を申請する際には、医療費を証明する書類が必要です。これには領収書や健康保険組合などから受け取る「医療費のお知らせ」などが含まれます。「医療費のお知らせ」には医療費に関する具体的な情報が記載されており、これを確定申告書に添付することで、医療費控除をうけられます。平成29年度以降、このような書類を添付することが義務づけられています。また、令和3年度分以降の確定申告で、令和4年1月1日以降に提出する場合には、さらに柔軟な提出方法が許可されており、例えば電子情報処理組織を使用する場合、関連する情報を直接入力し送信することで書類の提出を代替できます。必要な書類には、医療費の額、受けた治療の内容、治療を受けた人の名前、治療を行った病院やクリニックの名前などが含まれます。

クレジットで支払う医療費

Q.私が受けた歯の治療代が24万円で、これをクレジットで支払った場合、医療費控除を受けるにあたり、本年分の申告で全額を対象にすることは可能ですか?

A.医療費控除では、その年の中で本人や家族が支払った医療費の全額が対象になります。あなたは歯の治療費を分割で支払うため、その年に実際に支払ったのは4万円です。しかし、あなたが利用したクレジット会社があなたに代わって24万円の全額を歯医者に支払ったことになるため、実質的にあなたがその年に医療費として支払った金額は24万円全額とみなされます。結果として、その24万円全額が医療費控除の対象となります。

結婚した娘の医療費

Q. 長女は11月に結婚し他家へ嫁ぎましたが、6月に支払った長女の医療費が15万円あります。扶養控除の対象となる扶養親族に該当するかどうかは、その年の12月31日の現況で判定することとされており、長女の扶養控除は受けられないのですが、長女の医療費も医療費控除の対象とはならないのでしょうか。

A. 医療費控除は、その年にあなたやあなたと生活を共にする家族が支払った医療費が対象となります。また、この「家族」とは、医療費を支払った時点または医療費を支出すべき理由が生じた時点で、一緒に生活をしており、親族であった人々のことを指します(医療費を支出すべき理由には、医師の診療を受けることや薬を買って使うことが含まれます)。したがって、医療費を支出した背景が病気やケガ等であり、その支出が一般的に適切な範囲である場合、6月に支払ったあなたの長女の医療費は、あなたの医療費控除の対象になる可能性があります。

事業専従者のために支出した医療費

Q.酒類販売業を営んでいる私は、長男を青色事業専従者として専従者給与を支払っています。この長男が4月に病気で入院し、その入院費用を私が支払いました。この支払った医療費は、医療費控除の対象となるでしょうか?

A.医療費控除に該当する医療費とは、納税者自身、納税者と同居する配偶者やその他の親族が支払った医療費を指します。この場合の親族には収入の制限はありません。従って、あなたの長男が青色事業専従者として扶養親族には該当しない場合でも、医療費を支払う必要が生じた時点、または実際に医療費を支払った時点で、あなたと生計を一にしているなら、あなたが長男のために支払った医療費は、あなたの医療費控除の対象になります。

未熟児養育医療費弁償金負担金

Q. 妻が出産した女児は未熟児として未熟児センターで養育を受けましたが、その費用である未熟児養育医療費弁償金負担金を府から支払うことになりました。この負担金は医療費控除の対象になりますか?

A. 未熟児の養育について、国や地方公共団体は未熟児を養育する指定医療機関に入院させた場合、患者の自己負担部分を公費で支払い、負担を軽減あるいは免除します。この金額は病院から地方公共団体へ請求され、「未熟児養育医療費弁償金」として一旦立て替えられ、後に世帯の所得に応じて本人から一部または全額が徴収されます。徴収された金額は医療費負担金と見なされ、医療費控除の対象となります。

医療費を補填する保険金等 (高額介護合算療養費等)

Q.昨年、私は病院に入院してかかった医療費と、妻が受けた介護サービスの費用で、合計100万円を自己負担しました。この額に対して、医療保険と介護保険の制度を利用して33万円の支給を受けた場合、医療費控除を申告する際には、この支給額を差し引いた金額を申告しなければいけませんか。

A.はい、そうです。医療費控除とは、実際に自己負担した医療費から、保険などによって補填された分を除外して計算するものです。健康保険や介護保険などの制度では、自己負担額が一定額を超えた場合に限度額を上回る分の補填がありますが、高額医療・高額介護合算療養費制度は、一家の年間自己負担額が限度額を超えた際に、それを超えた部分を補填するために設けられた制度です。このようにして支給を受けた金額は、「医療費を補填する保険金等」とみなされ、医療費控除の申告をする際には、支払った医療費の金額からその支給金額を差し引いた金額を申告する必要があります。

産科医療補償制度を利用した分娩に係る医療費控除

Q.令和5年9月に長女を出産し、産科医療補償費を含む分娩費として、48万円支払いました。分娩費については、医療費控除の対象となるそうですが、一緒に支払った産科医療補償費も医療費控除の対象に含めてもよろしいでしょうか。

A.産科医療補償制度は、出産時に重度の脳性麻痺を発症した子供への補償とその予防を目的としたもので、この制度を利用する際には、出産する家族が12,000円の掛金を負担します。この掛金は分娩費用の一部として扱われるため、分娩にかかった費用全体(産科医療補償費を含む)が医療費控除の対象になります。しかし、令和4年1月以降には、健康保険から支払われる出産育児一時金に産科医療補償費が含まれる形で支払われるため、出産育児一時金(産科医療補償費12,000円を含む)は受け取った後、支払った医療費から差し引く必要があります。分娩での領収書には、産科医療補償制度を利用したことを示す特定のスタンプが押されています。

被相続人等の事業の用に供されていた宅地等

Q.「被相続人等の事業の用に供されていた宅地等」の範囲について説明してください。

A.小規模宅地等の課税価格計算の特例が適用される「被相続人等の事業の用に供されていた宅地等」とは、被相続人が亡くなる直前に、被相続人自身または被相続人と一緒に生計を立てていた親族(生計一親族と呼びます)の事業で使用されていた土地を指します。ここで言う「事業」とは、不動産の貸し出しなど継続的に行い、相当な対価を得る活動(準事業とも呼ばれます)も含まれますが、無償または相当な対価を得ていない場合の不動産の貸し出しは特例の対象外です。

この宅地の範囲には、以下のように詳細が定められています。一つ目は、事業と認められる貸し出しで使用された土地。二つ目は、被相続人や生計一親族が所有する建物等が設置され、そのビジネスに使用されていた土地。三つ目は、被相続人以外の親族が所有する建物等を、被相続人や生計一親族が無償または低価格で借りて事業に使用していた土地です。

特に80%の減額対象となる「特定事業用宅地等」には、不動産貸付業や駐車場業などの特定の事業用地は含まれず、これらの土地の減額割合は50%とされています。