特定贈与財産

Q.本年1月に主人から贈与により取得した自宅は、主人が亡くなった後の相続税申告でどう扱われるのか(評価額 家屋500万円、敷地1,500万円)。贈与税の配偶者控除の要件は満たしています。 A.あなたが1月に贈与により取得した居住用不動産について、特定の要件を満たしている場合、贈与税の配偶者控除を受けることができ、その不動産の価額は相続税の課税価格には加算されません。相続税の計算では、相続開始前3年以内に被相続人から贈与によって取得した財産の価額を相続税の課税評価額に加算しますが、「特定贈与財産」に該当する場合はこの加算がありません。「特定贈与財産」とは、配偶者が婚姻期間が20年以上で、被相続人から贈与によって取得した居住用不動産またはその購入資金であり、贈与税の配偶者控除の適用を受けている場合に限ります。この財産に関して、贈与税の配偶者控除を受けるためには、相続税申告時に特定の書類を添付する必要があります。この書類には、贈与によって取得した不動産の詳細、贈与税の課税価格に算入する部分の価額、配偶者控除の適用を受けていないことの証明が含まれるべきです。最終的に、特定贈与財産に該当する部分は、相続税の課税価格には加算されず、贈与税の申告および配偶者控除の適用が必要です。

生前に贈与を受けた財産の課税関係

Q.今年父が亡くなり、兄弟が父の遺産を相続しました。私は遺産相続ではなく、父が保険料を支払っていた生命保険金を受け取りました。2年前に結婚した際、父から土地と建物を贈与されたことがあります。生命保険金の受け取りのみの場合でも、贈与された財産を相続税の計算に加える必要があるのでしょうか?

A.はい、あなたの場合でも、生前に贈与された財産の価値を今回の相続税の計算に加えなければなりません。相続税法では、生前に贈与を受けた場合も一定の条件下で「相続または遺贈により財産を取得した者」とみなされ、相続税の課税対象になります。生命保険金が非課税であっても、これは相続税の計算上除外されるだけで、贈与された財産と一緒に相続税の計算を行う必要があります。

住宅借入金等特別控除制度の概要

Q.住宅借入金等特別控除制度とは、どのような内容でしょうか。

A.住宅借入金等特別控除とは、特定の条件を満たす住宅やその敷地を購入、またはリフォームしたときに、それに伴って借りた金額を基に所得税から一定額を差し引くことができる制度のことです。この制度は、住んでいる家を新しくしたり、改良したりしても継続して住む人に対して適用されます。この控除が受けられるのは、家を手に入れたり改良した年から決められた期間だけです。特定のエコやエネルギー基準に適合する「認定住宅」の場合、より多くの控除が受けられる特例があります。要するに、自宅の購入や改修に伴うローンであれば、年末のローン残高に基づいて税金が減額される可能性がある、というわけです。

生前に贈与を受けた財産の相続税への影響

Q.私の父は2か月前に亡くなりました。父が亡くなる2年前に土地の贈与を受けました。この土地も他の相続財産と一緒に相続税の申告をする必要がありますか?相続時精算課税の適用は受けていません。 A.お父様から相続によって財産を受け取る場合、2年前に贈与された土地も相続税の課税対象に含めて申告する必要があります。相続や遺贈によって財産を取得した人が、その相続の開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産がある場合、その財産の価格は相続税の課税価格に加算されます。しかし、このルールは相続を放棄した人や相続や遺贈で財産を受け取らなかった人には適用されません。加えて、相続財産に加算される贈与財産の価格は贈与を受けた時点での価格を基準にし、その贈与で支払った贈与税は相続税から差し引かれます。令和6年1月1日以降に贈与により取得した財産に関しては、加算される贈与財産の価格は、相続の開始前3年以内に取得した財産以外の価格の合計から100万円を差し引いた額となります。

修正申告により税額が増加した場合

Q.中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除の適用を受けているが、税務調査で申告漏れが分かり修正申告をすることになりました。修正申告による所得税額を基に再計算した税額控除限度額によって、税額控除は可能でしょうか?

A.中小事業者が機械等を取得することによる所得税の特別控除については、事業所得にかかわる所得税の20%が税額控除の限度となっています。税額控除は確定申告、修正申告、または更正請求に記載された特定の機械装置の取得価額を基に計算され、これが上限です。したがって、修正申告や更正によって所得税額が増加し、税額控除の限度額が変わった場合は、適切に再計算された額まで、最初の申告時の控除額を増やすことが可能です。

生前に贈与を受けた財産の課税関係 (2)

Q.去年夫からもらった居住用の土地建物(評価額3,000万円)があり、贈与税の配偶者控除を受けましたが、今年夫が亡くなりました。夫からの贈与を受けたこの居住用土地建物3,000万円は相続財産に加算されるのでしょうか?

A.夫から贈与を受けた居住用の土地建物については、配偶者控除を適用した2,000万円を差し引いた残りの1,000万円が相続財産に加算されます。基本的に、配偶者控除適用額は相続財産には加算されません。

事業所得に係る所得税の額の計算

Q.特定機械装置等を取得した場合の所得税額の特別控除の適用を受けるにあたって、事業所得以外の各種所得に損失が生じて損益通算が行われた場合、事業所得に係る所得税の額の計算はどのように行えば良いですか?

A.特定機械装置などを購入した際に受けられる特別な所得税控除を利用するには、事業所得に対する所得税額の20%が上限とされています。この計算をする際、事業所得以外の所得で損失が出てそれを事業所得と合算(損益通算)する場合には、実際にプラスとなる事業所得の金額のみを用いて計算します。具体例として、仮に事業所得が400万円、雑所得が100万円で、不動産からの損失が200万円の場合、事業所得と雑所得の合算額300万円に対して計算を行うこととなり、所得税の特別控除の上限は、この合算所得の20%、つまり60,000円となります。

配当所得がなくなった場合の配当控除

Q.配当所得の元本を取得するための負債利子を控除したところ配当所得がなくなった場合、又は損益通算をした結果、配当所得がなくなった場合でも配当控除はできますか。

A.配当控除の計算においては、元本取得のための負債利子を差し引いた後の配当所得を基にして計算します。そのため、負債利子の控除後に配当所得が全くなくなった場合には、配当控除を受けることはできません。しかし、配当所得が他の事業所得の赤字との損益通算後、または純損失や雑損失の繰り越し控除によってなくなった場合でも、元の配当所得に基づいて計算された配当控除額は適用されます。

相続開始前 3年以内の受贈財産 からの債務控除

Q.父が亡くなり、土地A(評価額1,000万円、10年前に父から取得されたもの)と銀行からの借り入れ1,500万円を相続することになりました。また、2年前に父から土地B(評価額2,000万円)を贈与されましたが、相続開始前3年以内の贈与財産として相続税の課税価格に加算されます。しかし、相続時に土地Aから控除できなかった債務について、受贈財産の土地Bから控除することは可能でしょうか。 A.相続または遺言によって得た財産の価額から、債務を控除することが一般的です。そのため、相続開始前3年以内に贈与された財産が相続税の課税価格に計算される場合でも、相続財産(この場合は土地A)から十分に債務(この例では500万円)を控除できなかった場合、贈与を受けた財産(土地B)から控除することはできません。

配当控除の計算の基礎となる課税所得の範囲

Q.配当控除額を計算する場合に1,000万円を超える場合と以下の場合とで控除率が違っていますが、その基礎となる課税所得金額の範囲と、配当控除額の計算方法を説明してください。

A.配当控除とは、法人からの配当を受け取る個人が二重に税金を負担することを避けるために設けられた制度です。この制度により、配当所得に対する所得税から、特定の割合に基づいた金額を差し引くことができます。ただし、外国法人からの配当や特定の投資信託からの配当などは配当控除の対象外です。

配当控除額の計算基礎になる課税所得金額には、課税総所得金額、申告分離課税の上場株式などに関する配当所得や、譲渡所得、雑所得なども含まれます。計算方法は、課税所得金額の合計が1,000万円以下の場合、剰余金の配当などに関する配当所得の10%、証券投資信託の収益分配に関する配当所得の5%を所得税額から差し引くことができます。総所得が1,000万円を超える場合、その超える部分については、配当所得について5%(証券投資信託は2.5%)、その他の部分については10%(証券投資信託は5%)が控除額として認められます。

特に、一部の特定外貨建て証券投資信託の収益分配に関する配当所得については、1,000万円以下の部分では25%、超える部分では12.5%の控除が適用されます。また、特定公社債等の利子が配当等の範囲に含まれるようになり、これに関する所得も計算に含まれます。