財産の分割の協議に関する書類等

Q.私は、配偶者の税額軽減の特例を受けようと思っていますが、相続税の申告書に添付することとされている「財産の分割の協議に関する書類」、「その他の財産の取得の状況を証する書類」はどのような書類をいうのですか。

A.「財産の分割の協議に関する書類」とは、相続または遺贈に関わる財産をどのように分けるかについて協議した内容を記した文書のことです。この文書には特定の形式が求められるわけではありませんが、全ての共同相続人や受遺者が署名をし、それぞれの住所地を管轄する市区町村長から得た印鑑証明の押印を受けたものでなければなりません。また、相続人の中に未成年者が含まれる場合は、家庭裁判所から特別代理人を指名してもらい、その代理人が未成年者に代わって分割協議を行い、署名と印鑑証明の押印をする必要があります。なお、日本に住所がない人の場合は、公証人が発行する私署証書の認証で印鑑証明書の代わりとすることがかのうです。 次に、「その他の財産の取得の状況を証する書類」とは、財産が調停や審判によって分割された場合はその調停調書や審判書の写しを指します。また、法律に基づいて相続や遺贈によって取得したとされる財産(例えば生命保険金や死亡退職金など)の場合は、その支払い通知書やそれに相当する財産の取得を証明する書類を指します。

居住開始前に行った増改築等に係る住宅借入金等特別控除の適用

Q.築30年の木造中古家屋を令和3年1月に購入し、改築後に入居する予定ですが、住宅借入金等特別控除の適用はありますか?

A.令和3年12月31日までに居住用として使用する中古住宅に関しては、耐震基準に適合しているか、または建築から20年以内(耐火建築物は25年以内)のものに限り住宅借入金等特別控除が適用されます。したがって、購入した中古住宅そのものについては控除の対象にはなりませんが、改築にかかる費用については、特定の条件(旧措法41①、措令26②に該当する耐震改修を含む)を満たす場合、控除を受けることが可能です。また、中古住宅の購入後6ヶ月以内に入居する必要はなく、改築工事後6ヶ月以内に入居すれば控除を受けられます。耐震基準または経過年数基準に適合しない場合でも、平成26年4月1日以降に取得した中古住宅で、購入日までに耐震改修を行い、入居前に耐震基準に適合するよう改修すれば、控除の対象となります。新型コロナウイルス感染症の影響で工事が遅延し入居期限要件を満たさなくても、一定の条件下では控除を受けられます。

配偶者の税額軽減の計算例

Q.夫が亡くなり、その遺産を私と子供2人で相続することになりました。総遺産は債務控除後3億5,000万円、私は2億6,000万円、子はそれぞれ4,500万円を受け取ります。私の配偶者の税額軽減額と納付税額はどのくらいになりますか?

A.あなたが相続する遺産に対して計算される相続税額は次の通りです。

1. 基礎控除額: 基礎控除額は遺産額から差し引かれる金額で、3,000万円プラス600万円を相続人の人数(この場合は3人)で乗算した4,800万円です。

2. 課税遺産総額: 総遺産から基礎控除額を差し引いた金額が課税遺産総額で、3億5,000万円から4,800万円を引いた3億200万円です。

3. 相続税の総額: 相続税の総額は、課税遺産総額に応じた税率と控除額を用いて計算され、結果として7,470万円になります。

4. 各人の相続税額: 相続税額は、法定相続人ごとに取得金額に基づいて計算されます。この場合、配偶者には特別な税額軽減が適用され、その軽減額は37,350,000円です。したがって、配偶者が支払う納付税額は、配偶者の相続部分から計算された税額55,491,428円から税額軽減額37,350,000円を差し引いた18,141,400円になります。

増改築等の場合の住宅借入金等特別控除

Q.私は、本年6月に店舗付住宅を銀行からの借入れにより220万円かけて増築しました。増築費用のうち住宅部分は180万円で、増築後の住宅部分の床面積は120平方メートルとなりました。この場合、住宅借入金等特別控除の対象となりますか。

A.はい、あなたの場合は住宅借入金等特別控除の対象となります。増改築等の住宅借入金等特別控除には、以下の要件があります。

1. 工事費用の総額が100万円を超えること。

2. 工事費用の総額の半分以上が住宅部分に使われていること。

3. 工事後の家屋の床面積が50平方メートル以上であること。

4. 工事後の家屋の床面積の半分以上が住宅用に使われていること。

あなたの場合、増築工事にかかった費用は220万円で、そのうち住宅部分に関する費用は180万円と、要件1と2を満たしています。また、増築後の住宅部分の床面積が120平方メートルとなり、全体の床面積の半分以上が住宅用であるため、要件3と4も満たしているので、特別控除の対象となります。

配偶者の税額軽減の特例

Q.配偶者の税額軽減の特例計算では、「相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産」の価額は含まれますか。

A.配偶者の税額軽減の特殊計算で考慮される財産の価額には、「相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産」も含まれます。この計算では、法定相続分や、配偶者が実際に取得する財産(遺産分割によるもの、生命保険金、死亡退職金等)の価格を含め、さらには相続税の課税価格に加算される相続開始前3年以内に受けた贈与財産も含むことになります。この点は、相続税の計算基準における重要な要素で、相続開始前3年以内の贈与財産も、税額軽減の対象として考慮されることを意味しています。

店舗併用住宅を新築した場合の住宅借入金等特別控除の対象金額の計算

Q.本年6月に土地を購入し、店舗併用住宅を新築した場合、住宅借入金等特別控除の対象となる住宅借入金等の金額はどのように計算されますか?

A.住宅借入金等特別控除は、自宅とその敷地用土地の購入に関わる借金が対象です。示されたケースでは、以下のように計算します。まず、家屋新築に関連する借金の年末残高は2,000万円で、この家屋の半分が居住用として利用されているため、居住用部分の借入金は1,000万円となります。土地購入に関連する借金の年末残高は4,000万円で、土地のうち居住部分に該当する割合で計算した場合、居住用土地購入に関する借入金は1,200万円となります。したがって、住宅借入金等特別控除の対象となる金額は、これらの合計で2,200万円です。

太陽光発電システムと一体で取得した家屋の取得対価の額

Q.地方公共団体から補助金を受けて新築した居住用家屋の住宅借入金等特別控除の計算基礎になる「居住用家屋の取得の対価の額」は、受け取った補助金相当額を控除して計算するのでしょうか。また、受け取った補助金は申告する必要がありますか。

A.地方公共団体から受け取った補助金は一時所得として扱われますが、その年の確定申告を行うことで収入金額に含めなくても良いことになっています。住宅借入金等特別控除の計算において、「居住用家屋の取得対価等の額」には、その家屋と一体として取得した太陽光発電システムを含む設備の取得価格も含まれます。平成23年6月30日前に契約を結んだ場合、補助金を収入から除外しても、取得価格からは控除する必要はありません。つまり、建物の建築費と太陽光発電システムの費用を合わせた2,400万円が居住用家屋の取得価格となります。しかし、平成23年6月30日以降に契約した場合は、補助金100万円を取得価格から差し引いて、2,300万円が居住用家屋の取得価格になります。太陽光システムを売却する際の取得費の計算では、補助金の額を差し引く必要があります。

配偶者の税額軽減の特例の申告手続き

Q.配偶者の税額軽減の特例の適用を受けたいと思っていますが、この場合の申告手続を教えてください。

A.配偶者の税額軽減の特例を利用するには、相続税申告時に特例の適用を要求する旨とその計算の詳細を相続税の申告書(期限後申告書や修正申告書も含む)や更正請求書に記入し、次に示す書類を添付して提出する必要があります。

1. 遺言書のコピー、遺産分割協議書のコピー、その他財産取得を証明する書類

2. 遺産の一部または全部がまだ分割されていない場合、その理由と詳細を書いた書類

もし遺産が申告期限までに分割されていない場合でも、通常は申告期限より3年以内に分割された場合、特例の適用が受けられます。そのような状況では、申告書に未分割の理由と分割の見込みについても記述してください。

配偶者が申告期限内に相続税申告を行い、その後3年以内に分割された財産について特例を受ける場合は、分割日の翌日から4ヵ月以内に更正の請求が可能です。

税額控除

Q.次のような場合、相続税法に規定されているそれぞれの税額控除の対象になりますか。

A.以下は相続税法における税額控除の対象についての詳細です。

1. 内縁の妻には「配偶者の相続税額の軽減」が適用されません。これは、婚姻届を出している夫婦のみが対象とされているためです。

2. 未成年者が令和4年3月31日までに結婚している場合でも、「未成年者控除」は適用されます。結婚しても未成年とみなされるためですが、海外に住む日本人未成年者には適用外です。

3. 外国籍でも、日本国内に住所がある障害者には「障害者控除」が適用されます。国籍は相続税の控除適用には影響しません。

4. 相続を放棄した人や相続権を失った人が遺贈で財産を得た場合、「相次相続控除」は適用されません。遺贈でも控除の対象外とされています。

代襲相続人が相続放棄した場合の相続税の2割加算

Q.代襲相続人である孫が相続を放棄した後、遺贈により財産を受け取ることになった時、相続税の2割加算の規定は適用されるのでしょうか?

A.孫は、本来代襲相続人になり得る立場でしたが、相続を放棄したために代襲相続人とはなりませんでした。その結果、孫は一親等の血族としては扱われず、二親等の血族として扱われます。これにより、孫が遺贈を通じて財産を受け取る場合でも、相続税の額に20%を加算する規定が適用されることになります。通常、被相続人の一親等の血族や配偶者以外が財産を受け取る場合に、相続税額に20%を加算する規則があります。しかし、代襲相続人として一親等の血族として扱われる場合はこの規則が適用されませんが、相続放棄により代襲相続人ではなくなった孫はこの加算の対象となります。