特定増改築等住宅借入金等特別控除額の計算 (バリアフリー改修工事)

Q.私は、令和2年10月に借入金で現在住んでいる住宅にバリアフリー改修工事を行い、令和3年2月に入居しました。特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、控除額はどのように計算するのでしょうか?住宅の増改築等の費用は1,400万円で、そのうちバリアフリー改修工事等の費用は600万円、住宅借入金等の年末残高の合計額は1,300万円です。市からの補助金は100万円で、共有者はいません。控除の適用を受けるための要件は満たしています。

A.お問い合わせの特定増改築等住宅借入金等特別控除額の計算方法は以下の通りです。まず、バリアフリー改修工事等の費用から市からの補助金を差し引いた額が500万円であり、50万円を超えているため、特別控除の適用が可能です。次に、年末残高の合計額1,300万円と、自身の負担した改修工事費用500万円の内、少ない方の金額を特定増改築等住宅借入金等の年末残高の合計額として250万円(最高250万円の設定のため)を計算基準にします。最終的な特別控除額は、250万円に2%を適用した金額と、残りの750万円に1%を適用した金額を合計し、125,000円となります。これが、あなたが受けることができる特定増改築等住宅借入金等特別控除額(限度額)です。なお、令和4年1月1日以降に入居する場合は、特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用はありません。

特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用要件等

Q.家屋のバリアフリー改修や省エネ改修などをローンで資金調達して行った場合、特別控除を受けられるのですか?また、多世帯同居改修工事をした場合の特例はどのようなものですか?

A.お問い合わせのケースでは、条件を満たしていれば以下の2つの控除のいずれかを選ぶことができます。

1. 特定増改築等住宅借入金等特別控除:一定の条件下で、バリアフリー改修や省エネ改修などの一定の改築工事を行い、その改築工事後6か月以内にその家屋で生活を始めた場合に適用される制度です。具体的には、自分が所有する家屋に対して、5年以上のローンで改築工事を行ったときです(令和3年12月31日までに居住のために使う場合に限られます)。

2. 多世帯同居改修工事に関する特例:これは、平成28年度の税制改正で新設された制度で、5年以上のローンを利用して自分の家で多世帯同居改修工事を行い、その家屋を平成28年4月1日から令和3年12月31日までの間に居住の用に供していた場合に適用されます。

どの改修工事が特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象かは、「増改築等工事証明書」で確認できます。この証明書は建築士などが発行します。

特定耐久性向上改修工事(例えば、小屋裏、外壁、床下などの劣化対策工事)を省エネ改修と一緒に行う場合、その費用も控除額の計算に含めることができますが、これは平成29年4月1日以後に行った改修部分に限ります。

ただし、一度特定増改築等借入金特別控除を適用して確定申告を行った後に、住宅特定改修特別税額控除への変更はできない点に注意が必要です。また、令和4年1月1日以降に居住用に供する場合は、特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用がありません。

延納制度

Q.相続税の延納制度について説明してください。

A.通常、税金は現金で一括で支払う必要がありますが、相続税や贈与税の場合は、それらが財産に課せられる税であるため、支払いを延期できる特別な制度があります。これを延納制度と呼びますが、一定の条件を満たす場合に限り適用されます。相続税の延納については、相続税額が10万円を超える場合で、納税者がその納税期限まで、または納税すべき日に金銭で支払うことが困難な場合、申請により最大5年間(税額が100万円未満の場合は、延納税額を10万円で割った年数、1年未満の端数は1年として計算)、分割して支払うことが可能です。相続財産の半分以上が不動産等である場合、延納期間は最大15年に延長され、特定の割合以上の場合は20年まで延長可能ですが、毎年の支払いは最後の年を除き、最低10万円です。延納を希望する場合は、相続税額に関わる申告書の提出期限までに、またはそれが期限後や修正の場合は提出日までに延納申請書を提出し、延納税額が100万円を超えるか、延納期間が4年を超える場合は担保の提供が必要となります。延納期間及び延納にかかる利子税の割合は、不動産などの割合に応じて定められています。

増改築等を行った場合の住宅借入金等特別控除等の適用関係

Q.特定増改築等工事をした場合、住宅借入金等特別控除及び特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用関係はどのようになりますか。

A.特定増改築等工事を行った際、住宅のローンがあるかないかによって利用できる税制優遇が変わります。特定増改築等工事には、バリアフリー改修、省エネ改修、多世帯同居改修が含まれます。ローンがない場合、税制優遇は適用されません。一般的な増改築でローンがある場合には「住宅借入金等特別控除」が適用され、特定の増改築に関連するローンがある場合には「特定の増改築等に係る住宅借入金等特別控除」が使えます。また、ローンがなくても、多世帯同居改修を行った場合には「住宅特定改修特別税額控除」が利用できます。どの税制優遇を選択するかは、各制度の要件を満たしているかに基づいて決定します。バリアフリー改修工事や省エネ改修工事の具体的な内容は、別の質問で解説されています。

物納を撤回する場合

Q.物納の許可後でも、物納を撤回することができるのはどのような場合でしょうか。

A.物納を撤回できる条件は以下の通りです。第一に、物納に関わる財産が賃借権など不動産の使用権を対象としており、第二に、その財産が市場に出されずに現存していること。第三に、物納の許可を受けた人が許可を受けてから1年以内に撤回を申し出ること。そして第四に、物納に代わる相続税を一括で払うか、延納を許可されて支払うことができる場合です。物納を選ぶ理由としては、相続した不動産に複雑な権利関係が絡むケースがあり、税の納期内に売却等が難しく現金での納税が困難になる場合があります。そのため、後になって税を現金で納めたいと考える場合も考慮し、物納許可後に限り1年以内であれば撤回を認める制度が設けられています。申請があれば、税務署長がその内容を検討し、承認または却下を決定し納税者に書面で通知します。

物納制度

Q.相続税の物納制度について説明してください。

A.相続税は通常、金銭で支払われますが、金銭での支払いが難しい場合のために物納制度が設けられています。これは、相続か遺贈で得た土地や家屋などの換金が難しい財産が多い場合に、物納を利用して相続税を納められる規定です。物納を行うためには、納税者が金銭での支払いが困難であること、物納申請書を提出すること、そして課税価格計算の基礎となった財産が適格であることなどの条件を満たす必要があります。物納できる財産は、優先順位に従って不動産、船舶、国債証券、上場株式などがあります。また、財産の価値が変動した場合、収納価額は税務署長がその時点の状態を基に決定します。特定登録美術品については、順位に関わらず物納を申請でき、その際には特定登録美術品に関する詳細な情報を提出する必要があります。

運帯納付の責めにより相続税の納付があった場合

Q.私の父が亡くなり、兄と私で遺産を相続しました。私は相続税を納めましたが、兄は資金不足で納められず、その代わりに私が納めようとしています。この場合、兄に贈与税がかかることはありませんか?

A.お兄さんが資力を失い、相続税を納付できない状況で、あなたが代わりに相続税を納付する場合、これを贈与とはみなされません。相続税の連帯納付責任は相続人間の公平な税負担を保ち、税金の徴収をスムーズにするためのもので、民法上の連帯保証人の責任に近いものとされています。そのため、あなたが連帯納付責任を果たした際、本来の納税義務者であるお兄さんに対する求償権が発生します。しかし、お兄さんが資力を失っており、あなたがその求償権を放棄する場合でも、これは贈与とはみなされず、兄に贈与税が課されることはありません。

延納の許可を受けた場合の相続税の連帯納付の義務

Q.昨年、私と弟で父の財産を相続しました。私たちは相続税を年賦延納で納付していますが、弟の事業が不振で納税できなくなりました。この場合、私は弟の分の相続税も納付しなければならないでしょうか?

A.あなたは弟の納付できなくなった相続税について、連帯納付の義務を負いません。法律では、同一の被相続人から財産を受け継いだ全員が、その財産に関連する相続税について限定された価額まで互いに連帯して支払う責任があると定めています。しかし、もし納税義務者が延納の許可を受けていた場合、その人に関連して他の連帯納付義務者には、その延納による相続税に対する連帯納付の責任は発生しません。

相続税の連帯納付の義務

Q.今年、私は兄と2人で父の財産を相続しました。私は期限内に相続税を納付しましたが、兄は相続税を納付していません。この場合、私が兄の代わりに相続税を納付しなければならないでしょうか。

A.はい、あなたと兄が共同で父の財産を相続した場合、それぞれが受け取った財産の価値に応じた範囲で相続税の連帯納付義務を負います。つまり、兄が相続税を支払っていないなら、あなたは兄の分の相続税も、あなたが受け取った財産の価値の範囲で納付する義務があります。ただし、納税猶予や免除が適用される特定のケースでは、この連帯納付義務が免除される場合があります。これには、納税猶予を受ける条件として指定された農地や山林、特定の美術品、非上場株式などに関する資産や、特定条件下での納税猶予の適用を受けた場合などが含まれます。

期限後申告の特則

Q.父の死亡で相続を予定していましたが、全財産が兄に贈与されていたため相続財産がないと判明した後、兄に遺留分侵害額の請求をし、遺産分割により相続税の申告が必要になりましたが、相続の開始から10カ月が過ぎています。この場合、延滞税はかかるのでしょうか?

A.期限後に相続税申告書を提出する場合、納税期限の翌日から申告書提出日までの期間は延滞税の対象期間に含まれないため、その期間に対する延滞税は発生しません。相続税申告の期限が過ぎた後に新たに納税が必要になることには様々な理由がありますが、それに伴う申告であればこの特例が適用されます。例えば、財産分割が後から行われた場合、相続人の変更、遺留分侵害額の請求により支払う額が確定した場合、遺言による遺贈が発見された場合、物納が規定により許可されていたが後に取消しとなった場合などがあります。これらの事情により納めるべき相続税額が新たに発生した際には、延滞税の免除が適用される特則があることを覚えておきましょう。