国外転出時課税制度の適用がある場合の申告期限

Q.9月に国外転出することになりましたが、国外転出時課税制度の適用がある場合、いつまでに申告が必要でしょうか。

A.9月に国外転出する場合の申告期限は、納税管理人の届出をしたかどうかで変わります。

1. 納税管理人の届出をして国外転出した場合:

国外転出の年の確定申告期限までに、その年の所得全てと国外転出時課税制度による所得を含めた確定申告と納税を行う必要があります。

2. 納税管理人の届出をしないで国外転出した場合:

国外転出する前の1月1日から国外転出する日までの期間の所得と国外転出時課税制度による所得を含めた準確定申告と納税を、国外転出する9月までに行う必要があります。

国外転出時課税制度における対象資産の価額の判定時期

Q.国外転出時課税制度において、対象資産の価額の合計額が1億円以上となるかどうかは、どの時点の価額で判定するのでしょうか。

A.国外転出時課税制度では、対象資産の価額の合計が1億円以上かどうかを判断する際、以下の(1)または(2)の区分に従って、国外転出する人が持っている対象資産の価額で決定します。

(1)国外転出前に確定申告をする場合

この場合、国外転出予定日から3か月前の日の価額を基に判断します。ただし、その日以後に取得したり契約を結んだりした資産については、取得時や契約締結時の価額を用います。具体的には、有価証券などの価額、またはまだ決済していない信用取引やデリバティブ取引を決済したと見なし、計算される利益や損失の金額を合計した額です。

(2)国外転出後に確定申告をする場合

このケースでは、国外転出時点での有価証券などの価額加えて、まだ決済していない信用取引やデリバティブ取引を決済したと見なした際に算出される利益や損失の金額の合計額を基に判断します。

国外転出時課税制度の概要

Q.多額の有価証券を所有している居住者について、日本を出国する際に所得税の申告が必要になる場合があると聞きましたが、どのような制度ですか?

A.国外転出時課税制度は、日本から海外へ転出する際に、合計1億円以上の有価証券や未決済の信用取引など特定の資産を持っている人が対象になります。この制度は、国外転出の時点でこれらの資産を売却したり、決済したとみなし、その資産から得られる利益に対して所得税を課すものです。この税制は2015年7月1日以降に海外に移住する人に適用されます。国外転出時には、種々の資産に応じて所得税の申告と納税が必要となりますが、特定の条件を満たした場合は税金の免除や納税猶予の特例を受けることができます。対象となる資産は主に有価証券や匿名組合契約の出資、未決済の信用取引やデリバティブ取引などです。対象となる人は、国外転出時に対象資産の合計が1億円以上であること、さらに過去10年以内の国内居住期間が5年以上ある人です。ただし、特定の在留資格での滞在期間は国内居住期間に含まれない場合があります。

1月1日から2月15日までの間に出国する場合の確定申告

Q.私は給与所得、不動産所得や雑所得があり、毎年確定申告をしています。来年2月1日から2年間の予定でフランスの大学へ留学するため出国します。この場合、私の本年分の確定申告書はいつまでに提出すればよいですか。

A.通常、確定申告と所得税の支払いのための申告期間は、その年の翌年の2月16日から3月15日までです。しかし、1月1日から2月15日の間に出国する場合、出国する日までに確定申告書を提出する必要があります。もし申告が損失を伴う場合も、同様に出国する日までに損失申告書を提出できます。納税管理人を指定し、その事実を税務署長に報告していれば、通常の確定申告の期限までに提出しても大丈夫です。さらに、出国の年の1月1日から出国の日までの所得については、出国する日までに準確定申告を行う必要があります。

死亡した場合の確定申告

Q.父が亡くなりました。父の確定申告はどうすれば良いですか?

A.父が今年亡くなった場合、父が生きていた時の1月1日から亡くなった日までの所得について、称して「準確定申告」という確定申告を行なう必要があります。この申告は、父の死を知った日の翌日から4ヶ月以内に、父が亡くなった時の住所地を管轄する税務署に提出する必要があります。もし、相続人が複数いる場合は、法律に基づく相続の割合に応じて税金を分担します。すべての相続人は連名で申告書を提出することになりますが、個々に提出し相互に情報を共有することも可能です。また、限定承認をした場合は、相続によって得た財産の範囲内でのみ税金を支払う義務があります。申告書には相続人の情報や相続した財産などを記載し、必要に応じて「還付を受けるための申告書」や「確定損失申告書」も提出できます。父さんの確定申告は、死亡した翌日から4ヶ月以内に提出し、還付申告書はその際に、確定損失申告書は翌年の2月1日までに提出することができます。

退職所得の確定申告の要否

Q. 年の中途で退職した場合、年末調整を受けていない給与に関連する源泉所得税の還付を受ける目的で確定申告をする際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、源泉徴収されている退職所得も確定申告書に記載する必要がありますか。

A. 確定申告を行う場合、還付申告または損失申告である場合でも、その年に得た総所得金額に加えて退職所得と山林所得も確定申告書に記載しなければなりません。これは、すべての収入に関して報告することが基本原則です。しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、退職所得に対して適切に所得税が源泉徴収されているとみなされ、退職所得に関する確定申告は不要となります。ただし、所得控除が他の所得で使い切れずに退職所得から控除する必要がある場合や、他の所得にかかる税金の控除を退職所得で行う必要がある場合は、退職所得を確定申告書に記載し、源泉徴収された所得税の還付を受けることが可能です。

日給で支払を受けている者の確定申告の要否

Q.日雇いで複数の場所から給与を受けており、所得税が源泉徴収されています。この場合、確定申告は必要ですか?

A.日雇いで働き、日または時間に応じて給与が支払われる場合、その給与からは特定の条件に基づいた所得税が源泉徴収されます。一年の間に複数の給与支払者から給与を受けた場合でも、同一時点で複数の支払者から給与を受けていなければ、各支払者からの給与について所得税が源泉徴収されていれば、確定申告は原則として必要ありません。ただし、給与以外の所得がない、もしくは非常に少ない場合に限ります。しかし、その年の間に支払を受けた給与の合計が少なく、源泉徴収された税額が実際の納税額よりも多くなった場合は、還付を受けるために確定申告を行うことができます。

同族会社の役員が受け取った配当金と確定申告の要否

Q.私は同族会社の役員で、同社から給与900万円のほか、配当金20万円の支払を受けました。この場合、同族会社の役員である以上、給与以外の所得が20万円以下であっても、配当金について確定申告が必要でしょうか。

A.同族会社の役員であると、給与以外の少額の所得があっても、一定の条件下では所得税法による確定申告の例外規定の適用を受けられないとされています。具体的には、その法人から給与のほか、貸付金の利子や不動産などの資産を事業用に提供することによる対価を受け取っている人が該当します。しかし、配当金はこの例には該当しませんので、お問い合わせの例では、給与と配当以外に上記のような対価の支払いがない限り、確定申告の義務は生じないことになります。

公的年金等に係る申告不要制度

Q.数年前から厚生年金をもらっており、シルバー人材センターで年間70万円程度の収入があります。厚生年金の収入金額は300万円で、それ以外の所得はありません。この場合、確定申告が不要になることがあると聞きましたが、私の場合は申告不要となりますか?

A.あなたの場合、所得税の確定申告は必要ありません。厚生年金とシルバー人材センターからの収入を合わせても、公的年金等の総収入が400万円以下であれば、確定申告が不要になります。シルバー人材センターで得た70万円は雑所得ですが、特例を利用して55万円を差し引けば、15万円の所得として計算できます。厚生年金300万円と合わせても公的年金等の収入条件を満たしていますので、申告不要です。ただし、申告をして医療費控除などを受けたい場合や、住民税の申告が必要な点は注意が必要です。

サラリーマンに譲渡所得がある場合の確定申告

Q.私はサラリーマンですが、本年転勤のため居宅を売却して転勤先で建売住宅を購入し現在住んでいます。居住用財産の譲渡については、3,000万円の特別控除があるとのことで、差し引きすれば譲渡所得はなくなりますが、この場合、特別控除の適用を受けるために確定申告をする必要がありますか。また、土地収用法により、土地等が収用された場合の5,000万円特別控除については、確定申告の必要はないと聞いていますがどうですか。

A.居住用財産を売却した場合、3,000万円の特別控除を受けるためには確定申告が必要です。これは、特別控除を適用した後の譲渡所得金額(特別控除後の金額)が、給与や退職所得以外の所得と合わせて20万円以下でも、申告しなければなりません。同じく、農地等を売却した際の800万円の特別控除も確定申告が必要です。しかし、土地等が収用された場合の5,000万円特別控除や、特定のプロジェクトによる土地等の譲渡に関する特別控除(2,000万円や1,500万円)については、特別控除後の譲渡所得と他の所得を合わせて20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。