外国税額控除の適用による更正の請求

Q.昨年、米国に投資用マンションを購入し不動産所得を得ました。今年、この不動産所得について初めて確定申告をしましたが、外国税額控除を適用し忘れました。この場合、更正の請求により外国税額控除の適用を受けることができますか?また、外国税額控除額を少なく申告した場合、更正の請求はできますか?

A.外国税額控除は、確定申告時に金額を記載し忘れていたり、申告した金額が少なかった場合でも、修正申告や更正の請求を通じて適用を受けることが可能です。このプロセスにより、適用される外国税額控除の額を増やすことが認められています。そのため、申告時に外国税額控除を適用しなかったり、控除額を過小申告した場合でも、更正の請求をすることにより、外国税額控除の適用を受けることができます。ただし、更正の請求をする際には、外国税額控除に関する明細書や外国で税金を支払ったことを証明する書類を添付する必要があります。

修正申告 と更正の請求の相違

Q.確定申告書を提出した後に、税額等に変更が生じた場合には、修正申告又は更正の請求の取扱いがあると聞きましたが、その相違点について説明してください。

A.確定申告後、税額に変更が生じた時、修正申告と更正の請求という2つの対応方法があります。修正申告は、納税者が自身の税額が少ないか、又は還付金額が多いと判断した際にする申告で、税務署への報告により税額を増額修正します。一方、更正の請求は、納税額が多いか、又は還付額が少ないと納税者が判断した場合に税務署長へ請求する方法で、申告額の減額を目指します。これらの違いは、修正申告が税額の増額を目的とするのに対し、更正の請求は税額の減額を求める点です。更正の請求時には、該当する事実の証明書類を提出することが必要です。

修正申告に対する更正の請求

Q.修正申告書を提出した後、その修正申告で過大申告をしてしまった場合、更正の請求をすることは可能ですか?

A.はい、可能です。国税通則法の第23条によると、納税者が申告書を提出した後、その内容の計算に誤りがあったり、所得税法に従わなかった計算が原因で納付すべき税額が過大になってしまった場合、原則としてその申告の法定申告期限から5年以内であれば更正の請求をすることが許されています。このルールは、修正申告書にも適用され、修正申告書によって納付すべき所得税額が過大になった場合でも更正の請求をすることができます。更正の請求の期間は、修正申告書の提出日とは無関係に、法定申告期限から5年以内になります。

修正申告による特例計算の選択可否

Q.青色申告をしている内科医ですが、会計のミスで一般診療収入の一部が申告漏れとなりました。修正申告をする際に、租税特別措置法による社会保険診療報酬の特例計算を申請できますか?

A.個人で医業または歯科医業を営む方が、健康保険等から受け取る社会保険診療報酬が5000万円以下、かつその収入が7000万円以下の場合、その年の事業所得の計算において、特別な計算方式(特例計算)を用いることができます。これは、実際に支払われるべき金額に特定の比率を乗じる方法で、通常の必要経費の計算規定とは異なるものです。ただし、この特例計算を利用する場合、通常は確定申告書にその旨を明記しなければなりません。あなたのケースでは、元の確定申告書に特例計算の適用についての記載がなかったため、修正申告時に特例計算を適用することはできません。そのため、元の申告で使用した通常の収支計算方法に従うことになります。

総収入金額報告書

Q.総収入金額報告書は、どのような者が提出しなければなりませんか。また、その報告書にはどのような事項を記載するのですか。

A.総収入金額報告書は、一定の収入を得た人が提出する必要があります。具体的には、その年に不動産所得、事業所得、または山林所得があった人がこれに該当します。これには青色申告者も含まれ、その年の総収入金額の合計が3,000万円を超える場合に提出が必要とされています。ただし、その年分の確定申告書を提出している場合は除きます。提出期限は、その年の翌年3月15日です。

報告書に記載すべき内容は、提出者の住所、氏名、個人番号とともに、以下の事項が求められています:

1. 不動産所得、事業所得、または山林所得について、その年中の総収入金額の合計額及びそれぞれの所得ごとの内訳。

2. 不動産所得、事業所得、または山林所得の基となる資産や事業の所在地、またはそれらの所得発生場所。

3. 参考となるその他の事項。

提出期限を過ぎてしまっても、提出が必要となりますので注意が必要です。

電子取引データ保存制度

Q.「電子帳簿等保存制度」内の電子取引データ保存について、その概要を説明してください。

A.所得税(源泉徴収に関わる所得税は除く)や法人税に関して保存義務がある場合、電子取引が行われた際には、特定の条件のもとでその取引情報に関わる電子レコードを保存する必要があります。ただし、2023年12月31日までの電子取引に関しては、必要な電子データを印刷して保存し、税務調査の際に提示や提出が可能であれば、電子データを保存していなくても問題ありません。しかし、2024年1月からは、保存要件に従った電子データの保存が求められています。それでも、2024年1月以降でも以下の二つの条件を満たす場合は、改ざん防止や検索機能など特定の要件を満たす必要がなく、電子取引データをただ保存しておけばよくなりました。その条件とは、電子取引データを保存すべき要件に従えなかったことについて税務署長が妥当な理由があると認める場合と、税務調査時に電子取引データのダウンロードや印刷された書面の提示・提出に応じられるようにしている場合です。「電子取引」とは、電子的方法で行われる取引情報のやり取りのことを指し、EDI取引、インターネットを通じた取引、電子メールでの取引情報の交換(添付ファイル含む)、インターネット上のサイトを通じて取引情報をやり取りする取引などが含まれます。

スキャナ保存制度

Q.「電子帳簿等保存制度」のうちスキャナ保存の制度について、その概要及び要件を説明してください。

A.スキャナ保存制度とは、国税関係書類の保管義務を持つ者が、ある書類を除いて、これらの国税関係書類をスキャナで電子的に記録し、その記録を保存することで紙の書類の保存を代替することができる制度です。この電子的な記録の保存には、真実性や可視性を保持するための特定の要件があります。具体的には、書類の読み取り時期、解像度、カラー画像での読み取り、タイムスタンプの付与、バージョン管理、スキャン文書と帳簿の関連性の維持、適切な表示装置の設置、整然とした出力、電子計算機処理システムの文書の保管、および検索機能などです。これらの要件には、一般書類や過去分の重要書類に対する特別な規定が含まれています。例えば、一般書類は色情報がなくてもグレースケールでの保存が認められていますし、過去に作成または受領された重要書類については、その保存に関する手続きを示す文書の保持や、適用を税務署に届け出ることが必要とされています。さらに、令和6年1月1日以前に保存する国税関係書類には、解像度や階調情報、大きさ情報の保存、入力者情報の確認といった追加の要件が課されます。

電子帳簿等保存制度

Q.「電子帳簿等保存制度」のうち電子帳簿等保存の制度について、その概要を説明してください。

A.電子帳簿等保存制度では、国税に関連する帳簿や書類をデジタル形式で保存することが認められています。この制度にはいくつかのポイントがあります。まず、国税に関する帳簿や書類を電子的に記録し、特定の要件を満たすことで、それらを電子的な形で保存しても、法的には紙で保存したのと同じとみなされます。これには、最初から一貫してコンピュータを使用して作成した帳簿や書類が含まれます。また、デジタル保存時にはシステムの概要書の提供や、データが読み取り可能な状態を保つなどの要件を満たさなければなりません。

特に、「優良な電子帳簿」と認められた場合、過少申告加算税の軽減措置の対象にもなります。この「優良な電子帳簿」とは、訂正や削除の履歴を残すなど、特定の要件を満たした帳簿のことを指し、適用を受けるためには事前に届出が必要です。電子帳簿保存制度における保存方法には、電磁的記録による保存以外にも、マイクロフィルムによる保存(COM保存)という方法もあります。どの方法を選択するにしても、国税関連の帳簿・書類の信頼性を保ちながら、紙の帳簿・書類の管理にかかる負担を軽減できるメリットがあります。

電子帳簿等保存制度の概要

Q.「電子帳簿等保存制度」とは、どのような制度ですか。その概要を説明してください。

A.電子帳簿等保存制度とは、税法で保存が必要とされる帳簿や国税関係書類(例えば、領収書、請求書、決算書など)を、紙の形でなく電子データで保存することを可能にする制度です。この制度には、以下の3つの部分があります。

1.**電子帳簿等保存**: 自分でパソコンなどを使い、最初から最後まで作成した帳簿や国税関係書類は、印刷して保存する代わりに電子データとして保存できます。例として、会計ソフトで作成した仕訳帳や、パソコンで作成した請求書のコピーなどがこれに当たります。電子で保存を始める際に特別な手続きはいらず、2022年1月1日以降いつでも開始できますが、通常、課税期間の途中から電子保存を適用することはできません。また、特定の条件を満たして「優良な電子帳簿」を保存している場合、後になって過少申告が発見されても過少申告加算税が5%軽減されるメリットがあります。この特典を受けるにはあらかじめ届出が必要です。

2.**スキヤナ保存**: 決算関係書類以外の国税関係書類(例えば、取引先からもらった紙の領収書や請求書など)は、紙の書類を直接保存する代わりに、スマートフォンやスキャナーで読み取った電子データとして保存することができます。スキヤナ保存も2022年1月1日以降いつからでも始められますが、スキャナ保存を始める日より前に作成された、または受け取った重要な書類をスキャナ保存したい場合は、あらかじめ税務署へ届出を出す必要があります。

3.**電子取引データ保存**: 保存義務が課されている個人や企業は、注文書や契約書、送り状、領収書、見積書、請求書などといった文書の電子データをやり取りした場合、その電子データを保存しなければなりません。

自色申告者の記帳内容

Q.白色申告者であっても不動産所得、事業所得または山林所得を生じる業務を行う者は記帳をしなければならないと聞きましたが、どのような事項を、どのように記帳すればよいか説明してください。

A.白色申告者で不動産所得、事業所得、山林所得を得る場合、記帳には次のような情報を含める必要があります。まず、売上に関する情報としては、取引の年月日、売上先やその他関係者、金額、それぞれの日における売上の合計額が必要です。加えて、加工やサービス提供による収入と家庭での消費も売上とみなします。売上以外の収入、例えば雑収入については、取引の年月日、事由、関係者、金額を記録します。仕入れについては、取引の日、仕入れ先、金額、日々の仕入れ合計額が必要です。最後に、仕入れ以外の費用に関しては、雇用費用、外注費、減価償却費、損失、地代や家賃、利息や割引料などを含むその他の経費を、取引の日、理由、支払先、金額に分けて記載します。帳簿の形式や種類は特に決まっていませんが、記載事項は法令や告示で指定されている基準を満たす必要があります。記録は一目で分かるように明確かつ整然とした形で科目ごとに分けて行い、正確な所得の計算ができるようにしてください。ただし、取引内容が納品書などで確認できる場合は、その日の合計をまとめて記録する簡易的な方法も認められていますが、請求書や領収書などの書類はきちんと整理し保存する必要があります。