新規開業と届出

Q. 新規に事業を始める場合は、どのような手続き(届出)が必要ですか。

A. 新しく事業を立ち上げる際には、いくつかの必要な手続きがあります。これらは主に以下の通りです:

1. 開廃業の届出:事業の開始、事業所の新設、移転、または閉鎖を届出ること。届出期限は、これらの事実が発生した日から1ヶ月以内です。

2. 青色申告の承認申請:青色申告を行うための承認を申請する。申請期限は、その年の3月15日までです。ただし、1月16日以降に事業を開始した場合、開始日から2ヶ月以内に申請する必要があります。

3. 青色事業専従者給与の届出:専従者の給与についての届出、またはその変更を行う。届出期限は、その年の3月15日までです。変更の場合は、変更後すぐに届け出る必要があります。1月16日以降に事業を開始した場合は、開始日から2ヶ月以内です。

4. 収入及び費用の帰属時期の特例の適用届出:小規模事業者が収入と費用の計算を簡単にするための現金主義の特例を受けるための届出。適用を受ける年の3月15日までに届け出ます。1月16日以後に事業を開始した場合は、開始日から2ヶ月以内に届け出る必要があります。

5. 棚卸資産の評価方法の選定届出、減価償却資産の償却方法の選定届出:事業開始時に棚卸資産や減価償却資産の評価や償却方法を選定し、これを届け出る必要があります。届出期限は、確定申告期限です。

6. 給与支払事務所等の開設届出:給与支払事務所の開設、移転、または閉鎖を届け出ること。届出期限は、事実が発生した日から1ヶ月以内です。

7. 源泉所得税の納期の特例の承認申請:従業員が10人未満の場合、源泉所得税を年2回まとめて納付できる制度の承認を申請します。承認の通知が届いた日から効力が生じ、その日以降の法定納期限より適用されます。

青色申告が取り消される場合

Q.私は青色申告の承認を受けていますが、どのような場合に、青色申告の承認が取り消されるのか説明してください。

A.青色申告の承認を受けるためには、税務署長への承認申請書の提出が必要です。しかし、承認を受けた後でも、例えば、法令に基づいて帳簿書類の記帳が適切に行われていない場合など、以下のケースでは税務署長によって承認が取り消される可能性があります。取り消しの対象期間は、その事実があった年分に遡って適用されます。

1. 不動産所得、事業所得、山林所得について、日々の取引を正確で、秩序があり、明確に記録し、税法が定める期間(通常は7年)保管すること。

2. 税務署長からの帳簿書類の備付け、記録、保管に関する指示に従わない場合。

3. 取引の一部または全部を意図的に記載から省略するか偽装する、または記載内容が真実ではないと疑われる理由がある場合。

青色申告の承認が取り消されると、取り消された年度以降は青色申告の便益を受けられなくなります。

相続人が提出する青色申告の承認申請書

Q.青色申告者が年の中途で死亡し、相続人が事業を引き継いで記帳もそのまま続けていく場合、相続人は改めて青色申告の承認申請書を提出しなければ青色申告は認められませんか。また、提出を要するとすれば、いつまでに提出すればよいのですか。

A.もし亡くなった方が途中で青色申告者だった場合、その事業を引き継いだ相続人が青色申告制度を利用し続けたいなら、新しく事業を始めたとみなされ、青色申告の承認申請書を提出する必要があります。この申請は事業を引き継いだ日から2ヶ月以内に行う必要があるのが通常です。しかし、相続の場合はいくつか特別なルールがあります。具体的には、相続が始まった日から4ヶ月以内に提出する必要があるほか、以下の期間が適用されます:

1. もし亡くなった人が1月1日から8月31日の間に亡くなっていたなら、死亡した日から4ヶ月以内が申請の期限です。

2. 9月1日から10月31日の間に亡くなった場合には、その年の12月31日までに申請しなければなりません。

3. そして、11月1日から12月31日の間に亡くなった場合は、翌年の2月15日が申請の期限とされています。

法人成立後に生じた不動産所得に対する青色申告の効力

Q.私はこれまで青色申告を行ってきましたが、今年5月31日に個人事業を廃業して法人を設立しました。私は個人で住宅を新築し、かつての自動車修理工場を法人に貸し、それぞれ6月1日から不動産収入が得られています。この場合、不動産所得を青色申告で報告するために、事業開始から2ヶ月以内に青色申告の承認申請を再度行う必要がありますか。

A.個人事業で青色申告の承認を受け、その事業を全部譲渡または廃止した場合、その年の終わりまで青色申告の効力は継続します。また、すでに事業所得、不動産所得、または山林所得のいずれかに対して青色申告の承認を受けている場合には、新たに異なる所得を得る事業を行っても、再度承認申請を行う必要はありません。したがって、お問い合わせのケースでは、新たに不動産所得に対して青色申告の承認申請をする必要はありません。ただし、廃業した年の翌年から新たに青色申告可能な所得を得る事業を始める場合は、その所得に対して青色申告を希望するならば、再度承認申請が必要となります。

相続人が提出する青色申告の承認申請書

Q.青色申告者が年の中途で死亡し、相続人が事業を引き継いで記帳もそのまま続けていく場合、相続人は改めて青色申告の承認申請書を提出しなければ青色申告は認められませんか。また、提出を要するとすれば、いつまでに提出すればよいのですか。

A.相続により事業を引き継いだ相続人が青色申告の恩恵を受けたい場合、これには事業の新たな開始とみなされて、事業開始の翌日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。ただし、相続が関わる場合は特殊で、相続が始まった日から4ヶ月以内に準確定申告が必要なことも踏まえると、被相続人の事業を引き継いだ場合、青色申告承認申請書の提出期限は相続開始の日から4か月以内、もしくはその他の条件を満たす早い日になります。詳細については以下の通りです:

1. 被相続人が1月1日から8月31日に亡くなった場合は、死亡日から4ヶ月以内。

2. 被相続人が9月1日から10月31日に亡くなった場合は、その年の12月31日が期限。

3. 被相続人が11月1日から12月31日に亡くなった場合は、翌年の2月15日が提出期限です。

年の中途開業の場合の青色申告の承認申請

Q.私は給与所得のほかに、5年前に相続した貸家について不動産所得があります。本年、5月に定年退職となりましたので、その退職金を元に8月1日から洋菓子店を開業しました。ところで、青色申告の承認申請書は、新たな業務を開始する場合には、開始した日から2か月以内に提出すればよいとのことですが、私の場合、9月30日までに青色申告承認申請書を提出すれば、本年分から青色申告書で確定申告できますか。

A.青色申告の承認申請のルールによれば、新たに業務を始めた人はその事業を開始した日から2か月以内に特定の「承認申請書」を税務署に提出する必要があります。しかし、不動産所得を得ている方が中途で新たな事業を始めた場合、この規則は該当しません。つまり、本年中に洋菓子店を開業したとしても、既に不動産所得があるため、開業年に青色申告を行うためにはその年の3月15日までに「承認申請書」を提出する必要があり、洋菓子店開業後2か月以内の提出では認められません。結論として、あなたの場合は翌年の3月15日までに承認申請書を提出し、洋菓子店を開業した翌年以降から青色申告が可能になります。

青色申告者の備え付けるべき帳簿と保存期間

Q.青色申告をするには、どの程度の帳簿を備え付けてきちんと記帳しなければならないのでしょうか?また、帳簿書類の保存期間について教えてください。

A.青色申告者は基本的に、複式簿記に基づいて記帳する必要があります。ただし、簡易な簿記でも青色申告が可能で、以下の帳簿を用意することが必要です:現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳です。帳簿書類に関しては、帳簿は記帳閉鎖日から7年間、関係書類は作成・受領日から7年間保管しなければなりません。ただし、現金預金取引とは関係のない証拠書類は5年間の保管で済みます。もし事業所得と不動産所得の合計が300万円以下であれば、証拠書類はすべて5年間で良いこととされています。記帳書類を3年で廃棄することは認められていません。コンピュータで作成された帳簿書類は、磁気テープや光ディスク(CD-R)などに電子データとして保存できます。また、スキャナーを使って手書き書類を電子データにして保存する「スキャナー保存制度」もあります。

2種類以上の所得があるときの青色申告

Q.私は書籍小売業による事業所得と、アパート経営による不動産所得があります。本年から事業所得のみ青色申告の承認を受け、帳簿書類を備えて記帳していきたいと思っていますが、それは認められますか?

A.青色申告は、事業所得、不動産所得、または山林所得を得る業務に対して、申し出ることが可能です。しかし、一度青色申告の承認を受けると、事業所得、不動産所得、山林所得全てについて記帳する必要があります。そのため、事業所得に関してのみ青色申告を受け、不動産所得を白色申告のままにすることは許されません。記帳にあたっては、不動産所得と事業所得の正確な計算が可能となるよう、それぞれの所得に関わる資産、負債、資本に影響を与える全ての取引を正確に、整然と、明瞭に記録する必要があります。

非居住者の青色申告

Q.私の友人のAさんは、本年6月から米国の子会社に5年間の予定で出向します。Aさんは、3年前から国内にアパートを所有し、不動産所得を得ていました。給与所得と合算して青色申告をしていましたが、今回の海外出向に際して私を納税管理人として届け出、本年分以降の確定申告をすることにしました。本年6月からAさんは非居住者となりますが、不動産所得についての青色申告も含めて、本年分の確定申告はどのようにすればよいですか?

A.不動産所得、事業所得、または山林所得を得る活動をしている居住者は、税務署に青色申告の承認申請書を提出し、承認を受けることによって青色申告を行うことができます。非居住者の場合、国内で発生する所得については確定申告が必要ですが、不動産所得、事業所得、または山林所得を有する場合は、居住者の青色申告のルールが適用されます。そのため、Aさんは不動産所得を国内で生じさせる者と見なされ、青色申告者として本年分の不動産所得を申告することができます。

日本で受ける国外給与

Q.フランスの会社に出向している社員Aが、令和3年4月から日本の支社で技術指導員として働いています。Aは日本の支社と本国から給料を受け取っていますが、本国からの給与も含めて確定申告は必要ですか?また、Aは日本国籍を持っておらず、過去に日本に住んでいたこともありません。

A.社員Aが日本において居住しているため、所得税法に基づき「居住者」とみなされます。Aは日本国籍を持っていない上、日本に来てから3年未満で、過去10年間で日本に5年未満しか住んでいないため、「非永住者」として扱われます。この場合、日本国内での源泉所得と、海外から日本に支払われる給与について税金がかかります。Aが日本の支社での仕事の対価として本国から給与を受け取っている場合、これは国内源泉所得に該当します。そのため、本国から受け取った給与を含め、2箇所から給与を受け取っている場合でも確定申告が必要です。