農業経営を行う者の判定

Q.私は会社勤めをしていますが、最近亡くなった父から農地を相続しました。会社を辞めることなく、農業にも従事しようと考えていますが、この条件でも農業相続人になれるでしょうか。

A.会社員であるあなたも、農業に実際に従事できて、農業経営を続けることが可能であれば、農業委員会からの証明を得ることで農業相続人になることができます。農業相続人になるためには、相続によって得た農地で農業経営を開始し、その後も継続して農業経営を行っていると認められる必要があります。このためには農業委員会からの証明が必要です。

給与所得者等の徴収猶予及び還付を受けるための手続

Q.自宅が集中豪雨による山崩れで全壊したため、給与等に対する源泉所得税の徴収猶予と還付を受けようと思いますが、その手続を教えてください。

A.被災して損害を受けた給与所得者が所得税や復興特別所得税の軽減、免除、または徴収の猶予を受けるには、給与や公的年金などの支払者を通じて、または直接、納税者の住所地にある所轄税務署長に対して「源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予承認申請書」や「還付申請書」を提出する必要があります。具体的に、災害減免法に基づき徴収猶予や還付を受けるには、以下の形式で申請を行います。

1. 災害減免法に基づく徴収猶予で、「令和年分源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予・還付申請書(災免用)」を給与等や公的年金等の支払者を通じて提出する。

2. 災害減免法に基づく還付だけを求める場合は、直接納税地の所轄税務署長に申請書を提出する。

提出した申請書に基づいて徴収猶予される源泉所得税および復興特別所得税は、申請書を提出した後に受け取る給与などに適用されます。また、災害減免法による徴収猶予や還付を受けた人は、年末調整を行わず、確定申告を提出することで所得税額の精算を行います。

損害金額の判定

Q. 火災によって住宅を全焼し、家財も一部消失してしまいました。損害額はそれぞれどうなっていますか?また、この場合に所得税の災害減免法による減免を受けることはできますか?同一年中に複数の災害があった場合の損害金額の判定方法についても教えてください。

A. 

住宅と家財が火災により損害を受けた場合、災害による損害金額は、被災前の価値から被災後の価値と受け取った保険金などを差し引いた後の金額で判断します。具体的には、災害で受けた住宅や家財の損害が元の価値の半分以上なら、所得税の減免が可能です。

質問のケースでは、住宅の損害額は被災前の1,600万円から保険金600万円を差し引き、結果として1,000万円の損害が認定されました。この損害は被災前価値の半分以上です。しかし、家財については、損害額が30万円であり、被災前価値の半分に満たないため、この部分については減免の対象にはなりません。

もし同一年に複数の災害があった場合は、各災害ごとの損害金額が半分未満でも、年間の累積損害額が半分以上になれば、その累積した損害額をもって減免の条件として考慮されます。

このシナリオにおける所得は450万円しかないため、所得金の上限要件(1,000万円以下)を満たし、災害減免法の適用を受けることができます。

住宅及び家財の意義

Q.災害減免法の規定により所得税の軽減免除の制度が適用されるのは住宅又は家財に損害を受けたときとされていますが、この「住宅」又は「家財」には、別荘や生活に通常必要でないものは含まれないと思いますが、どのような範囲のものをいうのですか。

A.災害減免法に基づいて所得税が軽減または免除される「住宅」と「家財」は以下のように定義されています。

「住宅」については、所有者自身や所有者と一緒に生計を立てる配偶者や親族が普段生活している家を指します。この定義から、以下の点が明確にされています:

1. 生活の本拠地でなくても、もし所有者やその家族が2か所以上で生活していれば、それらの住宅はすべて「住宅」と認められます。

2. ただし、普段は生活していない別荘などは「住宅」には当てはまりません。

3. 普段使っている家の倉庫や物置などの付属建物も「住宅」に含まれます。

加えて、生活とその他の目的で使われる「共用住宅」の場合、生活に使われる部分が明確に区別されているなら、その部分のみを「住宅」として扱います。主要な部分が住宅として使われている場合には、「住宅」とみなされますが、そうでない場合は住宅ではないとされます。

「家財」に関しては、所有者や家族が日常生活で普通に必要とされる家具、衣服、書籍などの動産を指します。ただし、価値が高い貴金属や美術品など、日常生活に必要以上のものは「家財」には含まれません。

災害減免法による所得税の軽減免除

Q.菓子小売業を営んでおり、事業所得が500万円でした。今年、火災で住宅と家財に大きな損害を受けましたが、住宅は全焼し、損害額は住宅と家財の価額の50%を超えています。このような場合、災害減免法による所得税の軽減免除が受けられるか説明してください。

A.災害により住宅や家財が大きな損害を被り、その年の合計所得金額が1,000万円以下であり、更にいくつかの条件に該当する場合、災害減免法によって所得税と復興特別所得税の軽減または免除を受けることができます。主な要件は、(1) 災害によって本人または同居する家族が所有する住宅や家財に被害を受けたこと、(2) 災害による損害額が、保険金等で補填された後の額が住宅や家財の価値の半分以上であること、(3) 合計所得金額が1,000万円以下であること、(4) その損失額について所得税法に基づく雑損控除の適用を受けていないことです。また、合計所得金額に応じて免除される所得税の額が異なります。あなたの場合、事業所得が500万円なので所得税の全額が免除される見込みです。災害減免法の適用を受けるためには、確定申告書に災害の被害状況や損害金額を記載し、所轄の税務署に提出する必要があります。また、予定納税額の減額申請を事前に行い、翌年の確定申告で精算することも可能です。災害減免法が適用される「災害」には自然災害だけではなく、火災や交通事故などの人為的なものも含まれますが、自己の意図による火災は含まれません。

再調査の請求に対する決定と審査請求

Q.私は税務署長から更正処分を受けたので再調査の請求をしましたが、再調査の請求に対する税務署長の決定はどのような種類がありますか。また、再調査の請求の決定について不服申立てができますか。

A.税務署長からの更正処分に対し再調査を求めた際、税務署長が下す決定には、却下、棄却、取消し(一部取消しと全部取消し)、そして変更の4つの種類があります。却下は再調査請求が期限切れや不適法な場合に、形式的な審理で決定されます。棄却は再調査請求が適法であるものの、内容に理由がないと判断された場合です。取消しは再調査請求に理由ありと判断された場合で、問題の処分の一部または全部を取り消します。変更は再調査請求に理由ありとされ、例えば納税猶予期間を調整するなど、具体的な処分の内容を変更しますが、これは請求人に不利益をもたらす変更は許されません。再調査の決定に不服がある場合は、その決定の受け取り翌日から1か月以内に国税不服審判所へ審査請求が可能です。また、直接国税不服審判所に審査請求を行うことも選択できます。

更正・決定と再調査の請求・審査請求

Q.更正・決定の処分の通知を受けた場合、その処分の内容について不服がある時はどうしたら良いですか?

A.処分に不服がある場合は、処分を知った日の翌日から3ヶ月以内に国税不服審判所長へ「審査請求」を行うか、処分を行った税務署長等へ「再調査の請求」をすることができます。不服申立てには、不服の内容や理由などを文書にして提出する必要があります。再調査の請求書には、処分の内容やそれを知った日、請求の趣旨や理由、請求日、請求者の氏名、住所、個人番号(またはそれに相当する情報)を記入する必要があります。更に、納税地が変わった場合には、現在の納税地を管轄する税務署長に再調査の請求を行い、その税務署または国税局の名称を請求書に記入することになっています。

青色申告者に対する更正

Q.税務署長が青色申告者に更正処分をする場合には、一定の手続上の条件がありますか?

A.税務署長が青色申告者の所得金額や純損失の金額を更正するには、特定の状況を除いて、その人の帳簿や書類を調査し、その結果、所得の計算に間違いがあった場合に限り更正することが可能です。更正不要な状況としては、以下の二点が挙げられます。第一に、不動産所得、事業所得、山林所得以外の所得の計算、損益通算、損失繰越控除の適用に間違いがあった場合、第二に、提出された確定申告書や添付書類から不動産所得、事業所得、山林所得の計算に明らかな誤りがある場合です。更正をする際には、更正の理由を含む通知書を出さなければなりませんが、これは具体的な理由が必要であり、特に青色申告者に対しては、確定申告書上の計算誤り、所得控除や税率適用の誤りがない限り、調査を経ずに更正処分はできません。さらに、更正理由の記述も、帳簿記録の保持状況に応じた内容を記載する必要があり、法律的に青色申告書に関する更正処分は慎重な手続きが求められるため、その記述内容は通常より厳しい基準が求められます。

更正・決定の除斥期間

Q.税務署長が更正・決定をすることができる期間には制限があると聞いていますが、それは何年間でしょうか。

A.税務署長が更正や決定を行うことができる期間には確かに制限が設けられています。この制限期間は主に、通常の場合5年、虚偽や不正の行為があった場合や国外への転出等に関連する譲渡所得の場合は7年と定められています。加算税の賦課決定についても、納税義務が生じた日から5年以内とされています。更に、更正の除斥期間の終了予定日の6ヶ月以内に提出された更正の請求や、3ヶ月以内に提出された納税申告書に基づく加算税の賦課決定については、それぞれ請求日や申告書提出日から6ヶ月、3ヶ月を経過する日を期限としています。起算日は一般に、法定申告期限の翌日からとされていますが、還付請求に関わる申告書の場合は提出日、その他の決定や更正は、納付すべき税額が確定した場合の法定申告期限の翌日から計算されます。

更正 と決定の相違

Q.税務署長の処分には更正と決定がありますが、どのように違いますか。また、これらの処分を受けた場合の相違するところを説明してください。

A.所得税においては、通常納税者が正しく申告し、その申告に基づいて税額が確定します。しかし、納税者の申告内容が税務署長の調査結果と異なる場合や申告をしていない場合には、税務署長は公平と正確さを担保するため、それぞれ税額を訂正するか、もしくは未納税額を決定することができます。税務署長が行うこのような処分は、申告があった場合に行う「更正」と、申告がなかった場合に行う「決定」と呼ばれます。

更正は、税務署長が納税申告書が提出された場合に行われる処分です。一方、決定は、納税申告書の提出義務があるにもかかわらず提出されていない場合に行われます。これらの処分にはいくつか重要な相違点があります。

一つ目の相違点は、加算税に関する処理です。更正の場合、過少申告した税額の10%が過少申告加算税として課されますが、決定の場合には15%が無申告加算税として課されます。また、税額等の計算基礎となる事実を隠していた場合の重加算税は、更正では35%、決定では40%が課されます。

二つ目の相違点は、税務署長が更正や決定を行うことができる期間です。通常、法定申告期限から5年以内(不正な行為があった場合は7年)に行われます。