「資産税」カテゴリーアーカイブ

配偶者居住権等の評価 (2)(居住建物の敷地が2以上の宅地の場合)

Q.夫が亡くなり、夫が所有していた居住建物と2以上の宅地からなる敷地を、建物については長男が相続し、敷地については長男と二男それぞれが相続しました。建物に配偶者居住権を設定した場合の配偶者居住権等の評価額を教えてください。

A.このケースでは、配偶者居住権の評価額と敷地利用権の評価額を計算する必要があります。まず、配偶者居住権の基礎となる金額は、建物の耐用年数(33年)、経過年数(11年)、存続年数(12年)を考慮し計算されます。建物の価値(2,000万円)からこの計算を行い、複利現価率(0.701)を適用することで、配偶者居住権の評価額は13,627,273円と算出されます。それにより、居住建物の価額は6,372,727円となります。

次に、敷地利用権の価額ですが、A土地(2,500万円)とB土地(2,600万円)をそれぞれ評価し、同様に複利現価率を適用します。その結果、A土地に係る敷地利用権の価額は7,475,000円、B土地に係る敷地利用権の価額は7,774,000円と計算されます。敷地利用権の合計価額は15,249,000円となります。

敷地利用権の及ぶ範囲は、居住建物の敷地の全体に及び、長男が取得するA土地に係る居住建物の敷地の価額は17,525,000円、二男が取得するB土地に係る居住建物の敷地の価額は18,226,000円と評価されます。このような評価は敷地利用権がA土地・B土地の全体に適用されるために必要であり、所有権部分と敷地利用権の合計が100%となるように計算されます。敷地利用権の評価は、個々の敷地に対して別々に行われるべきであり、A・B土地を一体として評価することは適切ではありません。

配偶者居住権等の評価

Q.夫が亡くなり、夫が所有していた居住建物と敷地を長男が相続しました。建物に配偶者居住権等を設定した場合の配偶者居住権等の評価額を教えてください。

A.配偶者居住権等の評価額を算出するには、まず建物および土地の相続税評価額およびその他の情報が必要です。このケースでは建物の価値が2,000万円、土地が5,000万円で、建物の構造は木造、建築年は2012年12月1日、相続開始日は2022年10月1日となっています。相続人である長男に設定される配偶者居住権の期間は夫の配偶者の平均余命に基づき12年間と設定され、この権利を考慮した建物の調整後価値は約6,705,217円、土地の権利調整後価値は約14,950,000円となります。これらの計算には耐用年数、経過年数、存続年数、および複利現価率が用いられます。

配偶者居住権の存続年数等の平均余命 (完 成生命表)

Q.夫が亡くなり、遺産の分割により配偶者居住権を設定し取得しました。遺産の分割が行われてから、相続税の申告期限までの間に新しい「完全生命表」が公表されていました。この場合、平均余命の計算に当たっては、最新の「完全生命表」を使用するのでしょうか。

A.遺産の分割が行われた年の1月1日現在において公表されている「完全生命表」のうち、最新のものに基づいて計算します。「完全生命表」は、国勢調査による人口と人口動態統計に基づき、死亡者数と出生数をもとに5年に1度作成されています。配偶者居住権等の評価には、配偶者居住権が設定された年の1月1日現在に公表されている最新の「完全生命表」を使用することになっています。配偶者居住権が設定された時期は、民法に基づいて明確に定められています。したがって、相続税の申告期限までの間に公表された「完全生命表」ではなく、遺産の分割が行われた年の1月1日現在に公表されている最新の「完全生命表」を用いることになります。

配偶者居住権の評価基準に関する説明

Q.配偶者居住権を評価する場合の「耐用年数」・「経過年数」「存続年数」について教えてください。

A.配偶者居住権を評価する際に必要となる「耐用年数」、「経過年数」、「存続年数」について説明します。

耐用年数とは、建物がどれくらいの期間持つかということを示す数値で、基準となる耐用年数に1.5を乗じたものを用います。具体的には、建物の種類によって異なり、例えば鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は基準の47年に1.5を乗じ、71年となります。重要なのは、店舗併用住宅など非居住部分も含めて住宅用として扱い、耐用年数を計算する点です。

経過年数は、建物が建てられてから配偶者居住権が設定されるまでの期間を指します。もし建物が増改築されていた場合でも、増改築部分は区分せず、建築された時点から計算します。

存続年数は、配偶者居住権がどれくらいの期間続くか、ということを示します。この数値は、配偶者の存命期間に基づいて計算され、政令で定められた年数を用います。基本的には配偶者居住権が設定された時点での配偶者の平均余命が用いられますが、例外もあります。

これらの数値を使用する際には、端数処理が重要となります。耐用年数は、6か月以上は切り上げ、未満は切り捨てです。また、計算における非事業用資産については、切り捨てが原則とされています。そして、複利現価率の端数は小数点以下3位未満を四捨五入します。

このように、配偶者居住権の評価には、耐用年数、経過年数、存続年数が重要な要素となり、それぞれの計算方法や考慮するべき点を理解しておく必要があります。

相続税法における配偶者居住権等の評価方法の概要

Q.相続税法における配偶者居住権等の評価方法の概要を教えてください。

A.相続税法に基づく配偶者居住権などの評価方法は以下のようにまとめられます。配偶者居住権の評価は特定の計算式に従って行われます。ここで用いられる「時価」とは相続税法第22条で定義された時価を指し、居住建物が賃貸されている部分や共有の場合の計算には特別な計算式が適用されます。この際の計算基礎は「配偶者居住権の評価額の計算の基礎」と呼ばれます。居住建物自体の評価も、その時価から配偶者居住権の価額を引くことによって行われます。敷地利用権の評価は、居住建物の敷地の時価から特定の計算を経て求められ、居住建物が賃貸されている部分や共有の場合には特別な計算式が適用されます。最終的な敷地利用権の範囲は評価対象の建物が占める敷地に等しく、敷地利用権がある場合でも相続税法に基づいて評価されます。

EB債 (他社株転換債)の評価

Q.私は、相続によりA社のEB債 (他社株転換債)を取得しました。このEB債は、一定の条件の下で、社債の元本を金銭の代わりにA社の保有するB社の株式で償還されるプレーン型のEB債ですが、どのように評価すればよいのでしょうか。

A.プレーン型EB債(他社株転換債)の評価は、税務上の課税時期とその時点での償還条件によって変わります。主に3つの状況があります。

1. 課税時期がEB債の特定の評価日以降で、金銭で償還されることが確定している場合、発行価額に更に既に発生した利息(源泉所得税を差し引いた後の額)を加えた金額で評価します。

2. 課税時期が評価日以降で、B社の株式で償還されることが確定している場合、満期日にB社の株式を受け取る権利の価値に既経過利息(源泉所得税控除後)を加えた金額で評価します。この際、B社株式の価値は、その時点での市場価格に基づいて算出します。

3. 課税時期が評価日前である場合、基本的には発行価額プラス既経過利息(源泉所得税控除後)で評価しますが、B社の株式の現在価値に既経過利息を加えて評価しても構いません。

EB債の償還は、設定された評価日に転換価格以上であれば金銭で、転換価格以下であればB社の株式で行われ、いずれの場合も利息は現金で支払われます。

転換社債型新株予約権付社債の評価

Q.父から贈与された転換社債の贈与税申告にあたり、どのように評価すれば良いですか?

A.転換社債を評価するには、転換社債がどの区分に該当するかによって方法が異なります。具体的な評価方法は次の通りです。

1. 金融商品取引所に上場されている転換社債の場合、市場価格を基に評価します。

2. 日本証券業協会において店頭転換社債として登録された転換社債の場合も、参考市場価格を基に評価します。

3. 上記1および2以外の転換社債の場合、特定の計算方法(発行価額や期間、差額に関する計算など)に従って評価します。

さらに、転換社債の発行会社の株価が転換価格を上回る場合の評価方法もあります。この場合、株式の市場価価や転換比率を基にした計算で評価します。取引相場のない株式の場合は、財産評価基本通達による株価と転換価格から修正された金額で評価します。

個人向け国債の評価

Q.私は相続により個人向け国債を取得しましたが、どのように評価すればよいのでしょうか。

A.個人向け国債を評価するには、実際に中途換金した場合に受け取れる金額を基準にします。具体的には、「額面金額 + 経過利子相当額 – 中途換金調整額」という式で計算される金額で評価します。中途換金調整額については、例えば変動10年、固定5年、固定3年の国債を第3期利子支払日以後に換金する場合、直前2回分の利子(税引前)相当額の約79.685%が調整額となります。個人向け国債は特に、法によって中途換金の可能性が保障され、中途換金時の価額が事前に分かる状態にあります。この国債は、市場で公開されている他の金融商品と同様に、中途換金額をもって評価されます。相続などで中途換金が認められる特別な場合でも、発行後1年未満の個人向け国債を贈与で取得した場合でも、中途換金額によって評価することに問題はありません。

割引発行の公社債の評価

Q.割引発行の公社債は、どのように評価すればよいのでしょうか。

A.割引発行の公社債は、取り扱いが異なりますが、一般的に次のように評価されます。

– 金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債の場合、金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格に基づいて評価します。

– 課税時期に割引発行の公社債から得られる差益(つまり、券面価額と発行価額の差)に関して源泉徴収されるべき所得税がある場合、上記の方法で評価した後、その税額に相当する金額を差し引いて計算します。

割引発行の公社債とは、本質的には元本(券面額)よりも低価格で発行される債券のことで、その差額が実質的な利息として機能します。

利付公社債の評価

Q.私は、利札の付いた国債を相続により取得しましたが、相続税の申告に当たりどのように評価すればよいのでしょうか。

A.相続で取得した利付公社債(国債など)の評価については、具体的な評価方法が定められています。評価方法は次の3つに分けられます。

1. 金融商品取引所に上場されている利付公社債:

これらは、上場されている公社債は、市場価格(詳細な計算規則あり)で評価します。

2. 日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債(上場されているものを除く。):

これらは、公表された売買参考統計値を使用して評価します。

3. 上記1および2以外の利付公社債:

これには、特定の方法に従って評価します。

注意点として、源泉所得税相当額には特別措置法に基づく復興特別所得税や都道府県民税の相当額も含むこと、また源泉徴収されるべき所得税の額の計算は、相続人に適用される方法で行うことなどが挙げられます。 要するに、あなたが相続した利付国債は、市場での取引状況(上場の有無など)に応じて異なる方法で評価され、その評価額を相続税の申告に利用することになります。