「資産税」カテゴリーアーカイブ

特定居住用宅地等が2か所以上ある場合の適用関係

Q.特定居住用宅地等が複数ある場合、小規模宅地等の特例の適用はどのようになりますか?

A.特定居住用宅地等の適用においては、被相続人が生前主として住居として利用していた宅地等の中から一つを選び、その宅地等について小規模宅地等の特例の適用を受けることになります。この決定は、以下のポイントに基づいて行われます。まず、二つ以上の宅地が被相続人の居住用として使われている場合、主に住居として使われていた宅地が選ばれます。加えて、被相続人と共に生計を立てていた家族が居住用に使っていた宅地が複数ある場合でも、それぞれの家族が主に住居として利用していた宅地が選ばれます。特に、被相続人とその家族の居住用宅地が重複するケースでは、その宅地が優先して選ばれます。したがって、この特例の適用は、選ばれた住居の評価に基づいて、相続税の評価額から減額されることになり、どの宅地を選ぶかによって、減額される税金の額が大きく異なることがあります。

限度面積要件の計算方法

Q.「限度面積要件」の具体的な計算方法を教えてください。

A.限度面積要件の計算は、適用される宅地の種類によって異なる優先順位を設け、それに基づいて計算されます。計算の例としては、「特定事業用宅地」、「特定居住用宅地」、「貸付事業用宅地等」があり、それぞれに適用される計算方法が存在します。

ケースI(特定事業用宅地→特定居住用宅地→貸付事業用宅地の順に適用する場合)とケースII(特定事業用宅地→貸付事業用宅地→特定居住用宅地の順に適用する場合)が考えられます。

例えば、ケースIでは、「特定事業用宅地」200平方メートル、「特定居住用宅地」165平方メートルについてそれぞれ計算を行い、合計減額される金額は4,240万円になります。一方、ケースIIでは、「特定事業用宅地」200平方メートル、それに続く「貸付事業用宅地」60平方メートル、最後に「特定居住用宅地」66平方メートルとして計算し、合計減額される金額は3,556万円になります。

これを決定する際には、各宅地の相続税評価額に対して特定の割合を乗じた値を用いて、どの宅地から優先して特例を適用するかを決定します。これにより、課税価格から減額される金額が最も大きくなる宅地の選定に役立します。

小規模宅地等についての課税価格の計算の特例の限度面積要件について

Q.相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税において、「小規模宅地等についての課税価格の計算の特例」の限度面積要件の内容を説明してください。

A.相続税で適用される「小規模宅地等についての課税価格の計算の特例」では、面積の限度が以下の通り設定されています。特定事業用宅地や特定同族会社事業用宅地(合わせて「特定事業用等宅地等」と称します)は400平方メートルまで、特定居住用宅地等は330平方メートルまで、貸付事業用宅地等は200平方メートルまでの面積が適用限度とされています。複数カテゴリーの小規模宅地を合わせてこの特例の適用を受ける場合、それぞれのカテゴリーごとの適用限度面積内であれば特例が適用されます。ただし、「貸付事業用宅地等」を適用対象に含める場合は、特例適用の限度面積を決めるための特定の計算式が用いられます。

申告期限までに事業用建物を建て替えた場合

Q.父が急死し、父が営んでいた事業を引き継ぐ予定ですが、事業用店舗が老朽化しているため建て替えを考えています。この場合、小規模宅地の特例は適用できますか?

A.ご質問のケースでは、お父様が使用していた事業用の建物が建て替え工事中であっても、その建物がある土地については小規模宅地の特例を利用することが可能です。具体的には、相続税の申告期限までに事業承継が行われ、建て替え工事が始まっていた場合、工事が完了していなくても、その土地が事業使用に供されるとみなされ、小規模宅地の特例の対象となります。

土地信託に係る小規模宅地等の特例適用について

Q.父の死亡により賃貸用ビル及びその敷地を信託財産とする土地信託の信託受益権を相続しました。相続税の課税対象となる財産は信託財産であり、その敷地について小規模宅地の評価減の特例が受けられるかどうか知りたいです。

A.その敷地が事業用宅地等に該当する場合、敷地の評価を行った上で、200平方メートルまでの部分については、50%相当額の価格減額が適用されます。信託財産を相続した場合の相続税は、信託財産である土地や建物を相続したものとして計算されます。相続の開始直前において、被相続人などの事業や居住の用に供されていた宅地等については、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けられる可能性があります。特に、不動産貸付業に使われていた事業用の宅地等には、価格の50%減額の特例が適用される場合があります。

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等

Q.令和5年5月に夫が亡くなり、夫が居住用および貸家として利用していた一棟の建物と敷地を相続しました。相続する敷地300平米のうち、居住用部分から150平米、貸家部分から150平米を小規模宅地として選択しようと考えています。この敷地の課税価格の計算はどのようになるでしょうか。なお、宅地1平米当たりの相続税評価額は100,000円、借地権割合は70%、借家権割合は30%です。

A.このケースでは、相続税の課税価格の計算方法を以下のように整理します。まず、適用前の価格を計算します。居住用部分の相続税評価額は、100,000円(1平米当たりの価格)に300平米(面積)を乗じてさらに0.5(居住用割合)を乗じることにより、15,000,000円となります。次に、貸家部分の相続税評価額も同様に計算し、15,000,000円になりますが、こちらは借地権割合を考慮して70%を1から引き、残りの30%(借家権割合)を乗じて最終的に11,850,000円になります。次に、措法69条の4に基づく減額を計算します。「特定居住用宅地等」として居住用部分から減額される金額は、15,000,000円に減額割合0.8を乗じて12,000,000円となります。貸家部分から「貸付用宅地等」として減額される金額は、貸家部分の11,850,000円からは別の計算方法が必要ですが、要点としては相続税の課税価格を減らすことができます。最後に、この減額を適用した結果、相続税の課税価格は総額で10,544,500円となります。

特定居住用宅地 (2)

Q.私の主人は本年5月に亡くなり、主人が所有していた3階建の建物がある土地を相続予定です。この建物は1階が私たちの住居で、2階と3階が貸家となっています。この土地の小規模宅地等の減額割合について教えてください。

A.あなたが相続する土地について、1階部分に対応する敷地面積は80%の減額割合となります。また、2階と3階部分に対応する敷地面積は50%の減額割合となります。これは、敷地が居住用の部分と貸家部分を持つ建物から成り立っているため、それぞれの部分に応じて減額割合が異なるためです。1階部分は「特定居住用宅地等である小規模宅地等」とみなされ80%の減額が適用され、2階と3階部分は「貸付事業用宅地等」とみなされ50%の減額が適用されます。

特定居住用宅地 (1)

Q.私の夫は本年3月に亡くなりました。相続人は、私と長男の2人です。夫が所有していた自宅は私と夫が住んでおり、長男は別に自宅を持ち、そこに居住しています。夫が所有していた自宅の敷地 (250平方メートル)を私が相続する場合と、長男が相続する場合とでは、小規模宅地等の特例の適用が異なるのでしょうか。

A.あなたがご主人が所有していた自宅の敷地全体を相続した場合、「特定居住用宅地等の小規模宅地等の特例」に該当し、限度面積が330平方メートル以内であるため、自宅の敷地全体が納税額の80%減少の対象になります。しかし、あなたの長男が自宅の敷地全体を相続した場合は、この小規模宅地等の特例の適用は受けられません。

特定宅地等である小規模宅地等

Q.「特定宅地等である小規模宅地等」について説明してください。

A.「特定宅地等である小規模宅地等」というのは、郵便局などで使用されている土地で、特定の条件を満たす場合に限り、その土地の評価額のうち400平方メートルまでを80%減額することができる土地のことです。具体的には以下の条件を満たす必要があります。

1. 平成19年10月1日以前から、亡くなった人またはその相続人が旧日本郵政公社との間で結んだ賃貸借契約に基づき、郵便局の敷地として使われていた土地であり、その契約に関わっていた建物の敷地が対象です。

2. 平成19年10月1日から相続が始まる直前まで、賃貸借契約が変わらずに続いており、上記契約に基づいて引き続き郵便局敷地として使用されていた土地であること。

3. 相続人が相続によりその土地を取得した後、相続が開始されてから5年以上、日本郵便株式会社が郵便局としてその土地を引き続き使用する見込みであることについて総務大臣の証明がされていること。

4. この特例の規定を適用していない土地であること。

これらの条件を満たす場合、土地の評価額の軽減が認められます。

特定居住用宅地等である小規模宅地等

Q. 80%減額の対象となる「特定居住用宅地等である小規模宅地等」について説明してください。

A. 「特定居住用宅地等である小規模宅地等」とは、故人が生前、自宅としていた土地や、その土地が複数ある場合には主な居住地に限定されるものであり、その土地を故人の配偶者や特定の条件を満たす親族が相続または遺贈で得たものを指します。具体的な条件は以下の通りです。

1. 相続開始直前に、その土地の上にある建物に宿泊していた故人の親族が、相続開始時から申告期限まで継続してその家屋に居住し、同じくその期間土地を保有している場合。ただし、その建物が区分所有されている場合は、故人が使用していた部分に限ります。

2. 相続開始前3年以内に特定の家屋に居住していなかった親族が、相続開始時に故人が居住していた家屋を今まで所有していなかった場合、そして相続開始時から申告期限までその土地を保有している場合。

3. 故人と生計を共にしていた親族で、相続開始前から申告期限まで継続してその土地を自己の居住用途で使用し、同じく相続開始時から申告期限までその土地を保有している場合。

これらの条件を満たすと、相続税の計算時に土地の評価額から80%減額が適用されます。