「資産税」カテゴリーアーカイブ

負担付贈与により取得した土地等及び家屋等の評価

Q.父が購入した3億5,000万円のマンションを、借入金の残額3億3,000万円の支払いを条件に贈与された場合、その評価はどのようになりますか?マンションの相続税評価額は2億8,000万円です。

A.この場合の評価は、原則として相続税評価額に関わらず、通常の取引価額、つまり3億5,000万円で行います。負担付贈与により取得した財産の評価は、財産評価基本通達に従って行われます。これによると、相続税評価額2億8,000万円から債務負担額3億3,000万円を差し引くとマイナス5,000万円となり、実際には3億5,000万円の取得価額から債務負担額3億3,000万円を差し引いた2,000万円について贈与税が課税されないという不合理が生じます。贈与者である父親は、その負担額3億3,000万円を譲渡価額とし、取得価額3億5,000万円と比較してマイナス2,000万円の譲渡損となります。通常、土地や家屋などの取得価額は取得時の一般的な取引価額に相当する金額で評価されますが、贈与や個人間取引で取得した場合の価額も同様です。ただし、贈与者や譲渡者が取得または新築した土地等や家屋等の取得価額が、課税時期の一般的な取引価額と認められる場合は、その価額で評価することが可能です。したがって、お問い合わせのケースでは、通常の取引価額が3億5,000万円であれば、債務負担額3億3,000万円を差し引いた2,000万円が贈与税の対象になります。「通常の取引価額」とは、売り急ぎや不特定多数の当事者間の自由な取引を除いて成立すると考えられる価額です。

著作権の評価

Q.私の父は料理学校の教師で、いろいろな料理の本を出版していました。この度父が亡くなり、相続することになったのですが、この著作権はどのように評価すればよいですか?

A.著作権の評価は、特定の算式に基づいて行われます。この算式は著作権全体または個別の著作物の著作権を対象に利用することが可能です。評価を行う際には、「年平均印税収入」を基に算出します。この「年平均印税収入」とは、評価時点の前年を含む過去3年間の印税収入の平均値を指します。次に、この年平均印税収入に対する評価倍率を算出しますが、これは将来の印税収入期間に応じた基準年利率に基づく複利年金現価率を用いることにより行われます。この基準年利率や複利年金現価率に関する情報は国税庁のホームページで確認できます。

生命保険契約に関する権利の評価

Q.父は、私を被保険者とした生命保険契約を結び、保険料を負担しておりました。ところが、先月父が死亡し、この保険契約を私が引き継ぐことになりました。相続税の申告に当たりこの契約の権利は、どのように評価すればよいのですか。

A.相続税の申告に際して、父が結んでいた生命保険契約の権利の評価は、もし契約を解約した場合に受け取れる解約返戻金を基に計算します。具体的には、解約返戻金に加えてあらかじめ支払われた保険料や剰余金の分配額があればそれらを加算し、源泉徴収されるべき所得税相当額や復興特別所得税相当額を差し引いた金額で評価します。この計算方法は、相続が始まった時にまだ保険の事故が起きていない状況に対応しています。

不動産所有権付リゾート会員権の評価

Q.父から不動産付リゾート会員権の贈与を受けました。この会員権は不動産売買契約と施設相互利用契約が一体となって取引され、仲介業者などによる取引相場があります。贈与税の申告に当たり、どのように評価すればよいですか?

A.あなたが受け取った不動産付リゾート会員権については、取引相場が存在するため「取引相場のあるゴルフ会員権の評価方法」を参考に、課税時期における通常の取引価格の70%の相当額で評価します。リゾート会員権の取引はゴルフ会員権と同じように、一般に公開された市場ではなく、会員権取引業者が仲介する場合や所有者と取得者が直接取引する場合もあり、取引の仕方にはバリエーションがあるため、価格の変動も業者によって異なります。これらの理由から、取引価格を基に評価するにあたり、評価の安全性を考慮して課税時期における通常の取引価格の70%の相当額で評価することが必要です。

ゴルフ会員権の評価

Q.父が亡くなり、相続することになった5か所のゴルフクラブの会員権は、相続税の申告に当たりどのように評価すればよいですか?

A.ゴルフ会員権は、その種類やゴルフクラブの規約に応じて異なる評価方法を用います。大まかに分けて、取引相場のある会員権と取引相場のない会員権があります。取引相場のある会員権は、課税時点での通常の取引価格の70%と預託金等の合計額で評価します。一方、取引相場のない会員権は、株主でないと会員になれない場合は関連株式の評価額、株式と預託金の両方が条件の会員権は株式の価額と預託金等の合計額で評価します。なお、ただプレイすることのみを目的とする返還可能な預託金がない会員権は評価されません。詳細な計算方法については、国税庁のウェブサイトで基準年利率や複利現価率を確認し、それに応じて計算します。

外貨(現金)の評価

Q.この度、私は5,300米ドルを相続しました。課税時期の取引金融機関の対顧客直物電信買相場(TTB)は135円でした。5,300米ドルをこのTTBで換算すると、715,500円となりますが、外国通貨買相場(Cash Buying)は、133円でしたので、これにより換算すると、704,900円となります。相続した財産が海外不動産などではなく、外貨ですので、外貨を円に交換するときの相場である外国通貨買相場を適用して邦貨換算することはできますか。

A.納税者が相続または贈与で得た外貨を評価する際、金融機関が公表する対顧客直物電信買相場(TTB)またはこれに準ずるレートを使う必要があります。具体的には、あなたが相続した5,300米ドルの評価に、TTBである135円を適用して、715,500円と計算されます。したがって、外国通貨買相場は評価には使えません。金融機関が発表する為替レートには様々な種類がありますが、外貨を円に換算する場合は、対顧客直物電信買相場を使用する規則になっています。これは、外貨預金の支払いやトラベラーズチェックの買取、電信送金された外貨を円に換える際に適用されるレートです。財産の評価では、この対顧客直物電信買相場に基づいて行う必要があります。

預貯金の評価(3)

Q.父が亡くなり、A銀行の1年定期預金300万円と2年もの定額郵便貯金200万円を相続しました。相続税の申告をする場合、預貯金は預入額でなく評価額で申告すると聞きましたが、評価はどのように行うのですか?

A.相続した預貯金の評価は、その預金の額と、同時期に解約した場合に受け取れる利息額(解約利率で計算します)を足し合わせたものから、その利息にかかる源泉徴収税等(復興特別所得税や都道府県民税の利子割を含む)を引いた合計額で行います。例として、1年定期預金300万円の場合、解約利率を1.00%とし、計算期間を358日で計算すると、利息が約29,424円になります。この利息から源泉徴収税等約5,977円を引くと、評価額は約3,023,447円になります。また、定額郵便貯金200万円の場合には、2年2ヶ月経過後の元利合計を計算し、2,088,145円から元金2,000,000円を引いた既経過利子88,145円から、源泉徴収税等17,906円を引いた後の評価額は約2,070,239円になります。

預貯金の評価(2)

Q.定期預金を評価する場合、課税時期の預入高に加算する既経過利子の額について、源泉徴収されるべき所得税等の額に相当する金額を控除することになっているが、控除される所得税等の額は、被相続人に適用される課税方法によるのでしょうか。

A.はい、控除される所得税等の額は相続人に適用される課税方法によります。具体的には、定期預金の評価において、既に経過した利子の金額から源泉徴収されるべき所得税(復興特別所得税や都道府県民税の利子割も含む)に相当する金額を差し引くことになっています。どの課税方法が適用されるかは、障害者等の少額預金非課税の制度や源泉分離課税など、相続人に適用される課税方法に依存します。なお、郵政民営化後の取扱いでは、障害者等の少額預金非課税制度が適用され、民営化前に非課税適用を受けて預け入れた特定の預貯金は満期や解約まで非課税のままです。

預貯金の評価(1)

Q.父が死亡して相続税の申告をしなければならないのですが、相続した預貯金は、その額面又は残高によって申告すればよいのですか。

A.相続で受け取った預貯金の価値は、相続時の口座残高とその時点で発生している利息の合計から、利息にかかる税金を差し引いた金額で評価します。つまり、預貯金と利息から税金を引いた額の合計がその価値となります。ただし、定期預金や定期郵便貯金以外で、利息が少ない場合は、相続時の口座残高のみで評価することがあります。

配偶者居住権が設定されている建物等を相続により取得した場合の評価

Q.配偶者居住権が設定されている建物等を相続により取得した場合の当該建物等の評価はどのようにしますか。

A.配偶者居住権が設定されている建物等を相続で取得した場合の評価は、相続税法第23条の2に準じて行います。この場合、居住建物の時価から差し引かれる配偶者居住権の価額や、居住建物の敷地の時価から差し引かれる敷地利用権の価額は、2次相続により居住建物等を取得した時に配偶者居住権の設定があったものとして計算します。つまり、居住建物の経過年数は、配偶者居住権が設定された時までの年数ではなく、2次相続により居住建物等を取得した時までの年数で計算します。配偶者居住権の存続年数も、配偶者居住権が設定された時からの年数ではなく、2次相続により居住建物等を取得した時からの年数で計算されます。