「資産税」カテゴリーアーカイブ

外財産を贈与により取得した場合の贈与税

Q.国外に住んでいた私が、日本に帰国後、父から日本国内外の財産を贈与された場合、どの財産について贈与税の申告が必要ですか?私と父の国籍及び住所は日本国内です。

A.帰国した年に父から受けた国内外のすべての贈与について贈与税の申告を行う必要があります。贈与税のルールによると、日本国籍を持っていて、しかも帰国前10年以内に日本に住んでいた人は、国内外から受けた贈与に対して無制限納税義務者とされます。これはすべての贈与に対して贈与税がかかることを意味します。あなたが父から贈与された国内外の財産はすべて、贈与税の申告対象となります。

外国に留学している者が贈与を受けた場合

Q.外国に留学している者が贈与を受けた場合、贈与税は課税されるのでしょうか。

A.贈与税の納税義務は、基本的には贈与を受けることで資産を取得した個人に発生します。この税の課税範囲は、その個人が資産を取得した時点での住所が日本国内にあるかどうかによって変わります。留学や海外出張などで一時的に日本を離れている人も、生活の本拠が日本にあると判断されるため、住所が日本国内にあると見なされます。結果として、たとえ留学で一時的に海外にいる三男Cのようなケースでも、Cが日本国内に住所があるものとみなされ、贈与税の無制限納税義務者として贈与税が課税されることになります。

贈与税の意義

Q.不動産の購入資金として、父から現金の贈与を受けました。この場合、贈与税が課税されるそうですが、贈与税とはどのような税金ですか。

A.贈与税とは、個人から何らかの贈与を受けて財産を手に入れた場合、その財産を取得した人に対して課税される税金です。贈与金などにより生前に財産をもらった際、それが相続税を避ける一つの手段となり得るため、財産を受け取る人が税の公平性を保つために支払う必要があります。この税金は、相続税を補完する役割も持っています。相続とは異なる法人からの贈与の場合は贈与税は課税されず、所得税が適用されます。さらに、生前贈与と相続の課税の中立性を確保する目的で、相続時精算課税制度が平成15年度の税制改正で導入されました。

山林についての相続税の納税猶予及び免除の特例

Q.山林を相続した場合、納税が猶予される場合があると聞きましたが、その概要について教えてください。

A.山林を相続した場合、特定の条件を満たすと相続税の支払いが猶予されることがあります。この制度は、特定森林経営計画に基づいて山林の管理を行っていた人が、その計画に従いながら山林を相続した人へ一括で引き継ぐ場合に当てはまります。条件を満たせば、相続税の80%に相当する部分の支払いが相続人の死亡日まで猶予されます。

林業経営の相続人とは、相続または遺贈で被相続人が持っていた全ての山林を引き継いだ人で、以下の三つの要件を全て満たす必要があります。1.その人が相続が始まる直前に被相続人の推定相続人だったこと、2.その人が山林の全てを相続税の申告書提出期限まで持ち続け、特定森林経営計画に従って経営していること、3.特定森林経営計画に従って山林の経営を適切に行えると認められることです。

特定森林経営計画とは、市町村長などの認定を受けた計画で、以下の三つの要件を満たすものです。1.山林が一体として整備されることが適当と判断されるもの、2.森林法に基づき必要な事項が記載されていること、3.同一の効率的な山林経営が行われるために必要な要件を満たしていることです。

納税が猶予されている相続税を納付する必要がある場合

Q.私は、個人の事業用資産について相続税の納税猶予及び免除の特例を受けていますが、特例事業用資産の一部を譲渡して新しい事業用資産を購入しようと考えています。その場合、納税が猶予されている相続税を納付する必要がありますか。

A.はい、特例事業用資産を譲渡する場合には、譲渡した部分に該当する相続税の納税猶予分を納付する必要があります。ただし、譲渡後に新たな事業用資産を購入し、一定の要件を満たしながら税務署長の承認を得た場合には、納税猶予を維持することができます。譲渡した特例事業用資産が事業に使用されなくなった時は納税猶予の期限が到来し、相続税と利子税を支払う必要があります。譲渡した特定事業用資産の明細や新たに購入しようとする事業用資産の明細などを記入した申請書を税務署長に提出し承認を得る必要があります。この承認を受け、一年以内に新たな事業用資産を購入し、該当の書類を税務署長に提出した場合、納税猶予を継続できます。また、譲渡した資産の承認に関する譲渡をした特例事業用資産は購入した日まで事業に使用していたとみなされ、一年後に全額または一部が新たな事業資産の購入に充てられなかった場合、充てられなかった部分は事業に使用されなくなったとみなされます。

納税猶予額の計算方法

Q.特例事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例において、納税猶予額はどのように計算しますか?

A.特例事業用資産に関する相続税の納税猶予額の計算方法は、特例事業用資産の価値を特例事業相続人等の課税価格とみなし、相続税法の複数の条項に基づいて計算された相続税額が納税猶予額になります。この計算には、相続税法第13条から19条、21条の15第1項・第2項及び21条の16第1項・第2項の規定が使われます。もし特例事業用資産に関わる特定の債務があり、それが相続税法第13条の規定による控除対象である場合は、特例事業用資産の価値からその特定債務額を引いた残額が基となります。特定債務額の計算は一定の式によって行われます。ただし、特例事業相続人等が特定の相続税の規定の適用を受ける農地などの場合は、納税猶予額の計算方法が異なり、別途計算する必要があります。

障害等により農地を利用できなくなった場合の納税猶予特例の扱い

Q.私は父から農地を相続し相続税の納税猶予の特例を受けていますが、交通事故に遭い、身体障害者2級の認定を受けました。今後は農業を続けていくことができないので、この特例は打ち切られるのでしょうか。

A.障害、疾病などの理由で、相続税の納税猶予を受けている農地での農業を行うことが難しくなった場合でも、特定の条件下で農地を貸し出す手続き(営農困難時貸付け)を行うことで、特例の適用を失わずに済む可能性があります。具体的には、営農困難時貸付けを行った日から2ヶ月以内にその旨を税務署へ届け出れば、貸し付けていないものとして、また農業経営を廃止していないものとして扱われ、引き続き特例の適用を受けることができます。さらに、事故や健康問題などで農地を利用できなくなる事情が発生した場合の具体的な基準も定められています。この中には、身体障害者手帳の障害等級が1級または2級であること、要介護5の認定を受けていることなどが含まれます。また、農業を不可能にする故障について、農林水産大臣が財務大臣と協議を行い、市町村長や特別区の区長の認定を受けるケースも含まれます。この特例は贈与税に関しても同様の規定があります。

複数の者から事業用資産を取得した場合の個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例

Q.先代事業主である父から建物を相続し、個人の事業用資産についての相続税の納税猶予の適用を受けています。この度、母も亡くなり、その建物の敷地である土地を相続することになりましたが、この土地についても納税猶予の特例を受けることはできますか?なお、父の相続から母が亡くなるまでの期間は1年以内です。

A.はい、母親からの相続についても、個人の事業用資産に関する相続税の納税猶予の特例を受けることが可能です。個人の事業用資産に関する相続税の納税猶予及び免除の特例は、平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間に行われる特定の事業用資産の贈与または相続が対象となります。また、先代事業者以外から事業用資産を贈与または相続した場合、特例を受けるためには、先代事業者から最初に適用される贈与や相続の日から1年以内である必要があります。この規定に基づき、お母さまからの相続も、お父さまからの相続と連続しているため、特例の適用が可能と判断されるでしょう。

個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例における特定事業用資産の範囲

Q.個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例における特定事業用資産にはどのようなものがあるのか教えてください。

A.特定事業用資産とは、相続や遺贈の際に前所有者(被相続人)が事業で使用していた資産の中で、相続等があった年の前年の事業所得に関する青色申告書の貸借対照表に記載されていたものです。これには以下のものが含まれます。

1. **宅地等**:最大400平方メートルまでの土地。

2. **建物**:床面積が最大800平方メートルまでの建物。

3. **その他減価償却資産**:次の条件を満たす減価償却資産。

   – 固定資産税の対象とされるもの。

   – 自動車税や軽自動車税の営業用標準税率が適用されるもの。

   – 特定の条件を満たす貨物運送用自動車、乳牛・果樹等の生物資源、特許権などの無形固定資産。

もし相続人が複数いる場合、宅地や建物に関しては、各相続人が取得した面積を合計して範囲を決定します。また、特定事業用資産には、先代事業者やその配偶者、生計を共にする親族が所有する同様の資産も含まれます。ただし、先代事業者等から相続等で取得した宅地などに小規模宅地等の特例の適用を受けている場合には、いくつかの制限があります。

個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例における被相続人の要件

Q.個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例を適用するに当たって、被相続人の要件はどのようなものがありますか。

A.相続税の納税猶予及び免除の特例を受けるための被相続人の要件は、被相続人が先代事業者であるか否かによって異なります。先代事業者である場合、相続開始日から遡って2年間(相続開始日の年、前年、前々年)の間に確定申告書を青色申告書で提出している必要があります。一方、被相続人が先代事業者以外の場合は、二つの条件を満たす必要があります。一つ目は、先代事業者の相続開始や贈与の直前において、先代事業者と生計を一にする親族であること。二つ目は、先代事業者からの贈与または相続を受けた後に始まる相続で、先代事業者からの贈与または相続開始日から1年を経過する日までの相続に限ります。