「減価償却」カテゴリーアーカイブ

モデルルームの備品の減価償却

Q.当社は、不動産販売業を営んでおりますが、この度、A駅前で建設中のマンションの一室をモデルルームにし、次のような備品を備えつけました。これらの備品は、減価償却資産として取り扱ってもよいですか。① 応接セット ② 寝具(ベッド)③ テレビ、ビデオ ④カーテン ⑤ じゅうたん ⑥ シャンデリア ⑦ 婚礼用三点セットの家具

A.マンションの分譲に際して、その一室をモデルルームにすることはよく見かけられますが、その場合に備えつける備品については、そのモデルルームを設置する目的等によってその取扱いが異なることになります。

例えば、モデルルームの展示期間が比較的短期間であって、展示終了後はそのままの状態でモデルルームと一括してその展示備品が販売されるものであれば、その展示備品は棚卸資産として取り扱われます。

他方、マンション販売の広告宣伝を目的にモデルルームに設置し、展示備品が広告宣伝の用に供されるものであって、次のマンションの分譲の際に改めて使用するようなときには、固定資産として取り扱われます。

その場合の展示備品の耐用年数は、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「1 家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品」のそれぞれの「細目」のものを適用することになります。

なお、これらの備品の取得価額に応じ、少額の減価償却資産の取得価額の損金算入(【問1-541参照)、一括償却資産の損金算入(【間1-671参照)及び中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(【問1-701参照)の適用があります。

参考:法2XX、令10(棚卸資産の範囲)、法2XXⅢ 、令13(減価償却資産の範囲)、令133(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)、令133の2(一括償却資産の損金算入)、耐用年数省令 別表第一、基通7-1-11(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)、措法67の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)、措通67の5-2(少額減価償却資産の取得価額の判定単位)

展示実演用機械の減価償却

Q.当社は、半導体集積回路の製造工程に要する半導体チップ組立装置を製造していますが、顧客の求めに応じて、商品である半導体チップ組立装置の1台を実演用として展示し、随時実演サービスを行っています。
この実演用の機械装置は減価償却してもよいでしょうか。また、この場合の耐用年数は何年を適用すべきでしょうか。

A.展示実演用の機械装置は、展示中に反復実演されることによりその価値が減少しますので、展示実演を開始した(事業の用に供した)ときから、減価償却資産として取り扱うことになります。
御質問の半導体チップ組立装置は、顧客に対する販売促進等を目的として専ら展示実演に使用されるものであり、半導体集積回路の製造工程の一部として半導体集積回路製造業の用に供されるものではありませんので、半導体製造装置製造業者の業種用の設備として使用しているものとして判定することになります。
具体的には、半導体製造装置製造業者は、日本標準産業分類上、中分類「26 生産用機械器具製造業」とされており、耐用年数省令別表第二に掲げる「18 生産用機械器具製造業用設備」の「その他の設備」の12年を適用することになります。

参考:耐用年数省令 別表第二、耐通1-4-2(いずれの「設備の種類」に該当するかの判定)

展示用建物の減価償却

Q.当社は、一団地30戸のプレハブ住宅の建築販売を予定し宅地造成を行っています。
この度、販売予定建物の内部造作の仕様見本としてこの団地完成まで展示し、その後有姿のまま販売する予定で一区画に一棟を先に建てましたが、減価償却資産として経理してもよいでしょうか。
なお、この団地の完成には約10か月を要する見込みです。

A.展示期間終了後、有姿のまま販売するものであれば、もともと販売を目的とする棚卸資産と考えるのが相当であると思われます。
なお、展示期間終了後その建物を取り壊す予定であるとか、展示期間が相当長期間にわたるような場合には、展示を目的とする減価償却資産とすることが妥当であり、その建物を売却したときは、固定資産の処分と考えるべきでしょう。

参考:法2XX、令10(棚卸資産の範囲)、法2XXⅢ 、令13(減価償却資産の範囲)