「消費税法」カテゴリーアーカイブ

本船扱いした貨物に係る役務の提供と消費税の取扱い

Q.外国貨物を本船扱いにより輸入の許可を受けた場合、その貨物に係る役務の提供に対する消費税の取扱いはどのようになるのでしょうか。

A.「本船扱い」とは、税関長の承認を得て外国貨物を保税地域に入れずに輸入通関する制度のことで、これにより輸入許可を受けた場合の消費税の取扱いは保税地域で輸入通関したケースと異なります。具体的には、以下のようになります。

1. 輸入許可を受けた貨物に対する荷役や検数などの役務は、指定保税地域等で提供された場合に限り輸出免税の対象となります。従って、本船やはしけ上でのこれらの役務提供は課税対象となります。

2. 輸入許可を受けた貨物の陸揚げや保税地域への搬入も課税対象です。

3. 指定保税地域等で提供される役務に対し輸出免税が適用されるのは、輸入申告時に既に指定保税地域等に置かれていた貨物に限られます。したがって、「本船扱い」により輸入許可を受けた後に指定保税地域等に搬入した貨物の保管や検数、鑑定等は課税対象となります。

参考:法7、令17②四、関税法67の2②、関税法施行令59の4

非居住者へのノウハウ提供と消費税免税の可能性

Q.非居住者へのノウハウを提供する場合の対価は、消費税の免税の対象となりますか。

A.ノウハウ等は無形財産に該当し、日本国内の事業者が非居住者にこれを譲渡または貸し付ける場合は輸出取引とみなされ、消費税の輸出免税の対象となります。さらに、ノウハウの譲渡や貸付けに伴い技術指導等を非居住者に提供する場合も、非居住者への役務の提供として消費税の輸出免税の対象となります。

参考:法7、令17②六、七

京都メカニズムを活用したクレジットの外国法人への有償譲渡と消費税の取り扱いについて

Q.京都メカニズムを活用した排出クレジットを、内国法人が外国法人に有償で譲渡した場合、消費税の輸出免税の対象になるか。

A.はい、消費税の輸出免税の対象になります。消費税法では、無体財産権を非居住者に譲渡した場合は輸出免税の対象とされています。京都メカニズムによるクレジットは無体の財産権として扱われるため、内国法人が外国法人にこのクレジットを有償で譲渡する場合、それは輸出免税の対象となります。ただし、輸出免税を適用するためには、クレジットの譲渡に関する契約書その他の書類を譲渡した日の課税期間の終了日から2ヶ月経過した日から7年間、保存する必要があります。

参考:法7② 、令6①五、17②六、規5① 

外国企業の広告掲載と消費税の取り扱い

Q.国内に支店や出張所を設置していない外国企業からの依頼により、国内で発行する雑誌にその外国企業の商品の広告を掲載する場合、その広告は消費税の免税対象になるか?

A.外国企業が依頼する広告の掲載は、国内で利用される商品販売促進の便益が国外に帰するため、消費税の輸出免税の対象になります。具体的には、非居住者が国内で直接受けるサービス(運送、保管、宿泊、食事、医療、観劇など)は消費税の課税対象になりますが、それ以外のサービス提供は免税対象になります。このケースでは広告掲載サービスが免税対象に該当します。

参考:法7、令17②七、基通7-2-15、7-2-16、7-2-17

非居住者に対する役務の提供と輸出免税

Q.非居住者に対して提供される次の役務は、輸出免税の対象となるか?1) 国内で経営コンサルタントが実施する市場調査、契約は非居住者の外国本社と行い、報告書も本社に提出する。2) 日本の法律に関する相談を弁護士が提供し、外国の本社からの依頼で、報告書を本社に提出する。

A.基本的に、非居住者に対して提供される役務の多くは消費税の輸出免税の対象とされますが、例外も存在します。非居住者が国内に支店や出張所を持つ場合、そこを通じて役務提供が行われると消費税法においては国内提供とみなされ免税の対象外となります。ただし、非居住者の外国本社との間で直接取引が行われ、国内の支店や出張所が契約の締結や事務手続き、代金支払いなどに一切関与しない場合は、輸出免税の対象として取り扱われます。この条件を満たすためには、1) 提供される役務が非居住者の外国本社と直接の取引であること、2) 国内の支店や出張所が提供される役務に直接的または間接的に関与していないこと、が必要です。問い合わせのケースでは、条件を満たしているため、輸出免税の対象となります。

参考:法7、令1-2-2、17-2-17、基通7-2-15、7-2-17

免税とされる保税地域における役務の提供の範囲

Q.当社は倉庫業者で、貨物の保管や荷役、運送などの作業に加えて、外国貨物だけでなく、一部の内国貨物に対しても消費税の輸出免税適用があると聞きました。具体的にどのようなサービスが免税対象となるのでしょうか?

A.荷役などのサービス提供における消費税免税の適用は、そのサービスが外国貨物(特例輸出貨物を含む)に対して提供される場合、および指定保税地域、保税蔵置場、保税展示場、総合保税地域(以下「指定保税地域等」とします)において輸出を目的とする貨物や輸入許可を受けた貨物に対して提供される場合に限って適用されます。具体的に免税対象となるサービスには、荷役、運送、保管、検数、鑑定、検量、通関手続き、青果物などの蒸燻が含まれます。さらに、特例輸出貨物の場合は、指定保税地域等でのサービス提供や、その特例輸出貨物を輸出するための船舶や航空機への積込み、指定保税地域等間の運送に限り、輸出免税の対象となります。

輸入貨物の運送と消費税の免税条件

Q.輸入貨物の運送において、消費税が免税になるのはどのような場合ですか?

A.輸入貨物の運送に関して消費税が免税となるのは、輸出免税の規定が適用される外国からの貨物で、輸入許可を受ける前の段階にある貨物の運送が該当します。つまり、輸入許可が下りた後に運送される貨物は消費税の課税対象となります。また、この免税は貨物の運送が荷主から直接依頼されたものでなくても、他の運送業者からの下請けの形であっても適用されます。その運送する貨物が輸入許可前のものであれば消費税の輸出免税の対象となります。

参考:法7、 令17② 四、関税法2①三

外国の漁船から徴収する岸壁使用料

Q.外国の漁船が公海上で採捕した水産物を直接我が国の港に荷揚げする際に発生する岸壁使用料に消費税は免税になるのでしょうか?

A.岸壁使用料が消費税の免税対象となるのは、主に国内外の地域間で旅客や貨物を輸送する用途や、国外地域間での輸送に専従する船舶が港湾施設を利用する場合に限ります。これは、船舶運航事業者の要請に基づく場合に限定されます。質問された漁船は、このいずれの条件にも当てはまらず、漁業者も船舶運航事業者には含まれないため、これらの漁船に対する岸壁使用料は消費税の課税対象となります。

参考:亘1法7①四、五、令17①、②一、二、三

外航機の整備における輸出免税

Q.外航機の整備受託収入及び清掃受託収入等についても消費税は免税となりますか?

A.外航機(主に海外向けの旅客輸送に使用される航空機)の運行事業者から依頼されたその航空機の整備(修理)作業は、輸出類似取引と見なされ、消費税の輸出免税の対象となります。ただし、航空機から取り外したエンジンのみの修理等、航空機本体の修理以外の場合は消費税の輸出免税の対象にはなりません。また、航空運送事業者向けに提供される給油補助や空港使用料などのサービスや、外航機の清掃や排水処理等の手数料は輸出免税の対象になります。しかし、免税対象となる整備(修理)は、外航機の運行事業者から直接依頼されたものに限ります。外航機の運行事業者から委託を受けた事業者がさらに他の事業者に委託する整備(修理)は、消費税の輸出免税の対象外です。

参考:法7、令17①、②一、三、基通7-2-10、7-2-11

外航船舶の救命設備の修理の取扱い

vQ.外航船舶の救命器具の修理が消費税の免税対象になるかどうかについての質問です。

A.外航船舶に備えられている救命艇、救命いかだ、救命胴衣などの救命器具の修理は、船舶の一部として考えられるため、消費税の免税対象になります。ただし、これらの器具に対する単なる検査は、修理とはみなされず免税の対象外となります。

参考:法7、令17①三、②一