「消費税法」カテゴリーアーカイブ

免税販売における旅券等の提示要件

Q.外国人が多く利用する物品販売業を経営しています。免税販売をする際、旅券や上陸許可証印を提示する必要があると聞いたのですが、提示がないと免税販売はできないのでしょうか。

A.はい、免税販売をするためには、購入者から以下のいずれかの書類の提示を受け、その書類に記載された情報を提供してもらう必要があります。

1. 旅券(上陸許可証印があるもの)

2. Visit Japan Webの二次元コード(旅券に関する情報が記載されている)

3. 船舶観光上陸許可書

4. 乗員上陸許可書

5. 緊急上陸許可書

6. 遭難による上陸許可書

また、日本国籍を持つ免税購入対象者に対して免税販売する場合、以下のいずれかの証明書類の提示後、それに記載された情報の提供や証明書類の写しの提出を受ける必要があります。

– 在留証明

– 戸籍の附票の写し

したがって、これらの書類の提示がない場合は、対象者が免税購入対象者であることが確かであっても、免税での販売はできません。

参考:法8①、令18

輸出物品販売場の許可に関する合併後の手続き

Q.当社は電気製品の小売業を営んでおり、一般型輸出物品販売場及び手続委託型輸出物品販売場の許可を受けている法人を吸収合併することになりました。合併後、どのような手続が必要ですか?また、現在の販売場店舗を引き続き使用したいと考えています。

A.合併によって被合併法人の輸出物品販売場の許可は、貴社に自動的に引き継がれるわけではありません。従って、貴社は改めて「輸出物品販売場許可申請書(一般型用または手続委託型用)」を、貴社の納税地を管轄する税務署長へ販売場ごとに提出し、新たに許可を受ける必要があります。さらに、「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」も各販売場毎に提出することが求められます。また、合併後の法人は、「輸出物品販売場廃止届出書」を被合併法人の納税地を所轄する税務署長へ提出する義務もあります。

参考:法8⑦、令18⑦ 、18の 2①⑫、規 6の 2①、様式通達第20-(1)号 様式、 第20-(2)号 様式、第21-(1)号 様式 

輸出物品販売場の移転に伴う手続き

Q.当社は土産物業を営んでおり、複数の店舗で輸出物品販売場の許可を受けています。この度、本店事務所を移転することになりましたが、輸出物品販売場の許可に関して必要な手続きについて教えてください。

A.本店事務所のみを移転する場合は、輸出物品販売場の許可に関する手続きは必要ありません。しかし、輸出物品販売場自体を移転する場合は、以下の手続きが必要です。

1. 移転前の輸出物品販売場に関して「輸出物品販売場廃止届出書」を提出する。

2. 移転後の販売場で新たに輸出物品販売場の許可を受ける。

3. 移転後の販売場に対して「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する。

特定商業施設内で輸出物品販売場を移転する手続委託型輸出物品販売場の場合、改めて輸出物品販売場の許可と購入記録情報の提供方法等の届出の提出は不要です。ただし、移転する日の前日までに「手続委託型輸出物品販売場移転届出書」を提出する必要があります。

参考:令18、18の2①②③⑫、規6の2①、10①③④、10の3①、基通8-2-2、様式通達第20-(4)号様式、第20-(6)号様式、第21-(1)号様式

臨時販売場制度の概要

Q.臨時販売場を設置することができると聞きましたが、その概要を教えてください。

A.「臨時販売場制度」とは、7ヶ月以内の期間で設置する販売場(臨時販売場)を管理する事業者(輸出物品販売場を経営する事業者に限る)が、事前に納税地の所轄税務署長から承認を受け、臨時販売場の設置日の前日までに所轄税務署長に臨時販売場設置届出書を提出することによって、当該臨時販売場での免税販売を行うことができる制度です。臨時販売場での免税販売手続きは、「一般型または手続委託型」と「自動販売機型」に分けて行います。

設置期間(7ヶ月以内)の計算方法は、月の途中から販売場を設置する場合、期間の計算において、その期間は最後の月の起算日に応じる日の前日に満了することとされています(応じる日がないときは、その月の末日に満了する)。

参考:法8⑨⑩、令18の 5、 規10の 8、 9、 基通8-2-5、 様式通達第20-(14)号様式、第20-(15)号 様式

自動販売機型輸出物品販売場制度の概要

Q.自動販売機型輸出物品販売場を設置することができると聞きましたが、その概要を教えてください。

A.自動販売機型輸出物品販売場とは、免税する商品の販売手続きが自動販売機だけで行われる場のことを指します。この自動販売機で免税販売ができるようにするため、財務大臣が設けた基準を満たす必要があります(国税庁長官と観光庁長官の協議に基づく)。基準を満たし設置された場合、人員の配置が不要となり自動販売機だけで商品の免税販売が可能です。この「自動販売機型輸出物品販売場」として許可を受けるためには、以下のすべての要件を満たしている必要があります:

1. 消費税の税務における課税対象の事業者であり、国税の滞納がなく、過去3年間輸出物品販売場の許可取消しを受けていない、などの条件を満たしていること。

2. 免税購入対象者が利用する場所、または利用が見込まれる場所にその販売場があること。

3. 免税販売手続きが可能な機能を持つ、特定の自動販売機(規定に基づく基準を満たすもの)のみを設置していること。

参考:法8条7項、令18の2条2項、基通8-2-1(3)

承認免税手続事業者の承認申請手続

Q.承認免税手続事業者になるための手続きを教えてください。

A.消費税の課税事業者で他の事業者が運営する販売場で販売された物品の免税販売手続を代理したい場合、その販売場がある特定商業施設ごとに免税手続カウンターを設置するためには、納税地の所轄税務署長の承認が必要です。申請には、「承認免税手続事業者承認申請書」に免税手続カウンターとそれを設置する特定商業施設の見取図などを添付して行います。承認を受けるためには、以下の三つの要件を全て満たす必要があります:

1. 現在、国税を滞納していないこと(滞納額の徴収が困難なものに限る)。

2. 免税手続カウンターに免税販売手続に必要な人員を配置すること。

3. 輸出物品販売場の許可や承認免税手続事業者の承認を取り消された後、その取消しの日から3年を経過していること、及び免税手続カウンターを設置する承認免税手続事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

参考:法8、令18の2⑦③、規10の2①②、基通8-2-3

商店街の地区等に所在する大規模小売店舗内の販売場に係る特例

Q.商店街の地区等に所在する大規模小売店舗内の販売場に関する特例について教えてください。

A.商店街振興組合や事業協同組合の組合員が商店街の地区等にショッピングセンターや大規模小売店舗を設置している場合、その店舗内で販売場を経営する他の事業者は、その販売場を商店街の地区にある販売場として扱え、手続委託型輸出物品販売場の許可を受けることができます。この許可を受けるには、輸出物品販売場許可申請書(手続委託型用)に必要な書類を添付し、所轄の税務署に申請しなければなりません。また、この許可を受けた販売場は、同じ商店街の地区にある他の手続委託型輸出物品販売場と同様、免税販売の手続き代行を認められた業者(免税手続カウンター)を通じて、免税販売の購入下限額を判断する際、各販売価額(税抜)の合計を一般物品と消耗品別に合計して判定することができます。

参考:令18の2

手続委託型輸出物品販売場の許可について

Q.テナントビル内の小売店舗を運営していて、免税カウンターが設置されているため、手続委託型輸出物品販売場の許可を受けたいです。どのような手続きが必要ですか?

A.手続委託型輸出物品販売場の許可を受けるには、販売場ごとに納税地を管轄する税務署長へ「輸出物品販売場許可申請書(手続委託型用)」を提出する必要があります。この申請書には、販売場が所在する特定商業施設の見取り図や免税販売手続の代理に関する契約書の写しなどを添付します。許可を受けるためには、以下の要件を全て満たす必要があります:1) 国税の滞納がなく、過去3年間で輸出物品販売場の許可が取り消されたことがない消費税の課税事業者であること。2) 免税購入対象者が利用する場所に所在する販売場であること。3) 販売場と免税手続カウンターを設置する事業者との間に、免税販売手続の代理に関する契約があり、販売した物品が同一であることを確認し、必要な情報を共有する措置が講じられていること。また、「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」の提出も必要です。

参考:法 8⑦、令18の 2②二、規 6の 2①、基通 8-2-1(2)、 様式通達第20 -(2)号様式 

一般型輸出物品販売場の許可

Q.電気製品の小売業を営んでおり、外国人観光客の利用が多くなったため、一般型輸出物品販売場の許可を本店と甲市の支店で受けようと考えています。この許可を受けるための手続きについて教えてください。

A.一般型輸出物品販売場の許可を受けたい場合、納税地を所轄する税務署長に対して、本店や支店ごとに「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」と見取り図等の必要書類を提出する必要があります。また、販売場ごとに購入記録情報提供方法等の届出書の提供も必要です。「一般型輸出物品販売場」の許可を受けるには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。1. 消費税の課税事業者で、税の滞納がなく、過去3年以内に輸出物品販売場の許可が取り消されていないこと。2. 免税購入対象者が利用する場所、または利用が見込まれる場所に販売場があること。3. 免税販売手続きに必要な人員を配置し、免税販売手続きを行うための設備があること。この設備には、免税購入対象者であることの確認や免税品を包装するためのカウンター等が含まれますが、特別なカウンターを設ける必要はありません。

「輸出しないとき」の範囲

Q.消費税法第8条 第3項に規定する「輸出しないとき」の範囲について教えてください。

A.「輸出しないとき」とは、免税対象者が免税対象の物品を購入し、出国するまでにその物品を輸出しなかった場合を指します。具体的には、免税対象の消耗品などを国内で使用した場合や、出国時に免税対象の物品を所持していなかった場合がこれに該当します。このような場合、出港地を所轄する税関長は直ちに消費税を徴収することになります。しかし、出国時に税関に以下の書類のいずれかを提示し、物品が輸出されたことが明らかな場合は、「輸出しないとき」とはみなされません。

1. 輸出許可書またはその写し

2. 小包郵便物等を輸出する際に交付された書類とその内容の写し

3. 通常郵便物を輸出する際に交付された書類(追記含む)

4. 上記書類に準ずる書類

また、免税購入対象者が対象でなくなる時に、所在地を所轄する税務署長に対して、出国までに物品を輸出したことを上記の書類で証明できる場合も同様の扱いを受けられます。

参考:法8①③、令18、 基通8-1-5、 8-1-5の 2