「消費税法」カテゴリーアーカイブ

安売りしている商品を物品切手により引き換えた場合

Q. 当店ではメーカー希望小売価格1,000円の商品を850円で販売しています。お客様から物品切手(その販売価格は1,000円)を受け取り、それと引き換えに商品を提供する場合、引き換えた券を発行者に提示して、1,000円と販売協力手数料30円を領収します。この際の経理処理と消費税の課税基準について説明してください。

A. 商品券と引き換えに商品を提供した場合、その商品の対価は商品券の券面金額(券面金額のない場合は、取得に通常要する金額)によります。ご質問のケースでは、商品券の通常の販売価格である1,000円が課税基準となり、販売協力手数料30円にも消費税が課税されます。ただし、販売店が現金販売時と同様に商品の販売価格を850円に設定し、差額150円を客に返金する場合は850円が課税基準となります。商品券の発行時と引き換え時の販売価格が異なる場合、差額の調整後の金額が課税基準になります。

参考:基通10-1-9

土地付建物の交換と消費税の課税標準

Q.当社が所有していた店舗と敷地を、K社が使用していた建物及びその敷地と交換しました。この交換における消費税の課税標準はいくらになりますか?交換に際して、それぞれの建物及び土地の契約上の価額(消費税及び地方消費税抜き)は以下の通りです。当社の土地3億7,000万円、建物3,000万円。K社の土地4億円、建物1億円。当社は交換差金としてK社に1億円を支払いました。

A.資産の交換も資産の譲渡等として扱われます。交換による対価は、取得する資産の時価相当額です。もし、交換差金として金銭を取得するなら、その額を加え、支払う場合はその額を差し引いた金額が対価となります。交換された資産の価額が合意された価額に基づく場合もあります。消費税の課税と非課税資産を一緒に譲渡した場合、それぞれの資産の譲渡に関する対価を合理的な基準で区分します。この事例では、貴社が受け取るべき対価の額は4億円(交換取得資産の価額5億円から交換差金1億円を差し引いた額)ですが、合理的に区分された場合、貴社の課税標準は3,000万円になります。また、交換で取得した建物の課税仕入れに関する支払対価は1億円です。

参考:令45②四、③、基通10-1-8

外貨建てによる仕入金額の換算を社内レートによっている場合の取扱い

Q.当社は、一部の仕入先に対する支払いを外貨で行うこととしました。この時、仕入金額の換算を社内レートによっている場合、課税仕入れに関する支払対価の額はどのように計算するのでしょうか。

A.外貨で行われる取引における収益や費用の換算は、通常、計上する日の電信売買相場の仲値によって行う必要があります。そのため、社内レートによる換算は認められていません。もし事業者が外貨建てで購入した原材料の仕入金額を社内レートで換算した場合、法人税基本通達に定められた方法との差額により課税仕入れに関する支払対価の額を調整する必要があります。

参考:基通10-1-7、法基通13の2-1-2、13の2-1-4

外貨建取引と消費税の計算方法

Q.外貨建取引に関わる仕入金額の計上において、為替予約を利用する場合、消費税の課税仕入に関する支払対価の額はどのように算出されるのでしょうか?

A.外貨建取引に関わる資産の譲渡等の対価、または課税仕入れに関する支払対価の円換算を行う際、計上日までに先物外国為替契約により確定している本邦通貨の額がある場合、その確定額を円換算額として使用することができます。同様に、消費税の計算においても、確定している本邦通貨の額を資産の譲渡等の対価や課税仕入れに関する支払対価として採用できます。この取扱いは、原則として個々の取引ごとに判断されますが、先物外国為替契約を包括的に行っている場合でも、外貨建取引の決済条件に基づき合理的に予約額を個々の取引に割り当てているなら、先物外国為替契約により確定していると認められます。

参考:法人税基本通達13の2-1-4

外貨建取引に係る対価

Q.我々の会社で行っている外貨建ての取引の対価は、法人税の取り扱いに従って円換算してもいいですか?

A.外貨建ての取引で得られる売上等の金額は、所得税や法人税の課税所得を計算する際に円換算して計上する必要があります。この際、資産の譲渡等で得た対価の円換算は基本的にはその資産を譲渡した日の電信売買相場の仲値で行いますが、一定の条件下では、計上する日の電信買相場での円換算も可能です。

参考:基通10-1-7、所基通57の3-2、法基通13の2-1-2

土地と建物を一括譲渡した場合の消費税計算方法

Q.土地と建物を一括譲渡した場合、建物の譲渡代金にかかる消費税はどのように計算すればよいですか?

A.土地と建物を一括で譲渡する場合、土地の譲渡部分は非課税として扱われ、建物の譲渡部分にのみ消費税が課税されます。譲渡代金を土地と建物に分けて計算する必要があり、以下の方法で区分することが一例です。

1. 適用時の時価の比率で按分する。

2. 相続税評価額や固定資産税評価額を基に計算する。

3. 土地および建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費、支払利子等を含む)を基に計算する。

所得税や法人税では、土地譲渡益重課税制度の適用対象となる土地と建物の一括譲渡の場合、特定の通達に従い譲渡代金を区分する方法が定められています。これらの規定が適用される場合、消費税の譲渡対価の計算にも同様にこの区分した金額を基に計算します。

もし合理的な区分が行われていない場合は、消費税法施行令第45条第3項に従い、それぞれの通常の取引価額を基に区分計算することになります。

参考:法28①、令45③、基通10-1-5

法人の役員に対する低額譲渡の場合の時価

Q.法人がその役員に対して著しく低い対価で資産を譲渡した場合、消費税は時価で課税されますか?また、その時価はどの時点で算定するのですか?

A.法人が役員に資産を著しく低い対価で譲渡した場合、時価により消費税が課税されることになっています。この「著しく低い」とは、譲渡時の通常の販売価格(時価)の約50%に相当する金額に満たない場合を指します。時価の算定は、法人税法上の時価の取り扱いと同様で、売却を前提とした価格で算定されます。税抜き経理の場合は税抜き価格で、税込経理の場合は税込価格で算定します。ただし、全ての役員や使用人に対して一律に、または合理的な基準で値引きが行われている場合は、実際の対価の額を課税標準として消費税が課税されます。

参考:法28①、基通10-1-2

家事消費時の消費税処理

Q.個人事業者が事業用資産を家事消費した場合の消費税はどのように処理されますか?

A.個人事業者が事業用資産を家事消費する場合、それは資産の譲渡と見なされ、消費税が課税されます。この時、資産価額は通常の販売価額に基づいて決定されます。ただし、棚卸資産の場合、特定の条件下では課税標準額を認定した取得価額または通常の販売価額の50%以上の金額として計上できます。

(1) 家事消費した棚卸資産(取得価額6万円、販売価額10万円)の場合、6万円を課税取引として計上したため、この金額が消費税の課税標準額になります。

(2) 事業用資産を家事消費した場合(取得価額50万円、時価40万円)、棚卸資産の特例は適用されず、消費時の価額40万円が消費税の課税対象となります。

(3) 事業用自動車を偶然家事使用した場合は、専ら家事用途でなければ消費税の課税対象外です。しかし、事業と家事の両用目的で購入した場合、家事使用分は課税対象になりません。

参考:法 4⑤、28③一、基通10-1-18、 所基通39-1、 39-2

安値販売の場合の課税標準

Q.事業者が通常より安い値段で他に販売した場合の消費税の課税標準はどのようになりますか?

A.事業者が通常より安い値段で販売した場合でも、その販売価格が消費税の課税標準になります。この価格には、受け取ったり受け取るべきすべての金銭や金銭以外の物、権利、その他経済的利益の額を含みますが、消費税額自体やその消費税額に基づく地方消費税額は含まれません。ただし、法人が役員に非常に低い価格で資産を譲渡した場合は例外で、その資産の通常価格(時価)が課税標準になります。著しく低い価格とは、譲渡価格が通常の販売価格の約50%にも満たない場合を指します。

参考:法28①、基通10-1-1、10-1-2

代物弁済

Q.当社が建物及びその敷地を担保にして借入れた資金の返済に困り、代わりに担保物件を引き取ってもらった場合、消費税の課税関係はどうなりますか?

A.代物弁済とは、債務の返済のために別の給付をすることを指し、これにより債務が消滅し、返済と同じ効果が発生します。つまり、資産を債権者に渡してその資産の価値で借入金を返済したことになり、この場合、資産の譲渡と見なされます。このように、資産の譲渡として扱われるため、消費税法上も資産の譲渡等に含まれます。代物弁済による資産の譲渡対価は、消滅する債務の額に相当する金額とされ、建物には消費税が課税されます。このケースでは、建物の譲渡対価は4,400万円、土地の譲渡対価は1億7,600万円となり、建物の対価には消費税が含まれます。

参考:法2①八、令45②一、③