「消費税法」カテゴリーアーカイブ

軽減税率の適用対象外商品の請求書記載内容

Q.軽減税率の適用対象外の商品を販売している場合、請求書の記載内容を変更する必要はありますか?

A.軽減税率の適用対象外の商品のみを販売している場合、請求書で「軽減対象資産の譲渡等である旨」を記載する必要はありません。また、課税資産の販売価格(税込価格)を記載していれば、税率別に合計した課税資産の譲渡等の対価の額を記載したものとみなされます。そのため、請求書の記載事項を変更する必要はありません。

参考:平28改法附34②

商品の全てが軽減税率の対象である請求書等

Q.請求書に記載されている商品が全て飲食料品などの軽減税率の対象となる場合、区分記載請求書等保存方式においては、「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載が必要ですか?

A.はい、必要です。仕入税額控除の要件として、保存すべき請求書(領収書を含む)には、税率ごとに区分して経理するのに必要な、「軽減対象資産の譲渡等である旨」と「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」の記載が求められます。つまり、請求書に記載されている全ての商品が軽減税率の対象の場合、請求書に「全商品が軽減税率対象」などと明示することで、「軽減対象資産の譲渡等である旨」が記載されていることを確かめる必要があります。これは、請求書を発行する事業者も注意すべき点です。

参考:平28改法附34②

仕入税額控除のための帳簿代用書類の保存について

Q.法人税において帳簿代用書類を保存している場合、消費税の仕入税額控除の適用においてその保存が帳簿及び請求書等の保存に代わると認められるか。

A.法人税における「帳簿代用書類」とは、法定事項を帳簿に書き込む代わりに、その事項を含む取引関連書類を整理・保存することを指します。しかし、この帳簿代用書類は消費税法における帳簿として扱われるものではありません。そのため、このような書類が保存されていたとしても、帳簿が不完全であるため、帳簿及び請求書等の保存があるとは認められません。ただし、課税仕入れに関連する記載事項が帳簿に記載されており、課税仕入れの相手方から受け取った書類が通常の「請求書等」に該当する場合は、仕入税額控除の要件を満たすことができます。

参考:法30⑦ 、③一、⑨一、二

コンビニエンスストアにおける帳簿の取扱い

Q.コンビニエンスストアのフランチャイズ店は、本部から送付されたPOSシステムに基づく書類を仕入税額控除のための帳簿として保存してよいですか?

A.フランチャイズ店でPOSレジから入力されたデータを基に本部で作成・編集した書類は、本部が記帳代行を行っているとみなされるため、会計帳簿と実質的に同じものと認められます。そのため、課税仕入れの相手方の氏名や名称、課税仕入れの日付、課税仕入れに関する資産や役務の内容、課税仕入れに関する支払い価格が記載された書類をまとめて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。

参考:法30条3項一、平成28年改正法附則34条2項

買掛金集計表の取扱い

Q.当社は、毎月仕入先から送られてくる請求書に基づいて買掛金集計表を作成し、総勘定元帳に転記しています。この買掛金集計表は、仕入税額控除を受けるために必要な帳簿に該当するか。

A.買掛金集計表は、課税仕入れに関する法定記載事項を含んでおり、それが適切に整理・集計され、保存されている場合は、帳簿保存の要件を満たします。ただし、各取引の詳細を記した請求書などの保存も必要です。

課税仕入れの相手方の氏名や名称

課税仕入れを行った年月日

資産や役務の内容

支払対価の額

参考:法30⑦ 、③一

伝票会計の場合の帳簿の保存

Q.伝票会計を採用している事業者の場合、作成した伝票を帳簿の代わりとして保存してもよいのでしょうか?

A.消費税法に定められた記載事項を含む伝票で、これを勘定科目別、日付別に整理し、日計表や月計表等を付加した伝票綴りは「帳簿」とみなされます。そのため、このように整理された伝票綴りを保存することは、帳簿を保存することとして扱っても問題ありません。ただし、請求書など課税仕入れの相手方から受け取った書類も保存しなければならず、これは通常の帳簿を保存する場合と同様です。

参考:法30⑦ 、③一

帳簿の範囲

Q.仕入税額控除の適用要件として保存することが必要な帳簿は、いわゆる元帳でなければならないのですか?

A.仕入税額控除の適用要件として保存すべき帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名や名称、課税仕入れが行われた年月日、課税仕入れに関する資産や役務の内容など、重要な4点が記載されている必要があります。これらの情報について記載されている帳簿であれば、総勘定元帳や仕入先元帳など、いわゆる元帳である必要はありません。仕入帳、経費帳、現金出納帳などの補助簿や仕訳帳も含まれます。また、複数の帳簿に分散して記載されていても、これらの帳簿が関連付けられていて、全ての記載事項が網羅されていれば、帳簿の記載要件を満たしているとみなされます。

参考:法30③一、平28改法附34②

帳簿に記載すべき課税仕入れに係る支払対価の額について

Q.仕入税額控除の要件として必要な帳簿に記載する課税仕入れに係る支払対価の額は、税込金額でなければならないのでしょうか?

A.はい、仕入税額控除に必要な帳簿の記載事項として「課税仕入れに係る支払対価の額」は、基本的に税込金額で記載する必要があります。これは消費税法に基づくものです。しかし、税抜きの金額で取引金額とこれにかかる消費税額及び地方消費税額を別に管理している(税抜経理)場合は、税抜きで帳簿に記載しても法定の要件を満たすこととされています。この場合、課税仕入れにかかる消費税額及び地方消費税額も「仮払消費税等」という勘定科目を使用して記載することになります。

参考:法30① 、③一ニ

帳簿に記載すべき氏名又は名称

Q.仕入税額控除の要件として保存すべき帳簿に記載すべき相手方の氏名又は名称について、「姓」だけや「屋号」のみの記載は認められるか。

A.帳簿には、課税仕入れを行った相手方の「氏名又は名称」を記載する必要があり、例えば個人事業主なら「田中一郎」のようにフルネーム、法人なら「株式会社鈴木商店」のように正式な名称を記載することが基本です。しかし、取引先名簿などに正式な氏名や名称とその略称が記録されており、課税仕入れの相手方を特定できる場合は、「田中」や「鈴木商店」といった略称の記載も許容されます。さらに、例えば飲食店が「大手前食堂」、フランチャイズのコンビニが「ABチェーン天満橋店」といったように屋号で記載されていても、電話番号などの情報によって相手方を特定できる場合は正式な氏名や名称を記載しなくても問題ありません。

参考:法30③―イ、基通11-6-1

小売業における毎月の仕入先ごとの一括記帳

Q.小売業を営んでいて、同じ仕入先から継続的に商品を仕入れる場合、毎月の請求ごとに帳簿に記載することは適切ですか?

A.同じ取引先から継続して商品を仕入れ、毎月1回仕入代金の請求を受ける場合、請求書に取引ごとの詳細が記載されていたとしても、帳簿にはその月の「○月分」として課税仕入れの年月日を記録し、合計請求金額を記載することが許可されています。ただし、複数種類の一般的な商品があるときは、それぞれの商品ごとに分けて記載する必要があります。また、課税商品と非課税商品が混在している場合(例:ビールとビール券)も、それぞれを分けて記載する必要があります。

参考:法30③一