「消費税法」カテゴリーアーカイブ

所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース料の取り扱い

Q.所有権移転外ファイナンス・リース取引でリース料支払いのための明細書をリース開始時に一括で作成し、交付することで、仕入税額控除の適用は可能ですか?

A.はい、可能です。賃借人がリース取引に関して請求書や領収書を保存することが求められますが、リース取引開始時に全期間のリース料の支払明細書を作成し交付することで、この要件を満たすことができます。ただし、この明細書には、①リース会社名、②リース取引開始日、③リース資産名、④リース料総額(消費税含む)、⑤賃借人の名称が記載されている必要があります。さらに、賃借人がこの明細書を請求書として扱い、受領した日から2ヶ月経過後の課税期間の翌日から7年間保存している場合、仕入税額控除を適用できます。「月額リース料(消費税含む)とリース期間の月数」の記載も許されます。

参考:法30⑦ 、⑨一、令50①

JV工事に関する請求書等の取り扱い

Q.共同企業体を組んで実施しているJV工事において、課税仕入れに関する請求書等は、幹事会社が保管している場合、その精算書に基づく消費税の申告は適切ですか?

A.JV工事のような共同事業では、共同事業に参加している各構成員が、自分の持分割合に応じて行った課税仕入れを支払ったことになります。課税仕入れに関して消費税の仕入税額控除を受けるためには、その課税仕入れの証となる請求書等を保存する必要がありますが、共同事業としては1つの請求書を共同企業体全体で受け取る形になるため、各構成員が個別に請求書を受け取ることはあまりありません。このような状況では、請求書等のコピーに各構成員の持分割合に応じた課税仕入れの配分を記載し、これを請求書等として扱う方法があります。幹事会社が請求書等を保存し、精算書を請求書等として扱うことが認められています。

参考:法30⑦ 、基通1-3-1 

実費精算の出張旅費に係る仕入税額控除の適用要件

Q.当社では従業員の出張旅費を実費精算しており、従業員が提出する精算書に基づいて支給しています。この精算書と実費精算による出張旅費の支払額を記載した帳簿を保存することで、仕入税額控除の適用要件を満たしているとして扱ってもよいでしょうか。

A.はい、従業員の精算書をまとめて保存し、出張旅費の支払額を記載した帳簿と共に保存することにより、仕入税額控除の適用要件を満たしていると扱うことができます。帳簿には複数人分や一定期間分をまとめて記載し、軽減対象資産の譲渡がある場合にはその内容も記載する必要があります。なお、宿泊費以外の交通費などで請求書の保存がない場合も、やむを得ない理由があるとして扱われます。

参考:法30⑦、③一、令49①、基通11-6-4

家賃の回座振替支払いと仕入税額控除の適用要件

Q.当社は事務所をB社から賃借しており、家賃の支払いを回座振替で行っていますが、B社からは請求書や領収書を受け取っていません。家賃の支払い記録は銀行の通帳にしか残らない状況です。仕入税額控除の要件を満たすために、帳簿に法定事項に加えて口座振替であること、そして賃貸人の住所または所在地を記載する方法で大丈夫でしょうか。

A.課税仕入れに関する支払合計額が3万円以上の場合で、請求書などが交付されなかったやむを得ない理由がある場合は、帳簿に法定事項とともにそのやむを得ない理由、並びに課税仕入れの相手方の住所または所在地を記載することで仕入税額控除を認められます。質問のケースでいうと、請求書等が交付されなかったやむを得ない理由として適合するため、指摘された方法での取り扱いで問題ありません。具体的には、「口座振替のため」という理由や「支払方法:口座振替」といった内容を帳簿に記載することが推奨されます。

参考:法30条の7、令49条の1、基通11-6-3

テナント家賃の銀行振込み

Q.我々はA社から事務所を借りており、家賃の支払いは指定された銀行に毎月振り込んでいますが、A社からの領収書は発行されません。振込時に銀行から発行される振込金受取書を賃貸借契約書と共に保存することは、仕入税額控除の要件を満たすことになりますか?

A.はい、振込金受取書は銀行が振込みを証明する書類であり、建物賃貸借契約書と一緒に保存することで、仕入税額控除の要件として必要な情報が網羅されると考えられます。振込金受取書は課税仕入れの相手方による確認は含まれないものの、銀行が振込みを確認したものとして扱われます。そのため、これらの書類を保存することで、仕入税額控除の要件としての請求書等の保存があるものとして扱うことが可能です。

参考:消法30⑦ 、⑨一、二

カード会社からの請求明細書

Q.カード会社から交付される請求明細書は、消費税法第30条第9項の請求書等に該当するか。

A.クレジットカード会社からの請求明細書は、消費税法第30条第9項に記載されている「請求書等」には該当しない。というのも、これらの書類は課税仕入れの相手方から直接交付されたものではないからです。しかし、クレジットカードの利用で得た商品やサービスの提供者から「ご利用明細」などが発行され、それに消費税法第30条第9項に規定する記載事項が含まれていれば、そのドキュメントは「請求書等」に該当することになります。

参考:法30⑨、平28改法附34②

電子帳簿保存法と仕入税額控除

Q.当社は電子帳簿保存法に基づき、帳簿及び書類を電子データで保存していますが、仕入税額控除に必要な帳簿及び請求書の保存要件を満たしているのでしょうか。

A.電子帳簿保存法に基づいて帳簿及び書類を電子データで保存することは認められています。具体的には、国税関係の帳簿は電子計算機を使用して最初から作成されたもの、書類は電子計算機を用いた作成やスキャンによる読み込みが認められています。これらの規定に従って保存されていれば、仕入税額控除で要求される帳簿及び請求書の保存要件を満たしていると考えられます。

参考:法30⑦③⑨、電帳法4、電帳規2

売上げに係る対価の返還等がある請求書等

Q.販売奨励金を取引先に支払う際、その精算を請求書で行う場合、飲食料品とそれ以外の資産が含まれている場合、販売奨励金の額を税率ごとに区分して記載する必要はありますか?

A.販売奨励金は売上げに係る対価の返還等に該当し、取引先の仕入れに対する対価の返還等にも該当します。このため、販売奨励金に関連して行われる取引の税率を適切に決定する必要があります。そして、その金額を適切に区分して記載していない場合は、関連する課税資産の譲渡等に基づき、税率ごとに区分して記載する必要があります。また、これに関連した請求書等の保存は求められていませんが、必要な事項が記載された帳簿の保存が必要です。販売奨励金に係る消費税額を計算するために、企業と取引先はそれぞれ、税率ごとに区分した販売奨励金の金額など、特定の事項を帳簿に記載する必要があります。

税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)を記載税率ごとの販売奨励金の額を記載

参考:法38② 、58、 令58、 71、 規27、 平28改 法附34② 、平28改令附 8、 平28改規 附11

レシートの値引き記載方法

Q. 割引券を使用して値引きを行った場合、レシートにはどのような記載が必要ですか?

A. 割引券などを利用して飲食料品とその他の商品を同時に販売し、総額から一括で値引きを行う場合、消費税率ごとに区分された値引き後の販売価格に対して消費税がかかります。そのため、レシートには税率ごとに区分した値引き後の販売価格を明記する必要があります。税率ごとに区分された値引き前の販売価格と値引き額が明確な場合、これらに基づいて値引き後の販売価格が算出できるとされます。顧客が割引券を利用したことで全体の価格から値引きが行われ、値引き前の販売価格や値引き後の価格が税率ごとに適切に区分表示されない場合は、割引額を商品の販売価格比率で按分して、税率ごとの値引き後の価格を表示する必要があります。適用税率ごとの値引き後の販売価格がレシート等で確認できる場合、適切に区分されたとみなされます。

参考:軽減通達15

相手方の確認を受けた仕入明細書等

Q.仕入明細書を仕入税額控除の要件を満たす請求書として保存するためには、どのような対応が必要ですか?

A.仕入明細書等を作成し、相手方の確認を受けて保存することで、仕入税額控除の要件を満たす請求書等として扱うことができます。そのために以下の事項が記載されている必要があります:1. 書類の作成者の氏名または名称、2. 課税仕入れの相手方の氏名または名称、3. 課税仕入れを行った年月日、4. 課税仕入れに係る資産または役務の内容、5. 税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額(税込価格)。これらの記載を確実に行い、相手方の確認を得た仕入明細書等を保存する必要があります。

参考:法30⑨ 二、平28改法附34②