「法人税」カテゴリーアーカイブ

借家契約の更新料について

Q. 当社が賃借している店舗の賃貸借期間は10年で、家賃は月額25万円ですが、賃借後3年目ごとに更新料名義で1か月分の家賃相当額を別に支払う契約になっています。この更新料は、家賃の追加額、借家権利金の追加額のいずれと考えるべきですか。

A. 更新料は、契約が終了するごとに新たな契約を結ぶために支払うお金で、税務上は借家権利金の一部として扱われます。この費用は家賃とは異なり、特定の条件下ではその年の費用として扱えます。しかし、通常は繰延べ資産として記録され、契約更新の際には前回の権利金が完全に処理されることが一般的です。更新料が家賃の追加として支払われる場合、それは即座に経費として扱われますが、再契約のための権利金として支払われる場合は繰り延べ資産とみなされます。更新料は、契約が継続するために必要な場合に支払われるため、実質的には家賃の追加または権利金としての2つの扱いがあります。

私鉄の高架下を店舗用に賃借する場合の権利金

Q.私鉄の高架下を店舗用に賃借して、自分たちの費用で店舗を建てる際、電鉄会社に支払った権利金を繰延資産の借家権利金として償却できるか。

A.建物を借りるために支払った権利金は税法上、繰延資産として扱われます。この償却の限度額は支払った影響がどれだけ続くかにより、その期間を償却期間として均一に償却します。

高架自体は電車を走らせる目的で建てられたため、通常はその下を店舗などに賃貸する目的ではないため、高架の支柱に造作をすることは基本的に許されていません。そのため、賃借人は高架そのものではなく、その下の空間を賃借し、その空間に店舗を建てることになります。しかし、この権利金は高架下という特定の条件下の空間のため、土地を借りる際の権利金に類似しています。従って、税法上は繰延資産ではなく、固定資産と扱われ、減価償却をすることはできません。

しかし、もし駅のプラットフォームが高架に設置されており、高架下に駅の事務所や店舗がテナントとして賃貸される目的で建てられている場合は、そのテナントが払った権利金は繰延資産として扱われ、償却することができます。

借家契約の更新料として1か月分の家賃を支払う場合

Q. 当社が賃借している店舗の賃貸借期間は10年で、家賃は月額25万円ですが、賃借後3年目ごとに更新料名義で1か月分の家賃相当額を別に支払う契約になっています。この更新料は、家賃の追加額、借家権利金の追加額のいずれと考えるべきですか。

A. 借家契約の更新料は、契約期間が終わって再び契約を結ぶための費用で、税法上は借家権利金の一種とみなされ、繰り延べ資産に含まれます。この費用は家賃の一か月分であっても、家賃の追加ではありません。ただし、この費用が20万円未満なら、その年の経費として計上できます。契約更新時、前回の権利金の償却期間は終了しているため、通常は償却残高はありませんが、残っていた場合も全てその時に経費として計上できます。契約期間中に定期的に家賃の追加として更新料を支払う場合は、実際には家賃の追加として扱うべきです。つまり、更新料は実質的に家賃の追加か再契約のための権利金の二つに分かれます。家賃の追加の場合はその時点で経費処理でき、権利金の場合は繰り延べ資産として扱われます。このような状況下では、更新料が支払われないと契約が継続できないため、契約更新料が要求されるとその時点で前回の権利金や更新料の償却残高は基本的に0となります。

借家権利金の処理方法

Q.ビルのワンフロアを事務所として賃借するため、家主に権利金100万円と敷金500万円を支出し、そのうちの10%は退去時に返還されません。また、周旋業者に手数料10万円を支払いました。どのように処理すればよろしいですか?

A.賃貸物件を使用する際に支払う権利金、立退料などは税法上で繰延資産と認定され、それらの支出が効果を持つ期間に沿って均等に償却しなければなりません。特に、建物を賃貸する際に支出した仲介手数料は、支払った事業年度で全額経費処理が可能です。具体的には、権利金100万円と敷金の非返還部分50万円(500万円の10%)を合計し、税法での繰延資産として150万円が認められます。また、権利金等の償却期間は、その性質や賃貸契約によって異なり、一般的には5年ですが、条件によって建物の耐用年数に合わせた長さで設定される場合もあります。このケースでは、償却期間が5年と仮定し、権利金と敷金の非返還部分を合わせた繰延資産の金額に基づいて、その年度の償却限度額を計算します。また、消費税に関して、権利金、敷金の非返還部分、及び周旋業者手数料は課税仕入れとなりますが、賃貸物件が事務所でない場合、課税状態が異なる場合があります。

建設会社の特定件名工事受注のための費用

Q.建設会社が工事受注のために支出する設計図面作成費、交通費、交際費等は、開発費として、受注の成否にかかわらず、支出時に費用処理をすることができますか?

A.法人が市場を広げるために特別に支払った費用は、税法に基づく開発費として自由に償却できます。ただし、この開発費は、新しい市場を開拓するための広範な活動に関連する費用に限られます。特定の案件の受注や特定の顧客への販売活動に直接関わる費用は、その活動の成功や失敗が個別に明らかになるため、これを開発費として即時償却することは適切ではありません。そのため、お問い合わせのような具体的な案件に関する費用は、税法で即時償却が認められる開発費には該当しません。

税務上は、受注が確定する前の支出は失敗した場合に費用として処理されますが、成功した場合は、特定の案件に関する未成工事支出金として処理するかどうかが議論されます。企業会計基準にも、受注が確定するまでの費用は、保守的な会計原則に従い、支出した時点で費用処理することが適切であるとされています。ただし、受注が確定した後に支出した設計費などについては、企業が一定の基準に従って会計処理している場合には、その費用を含めることが認められています。

税法独自の繰延資産と資産に計上する場合の科目

Q.税法に規定されている繰延資産には、企業会計上の繰延資産に該当しない税法独自のものがありますが、どのようなものですか?また、貸借対照表の資産に計上する場合、どの科目に計上すればよいのですか?

A.税法では、企業会計上の繰延資産とは異なる特定の項目を繰延資産として認めています。これらは法人税法施行令と実務対応報告で5つの標準項目とそれ以外の景況に応じた6つ目の特例項目で構成されています。標準の5つには創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債等発行費が含まれます。また、税法独自の項目としては、長期にわたって効果がある支出(例: 公共施設の設置費用、権利金、広告宣伝費など)がこれに該当します。

税法独自の繰延資産を貸借対照表上にどのように計上すべきかについては、一般的に会計基準は繰延資産を特定の費用に限定しているため、これらを繰延資産として直接計上することは適正ではありません。そのため、税法独自の繰延資産は、繰延資産以外の適切な科目で資産に計上するか、または支出時に費用処理し、税務上は「繰延資産償却超過額」などとして申告調整を行うことが一般的です。例として、「賃借するために支出する権利金」のような無体財産権は、無形固定資産に計上が可能です。また、一部の支出は「投資その他の資産」として計上できることもありますが、「長期前払費用」としての計上は適切ではありません。これは、繰延資産と前払費用が異なる属性を持つからです。

繰延資産とその償却

Q.繰延資産の償却限度額は、税法にどのように規定されていますか。

A.繰延資産の償却限度額に関しては、次のように規定されています。まず、法人税法施行令第14条第1項第1号から第5号に掲げる繰延資産(創立費、開業費、開発費、株式交付費、及び社債等発行費)については、その額(すでに償却され、事業年度の所得計算上損金に算入された額を差し引いた残額)を1回で償却することが可能です。これは、事業年度内に発生した費用をその年の費用として全額計上することを許しており、繰延資産として計上しない選択もできるということです。一方で、第14条第1項第6号に掲げる繰延資産については、その繰延資産の額にその事業年度の月数を掛け、繰延資産が影響を及ぼす期間の月数で割ることによって償却限度額が計算されます。この場合、適格組織再編成を通じて繰り延べた繰延資産に関しては、特定の計算方法が適用されます。また、20万円未満の繰延資産については少額と見なされ、その事業年度に損金として計上することができます。この20万円未満の判定は、法人が税抜き経理方式または税込経理方式のいずれを採用しているかによって異なります。

繰延資産の範囲、償却方法についての会社法の定め及び企業会計での取扱いと税法の対比

Q.繰延資産の範囲、償却方法について、会社法の定め及び企業会計での取扱いを教えてください。法人税法での取扱いと、どのような点が相違しますか。

A.会社法では、適切と認められるものを繰延資産として計上できるとされています。償却については、固定資産の償却と同じく、事業年度の末日に適切に償却を行う必要があります。一方、企業会計では、支払いが完了または支払い義務が確定し、将来にわたって効果が期待される費用を繰延資産と見なし、特定の償却期間と償却方法を定めています。例えば、株式交付費は株式交付から3年以内の期間で定額法により償却されます。一方で、法人税法では、支出の効果が1年以上持続する費用を繰延資産とし、会社法や企業会計とは異なり、特定の範囲と独自の項目を定めています。実際、繰延資産の範囲は税法でのみ指定されたものと、企業会計基準で指定されたものとが含まれており、その償却方法にも差異が存在します。

同一資産の割増償却方法の変更について

Q.割増償却の適用を受けている倉庫用建物等について、これまでは直接簿価減額方式で割増償却費を計上してきましたが、今後は特別償却準備金を積み立てる方法に変更したいと考えています。同じ資産に関する割増償却を、その適用期間を通じて同じ方法で扱うべきだという意見がありますが、どうでしょうか?

A.税法では、特別償却の対象となる各事業年度において、直接簿価減額方式と特別償却準備金を積み立てる方法のいずれかを選択できることになっています。つまり、ある事業年度は直接簿価減額方式を使用し、翌年度からは特別償却準備金方式に変更することも認められています。ですので、ご質問のように方法を変更しても税法上の問題はありません。ただし、直接簿価減額方式を選択していた事業年度に不足した償却額を、後の年度で特別償却準備金によって補うことはできませんので注意してください。

特別償却不足額を特別償却準備金積立不足額に変更することの可否

Q.前事業年度に取得し、事業の用に供した特別償却対象資産について、初年度の特別償却限度額を全額償却不足額として繰り越しました。特別償却を直接簿価減額方式で計上することについて妥当性の議論があります。今度は、この特別償却不足額相当額を特別償却準備金として積み立てたいのですが、これは問題ないでしょうか。特別償却費を全く計上していない場合には問題ないという見解があるようですが、どうでしょうか。

A.租税特別措置法において、特別償却は、法人が直接簿価減額方式か特別償却準備金積立方式のどちらかを選べますが、選択は特別償却限度額の生じた事業年度において決める必要があります。御質問のケースでは、特別償却対象資産を取得し、事業の用に供したのは、特別償却限度額が生じた前事業年度です。この事業年度に提出した確定申告書に添付された明細書で直接簿価減額方式を選び、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことにしています。したがって、今期になってこの償却不足額の処理方法を準備金方式に変更することはできません。繰り越した特別償却不足額を特別償却準備金として積立てることにした場合、その金額は積立限度を超えた額とみなされ、損金には算入されません。前事業年度に特別償却限度額の一部を特別償却費として計上し残りを償却不足額として繰り越した場合や、全額を特別償却費とせずに償却不足額として繰り越した場合でも、同様の考え方が適用されます。