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補修用部品在庫調整勘定の経理処理方法

Q.補修用部品在庫調整勘定の貸借対照表での表示方法、及びその繰入額、戻入額の損益計算書での記載場所は、どのようにすべきですか。

A.法人税基本通達によると、補修用部品在庫調整勘定に繰り入れが可能ですが、具体的な表示方法や損益計算書での記載場所は明確にされていません。会計上の取り扱いは、基本に従います。補修用部品は通常の販売用ではなく、通常の営業過程からは外れたものとして扱われ、その評価減や引当金の設定は特定の基準に従って行います。この勘定の設定は、棚卸資産の評価減として可能で、また、補修用部品に関する引当金としても扱うことができます。引当金の場合、貸借対照表では通常、棚卸資産から控除して表示されます。勘定の繰り入れ額は、補修用部品の使用目的に応じて売上原価や販売費として計上されますが、戻入額については、税務上の処理とは異なり、実際の使用目的に基づく処理が必要です。例えば、無償で使用された場合は、アフターサービス費用としての計上が考えられます。

補修用部品在庫調整勘定について (2)

Q.補修用部品在庫調整勘定は、同一の製品に係る補修用の部品が2種類以上ある場合、個々の部品の種類ごとに計算しなければなりませんか?製造を中止した製品の種類ごとに計算した場合、特定の算式で計算される金額がマイナスになるものがあるときは、プラスになるものと通算する必要がありますか?保有期間が経過した後は、どのように処理しますか?

A.補修用部品の保有期間や保有開始年度は、製造を中止した製品ごとに異なります。補修用部品が複数ある場合でも、製品ごとに計算する必要があり、同一の製品に関連する部品の合計価額をもとに計算します。製造中止した製品ごとに計算し、その結果がマイナスになっても他と通算する必要はありません。保有期間が経過した後は、通常その部品は廃棄されます。保有期間が過ぎた後も部品を保有している場合、補修用部品在庫調整勘定は特例として設定されているため、その部品の価値に関して直接評価損として処理するべきです。

補修用部品在庫調整勘定について (I)

Q.行政官庁の指導によって製造中止品に係る補修用部品を一定期間保有している場合、税務上評価減をすることができるそうですが、その計算方法を説明してください。

A.製造を中止した製品の補修用部品を一定期間保管する必要がある場合に税務上行うことができる評価減の計算方法は、法人税の規定に基づいています。該当する補修用部品が保管の対象で、評価減ができる条件、その算出方法、および益金計上等について明確な指示が定められています。具体的には、以下のステップで計算します。

1. 対象となる補修用部品:製造中止した製品の部品であって、行政からの指導等により一時的に大量に保持することが求められるもの。

2. 評価減の設定可能な事業年度:製造中止を決定した次の事業年度から開始。

3. 設定可能な金額:事業年度末に次の式で計算します。補修用部品の初期の帳簿価格と、その後の事業年度における追加取得部品の価格の合計に基づきます。その上で、保有期間と経過年数を考慮した特定の割合を適用して計算されます。

4. 益金の算入:評価減を行った翌事業年度に益金に計上します。

5. 明細書の提出:評価減を行う事業年度の確定申告時には、その計算の詳細を記載した明細書を提出する必要がありますが、その形式は特に定められていません。

これにより、製造中止した製品の補修用部品に対して税務上評価減を適切に適用できるようになります。

棚卸資産の評価減のグルーピング方法

Q.棚卸資産の評価損の計上額は、どのようにして棚卸資産をグルーピングして算定すればよいのですか。具体的に説明してください。

A.棚卸資産について評価損を計上する際、評価損の計算における単位は、税法上、「棚卸資産の種類や品質、形状などが異なるものごと」および「法人税法施行令において定められた具体的事実(例えば、災害による損傷など)が異なるものごと」とされています。これは、棚卸資産をその種類や状態によってグループに分け、低価法を用いる際に低下した価値を判断する基準と同じです。評価損の計上にあたっては、まず棚卸資産を「計上可能な評価損の事実が異なるものごと」に分類し、次に同じ事実に基づく棚卸資産群ごとに帳簿価額と時価を集計します。その後、集計された帳簿価額と時価の差額が計上できる評価損の金額となります。

例えば、ある商品が通常の販売方法では売れなくなった場合(棚ざらし品として)、その商品の中で棚ざらしによって価値が下がったもの(棚ざらし品A、B、C)があったとします。この場合、同じ商品種類の中でも、棚ざらしの程度が異なるBとCだけを取り上げて評価損を計算することはできません。良品は計算に含めず、棚ざらし品全体の帳簿価額と販売可能価額の差額を評価損とします。物質的原因(棚ざらし、災害による損傷など)による評価減は、同種類の棚卸資産の一部にだけ生じる可能性がありますが、全体に対して評価減をすることはありません。また、商品内で異なる原因(例えば、災害による損傷)で価値が下がった場合は、棚ざらしとは別に評価損の計算を行います。

採算を承知の上で生産した製品の評価減

Q.採算がとれないことが明らかでも製品の品揃えのために生産を続けた場合、事業年度終了時に保有するその製品を販売価額まで評価減できるのか、税務と企業会計のそれぞれの観点から教えてください。

A.税務の観点からは、製品を販売価額まで評価減することが認められるのは、製品が物理的または経済的な価値の大幅な損失を受けた場合のみです。採算がとれないことを理由にした評価減は認められません。しかし、もし企業が低価法を評価方法として選択している場合は、この方法に基づいた評価減による損金算入が認められる可能性があります。ただし、採算の良い製品の販売を促進するためのセット品に該当する場合、低価法の適用による評価減は行えません。

企業会計の観点からは、保守主義の原則に従って、製品の正味売却価額が取得原価よりも低下している場合には評価減を行うべきです。これは、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、品質低下や陳腐化に限らず、帳簿価額を減額する会計処理として考えられます。したがって、正味売却価額までの評価減が必要とされ、税務と企業会計の取り扱いの差異は申告調整で対処すべきとされています。

仕損じ品の評価減

Q.陶器製造会社です。生産工程で不可避的に生じたきずもの、いびつものは、年に1回開催される安売り市で処分します。安売り市で売れると見込まれる価額まで、その製造原価から評価減することができますか。

A.棚卸資産が物理的な欠陥により通常の方法で販売できなくなった場合、損金処理により評価減が可能です。ただし、これは製造時には良品だったがその後、例えば陳列や運送で物理的な破損や品質変化が生じた場合に限ります。製造時から物理的な欠陥がある仕損じ品には適用されません。生産工程で不可避的に生じるきずものやいびつものは仕損じ品に分類され、良品とは異なる価値をもって原価計算されます。これらの品物の評価減は、実際の原価、市場価格、または額が少ない場合は備忘価額に基づいて算定された評価額を、総製造費用から差し引くことにより行います。仕損じ品は、見積売却価格から販売後のコストと通常の利益を差し引いた価格で見積もられ、その見積もり価格を総製造費用から差し引いた金額が良品の製造原価として計算されます。

需要を見込んで過剰生産した棚卸資産の評価減

Q.得意先からの某製品の部品1000個の受注に対し、生産コストを下げるため2000個生産し、残り1000個を次回の受注時に納品する予定でしたが、得意先のモデルチェンジにより、売れる見込みがなくなりました。このような場合、過剰生産した部品の評価減はできないのでしょうか?

A.棚卸資産の時価が物価変動、過剰生産、建値の変更などによって下がっただけでは、評価損の計上が認められないことが一般的です。しかし、ご質問のケースでは、得意先のモデルチェンジにより該当部品がこの先一切使われる可能性がないため、これは過剰生産した品物が通常の方法で売れる見込みがある状態とは異なります。この場合、棚卸資産が将来販売不可能になったとして、評価減を適用できると考えられます。評価減を行う際の時価は、部品を解体して材料として再利用する場合、その材料の価値から解体費用を差し引いた金額となります。一方、解体以外に処分方法がない場合は、その処分予定価格が時価となります。

消費者の感覚にあわないため大量返品を受けた製品の評価減

Q. 当社のアイデアにより生産した製品が消費者の時代感覚に合わず、大量返品を受けました。事業年度終了時にはまだ手元に残っており、他に利用することができず、会社の信用問題にもかかわるため格安販売せずに廃棄する予定です。この製品は事実上無価値に等しいのですが、時価をゼロとして評価減しても良いですか?

A. 棚卸資産が災害で大きく損傷したり、明らかに古くなったりした特別な状況では、その棚卸資産の帳簿上の価値を損金処理によって時価まで下げることができます。この場合の時価とは、その資産が普通に売買される際に通常つけられる価格のことです。また、特別な事情として製品が破損したり、売り物としての価値を失った場合が挙げられます。質問の製品が消費者の時代感覚に合わず、大量返品を受けたことは、この製品が明らかに時代遅れとなった事例に相当しますから、評価減の条件を満たします。問題となるのは、事業年度終了時の製品価値が実際にゼロかどうかです。貴社が信用を守るために廃棄を選んだとしても、それは会社方針によるものであり、そのために自動的に製品価値がゼロになるわけではありません。もし事業年度終了時に廃棄する予定の製品があれば、その損失は廃棄損として計上できますが、年度末に残っている製品については、将来何らかの形で換金が可能である可能性が残されています。つまり、製品の価値は、廃棄する予定という会社方針に基づくものではなく、時代遅れであることを考慮に入れた上で、客観的に形成される換金可能価格です。したがって、廃棄する予定であっても、時価を客観的に算定する必要があります。

季節遅れの商品を評価減する場合の時価

Q.流行の移り変わりが激しく、季節商品が売れ残る場合、どのようにしてその商品の時価を算出すればよいですか?

A.流行が変わりやすく季節物の商品が次のシーズンまで売れ残った場合、通常の価格で販売できなくなることが過去の実績やその他の状況から明らかであれば、その商品は価値が大きく落ちたとみなし、事業年度の終了時にその時点での市場価格(時価)まで価値を下げることができます。この「時価」とは、その資産が通常売りに出される価格を指しますが、例えば年度末が12月31日の場合、その時期に夏物を売ろうとしても売れないため、次の夏までに売れるであろう価格が時価となります。これは、売れ残りの季節商品に対して、その時点での取引実績がないため、類似の商品の過去の販売実績などを参考にして、どれだけ値下げすれば次のシーズンに売れるかを推測し、その価格を時価として設定します。棚卸資産の価値が著しく落ちるのは、商品自体に物理的な欠陥がなくても、季節遅れや流行遅れ、新製品の登場など経済的な環境が変わることでその価値が大きく下がり、今後価値が戻る見込みがない状態を指します。価値の大幅な低下の具体的な基準は示されていませんが、棚卸資産は価値が下がった場合に価値が回復する可能性がほとんどないため、市場有価証券のように「50%相当額を下回る」ことを基準にするのは適切ではありません。つまり、棚卸資産では50%の減少に達していなくても、評価損を損金として計上できる場合があります。

震災等で被災した資産の評価減

Q.震災、風水害等で被災した棚卸資産、固定資産の評価損はどのように取り扱われますか。

A.震災、風水害といった災害で大きく損傷を受けた棚卸資産や固定資産については、特定の条件下で損失として計上することが認められています。この処理は、該当資産が災害で明らかに損傷を受けた場合に限られます。災害により損傷した資産は、事業年度の終わり時点での帳簿価額とその時の市場価値との差額を損失として計上できます。この市場価値は、災害後にその資産の通常の売買価格、すなわちその資産が事業で通常使用されると仮定した場合の譲渡価格であり、スクラップ価格や正味売却価額、再調達原価などではありません。しかし、災害で完全に破壊された資産に関しては、その通常の売買価格をゼロと見なして、帳簿価額全体を損失として計上することができます。消費税に関しては、税抜経理方式を採用している場合は消費税抜きの金額、税込経理方式を採用している場合は消費税込みの金額を使用します。