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使用人兼務役員の職制上の地位 について

Q.使用人兼務役員は使用人としての職制上の地位を有しなければならないそうですが、当社のような小規模な会社には、職制らしいものがありません。どうすればよろしいですか。

A.使用人としての職制上の地位とは、総務部長、人事部長、工場長、支店長、営業所長、事業部長、支配人、主任、事務局長など、会社の組織内で正式に定められている役職のことを指します。これは、会社の特定部門を統括する総務担当や人事担当などの立場とは異なります。小規模な会社の場合、従業員が少なく形式的な職制を設けていないことがよくあります。ただし、税務上必要な対策として、形式的に部長や課長といった役職を設けることが考えられますが、それが非現実的である(例えば、一人だけが部長で部下がいない状態)ときは意味がありません。そのような会社であっても、特定の要件(具体的には税務上の要件BとC)を満たす役員が実際に他の従業員と同じ種類の仕事をしていると認定される場合、彼らは使用人としての職制上の地位を有するものとして扱うことができます。

専務取締役等の表見代表取締役について

Q.株式会社の専務取締役、常務取締役などの表見代表取締役が使用人兼務役員に該当しないこととされているのはなぜですか?また、表見代表取締役に該当するかどうかの判断は、何を基準にして行いますか?

A.株式会社では、使用人兼務役員になれるのは基本的に平取締役に限られており、専務取締役や常務取締役はその条件を満たすことができません。専務取締役や常務取締役は、社長や副社長と同じく、会社を代表する権限を持っていると見なされます。そのため、彼らが行った行為については、社外の善意の第三者に対して会社が責任を負うことになります。税法上も、これらの役員が外部に対して会社を代表していると表示している以上、実際にそうであるとみなし、使用人兼務役員にはなれないとしています。

代表取締役については、その氏名と住所が登記に記載されており、外部の人は登記を閲覧することで代表取締役かどうかを確認できます。しかし、代表権のない取締役に代理権を与えた場合、その取締役は代理人として行動できますが、代理権の有無を登記から確認することはできません。この制度は、善意の第三者を保護するために設けられています。

取締役が表見代表取締役となるのは、会社の内部規定や決議によってその地位が明確にされている場合と、単に通称として専務、常務などの名称が付けられている場合があります。大企業では前者が多いですが、小規模な家族経営の会社では後者が多く見られます。税務上、専務取締役等が使用人兼務役員になれないことによる不利な規定が適用されないよう、使用人兼務役員とされない範囲は、公式にその地位が認められている場合に限られます。

取締役会設置会社でない会社での代表権を有しない取締役

Q.取締役会設置会社でない会社において、取締役が2人以上いる場合、定款又は株主総会の決議によって代表取締役を定めていないと、取締役の全員が代表権を有することとなり、使用人兼務役員になれないことになるとのことですが、会社法の規定も含めて教えてください。

A.会社法には、株式会社の代表に関する規定があります。取締役は、株式会社を代表しますが、別に代表取締役や他の代表する者を定めた場合は、この限りではありません。取締役が2人以上ある場合、取締役は各自で会社を代表することができます。ただし、取締役会設置会社でない場合、定款や株主総会の決議によって代表取締役を定めることが可能です。一方、取締役会設置会社では、取締役会が代表取締役を選定しなければなりません。取締役会設置会社でない会社では、代表取締役を選定するかどうかは任意ですが、選定しない場合は各取締役が会社を代表することになります。このことは、取締役全員が使用人兼務役員になれない条件を満たす場合であるかどうかということに関連します。もし取締役の中から代表取締役を定めて代表権を有しない取締役がいる場合、その取締役は使用人兼務役員とはみなされません。したがって、代表取締役を明確に選定し、他の取締役が会社を代表する者ではないことを明確にする必要があります。株式会社以外の法人にも同様の規定がありますが、一部の組合は特定の法律によって、組合を代表する理事を定めることが義務付けられています。

同族会社の使用人兼務役員の範囲についての具体的事例

Q.第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合によって、同族会社の使用人兼務役員の範囲がどのように変わるのか具体的に説明してください。また、所有割合の同じ株主グループがあったときはどのように判定しますか?

A.株主グループの所有割合に基づき、使用人兼務役員になり得るかどうかは変わります。具体的には、第1順位の株主グループのみで所有割合が50%を超える場合、それ以降の順位のグループは関係なく使用人兼務役員になれます。もし第1順位と第2順位の所有割合を合わせて初めて50%を超える場合、第3順位のグループ内の平取締役は使用人兼務役員となり得ます。しかし、第1から第3順位までの合計で初めて50%を超える場合は、所有割合が10%以下のグループに所属する平取締役だけが使用人兼務役員になれる可能性があります。また、所有割合が5%以下の夫妻や支配会社に属する役員も、特定条件下で使用人兼務役員になり得ます。

所有割合が同じである場合の判定では、これらのグループは同等の順位と見なされます。例えば、第1順位の次に所有割合が25%の株主グループが二つある場合、これらは両方とも第2順位とされます。こうした場合、これらのグループ内の平取締役は使用人兼務役員にはなれません。しかし、一方のグループの所有割合をわずかに下げることで、そのグループ内の平取締役は使用人兼務役員になることができます。

使用人兼務役員の意義 とその税法上の効果

Q.使用人兼務役員とはどのような役員ですか。使用人兼務役員として認められると、税法上どのような効果が生じますか。

A.使用人兼務役員とは、会社の役員の中で、特定の条件を全て満たす人のことをいいます。この役員は通常の従業員のような職務にも従事しながら、役員の職責も持っています。具体的には、次の条件を全て満たす必要があります。まず、従業員としての地位(部長や課長など)を持ち、日常的にそのような職務に従事していること。また、代表取締役や副社長、専務などの役職に就いていないこと、そして、同族会社の場合は特定の株主グループに属していないことなどが含まれます。

税法上、このような役員が認められる場合、いくつかの有利な効果があります。主に、役員としてではなく、従業員としての役割に対する給与(使用人分給与)は、役員給与とは見なされないため、会社の損金として処理できる点が挙げられます。これにより、定期同額給与や業績連動給与に関する特定の税制上の制限が適用されません。さらに、役員給与として別枠で扱われるため、役員給与が過大かどうかの評価からも外れます。しかしながら、役員としての職務に対する賞与が非常に遅れて支給された場合は、逆に損金算入されないという点に注意が必要です。

会計参与が法人税法上の役員であることにより生ずる問題

Q.会計参与は法人税法でも役員とされていますが、監査法人又は税理士法人が会計参与に就任しますと、法人が法人税法上の役員になります。また、顧問公認会計士又は顧問税理士が会計参与に就任し、計算書類の作成時に臨時報酬を受領しますと、定期同額給与に該当しないという問題が生ずると思います。税法上これらの事項は、どのように取り扱われるのでしょうか。

A.会計参与が監査法人や税理士法人によって務められる場合、その法人は法人税法に基づく役員と見なされます。この状況下で企業が支払う報酬は「給与」とはみなされず、役員給与に関する法人税法の規定は適用外となります。法人が役員として過大または臨時の報酬を受け取る場合、その部分が損金算入不可になる可能性はありますが、監査法人や税理士法人が不当に報酬を増やして税の逃避を図る可能性は低いと考えられます。受け取った報酬には所得税の源泉徴収の義務がなく、監査法人や税理士法人では利益として計上されます。

もし会計参与が個人の公認会計士や税理士である場合、その報酬は法人税法上役員給与となります。この報酬を損金算入するためには、定期同額給与、事前確定届出給与、または特定の要件を満たす利益連動給与である必要があります。しかし、計算書類作成時に臨時報酬が支払われると、それらのカテゴリーには当てはまらず、損金算入不可となります。この場合の報酬は、企業によって所得税が源泉徴収され、監査役報酬と同じ扱いを受けます。但し、顧問としての契約を保持しながら会計参与に就任することも可能で、この際の臨時報酬は顧問報酬となり、役員給与には当たらず、この場合は報酬料金として源泉徴収されます。

会計参与の概略

Q.会社法、法人税法のいずれにおいても役員とされている会計参与とは、どのような役員ですか。その概略を説明してください。

A.会計参与は、会社法と法人税法の双方で役員の一員とされています。会社法では、役員としての会計参与を株主総会による選任の対象とし、その責務や権限について詳細な規定が設けられています。会計参与の主な職務としては、取締役と協力して、財務諸表やその他の会計文書の作成、株主総会や取締役会への出席、会計に関わる重要な事実の発見時の報告などが含まれます。また、会計帳簿や関連資料の閲覧、会社や子会社の財務状態の調査、意見の相違がある場合には株主総会での発言、職務遂行に関わる報酬や費用の請求などの権限を有します。選任や解任は株主総会の決議によって行われ、その任期や資格、会計参与を置かなければならない会社の条件なども規定されています。会計参与として活動するには、公認会計士や税理士などの資格が必要であり、特定の欠格条件を満たす者は就任できません。全ての株式会社が会計参与を置く必要はなく、任意設置とされていますが、特定の会社形態では監査役の代わりに会計参与を置くことが認められている場合があります。

執行役員は税法上の役員に該当するのか

Q.当社では、会社法上の取締役のほかに、業務を執行する役職の担当者として執行役員を置いています。この執行役員は、取締役ではありませんが、税法上の役員に該当しますか?

A.会社法で、特定の会社の必置機関として規定されている執行役は、その権限や責任、会社との関係が明確にされていて、法人税法では役員として扱われます。しかし、執行役員は会社法に直接記載された職ではなく、特定条件下のみなし役員として扱われることを除いて、通常は法人税法上の役員には該当しません。たとえ執行役員が取締役を兼務している場合は税法上の役員とみなされますが、兼務していない場合、彼らが会社とどのような契約(委任契約や雇用契約)を結んでいるかに関係なく、原則として税法上の役員には該当しないことになります。ただし、執行役員が経営関連の業務に従事している場合、みなし役員となる可能性があります。みなし役員かどうかは、その人が企業の経営に携わっているかどうかで判断されますが、ここでいう「使用人」は、職制上の地位だけを持つ人に限られ、委任契約に基づいて会社と関わる執行役員は、使用人とは見なされず、経営に従事している場合にはみなし役員となり得ます。

法人税法上の役員として掲げられている執行役

Q. 法人税法第2条 第15号において、法人税法上の役員として挙げられている「執行役」って具体的にどんな役職ですか?

A. 法人税法では、「役員」とは、会社の経営に関わる人たち(取締役、執行役、監査役など)のことを指します。ここでいう「執行役」とは、特定の形態の会社において置かれる役職で、会社の実際の業務執行を行う人のことを言います。一定規模以上の株式会社では、経営の透明性や効率性を高めるため、経営に関わる様々な委員会とともに執行役を設けることが法律で求められています。このような会社の取締役は日々の業務執行には関与せず、主に経営方針の決定や執行役の監督に集中することになります。執行役は取締役会の決定に従い業務を執行し、場合によっては取締役を兼務することも可能です。執行役の任期や責任、その他の規定は会社法で定められており、会社が適切に運営されることを保証するための重要な役割を担っています。

電話加入権の評価損

Q. 当社の貸借対照表に計上されている固定電話の設置に取得した電話加入権の換金価値がなくなった場合、税務上評価損の計上は認められますか?

A. 電話加入権は非減価償却資産であり、取得価額で資産計上され続けますが、その換金価値がなくなったからといって、税務上の評価損が認められるわけではありません。税法では、資産の評価損を認めるのは資産が災害によって大きく損傷を受けた、1年以上使用していない、本来の用途に使用できなくなった、所在地の状況が大きく変わった、またはその他特別な事情がある場合に限られます。ただし、携帯電話やインターネット電話の普及により固定電話が使われなくなっても、1年以上使用が休止しただけでは、評価損の計上は認められません。これは、電話加入権の除却損は、契約が解除されていない限り認められないためです。