「法人税」カテゴリーアーカイブ

固定資産税の損金算入時期

Q. 10月31日決算の法人ですが、固定資産税の第3、4期分(納付期限は当年12月末日及び翌年2月末日)を事業年度末に未払金に計上して、損金の額に算入することができますか。

A. 固定資産税は、納税通知書が発行された事業年度内で損金として計上できます。法人が納税すべき額をその納付期間が始まる事業年度内、または実際に納税した事業年度内に損金計上した場合、その年度内で損金に算入できます。固定資産税は、毎年4月頃に納税通知書が届き、納期限を年4回に分けて設定しており、一般的には同年の4月、7月、12月、翌年の2月の月末が納期限です。10月31日に事業年度を終える場合、その年の納税通知書は既に届いているため、12月と翌年2月の納期限が設定された第3、第4期分の固定資産税を未払い金として計上し、該当する事業年度で損金に算入することが認められます。また、固定資産の価値は毎年1月1日に決定され、その日の所有者に税が課されます。そのため、納税通知書が届く前、つまり1月から3月までは見積額に基づいて月割りした金額を未払金として計上することがあります。しかし、1月から事業年度の終了月までの期間で決算を迎える法人は、その事業年度の固定資産税の納税通知書がまだ発行されていないため、1月から事業年度終了月までの月割り額を見積り、未払金として計上した金額については、申告時に調整が必要になります。

法人の行う事業に課される事業所税の概要とその損金算入時期

Q.法人の行う事業に課される事業所税の概要と、この税の損金算入される時期について説明してください。

A.事業所税は、主に大都市に位置する事業所が対象となり、都市の環境整備に必要な費用に充てられます。課税対象は、東京都23区、政令指定都市、人口30万以上の都市などで、資産割や従業者割という形で計算されます。資産割では事業所の床面積に基づいて、従業者割では従業者の給与総額に基づいて税金が計算されます。なお、特定の施設や小規模事業所、一部の従業者については非課税となる場合もあります。 

また、事業所税は、毎事業年度終了後2ヶ月以内に申告納付する形をとります。この税は、事業年度末の「未払事業所税」として計上し、事業年度の損金として認識可能です。ただし、製造原価や工事原価に計上した場合は二重計上を避けるための調整が必要になりますが、製造原価や工事原価に含まれる事業所税相当額については、申告加算調整は不要です。

地方法人税の概要

Q.地方法人税について、その概要を説明してください。

A.地方法人税は、日本の地方自治体への税収配分を増やすために平成26年度の税法改正によって作られました。この税制変更は平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用され、令和元年10月1日からは税率が変更されました。納税義務のある法人は、法人税を納税する法人と同じです。税金の計算は、各課税事業年度の課税標準法人税額を基にし、特定の計算方法に従います。地方法人税の率は現時点で10.3%です。課税留保所得がある場合、特別な計算が必要になります。申告と納付は、各課税事業年度が終了した日の翌日から2か月以内に行う必要があり、法人税と同様の手続きを取ります。

外形標準課税の課税標準の算定

Q.付加価値額の算式にでてくる純支払利子、純支払賃借料及び単年度損益の内容とその計算方法を説明してください。

A.純支払利子、純支払賃借料、そして単年度損益について、以下のように説明できます。

1. 純支払利子:

   – 各事業年度に支払った利子(法人税計算上損金とされるもの)から、同じく受け取った利子(所得に計上されるもの)を差し引いた金額です。受け取った利子が支払った利子より多い場合は、この数値はゼロとなります。この計算には税務上の特定の扱いも適用されます。

支払利子の例としては借入金の利息、社債の利息、手形割引料、リース料の利子相当部分などがあります。経過利息や売上割引料などは異なる扱いを受けます。

2. 純支払賃借料:

   – 各事業年度に支払った賃借料(法人税で損金計上されるもの)から、受け取った賃借料(所得計上されるもの)を差し引いた金額です。受け取った賃借料が支払賃借料より多い場合、この数値はゼロとなります。賃借料には土地や建物の使用料や、駐車場代などが含まれますが、動産の賃借料や権利金、更新料等は含まれません。

3. 単年度損益:

   – 法人税の計算上損益ですが、欠損金の繰り越しなどいくつかの規定を適用せずに計算された金額です。この単年度損益がマイナスの場合でも、付加価値額の計算時にはマイナスとして考慮され、結果的に付加価値額を減少させますが、次年度への繰越はできません。

特別法人事業税の概要

Q.特別法人事業税について、その概要を説明してください。

A.特別法人事業税は、地方税の税収が大都市部に集中することを是正する国税であり、集められた税金は特別法人事業譲与税として地方に再分配されます。この税制は平成20年に一部始まり、令和元年度に恒久的な措置として正式に導入され、それ以前の地方法人特別税は廃止されました。この税は、事業税額に基づいて課税され、その詳細は以下の通りです。

– 課税標準は、地方税法に基づき計算された法人所得や法人収入の割額です。

– 税率は、法人の種類によって異なり、例えば所得割額で課税される場合は基準法人所得割額の260%から345%、収入割額では30%から625%が適用されます。

– 申告と納付は、事業税と共に都道府県が賦課徴収を行い、法人は事業税と一緒に必要な書類を提出し納付しなければなりません。

外形標準課税の課税標準を算定する際の報酬給与額

Q.事業税の外形標準課税における付加価値額の算出に使われる報酬給与額とは何ですか?その計算方法について説明してください。

A.報酬給与額は、事業年度ごとに法人が支出する以下の金額の合計です。これには、役員や従業員(アルバイト、パートタイマー、臨時雇用含む)に対して支払われる給料、賃金、ボーナス、退職金等が含まれます。会社から支払われるこれらの金額は、所得税で給与所得や退職所得として扱われるものが対象です。企業が設定する年金や遺族への支払いなど特定の場合は例外として含まれますが、実費補償的な通勤手当等は含まれません。一方で、現物給与や借上げ社宅関連の支払いは特定の条件下で報酬給与額に含まれず、純支払賃借料の算定に使われます。労働基準法に基づく予告手当は含まれますが、付加金は含まれません。原則としては、法人税の所得計算で損金算入されるものが対象ですが、一部例外もあります。また、確定給付企業年金契約の掛金等や労働者派遣法に基づく支払いの75%も報酬給与額に含まれます。派遣契約料や下請けへの請負料の扱いには、それぞれ特定の基準があります。

事業税の外形標準課税制度の概略

Q.事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人等一定の法人の事業税には、外形標準課税が行われていますが、その概略を説明してください。また、所得課税法人の場合、この事業税の損金算入時期、損益計算書での計上箇所は、所得の金額を課税標準とする事業税の場合と同じと考えてよろしいですか。

A.事業税の外形標準課税制度では、一定の条件を満たす法人に対して実施されます。この制度は、資本金や出資金の額が1億円を超える法人や特定の業種を除く法人、一部のガス供給事業や小売電気事業を行う法人などが対象です。課税の基準には付加価値割、資本割、所得割などがあり、それぞれの割合や計算方法が設けられています。特に、資本割や付加価値割は、法人の資本金等の額や付加価値額に基づいて税率が定められており、様々な控除額や特例が適用され得ます。税率自体にも標準税率と制限税率が設定され、地域によって超過税率が適用される場合があります。

事業税の損金算入時期に関しては、外形標準課税を含んで、所得を課税標準とする場合と同じ原則が適用されます。しかし、損益計算書での計上箇所については、所得割は税引前当期純利益や純損失に算入されますが、付加価値割と資本割は販売費や一般管理費に原則として計上され、その計算構造に違いがあります。これは、付加価値割の算出に単年度損益が含まれ、他の要素との相関関係によって計算されるため、所得割の課税標準と異なる扱いになります。

事業税及び特別法人事業税が損金算入される事業年度

Q.事業税及び特別法人事業税が損金の額に算入される事業年度について、説明してください。

A.事業税と特別法人事業税の損金計上には、基本的に申告納税方式の税額がどの事業年度に計上されるかというルールがあります。これは債務確定基準に基づいており、確定申告書が提出された日が属する事業年度や、更正や決定が行われた日が属する事業年度に、それぞれの税額が損金に算入されます。ただし、法人税の基本通達にはこの規則の特例も存在し、2つの主要なケースに分けられます。

1. 基本的な取り扱いでは、確定申告書に記載された事業税や特別法人事業税の税額は、その確定申告書が提出された事業年度に損金として計上されます。もし税金が発生する所得などがあり、未払いで法人税等に計上された場合、その事業年度ではなく、確定申告書を提出する翌事業年度に損金として計上されます。外形標準課税法人の場合には、特定の方法で売上原価に分配することも可能ですが、損金としての計上は認められていません。

2. 特例が認められているものでは、直前の事業年度の事業税や特別法人事業税が、その年度終わりまでに一部または全部申告、更正、または決定されていない場合も損金として計上できることが定められています。これは、2期以上にわたる連続した修正申告や更正が考慮されたものです。具体的には、もし連続した事業年度の修正申告が行われた場合、直前の事業年度の税額は翌事業年度に損金として計上でき、その後の申告等で過不足が生じた場合は調整されます。また、修正申告時に直前事業年度の税額を実際の税率で計算し、損金として算入することも可能です。ただし、減額更正のみを目的とした更正は基本的には行われないとされていますが、税務署長の裁量で行う余地はあります。

未払法人税等に関する申告調整方法

Q.次の場合の申告調整方法を教えてください。①貸借対照表の負債の部に当該事業年度の確定申告によって納付する法人税、地方法人税、住民税、事業税及び特別法人事業税の額を未払法人税等として計上した場合と、②翌事業年度にこの未払法人税等を取り崩して納付した場合。

A.①の場合、国税である法人税と地方法人税は、事業年度の終了時に納税義務が生じます。特別法人事業税は国税通則法に規定がありませんが、会計上、貸借対照表の流動負債に未払法人税等として計上し、損益計算書では税金を差し引いた額を当期純損益金額として表示しなければなりません。確定申告書では、税額の概算を記載し、正確な税額は別の場所に記載します。この処理は利益積立金額の算定に影響しますが、事業税と特別法人事業税は翌事業年度の損金額に算入されます。

②の場合、翌事業年度に未払法人税等を取り崩して納付し、この操作は貸借対照表での操作として記録されます。納税額は確定申告に基づいて記入され、これらは利益積立金額には影響しません。ただし、事業税と特別法人事業税の納付税額は損金の額に算入され、利益積立金額を減少させます。附帯税等を納付した際の処理も異なり、損金の額に算入されるものとされないものがあり、それぞれの処理方法によって納税充当金の扱いが異なります。

法人税、地方法人税及び住民税が損金の額に算入されない理由

Q.法人の所得の金額を計算するに当たって、法人税、地方法人税及び住民税は原則として損金の額に算入されませんが、その内容と理由を詳しく説明してください。

A.法人が納める法人税と地方法人税(延滞税や過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除外)は、通常、事業の損金として考慮されません。しかし、以下のような特定の法人税については損金計算に含めることができます。第一に、退職給付を行う法人に課せられる、退職給付積立額の1%に相当する法人税およびそれに相当する地方法人税です。第二に、過払い税金の返金に関連する利息相当額がある場合、この過払い分に対して後に納付する税金も損金に算入できます。最後に、提出期限の延長等に関連する利子税も損金に算入可能です。

それに対して、損金に算入されない税金には、事業年度ごとの所得に基づく法人税や地方法人税、延滞税や各種加算税などがあります。また、住民税についても同様に、通常は損金に計算されませんが、退職給付に関連する法人税に関連する住民税の場合は例外的に損金として計上可能です。

これらの税金が損金として考慮されない主要な理由は、これらが各法人から所得に基づいて直接徴収される税であるためです。一方で、事業税は事業活動に直接連結しており、その税基は収入や所得、付加価値によって異なりますが、これらは事業によって発生する経費として損金に算入されます。

延滞税や加算税が損金から除外される理由は、これらが納税義務の違反に対する罰則であり、損金算入による減税効果を許すことは好ましくないと考えられているからです。