「法人税」カテゴリーアーカイブ

販売店の親睦会のために負担した会費の取り扱い

Q.電気器具のメーカーです。代理店及びその傘下の販売店で親睦会を作り、会費を当社、代理店及び販売店がそれぞれ負担した場合、この会費は税務上どのように取り扱われますか。

A.この場合、会費を負担したメーカー、代理店、販売店の全てに関わる問題です。もし親睦会が法人格を持っていれば、会費を費用として扱うことができ、法人側では収入として計上します。しかし、ここで考えている親睦会は通常、法人格を持たない組織のため、この取り扱いは異なります。この親睦会が法的な人格を持たない集まりであり、その活動が統一された意志によるものではないため、税法上の人格なし社団にはあたりません。そのため、親睦会で集めた会費は課税されない収入です。

税務上は、親睦会の会費を前払い費用として扱い、親睦会で実際に会費を使った時点で交際費やその他の費用として計上することになります。会費の未使用分は、適切に会計報告をすることで、会費を負担した法人の所得計算に正確に反映されるべきです。会費の大部分は人間関係のために使われ、これは通常、交際費として扱われますが、業務の研修費、業界の調査費、寄附金など特定の目的に使われた場合は交際費にはあたらず、共同で施設を購入した場合は繰延資産となります。

また、業界団体などの「通常会費」は、支出した事業年度の損金として計上できますが、親睦を目的とした会費は「その他の会費」とされ、支出時に前払い費用として計上し、後に使用に応じて交際費などに振り替えられます。

特約店、消費者などを旅行、観劇等に招待する費用

Q.下記のような旅行、観劇等への招待の費用は、交際費等に該当しますか。

A.① 一般消費者を対象に製品購入者を旅行や観劇に招待する費用は、接待や供応目的ではなく、広告宣伝活動の一環として捉えられます。そのため、税務上は広告宣伝費として扱われ、交際費等には含まれないことが一般的です。

② 特約店に対して、売上高に比例した売上割戻しを積み立て、一定額に達した後にその資金を使って旅行や観劇に招待する費用は、普段の取引保証金として売上割戻しを預かっており、その後それを用いて旅行や観劇等に招待する場合、交際費等として扱われます。この費用は積み立て時に損金不算入とし、実際に招待費用として使う年度には減算調整されますが、そうした招待は交際費として支出したものとみなされます。

温泉旅館での代理店研修会費用

Q.会社の新製品の説明を兼ねた研修会を温泉旅館で1泊して行った場合、その支出する費用の全額が交際費等に該当するか。また、この研修会のために出張する社員の旅費の取り扱いはどうか。

A.温泉旅館で宿泊しつつ行われる研修会では、夜の宴会費用や観光招待費用は交際費に含まれますが、研修会自体の費用はその目的が明確で、宴会費用等と区分可能であれば交際費には含まれません。研修に必要な経費として研修会場の使用料や飲み物代、それらに関わるサービス料などがあり、これらは実際の研修目的で発生したものとみなされます。研修の内容を証明できる資料(スケジュール、参加者のアンケートなど)を用意しておくと良いでしょう。また、研修会中の飲食に関しては客をもてなすためのものではないので、特定の計算方法を適用する必要はありません。研修会が実体のある会議として認められる場合、宿泊料も全部研修会の費用として扱え、交際費との分離は不要です。参加者や社員の旅費も研修会の費用として処理できます。ただし、接待や歓待のためだけの招待旅行に随行する社員(役員含む)の費用は全て交際費に含まれます。

社長の叙勲祝賀会を会費制で開催した場合

Q.社長が業界での功績で叙勲を受け、取引先を招待して祝賀会を催すことになったが、会費制にして出席者から1人1万円を集め、総費用から会費の合計額を引いた金額を会社が負担し、その負担額を交際費等として処理することに問題はないか?

A. 社長の功績を祝う祝賀会であれば、その会に取引先を招待することで会社や社長の評価が上がり、事業の発展につながるため、税務上問題ありません。祝賀会が会社の事業に関連している限り、会社が費用を負担することは、税務上、社長に対する経済的利益の供与と見なされません。ただし、会社の取引先だけでなく、社長の家族や友人も招待した場合は、招待者の人数に応じて会社と社長の負担すべき金額を計算することが望ましいです。さらに、祝賀会で出席者から会費を徴収する場合は、祝賀会の費用全額を会社の交際費とし、受け取った会費は交際費から引かずに雑収入とすべきです。もし祝賀会の主催者が「有志の集まり」のような形であり、会費でほとんどの費用を賄える場合は、会社が負担する少額だけを交際費とすることができます。

新社屋落成式に招待した取引先から受領したお祝い金

Q.新社屋落成の記念パーティーに招待した取引先からお祝い金をいただきました。記念パーティーへの招待費用は交際費等に該当しますが、会社が受け入れたお祝い金を、この交際費等から差し引く処理をすることはできますか。

A.新社屋落成の記念パーティーに取引先などを招待した費用(宴会費、交通費、記念品代など)は確かに交際費等に該当します。しかし、招待客一人当たりの飲食等の額が5,000円以下の場合は交際費等に該当しません。この記念パーティーに招待した取引先から受け取ったお祝い金は、会社の開催する記念行事への祝意の表れとして会社の収益に計上すべきものです。お祝い金の額と記念パーティーへの招待費用は関連性がないため、お祝い金は雑収入勘定等で受け入れ、交際費勘定を減額処理することはできません。お祝い金は取引先の好意で受け取るものであり、金額や形態は異なるかもしれませんが、これを記念パーティーへの招待費用の実費と見なすことはできません。

工場新築のための起工式、落成式などの費用

Q. 工場の新築に当たっての起工式、棟上式、落成式等の費用は、税法上どのように取り扱われますか。

A. 工場新築に伴う起工式、棟上式、落成式の費用は次のように取り扱われます。まず、このような式典の費用が交際費やそれに類するものかどうかについて、次の3点が挙げられます。1)社内行事で役員や従業員に供される飲食費用は、福利厚生費として交際費には該当しません。2)式典で通常必要とされる費用(例: 神主の祈祷、祭壇のお供え物など)も交際費に含まれません。3)しかし、取引先などを招待した際の宴会費、交通費、記念品代などは交際費に該当します。ただし、招待客1人あたりの費用が5,000円以下の場合、これらも交際費には該当しません。

次に、これらの費用を減価償却資産(工場の建物など)の取得価額に含めるべきかどうかですが、原則として減価償却資産の取得に必要な全ての費用は取得価額に含めます。そのため、起工式や棟上式の費用は建物の取得価額に含める必要がありますが、落成式の費用は建物の取得後の附随費用として、取得価額に含めなくても良いことになっています。

ただし、交際費に該当する費用が発生した場合、特に落成式でよく見られますが、起工式や棟上式の費用にも該当する場合があり、これらは建物の取得価額に加えられず、支出した事業年度の費用として処理されない交際費の全てまたは一部が損金不算入として申告加算される必要があります。これに関しては、法的な指針である租税特別措置法関係通達に詳しい取扱いが定められており、具体的な計算例については参照されることをお勧めします。

専属下請工場とするための引抜き料の分類

Q. A社がライバルメーカーの下請けであった技術力と生産力に優れた工場を自社の専属の下請工場にするために支払った「引抜き料」は交際費等に該当するか。

A. 「引抜き料」は、法人が事業に関係のある人に対して行う接待、慰安、贈答などの行為のために支払う費用を指す交際費等には当てはまりません。交際費等の定義には、接待や贈答といった活動によって生じた費用が含まれますが、「引抜き料」はA社への贈り物と捉えられる可能性があるものの、これらの交際費等には分類されません。理由として、交際費等は接待や供応に対する費用として課税を受けることを避ける目的も含まれており、得意先への販売奨励金などが交際費等と見なされないのは、受取人がこれを利益として報告する必要があるからです。そのため、「引抜き料」のように取引関係の確立を目的として事業者に支払われる金銭は、交際費等には含まれません。

慶弔見舞金等の税務上の取り扱い

Q.法人が工場や工事現場で働く下請企業の従業員などに支払う慶弔見舞金やお年玉について、これらは福利厚生費、交際費等のどちらに該当しますか。

A.質問された慶弔見舞金やお年玉について、主に委託された法人の工場や工事現場で業務を行う下請企業の従業員(役員及び従業員)のために委託法人が支払う費用は、交際費等には該当しないとされています。租税特別措置法関連通達によると、これらの支出は業務委託費用の一部とみなされます。具体的には、法人の従業員と同様の状況にある下請企業の従業員やその親族の慶弔に際して一定の基準に従って支払われる金銭や物品の費用がこれに当たります。更に、災害を受けた下請企業の従業員に対する見舞金、無事故等の成績を達成したことによる表彰金、レクリエーション費用なども業務委託費用の一部として扱われます。これらはいずれも業務の遂行に関連するもので、従業員のモラル向上などを目的としています。また、新型インフルエンザ等に伴う入国制限や外出自粛要請などのために経済的に困難な状況にある下請企業の従業員に対する支援として支出される見舞金も交際費等には該当しないとされています。新年のお年玉については、特に触れられていませんが、専属下請企業の従業員を自社の従業員と同様に扱うため、これも交際費等に該当しないと考えられます。ただし、このお年玉を金銭で支払った場合、自社の従業員に対しては給与として課税されますが、専属下請企業の従業員にとっては雇用関係がないため、雑所得となり、所得税の源泉徴収は必要ありません。

専ら会社の製品の外交販売を行う特約店の従業員に対する慶弔見舞金

Q.製造業者あるいは販売業者が、自社の製品などの外交販売を担う特約店の従業員に慶弔見舞金を支払った場合、それは交際費等に該当しないと考えられますか?

A.製造者または販売者が、自社の製品の外交販売を専門に担う特約店やその他の場所で働くセールスマンに支払う慰労金や報酬は、特定の条件下で交際費などに該当しないとされています。具体的な条件としては、報酬が取扱量や金額に基づく明確な基準で事前に定められ、これに基づく報酬に対して所得税の源泉徴収が行われている必要があります。また、セールスマンやその家族への慶弔や福祉目的で特定基準に沿って支払われる金品についても、通常発生する費用は、従業員の福利のためのものであり、交際費には含まれないとされています。しかし、特約店などに所属するセールスマンの場合、通常、販売委託契約はあっても雇用契約はないため、これらの費用を製造業者や販売業者が負担することが一般的です。一方で、特約店の従業員に支払われる場合、その費用は通常、雇用主となる特約店が支出すべきものであり、製造業者や販売業者が支払うとすれば、交際費として扱われることになります。すなわち、支払われる相手によって、これらの費用が交際費に該当するかどうかが決まります。

建設業者が仕事の紹介者に対して支払う謝礼金

Q.建設会社です。以前に建築を請け負った施主からその友人が建築する予定の物件を紹介され、請負契約を締結することができました。その施主に少しの謝礼金を支払いたいと思いますが、この謝礼金は交際費等に当たりますか。それとも情報提供料として扱い、交際費等に含まれない処理をしてもいいですか。

A.税法上、謝礼金が事業に関係のある人への支払いとみなされるか、社会的な儀礼や接待を目的とした支払い(交際費等)とみなされるかは、その支払いの性質によります。施主から紹介を受けた場合、その施主は明らかに事業に関係があると考えられますが、謝礼金が情報提供の対価と見なされるためには、あらかじめ契約に基づくものであり、提供されたサービスが具体的で適切な価値があることが必要です。御質問のケースでは、たまたまの紹介に基づく謝礼金であり、この要件を満たしていません。したがって、紹介者への好意を買う目的でない場合でも、社交的な儀礼としての費用は交際費等とされる場合があります。御質問のケースでは、その謝礼金は社交儀礼的な費用として交際費等に該当すると解釈されます。