「所得税」カテゴリーアーカイブ

遊体土地における果樹栽培

Q.内科医院を営む私が数年前に購入した土地で栗を植え、今年初めて実をつけて売った収入は事業(農業)所得に該当しますか?また、栗の栽培に関連する損失は医業の所得から差し引くことができますか?

A.栗の販売から得た収入は、原則として事業(農業)所得として扱われます。収入から必要経費を差し引いたものが所得と計算されます。しかし、あなたの場合、購入した土地は宅地であり、農業を意図していないこと、植樹本数が少なく、趣味の範囲での活動であると考えられるため、一般的な意味での事業活動とは認められません。そのため、得た収入は副次的なものとしての雑所得と考えられ、医業の所得から損失を差し引くことはできません。

外国の不動産を譲渡した場合に生じた為替差損

Q.4年前に米国カリフォルニアで購入した土地を、資金繰りのため地元の会社へ譲渡しました。譲渡価額は12万ドル、取得時の価額は10万ドルで、為替レートは譲渡時が1ドル=100円、取得時が1ドル=130円でした。この場合、為替差損が生じていますが、どのように処理すればよいですか?

A.外貨で取引を行った資産の譲渡では、資産の価格変動による利益とは別に、為替の変動からくる損益も考慮に入れる必要があります。為替差損益は、外貨表示された取引金額を、その取引時の為替レートによって円に換算した額で計算します。このケースでは、譲渡した土地に関する為替差損を含めた損失は、1,000,000円(譲渡損失)となります。具体的には、譲渡価額の12万ドルを1ドル=100円で換算すると1,200万円、取得価額の10万ドルを1ドル=130円で換算すると1,300万円です。その差額である100万円が譲渡損失として計算されます。

税理士であった夫の関与先を譲渡した場合の所得

Q.税理士であった夫が亡くなり、夫の関与先を別の税理士に引き継ぎ、その対価として200万円を受け取りました。この収入は営業権の譲渡所得として申告してよろしいですか?

A.税理士業は個々の税理士が持つ専門知識や技能を生かして行う非常に個人的な仕事であり、税理士と顧客との間の顧問契約も非常に個人的な関係に基づいています。そのため、税理士が亡くなった場合、その関与先を別の税理士が引き継ぐことは原則としてできません。亡くなった税理士が担っていた関与先を別の税理士に紹介し、その対価としてお金を受け取るケースでは、その収入は営業権の譲渡とは見なされません。税理士業務では顧客との個人的な信頼関係が大切な役割を担っており、このような信頼関係に基づいて関与先を紹介されることは、新たな税理士にとっても有益なものと考えられます。このため、このケースでの収入はB税理士への関与先紹介に対する報酬として、雑所得として申告することになります。

還付加算金の所得区分

Q.更正の請求や不服申立てにより納付済みの税額が減額されたり取り消されたりして還付される場合、付加される還付加算金がなぜ雑所得として課税されるのか教えてください。

A.税金が期限後に納付される場合、遅延した期間に応じて延滞税や利子税が課せられます。これに対して、納税者が支払った税金が減額されたり取り消されたりして国から還付される場合、その還付金には期間に応じた還付加算金が付加されます。この還付加算金は、国税通則法や地方税法によって還付される税金に追加される利子のようなものと考えられます。また、この加算金は税務当局の誤りにかかわらず支払われ、損害賠償の性質を持たないため、非課税所得にはあたりません。そのため、所得税法では還付加算金を雑所得の一部として扱っており、これは非営業貸金の利子が雑所得に該当するのと同じ理由です。

ホームステイの外国人受入家庭が受ける謝礼金

Q.ホームステイさせた際に受け取った謝礼金は雑所得として申告する必要がありますか?

A.国際交流を深め、友好親善を目的として、国際交流基金等は海外から招へいした適切な人物に対するホームステイのため、受け入れる家庭へ謝礼金を支給しています。この謝礼金は、1家庭につき年間3か月の滞在を限度に、1泊あたり5,000円以内が支払われます。受け入れ家庭はこの金額を食事代やその他の経費の一部として使用しています。ホームステイの目的や謝礼金の性質を踏まえると、この謝礼金を課税対象外として扱うことになっています。したがって、この謝礼金については雑所得として申告する必要はありません。

不動産を担保に提供した際に受け取った謝礼

Q.同族会社の役員をしており、会社が銀行から借入れを行うために、私が所有する土地を担保に提供しました。この際に会社から受け取った100万円の謝礼金は不動産所得になるのでしょうか。また、この土地は借入金で取得したもので、その利息を支払っていますが、この支払利息は謝礼金に対する必要経費になりますか。

A.不動産所得とは、不動産やその上にある権利、船舶や航空機を貸し出すことから得られる所得を指します。しかしながら、土地を担保に提供して受け取る謝礼金は、土地そのものの貸し出しによる対価ではなく、土地の処分価値を利用することによる対価であるため、不動産所得には該当しません。さらに、この謝礼金は対価性がありますが、一時所得にも該当しないため、雑所得に分類されます。また、土地を取得するための借入金の利息に関しては、不動産の使用収益から発生する必要経費となることがありますが、土地を担保に提供したこと自体が利用収益に影響を与えず、単なる処分価値の利用に過ぎないため、謝礼金に対する必要経費として控除することはできません。

利息の定めのない一時的な資金の貸付けに関して受ける謝礼金

Q.無利息で友人が社長をしている甲社に一時的な資金繰りのために2,500万円を貸し付け、返済期日前に500万円の謝礼金を含む全額返済を受けました。この謝礼金は贈与として扱われるものなのでしょうか?

A.あなたが甲社に一時的に2,500万円を無利息で貸し付け、甲社が資金繰りの改善によって返済期日より早く500万円の謝礼金を含めて返済したケースについて考えます。贈与とは、一方の当事者が自己の財産を無償で相手方に渡し、相手方がそれを受け入れることで成立しますが、謝礼金の受領経緯からすると、甲社は貸し付けによって事業が好転したことへの対価として謝礼金を支払っています。謝礼金が高額であることや、貸し付けが事業改善に貢献したことを踏まえると、この謝礼金は対価性があると見るべきです。したがって、質問の謝礼金は贈与による一時所得ではなく、雑所得に該当し、課税対象となります。

土砂等を自己の所有する土地に捨てさせた場合の謝礼

Q.私はサラリーマンですが、このたび建設業者から、私の所有する窪地へ土砂を捨てさせたお礼として100万円をもらいました。この100万円は不動産所得として申告してよろしいでしょうか。

A.お持ちの空地に建設業者から土砂等を捨てさせた場合は、その土地を賃貸しているのではなく、土砂を捨てる場所を提供しているだけです。そのため、もらった100万円は不動産所得ではなく、雑所得として扱われます。しかし、その土地が不動産業者が販売目的で持っている場合は、状況が変わります。その場合は、雑所得ではなく、事業に関連した一時的な収入、つまり事業所得として扱われることになります。

不動産仲介業者の使用人が取引先から直接受け取った礼金

Q.不動産仲介業者に勤める使用人Aが取引先B社から感謝の意を示して謝礼金100万円を受け取った場合、この謝礼金はどのような所得に分類されますか?Aは給与所得以外には収入がありません。

A.給与をもらう人(営業報酬など他の収入がない人を想定)が、自分の勤め先以外の取引先から直接謝礼金を受け取る場合、そのお金は基本的には勤め先から受け取った賞与と同じように扱われます。ただし、贈ってもらった金品が働く上での職務に関連しているかどうかで、どの種類の所得になるかが決まります。主に、(1)法人からの一時的な贈り物は一時所得、(2)職務に関連し取引先などからもらった金品は雑所得に分類されます。そのため、質問のケースでは、使用人Aが職務に関連して取引先から謝礼金を受け取っているため、雑所得に該当します。

会社退職者互助会が支払う遺族年金

Q. 会社退職者互助会制度がある場合、会員の相続人が受け取る遺族年金は非課税となりますか?

A. 会社退職者互助会は、一定期間A社に勤めた退職者同士が組織する福利厚生団体です。この団体から会員の遺族に支払われる遺族年金について、非課税とされる遺族年金は亡くなった人の仕事に基づいて支払われるものに限られます。A会社退職者互助会からの年金は、退職者同士の相互扶助を目的として支給されるため、仕事に基づいて支払われるわけではありません。この理由から、この遺族年金は非課税所得には該当せず、雑所得に分類されます。