「所得税」カテゴリーアーカイブ

税制非適格ストックオプション(無償・有利発行型の課税関係)

Q.勤務先から譲渡制限のある税制非適格ストックオプションを無償で取得しました。この場合の課税関係について教えてください。

A.勤務先から譲渡制限付きの税制非適格ストックオプションを無償で受け取った場合、そのストックオプションをそのまま譲渡して利益を得ることができないため、取得時には課税されません。しかし、そのストックオプションを行使して株式を取得した時には、その時の株価と権利行使価額の差額が給与所得として認識され、所得税がかかります。例えば、ストックオプションの付与時の株価が200、行使時の株価が800(権利行使価額200)であれば、行使時には600の給与所得として課税されます。その上で、発行会社はこの経済的利益に対して源泉所得税を徴収して納付する必要があります。最終的に、行使して取得した株式を売却した場合には、売却時の株価と行使時の株価の差額が株式譲渡益として課税されます。つまり、譲渡時の株価が1000、行使時の株価が800であれば、200の株式譲渡益が発生し、税金がかかることになります。

源泉徴収選択 口座における上場株式等の配当等 と譲渡損失 との損益通算

Q.特定口座(源泉徴収選択口座)で上場株式等の譲渡及び配当を受け取っていますが、損益通算後の配当所得(50万円)のみを確定申告で申告すればよいかどうか知りたいです。

A.特定口座(源泉徴収選択口座)において、上場株式等の配当と譲渡損失を含めた損益通算を行うことは可能です。しかし、確定申告を行う場合には、損益通算前の金額で申告する必要があります。つまり、特定口座での配当所得(100万円)と譲渡損失(△50万円)、そして一般口座での譲渡益(30万円)をすべて申告するべきです。その結果、合計の所得として計算される税金を納付することになります。

上場株式等に係る譲渡損失の損益通算

Q.私はサラリーマンであり、株の売買も行っておりますが、令和5年の上場株式の譲渡により30万円の損失が発生しました。上場株式の譲渡損失と配当所得の損益通算について改正があったと聞きましたが、私の場合の計算はどうなりますか?また、30万円の譲渡損失、20万円の一般株式に係る譲渡所得、50万円の上場株式に係る配当所得があり、令和4年に生じた譲渡損失10万円が令和5年に繰り越されます。

A.平成28年度から、上場株式等の譲渡による損失が発生した場合、上場株式等に係る配当所得までの額を限度に、その年の上場株式等に関する配当所得から損失額を差し引くことができます。この特例は、その年に他の上場株式等の譲渡所得から差し引くことができずに残った損失額に適用されます。あなたの場合、上場株式の譲渡で生じた30万円の損失と50万円の配当所得がありますので、損益通算後の配当所得は20万円となります。更に、令和4年の譲渡損失10万円を繰り越し、配当所得20万円から差し引くことができるため、最終的な配当所得は10万円となります。この処理を行うためには、配当所得に対して申告分離課税を選択する必要がありますが、一度選択すると後から変更することはできませんので注意が必要です。

上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

Q.上場株式等を譲渡したことにより生じた損失の金額がある場合の損益通算と繰越控除について概要を教えてください。

A.上場株式等を譲渡して損失が出た場合、それを配当所得と通算できる制度があります。この損失は、その年で全額控除できない場合、次の3年間で上場株式等の譲渡所得や配当所得から控除することができます。この制度を利用するためには、確定申告時に特定の書類を提出して通算を申請し、その年の配当所得の計算から上場株式等の譲渡損失を引くことができます。しかし、申告分離課税を選択した配当所得に対してのみ適用でき、総合課税を選択した配当所得には適用できません。さらに、譲渡損失がすぐには控除しきれない場合、翌年以降3年間にわたって控除することが可能ですが、そのためには毎年、連続して確定申告を行い、必要な書類を添付する必要があります。年度によっては譲渡損失と譲渡益の通算が認められる年と認められない年がありますので、詳細は最新の税法を確認する必要があります。

株式の譲渡損失の損益通算

Q.一般株式等の譲渡による譲渡所得の損失70万円は、他の所得と損益通算できるのでしょうか?

A.一般株式などを売却して生じた損失は一定のルールによって扱われます。具体的には、一般株式等の売却に関連する事業所得で発生した損失は、その損失によって生じた譲渡所得や雑所得から差し引かれます。また、譲渡所得の計算で出た損失は、事業所得や雑所得から差し引かれます。そして、雑所得で発生した損失も、同様に事業所得や譲渡所得から差し引かれます。ただし、これらの損失をすべて差し引いた後にまだ損失が残る場合は、その損失は無かったことにされ、他の所得と合算して扱うことはできません。ですので、質問者のケースでは、譲渡所得に関連する損失70万円は雑所得50万円とのみ差し引かれ、不足分の20万円は無かったことにされます。

売買における有価証券の評価方法

Q. 売買における有価証券の評価方法は?

A. 事業所得と譲渡所得または雑所得とで有価証券(株式など)の取得価額の計算方法が異なりますので、注意が必要です。まず、事業所得に該当する場合、評価方法を選択しなかったか、選択した方法で評価しなかった場合は、総平均法を用いて1単位あたりの金額を計算します。ただし、事業所得の計算では移動平均法は適用できません。次に、譲渡所得や雑所得の計算では、取得費用または必要経費を総平均法に準ずる方法で算出した1単位あたりの金額で計算します。この「総平均法に準ずる方法」は、その有価証券を最初に取得した時から譲渡した時までの期間を基に計算し、この期間内に取得した有価証券と既に所有していた有価証券の平均を取ります。例えば、1年間に取得した有価証券はそれぞれの種類と銘柄によって分けて計算し、譲渡の都度、総平均法で1単位あたりの原価を計算します。具体例では、5月31日に譲渡した有価証券の1株あたりの取得原価は120円で、総額では240万円。8月30日に譲渡したものは1株あたりの取得原価が200円で、総額200万円でした。結果、A銘柄の譲渡による雑所得の計算で必要経費に算入できる取得原価は、合計で440万円となります。

新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により取得した株式の取得価額

Q.私は新株予約権付社債の新株予約権の行使により株式を取得しました。この株式の取得価額はどのように計算するのでしょうか。

A.新株予約権付社債から株式を取得する際のその株式の価値は、新株予約権を行使することで出資される財産の価格が、その社債を発行した時点での企業の株価を基に適切に設定されている場合に計算できます。取得する株式一株あたりの価格は、特定の式を使って計算された金額になります。その計算式は、新株予約権付社債の行使直前の払込みに関する新株予約権付社債と、その取得株式数に基づいています。

新株予約権により取得した株式の取得価額

Q.私は新株予約権の行使により株式を取得しました。この株式の取得価額はどのように計算するのでしょうか。

A.新株予約権を行使して株式を取得した場合、その株式の取得価額は二つの方法で計算されます。まず、発行法人が与えた新株予約権に基づいて株式を取得した場合、その取得価額は権利行使日の株価から新株発行価額を差し引いた金額になります。つまり、権利行使日の株式の市場価格が基準になります。しかし、市場などで自己調達した新株予約権の場合、取得した株式1株あたりの価額は特定の計算式に基づいて決まります。この計算式では、新株予約権の行使直前の取得価額と自身が支払った金額を含めて算出します。これにより、新株予約権を行使して取得した株式の正確な取得価額を求めることができます。

信用取引等による株式の取得価額

Q.信用取引により株式を売買している場合、取得価額はどのように計算するのでしょうか。

A.信用取引や発行日取引、または有価証券先物取引を通じて株式を売買し、これらの取引において株式の売買を完了させる場合、売却した株式の取得に関連する経費をその年の事業所得や雑所得から差し引くことができる経費に計上することができます。具体的には、株式を購入するために支出した金額を、取得価額として計算します。

有価証券の取得価額

Q.有価証券の取得方法については、購入によるもののほか、種々の態様により取得する場合がありますが、それぞれの場合、取得価額はどのように計算するのでしょうか。

A.有価証券を取得する際の価額の計算は、所得税法の施行令に基づく評価の原則に従います。取得の方法に応じて、以下のように計算します。

1. 通常の取得の場合:

   – 金銭での購入や新株予約権の使用による取得: 支払った金額や新株予約権の価額と、取得にかかった費用の合計。

   – 特定譲渡制限付株式や承継譲渡制限付株式の取得: 制限解除日または特定の条件下での死亡日の価額。

   – 発行法人から与えられた権利の行使による取得: 権利行使日の価額。

   – 費用を要しないで得られた株式や新株予約権: 0円。

   – 購入した有価証券: 購入代金と関連費用の合計。

   – その他の方法による取得: 通常要する価額。

2. 贈与や相続による取得:

   – 贈与、相続、或いは遺贈による取得: 被相続人死亡時の評価方法に基づく価額。

   – 著しく低い価額での取得: 支払額と贈与と見なされる金額の合計。

3. 株主割当てによる取得:

   – 会社法施行後の株主割当てによる取得: 特定の計算式による。

4. 昭和27年12月31日以前に取得した株式:

   – 上場株式等: その時期の公表価格等に基づく計算。

   – その他の株式: 指定の計算式による。

なお、実際の取得価額がこの計算方法よりも高い場合は、実際の価額が用いられます。また、有価証券の譲渡による収入の一部を取得価額とする特例もあります。