「所得税」カテゴリーアーカイブ

広告宣伝用資産の受贈益

Q.販売成績が良いため、仕入先の寝具メーカーから、メーカーの製品名がサイドに大きく描かれた四輪貨物自動車2台(時価120万円相当/台)を1台あたり100万円で譲り受けました。この受贈益140万円は課税されるか、また、減価償却費の計算はどうなるか。

A.例えば、販売成績が良いという理由で、サプライヤーから特定の商品名が目立つように書かれたバン2台を時価より低い価格で購入した場合、この受贈益は課税対象となります。金銭だけでなく、権利や他の経済的利益の価値も収入に含まれるからです。この場合の経済的利益(つまり、時価と実際に支払った価格の差額)は、総収入として報告する必要があります。

宣伝目的で車やその他の資産を無償や割安価格で取得すると、その価値の2/3から実際に支払った金額を引いた額を経済的利益として計算します。宣伝が大きな目的であるため、このように価値が下がります。ただし、経済的利益が30万円以下の場合や、純粋に広告目的の資産である場合は、収入として計上する必要はありません。

あなたの場合、計算によると経済的利益は全体で140万円ではなく、60万円になります(120万円時価の車2台を購入し、合計200万円の価値があるところを100万円で購入したため)。このため、経済的利益は30万円を超えるため、全額が収入として計上される必要があります。

収入として計上した後の減価償却費は、車両の取得価額(支払い+収入に計上した額、合計160万円)を基に計算します。

建築協力金による経済的利益

Q.不動産貸付業者が新しくビルを建築する際にテナントから建築協力金を受け取り、保証金を設定することについて、この資金の使用と課税関係について教えてください。

A.不動産の貸し借りに関わる敷金や保証金などは通常、無利息で長期間保持されるのが通例です。しかし、金銭を無利息または低利率で貸し出した場合、通常の利率で計算される利息と実際に支払われる利息との差額は所得税法に基づく「経済的利益」として認識されます。このようにして、建築協力金をはじめとする敷金等からも経済的利益が生じることになります。建物の賃貸契約を結ぶ際には、受け取った建築協力金の性質は借入金に等しく、低利率または無利息であるため経済的利益が生じると考えられます。ただし、経済的利益の計算には特別な規定があり、注意が必要です。収受した建築協力金や敷金等に対する経済的利益は、不動産所得の総収入金額に算入されるべきものとされています。また、これらの資金を事業活動や他の資産運用に使用した場合は、それによって発生した経済的利益が費用として計上されることになります。

経済的利益に含まれるもの

Q.各種所得の収入金額とされる経済的利益には、どのようなものがありますか。

A.経済的利益として認識される収入金額には、以下のような利益があります。まず、物品や他の資産を無償または安価に譲り受けた際、その資産の時価または時価と実際の対価との差額に相当する利益が含まれます。次に、土地や家屋などの資産(金銭除く)を無償または低価で借りたとき、通常支払うべき対価またはその対価と実際支払った対価との差額に相当する利益があります。金銭を無利息または市場利率よりも低い利率で借りた場合、市場利率で計算した利息またはその利息と実際に支払った利息との差額が利益とされます。さらに、他のサービスを無償または安価に受けた場合、通常支払うべき対価またはその対価と実際に支払った額との差額に相当する利益も算入されます。最後に、債務の免除を受けた場合、その免除された金額や自分の債務を他人が負担した額に相当する利益が含まれます。

有限責任事業組合の事業に係る組合員の事業所得等の所得計算の特例

Q.有限責任事業組合とはどのような組合なのでしょうか。また、この場合の分配金の課税関係はどのように取り扱われますか。

A.有限責任事業組合は、「有限責任事業組合契約に関する法律」に規定された組合の形態で、個人や法人が共同で事業を行うときに、健全な発展を目指し、組合員全員が有限責任を持つシステムです。この制度は、ベンチャー企業、中小企業と大企業のコラボレーション、共同研究開発、ITや金融分野の専門技術を持つ人々による共同事業を推進し、新しい産業の創出を促すために設けられました。税制面では、「有限責任事業組合の事業に係る組合員の事業所得等の所得計算の特例」が設けられており、この特例の下では、組合員が個人の場合、特定の書類を期限内に税務署に提出する必要があります。計算方法としては、事業所得等の損失額は、組合事業から生じる総収入金額と必要経費の合計から判断され、損失額が調整出資金額を超えない限り、通常の所得税法による計算が適用されます。調整出資金額自体は組合員の出資限度をもとに計算され、損失額がこの金額を超える場合、特殊な扱いがされます。複数の有限責任事業組合に参加している場合は、各組合事業ごとに計算が必要です。

特定組合員の不動産所得に係る損益通算等の特例

Q.特定組合員である個人が任意組合等の事業から受け取る不動産所得の損失については、損益通算が認められないと聞きましたが、どのような制度ですか。

A.特定組合員が民法に規定される任意組合契約や投資事業有限責任組合契約などに基づき事業を営んでいる場合、その事業からの不動産所得の損失は所得金額の計算上、無かったことにされます。対象となる特定組合員は、重要な財産の処理や多額の借財に関わる決定には関与していない人々です。特定組合員かどうかはその年の12月31日の状況によって判断されます。特定組合員が不動産所得の損失を被った場合、その損失は通算(他の収益との損益を相殺)することができず、各事業ごとに損失額を計算します。確定申告をする際には、「組合事業から生ずる不動産所得の金額の計算に関する明細書」の提出が必要です。

任意組合の事業に係る利益の分配

Q.任意組合の組合員が、利益の分配以外に毎月給料の支給を受けている場合、この給料は給与所得ですか?

A.任意組合(民法第667条に定められた組合契約に基づくもの)は、個人が集まって形成された集団で、法人格を持っていません。そのため、任意組合が行う事業から得られる所得は、組合員一人一人の所得として認められるのです。給料などとして分配される場合も、その名称に関わらず、組合の主たる事業の種類に応じて、不動産所得、事業所得、山林所得または雑所得として分類されます。このため、受け取った給料は給与所得ではなく、組合の事業の種類に基づいて分配されることになります。

任意組合の事業による所得

Q.物品卸売業を友人3人との共同事業で行う予定で、出資金や利益の分配を規定する規約の作成をしています。この事業を任意組合方式で行いたいと考えていますが、規約の内容によって、各人の所得税の課税関係はどのようになりますか?

A.任意組合とは、複数の人が資金や他の財産、労働などを出し合い、共同で事業を経営することを約束する契約のことです。この組合は、民法においては法人ではないため、法人税の対象にはなりませんが、組合員が共有する財産から生じる所得は各組合員の所得として認識され、所得税が課税されます。利益は組合員間で共有され、その分配の仕方や出資の割合に応じて、各組合員に所得税がかかります。

組合員が決めた規約に基づいて、所得計算が行われますが、所得税負担の公平を保つために、一般的には以下の3つの計算方法があります。1つ目は、収入、支出、資産、負債など全般について報告を受け、それに基づいて計算する方法です。2つ目は、収支計算の報告のみを受けて、損益のみを計算する方法です。3つ目は、損益の額の報告のみを受けて、利益や損失のみを計算する方法です。これらの方法による計算は、組合員によって所得の計算方法や財産の認識に差が出ます。

提案された事業に参加するあなたも、これらのいずれかの方法で所得計算を行うことになり、計算期間は基本的に暦年で行わなければならないのですが、独自の事業年度を設定している場合には、その期間に従うことができます。

匿名組合契約による組合員の所得

Q.私は、物品販売業を営むAの事業のために出資をし、Aの事業から生じる利益の分配を受ける旨の匿名組合契約を結んでいます。この利益の分配は、何所得として課税されるでしょうか。なお、私は出資を行うのみで、Aの事業には、全く関与していません。

A.匿名組合契約とは、一方の当事者が相手方の営業のためにお金を出資し、その営業から得られる利益を分配する約束をした契約のことです。この契約によって、出資者は営業者の営業から得られる利益の分配を受ける権利を持ちますが、出資は営業者の財産となり、出資者は他人に対して営業者の営業行為に関する権利や義務を持ちません。したがって、この利益分配される利益は、最初に営業者に帰属し、その後出資者に分配されるため、税金は出資者に分配される利益に対して課されます。この利益は、出資や投資の対価としての性質を持つため、「雑所得」として分類されます。ただし、出資者が営業者と共に事業の重要な決定を行い、共同で事業を経営している場合は、利益の分配は事業所得またはその他の所得として扱われます。あなたは、Aのために出資をし、利益の分配を受けるだけでAの事業経営には関与していないので、受ける利益の分配は「雑所得」として課税されます。

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

Q.先物取引の差金等決済に係る損失について、その繰越控除の詳細を教えてください。

A.先物取引による差金決済で生じた損失について繰越控除を利用すると、その損失を翌年から3年間繰り越して、先物取引からの収入に対して損失分を差し引いて計算することができます。この繰越控除を受けるには順番があり、もし過去3年間で複数年にわたり損失がある場合は、最も古い年から順に損失を差し引きます。また、他の種類の損失の繰越控除を受ける際には、この先物取引の損失繰越控除を先に適用後、他の損失を繰り越します。繰越控除を利用するためには、損失が生じた年の確定申告時に特定の申告書と計算明細書を提出し、その後も繰越を利用する年ごとにこれらの書類を提出する必要があります。

先物取引に係る雑所得等の課税の特例

Q.「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」の概要について教えてください。

A.日本に住んでいる人、または日本に事業拠点を持つ外国人が特定の先物取引で利益や損失を確定させた場合、その取引から得た事業所得、譲渡所得、および雑所得の合計額に対して、通常の所得とは別に特別な課税方法が適用されます。この特別な課税方法では、所得税が一律15%(地方税を加えると合計20%)です。ただし、平成25年から令和19年までの確定申告には、所得税に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わります。

適用対象となる先物取引には、ある条件を満たした商品先物取引や金融商品先物取引、カバードワラントなどが含まれます。ただし、対象外の取引もあります。

先物取引から生じた損失は、他の先物取引の所得との損益通算は可能ですが、先物取引以外の所得との通算はできません。さらに、先物取引で生じた損失は、特定の要件を満たせば、今後3年間に渡って繰り越して控除することができます。

確定申告をする際は「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を提出する必要があり、その明細書には取引に関わる収入や経費の詳細を記載します。

先物取引を行う人は、取引を行う都度、名前や住所、個人番号または法人番号を先物取引を委託する業者などに提出し、本人確認のための書類提示も必要です。ただし、令和2年5月1日から12月31日の間に行われる特定の取引については、この手続きが免除されます。