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医師の社会保険診療報酬に係る所得計算の特例と青色申告特別控除額

Q.私は、青色申告の承認を受けている内科医です。e-Taxにより申告予定ですが、社会保険診療報酬について租税特別措置法第26条による所得計算の特例の適用を受けたいと思っています。その適用後の所得について、青色申告特別控除は可能でしょうか?

A.青色申告をしている医師や歯科医師の場合、社会保険診療報酬には所得計算の特例が適用されます。これは、社会保険診療報酬の収入に対して定められた必要経費率を使って所得を計算することができるというものです。しかし、この特例を適用した所得には、青色申告特別控除が適用されません。控除を計算する際には、この所得を除外し、自由診療報酬に関する所得のみを計算基盤とします。青色申告特別控除には65万円の制度と10万円の制度がありますが、どちらを選ぶかによって計算基盤となる金額が変わります。65万円の控除制度を適用する場合、基盤となる金額は不動産所得と自由診療報酬の合計、すなわち7万円です。10万円の控除を適用する場合、基盤となる金額には山林所得も含まれ、合計207万円になります。したがって、10万円の青色申告特別控除制度を適用することとなり、各種所得の金額は次の通りになります:不動産所得0円、事業所得 (その他の事業) 1,197万円、山林所得200万円。社会保険診療報酬に関する所得は、青色申告特別控除の計算では除外されますが、控除額を計算する際に除外する必要はありません。

損失がある場合の青色申告特別控除額の計算

Q. 次のような所得を有する青色申告者の場合、青色申告特別控除額の計算方法を説明してください。事業所得がマイナス80万円、雑所得が20万円、不動産所得が30万円、山林所得が20万円、分離長期譲渡所得が80万円です。

A. 青色申告者の特別控除額の計算は、基本的に二つの制度があります。第一の制度では、55万円または65万円のいずれか低い額が控除の限界です。この制度の適用を受ける場合、事業所得や不動産所得など「黒字」の所得を基に計算します。損益通算前、つまり損失を差し引く前の収入が基礎になります。例えば、不動産所得が30万円だとすれば、55万円や65万円と比較して低い30万円が控除されます。さらに、この制度では不動産所得や事業所得から優先的に控除します。

第二の制度では、不動産所得、事業所得、山林所得の合計から最大10万円まで控除することができます。もし不動産所得が30万円、山林所得が20万円の場合、合計50万円の所得から10万円が控除されます。この10万円の控除も、不動産所得や事業所得、山林所得から順に適用されます。

青色 申告特別控除制度の概要

Q.青色申告特別控除制度について、内容を教えてください。

A.青色申告特別控除制度は、正確な記帳を奨励し、青色申告の利用を促進するために設けられた制度です。この制度には、55万円、65万円、そして10万円の青色申告特別控除という3つの主要な控除額があります。

1. 55万円の青色申告特別控除は、適切な帳簿記録を行い、不動産所得または事業所得を持つ青色申告者が利用できます。ただし、現金主義を選択した人は対象外です。所得から55万円または所得合計額のいずれか小さい金額を控除できます。この特別控除を受けるためには、確定申告書に特別控除の申請とその計算に関する情報を記載し、所要の帳簿書類に基づく貸借対照表や損益計算書などを添付し、期限内に提出する必要があります。

2. 65万円の青色申告特別控除は、令和2年分以降の所得税から適用されるもので、電子記録を行い、またはe-Taxを使用して確定申告書などを提出するなどの条件を満たす青色申告者が利用できます。これにより、不動産所得や事業所得から65万円または所得合計額のいずれか小さい金額を控除することができます。

3. 10万円の青色申告特別控除は、上述の65万円や55万円の控除が適用されない青色申告者が利用できるものです。不動産所得、事業所得、山林所得から10万円または所得合計額のいずれか小さい金額を控除できます。

それぞれの控除は特定の条件を満たす必要があり、正確な確定申告とともに適切な書類の提出が求められます。

従業員に係る在宅勤務費用

Q.新型コロナウイルス感染症対策として、従業員が自宅での在宅勤務に関わるスペースの消毒やPCR検査等の費用を、外部業者へ支払う予定ですが、これらの費用は事業所得から必要経費として差し引くことができるのでしょうか?また、これらを従業員に支給する場合、給与としての扱いになり税金が発生するのでしょうか?

A.所得税法では、事業で直接必要な費用や販売費、一般管理費など、収入を生むためにかかった費用が必要経費として認められます。従業員の在宅勤務に関わる費用は、事業を行うために通常必要な費用と見なされるため、事業所得の計算で必要経費として差し引くことが可能です。在宅勤務のスペースの消毒やPCR検査の費用も、業務のためかかった通常の費用として、事業主がこれらを従業員に支払う場合、支払い方法に関わらず、これらを従業員の給与として課税する必要はありません。但し、従業員が自分で支払った場合や事業主が前払いした金額を業務以外の目的に使用し、それを返還しない場合は、その金額は従業員の給与として課税されます。

職場以外の場所での勤務に関する費用

Q.新型コロナウイルス感染症の感染予防として、感染が疑われる従業員がホテルで勤務する場合、ホテルの利用料や交通費を事業所得の計算上、必要経費として認められますか?また、これらの費用の従業員への支給は給与として課税される必要があるのでしょうか?

A.従業員が職場以外の場所で勤務することが事業主によって認められており、そのための通常必要なホテル利用料や交通費などの業務で通常必要な費用は、事業所得の計算で必要経費として認められます。これらの費用について事業主が従業員に支給する金銭は、一定の条件下では従業員への給与として課税される必要がありません。しかし、通常必要な費用以外や、支給した金銭が業務で必要な費用として使われなかった場合には、従業員への給与として課税される必要があります。

パート収入と内職収入がある場合

Q.現在内職で縫製加工を行っていて、パートの仕事もしていました。本年の収入状況は内職収入が70万円で必要経費20万円、パート収入が30万円で給与所得控除額が30万円です。家内労働者等の所得計算の特例の適用について教えてください。

A.家内労働者やその他特定の条件を満たす人が事業所得や雑所得に対して所得税の計算において特例を適用できます。この特例を使う場合、必要経費は一律に設定されていて、収入の種類(事業所得または雑所得)に応じて定められた金額(一般には55万円)が必要経費として認められます。ただし、給与所得がある場合は給与所得控除額を55万円から差し引いた金額が必要経費となります。あなたの場合、給与所得による控除額が30万円なので、25万円(550,000円 – 300,000円)が内職による事業所得の最低保障額としての必要経費となります。従って、70万円の内職収入からこの25万円を引くと、事業所得は45万円(700,000円 – 250,000円)と計算されます。この特例の適用により、あなたの事業所得の計算方法が明確になります。

家内労働者等の所得計算の特例

Q.家内労働者等とはどのような人をいうのでしょうか。

A.家内労働者等というのは、特定の仕事をする人のことを指します。これには家内労働者、外交員や集金人、電力量計の検針員など、特定の人々に継続的にサービスを提供する業務を行う人が含まれます。これらの人々が事業所得や雑所得を持っている場合、彼らは家内労働者等とみなされます。具体的に、「家内労働者」とは、主に物の製造、加工、修理などの作業を、他の業者から委託されて行う人々のことを言います。これらの人々は、自分の家に属さない人を雇用することなく、これらの作業に従事するのが普通です。家内労働者等の人々は、収入から55万円の経費を差し引けるという特別な計算方法の恩恵を受けることができますが、給与所得がある場合はその計算が少し変わります。

砂利採取地に係る埋戻費用

Q.青色申告者で砂利販売業を営む者が、他人の所有する田地から砂利を採取し、後に畑地として使用できるように埋め戻す契約をした場合、埋戻し費用の支出が3年後であり債務の金額が見積計算で確定していない場合でも、見積額で各年分の必要経費の算入が認められるか。

A.埋戻し費用は、砂利採取が終わった後に発生する事後的費用として計上されます。しかし、砂利採取後の跡地を埋め戻す費用は通常砂利の販売価格に反映されると考えられます。したがって、他の者の土地から砂利等を採取して販売する場合において、契約によりその後の跡地を埋め戻して土地を原状に復することを約束しているときは、その採取を開始した年以後、埋戻しを行う年の直前の年までの各年において、計算した埋戻し費用の見積額を砂利等の取得価額に算入することにより、結果的に必要経費に算入することが認められるようになっています。この取扱いは、自己の所有地から砂利等を採取する場合には適用されませんので、注意が必要です。

生計を一にする親族の所有する資産の無償使用

Q.生計を一にする母の所有する店舗を無償で借りて事業を始めようと思います。この場合、その店舗に係る減価償却費や固定資産税などは私の事業所得の金額の計算上必要経費に算入できるでしょうか。また、その店舗の2階に私又は母が居住する場合と、2階を空き屋として全く別の家に母と共に居住する場合とで、店舗に係る減価償却費や固定資産税の額の必要経費算入額が異なってきますか。

A.お母様の店舗を無償でお借りして事業を行う場合でも、減価償却費、固定資産税、修繕費などの維持管理費用は事業所得の計算上、必要経費として考慮できます。重要な点として、事業のために使っている部分のみが必要経費として認められますので、たとえば店舗の2階部分を事業に使っていなければ、その部分に関わる経費は必要経費にはなりません。そのため、2階にお住まいであるか、または別の場所に居住しているかによって必要経費に算入できる額には変わりはありません。

任意契約に基づく診療報酬

Q.私は、甲株式会社の健康保険組合が経営する歯科診療所で治療行為を行っています。その報酬として、社会保険診療報酬額の85%相当額を甲株式会社の健康保険組合から受け取っています。この場合、私は確定申告に当たって、社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用が受けられますか。

A.社会保険診療報酬の所得計算の特例は、個人で医業や歯科医業を経営しており、社会保険診療から支払いを受けている場合に適用されます。この特例には、健康保険法など特定の法律に基づく診療報酬が含まれるため、あなたが甲株式会社の健康保険組合から受け取っている任意契約に基づく報酬は、この特例の対象外とされます。そのため、あなたが雇用されていて報酬を受け取っているこの状況では、社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用を受けることはできません。