Q.収用等に伴い起業者から交付を受ける経費補償金のなかで、収用等の場合の課税の特例が適用されるものには、どのようなものがありますか。
A.経費補償金は通常、収用などの場面での課税特例の適用対象外です。しかし、以下の状況では特例が適用されます。ある資産(例:土地や建物、機械装置)が収用等により売却せざるを得なくなった際、その売却による損失の補償として起業者から受け取る補償金は経費補償金とみなされます。特に、事業全体を廃止した場合や、従来行っていた業種の事業を廃止し、かつ、該当する機械装置等を他で使うことができない場合に受け取る機械装置等の売却損の補償金に関しては、対価補償金として扱われます。この場合、該当機械装置等の会計上の価値のうち対価補償金に相当する部分は特定の計算式に基づいて算出する必要がありますが、計算式で求めた金額が対価補償金に相当する会計上の価値として記録されている場合は、その扱いが認められます。例えば、機械装置の対価補償金が900万円、帳簿価額が600万円、処分見込み価額または処分価額が100万円、処分による費用が無い場合、900万円の対価補償金のうち、600万円×900万円 ÷ (900万円 + 100万円)=540万円が帳簿上の価値に相当します。この計算により、特例の対象となる金額は360万円(900万円-540万円)となります。また、通達のただし書きに従う場合、600万円のうち900万円の対価補償金に相当する金額は、600万円-100万円=500万円となり、この場合特例の対象となる金額は400万円(900万円-500万円)です。機械装置等の売却損の補償金は一般的に特定の計算式に従って求められるため、この例のように対価補償金が帳簿価値を上回ることがあります。