Q.本年3月に木造の店舗を建築する知人に宅地を賃貸し、借地権の設定の対価としてその知人から権利金3,000万円を受け取ったほか、1,000万円を借り受けました(借受条件:無利子、貸付期間30年)。なお、その宅地の時価は、5,800万円ぐらいと聞いています。この場合、建物所有を目的とする土地の賃貸で、受け取った権利金3,000万円は、その土地の時価(5,800万円)の2分の1相当額を超えることとなり、譲渡所得として申告する必要があることは承知していますが、無利子の借受金(1,000万円)についてはどのように取り扱われるのでしょうか。
A.受け取った3,000万円の権利金の他に、無利息で1,000万円借りることによる特別な経済的利益も考慮に入れる必要があります。特別な経済的利益は、借りた条件が通常の市場における条件よりも明らかに有利である場合に認定され、その場合、その利益の額は権利金に加算して借地権設定の対価と見なされます。この借入による経済的利益の計算は、通常の利率を用いてその借入金額の複利現在価値を求め、それを借入金額から差し引いた金額で行われます。特に、借入期間は1年単位で計算し、小数点以下は切り捨てとなります。その上で、この複利現在価値を計算する際には基準年利率の半分を利用します。
具体的な例として、基準年利率が0.5%の場合、1,000万円の無利子貸付による経済的利益は72万円と算出され、これを権利金3,000万円に加算して、3,072万円が借地権の設定対価となります。この金額は、土地の時価5,800万円の一定割合を越えるため、譲渡所得として申告する必要があります。