「資産税」カテゴリーアーカイブ

借家人が受ける立退料

Q.立退料に対してはどのように課税されますか。

A.借家から立ち退く際に受け取る立退料の中で、借りていた家がもう使えなくなることに対する補償金にあたる部分は、譲渡所得として所得税を申告する必要があります。この譲渡所得は、土地や建物の売却による所得とは異なり、分離課税の対象外です。立退料に含まれるかもしれない引っ越し費用や、もし借家人が事業を行っていた場合の営業補償などは除かれます。実際に引越しにかかった費用を差し引いた残りがあれば、一時所得として申告することになります。また、事業を営む借家人が立ち退きによって収入が減ったり、従業員への給料などの補償が必要な場合、それらの金額は事業所得として申告する必要があります。

土石等の譲渡による所得

Q.私は、山林を親から相続して所有していますが、この山林から砂利が取れるので、近くの建設業者から砂利採取をしたいとの申し入れがありました。山林を売るのではなく、地上の砂利だけを売りたいと思いますが、この場合の収入は何の所得となるのですか。

A.その場合、収入は総合課税の譲渡所得として扱われます。土地の表面または地下から土石、砂利などを譲渡する場合(営利を目的として繰り返し行う場合を除く)は譲渡所得とみなされます。譲渡所得を計算する際、収入金額から差し引くことができる取得費に関する詳細な計算方法については別の問題で説明しています。

土地の賃貸と税金について

Q.自己所有の土地を同族会社に賃貸し、権利金なしで、地代を高くする形で解決した場合、私や同族会社に対する課税はどうなりますか?また、適正な地代はどの程度になりますか?

A.あなたが所有する土地を法人に権利金なしで貸すことは、譲渡所得に関わらず課税されない行為です。しかし、その土地から得られる地代は不動産所得として毎年申告し、税金を支払う必要があります。地域によっては、通常権利金を受け取る習慣がある場合、法人が権利金なしで土地を使用すると、その価値に相当する金額が贈与されたとみなされ、法人税が課せられることがあります。ただし、権利金や特別な経済的利益なしに適当な地代を受け取る場合、その契約は通常の条件と見なされ、受贈税が課されることはありません。一般的に、土地の更地価値の約6%が相応の地代と考えられます。この計算には、土地の相続税評価額や近隣土地の公示価格を基にして算定できます。あなたのケースのように、一時的な権利金支払いなしに地代を高く設定する場合でも、時価の約6%の地代を受け取ることで、通常の取引と認められ、法人税の課税対象とはなりません。ただし、土地を無償返還する条項が契約に含まれている場合は、その土地の「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出すれば、法人に対する受贈益の課税は適用されません。

地役権の設定

Q.私は、A電力帥から、特別高圧架空電線の架設に伴う地役権の設定の対価として400万円を受け取りました。この収入を不動産所得として申告しようと思っていますが、これでよいでしょうか?また、地役権が設定された山林は、先祖から持っていたもので、時価は1,500万円と聞いています。

A.いただいた400万円は不動産の貸付けによる収入ではなく、地役権の設定に対する対価ですので、不動産所得としてではなく、譲渡所得として所得税の申告をする必要があります。特別高圧架空電線の設置による地役権の設定は一定の条件を満たす場合、譲渡所得と見なされます。このケースでは、受け取った400万円が山林の時価(1,500万円)の4分の1を超えているため、譲渡所得として申告する必要があります。また、特定の要件を満たす場合、譲渡所得に対して税制上の特例が適用され得ることがあります。この特例には、一定規模以上の発電施設や送電施設に関する事業による地役権の設定が含まれます。

借地契約の更新料の課税関係

Q.借地権の存続期間が切れたため、その延長について話合いをし、更新料として2,600万円を受け取りました。この場合、更新料はどのように取り扱われますか?

A.今回、契約の更改により受け取った更新料は、借地権の設定に対する対価として考えられます。したがって、受け取った更新料が更地の時価の半分を超える場合、譲渡所得として課税されます。通常、更新料や名義書換料は不動産所得として扱われますが、更新料が契約内容の実質的な変更に関係する場合(例えば、不動産の性質を変更する場合など)、その受領した金額は「資産の譲渡とみなされる行為」として譲渡所得に該当するため税金が課せられます。

借地権利金に代えて保証金を受け取った場合

Q.借地人がビルを建てるという条件で、土地を貸しました。借地権の設定で権利金の代わりに保証金を受け取りました。この保証金は賃貸借契約が終了した場合に返済しなければなりません。この場合でも課税の対象となることはありますか?

A.保証金を受け取った際に生じる特別な経済的利益の量に基づいて計算を行い、その額が土地の時価の半分を超える場合、譲渡所得として税金が課されます。地域によっては権利金の代わりに保証金や敷金等を受け取ることがあり、通常その地域で通常受け取られる保証金額を超える場合には、特別な経済的利益として考えられます。この特別な経済的利益が名目上だけの違いで実質が権利金に相当する場合(例えば実質的に返済の必要がないなど)、そのまま権利金の収入とされます。特別な経済的利益が土地などの価格の半分以下の場合は、譲渡所得ではなく不動産所得とみなされ、この特別な経済的利益の量を毎年の不動産収入に加算する必要があります。

借地権の設定と特別な経済的利益

Q.本年3月に木造の店舗を建築する知人に宅地を賃貸し、借地権の設定の対価としてその知人から権利金3,000万円を受け取ったほか、1,000万円を借り受けました(借受条件:無利子、貸付期間30年)。なお、その宅地の時価は、5,800万円ぐらいと聞いています。この場合、建物所有を目的とする土地の賃貸で、受け取った権利金3,000万円は、その土地の時価(5,800万円)の2分の1相当額を超えることとなり、譲渡所得として申告する必要があることは承知していますが、無利子の借受金(1,000万円)についてはどのように取り扱われるのでしょうか。

A.受け取った3,000万円の権利金の他に、無利息で1,000万円借りることによる特別な経済的利益も考慮に入れる必要があります。特別な経済的利益は、借りた条件が通常の市場における条件よりも明らかに有利である場合に認定され、その場合、その利益の額は権利金に加算して借地権設定の対価と見なされます。この借入による経済的利益の計算は、通常の利率を用いてその借入金額の複利現在価値を求め、それを借入金額から差し引いた金額で行われます。特に、借入期間は1年単位で計算し、小数点以下は切り捨てとなります。その上で、この複利現在価値を計算する際には基準年利率の半分を利用します。

具体的な例として、基準年利率が0.5%の場合、1,000万円の無利子貸付による経済的利益は72万円と算出され、これを権利金3,000万円に加算して、3,072万円が借地権の設定対価となります。この金額は、土地の時価5,800万円の一定割合を越えるため、譲渡所得として申告する必要があります。

借地権の設定

Q.近所に住む知人から土地を貸してほしいという申し出を受け、その土地を知人に貸し出し、建物を新築し店舗として利用する予定の知人から借地権の設定の対価として2,000万円を受け取りました。この土地の時価は3,500万円程度でした。この場合、どのような所得として申告したらよいですか?

A.この場合、2,000万円を収入金額として譲渡所得として申告する必要があります。借地権の設定や地役権の設定のために受け取った金額は、通常は不動産所得として扱われますが、一定の金額を超える場合は譲渡所得として扱われます。この「一定の金額」とは、土地や借地権の価額の半分に相当する金額のことです。建物や構築物全体、もしくは一部の所有を目的とした借地権の設定であれば、この基準が適用されます。したがって、受け取った金額が基準を超える場合、それは譲渡所得として申告する必要があります。

限定承認による土地の相続と税金の取り扱い

Q.先月、父が亡くなりました。相続人は私一人で、父の遺した財産は時価1億円の土地のみですが、債務の額がわからないため限定承認の手続きを行いました。この場合、土地を譲渡したと見なされ所得税が課税されると聞きましたが、その理由を教えてください。

A.限定承認の場合、相続によって得た財産は、被相続人の債務や遺贈による義務の範囲内で負担するものとされます。このように資産の移転があった場合、被相続人が資産を時価で譲渡したと見なされ、所得税が課税されることになります。つまり、あなたの父が1億円で土地を譲渡したと見なされ、その結果、所得税の対象となります。これは、被相続人の資産が市場価値で評価され、その価値の範囲内で債務の支払い等が行われるため、資産の価値上昇分に対して税金がかけられるということです。このため、お父さんの名前で準確定申告書を提出する必要があります。

譲渡担保

Q.商売上の資金を借り入れる際に、私の所有している土地の所有権移転登記を債務弁済の担保として行いました。登記簿上の名義は資金の貸し手である相手方の名義となっていますが、私が借入金の利息および固定資産税を支払っています。この状況で、名義変更により所得税の譲渡所得として課税されるのでしょうか。

A.土地の所有権移転が譲渡担保を目的として行われた場合、所得税の課税対象にはなりません。譲渡担保とは、資金を借りる際に、担保目的で土地などの登記簿上の所有者の名前を変更することを指します。この処理は対外的には所有権の完全な移転と見えますが、実際には担保のための約束に過ぎないため、真の意味での所有権の移転は発生していないとされます。債権担保のみを目的とする名義変更という条件、さらにそれが税務署に正式に報告されている場合、その譲渡は課税対象外となります。ただし、条件を満たさなくなったり、借りた資金の返済が不可能になり資産が実質的に債権者に移る場合は、その時点で譲渡したものとして課税されます。