「資産税」カテゴリーアーカイブ

譲渡の時期 (基本的な考え方)

Q.手狭になった居住用の土地建物を3000万円で売却することにし、8月10日に売買契約を結び、同日に手付金として300万円を受け取りました。その後、11月に中間金として900万円を受け取り、残金は来年の1月下旬に受け取る予定で、物件の引き渡しと所有権の移転登記手続きは残金受領と同時に行う予定です。この場合、譲渡所得の申告は本年分としてするべきでしょうか。

A.基本的には、翌年分の所得として申告する必要がありますが、本年中の所得として申告する選択肢もあります。譲渡所得を計算する際、原則としては物件の引き渡しが行われた日が譲渡の時期とされています。ただし、売買契約の効力が発生した日(農地の場合は契約が結ばれた日)に譲渡所得が発生したと申告した場合、その年の譲渡所得として扱うことができます。農地の売買では、売買契約が特定の条件下で解除された場合、売買契約解除の翌日から2ヶ月以内に申告内容の修正を申請できる規定があるため、注意が必要です。

使用貸借に係る土地の譲渡収入金額の帰属

Q.昭和46年に私が無償で借りた父の土地に建てた家屋が手狭になったため、父と家屋及び土地を売却し買い換えることにしました。この場合、建物価額及び借地権相当額を私が受け取ることにしていますが問題はないでしょうか?

A.お父さんは、その土地の売却から得た全額を収入として申告する必要があります。使用貸借による土地の売却収入は全額が土地の所有者であるお父さんに帰属します。たとえあなたが家屋を所有しており、その使用のために土地を借りていたとしても、その土地に関する権利は非常に制限されており、税法上はほとんど価値が認められません。そのため、あなたが借地権相当額を受け取るとしても、土地の売却価格全額をお父さんの所得として申告する必要があります。さらに、あなたが受け取る借地権相当額は、お父さんからの贈与とみなされ、贈与税の対象となります。

現物出資した場合の収入金額

Q.私は貸ガレージを経営していましたが、この度、資本金1,000万円の不動産管理会社を設立することになりました。私は、現在ガレージにしている土地を現物出資し、株式80株を取得しました。他の同族株主であるAほか5人は各々100万円ずつ現金出資し、それぞれ20株ずつ取得しました。ガレージにしている土地は、時価2,700万円(相続税評価額2,200万円)相当です。現物出資した場合は、譲渡所得として所得税が課税されると聞きましたが、譲渡所得の収入金額はいくらになりますか。

A.譲渡所得の収入金額は、土地の時価である2,700万円になります。法人に対する現物出資は、資産を譲渡したとみなされ、その結果、所得税が課税されます。現物出資による譲渡所得の収入金額を計算する際、土地の時価や出資した金額ではなく、実際には取得した株式の市場価格によって決まりますが、出資した土地の市場価格が株式の市場価格の半分未満の場合、出資した土地の市場価格を収入金額として扱います。この場合、出資した土地の時価2,700万円がそのままあなたの譲渡所得の収入金額としてみなされます。注意点として、あなたの現物出資によって株式の市場価格が現金出資額を超える場合、超過分が贈与されたとみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

譲渡による付帯収入金 (税 金負担分等)

Q.父から相続した田を売却し、その際に所得税と住民税の税金負担分等を買主に負担してもらいました。この税金相当額の取り扱いはどうなりますか?また、友人が畑を売却し、後に協力金を受け取りましたが、この協力金の課税関係はどうなりますか?

A.あなたが土地を売却した際に、買主から税金負担分等を加算して受け取った金額も譲渡所得の収入金額として申告する必要があります。この税金負担分がさらに売却代金に含まれる形となります。友人が受け取った協力金に関しては、その協力金を一時所得として申告する必要があります。

売買契約金額以外で追加で受け取ることがある特約条項に基づく金銭は、その取引における補償や対価の一部とみなされます。したがって、税金等の負担を買主が負担することになった場合でも、それは売却対象の価格の一部として扱われ、譲渡所得に含めて申告する必要があるのです。また、友人の場合のように売買契約後に追加で受け取った協力金は、元の契約とは独立した新しい契約の下で受け取ったものと考えられるため、一時所得としての申告が必要になります。

土地の譲渡対価としての経済的利益

Q.私は、畑を譲渡し、その対価として私が所有する隣地の田を宅地に造成してもらいました。金銭による収入はなかったので、税金の申告はしなくてもよいと思うのですが、どうでしょうか。

A.畑を譲渡した際に得た対価として隣地の田を宅地に造成してもらった場合、金銭の収入がなくても、宅地造成にかかった費用の相当額を収入金額として計算し、その金額を基にして畑の譲渡による所得を計算し申告する必要があります。税法では、金銭の収入だけでなく、物や権利、その他の経済的利益の価値も収入金額に算入されます。物や権利は取得時、経済的利益はそれを享受する時の価値で計算されることになっています。

第 3節 譲渡所得の収入金額

Q.私は、この度、農地を1ぷ当たり5万円でA建設に譲渡し、2,000万円受け取りました。この農地の実測面積は400ぷありますが、登記簿上の面積では、330ぷとなっています。市役所の固定資産税は、登記簿上の面積で課税されていましたので、所得税も登記簿上の面積である330ぷに対応する譲渡価額(1,650万円)で申告すればよいと思っておりますが、どうでしょうか。

A.実際に受け取った金額全体、つまり2,000万円を譲渡所得の収入金額として計上し、その上で所得税の申告を行う必要があります。所得税の計算は実際に譲渡で得た収入をもとに行われるため、400ぷの実測面積やどのように固定資産税が課税されていたかは関係なく、受け取った全額を申告することが必要です。

国等に財産を寄附した場合の譲渡所得の課税と寄附金控除

Q.私が住んでいる付近には子供の遊び場がないため、現在空き地である土地を児童公園用地としてA市へ寄附しました。この土地は、150万円で買ったもので、現在の時価は1,000万円ぐらいといわれています。私のように市へ土地を寄附した場合でも、所得税(譲渡所得)が課税されるのでしょうか。また、寄附金控除の適用を受けることができますか。私の事業所得は、800万円です。

A.個人が国や地方自治体などに財産を寄附した場合、その財産の値上がり分に関しては通常、税金がかかりません。これは、そのような寄附が社会的に有益とされ、個人的な利益を生んでいないと考えられるためです。あなたのケースでは、寄附金控除が適用される金額は、寄附による土地の取得費150万円に限定されます。さらに、あなたの事業所得800万円の40%、つまり320万円が寄附金控除の上限額となりますが、これは寄附金額150万円よりも多いため、実際に控除される金額は149万8000円となります。つまり、あなたが市に寄附した土地に関しては、譲渡所得税はかからず、寄附金による税額控除も受けられることになります。

非課税となる譲渡

Q.製造業を営んでいたのですが、事業の失敗により担保に差し入れていた土地、建物を担保権の実行により競売され、債務金額が多額のため、全てを弁済することができないまま自己破産してしまいました。現在、借家に住み、財産もなく生活に困っていますが、このような場合でも競売された土地建物の譲渡所得は課税されるのですか?

A.ご説明いたします。あなたが提起した事例において、譲渡された土地や建物に関する所得は非課税に該当します。これは、個人が財産の増減に関わらず、資力を喪失し、債務を返済することが非常に困難な場合、特に債務超過の状態であるなど、現状または将来においても資金調達が不可能と認められる場合に、滞納処分や強制執行等による強制的な資産の譲渡が発生した際に得られる所得は、非課税とみなされます。この例外としては、営利を目的としている定期的な譲渡資産、例えば在庫資産などは含まれません。また、このような状況で得られた譲渡所得も、債務の返済に使われた場合は非課税対象となります。資力喪失に伴う譲渡所得は非課税であり、その結果として発生した損失も計上されません。

譲渡所得における実質所得者課税

Q.兄と共有している農地を譲渡したが、兄が代金の分配に応じず、私に納税義務があるかどうか知りたいです。

A.あなたが兄と共有している農地を譲渡した場合、譲渡によって得た収入の分配を受ける権利があるため、所得税の申告が必要です。所得税法では、実際に収益を享受している者が税金を納めるべきとされています。これは実質所得者課税と呼ばれており、名義上の所有者と実際に収益を享受している者が異なる場合でも、収益を実際に享受する者に対して税金が課されます。たとえば、登記名義が変更されずに土地が譲渡された場合の不動産所得や、中間登記を省略して土地等を譲渡した場合に中間で利益を得た者への譲渡所得課税など、収益を実際に享受している者に税金が課されます。したがって、あなたには納税義務があり、兄に譲渡代金の分配を要求する権利もあります。

立退料を受け取る代わりに不動産を低額で譲り受けた場合

Q.立退料を支払う代わりに、新築されるビルの一部を通常価格よりも低価格で購入することになりましたが、この場合、税金はどのように申告する必要があるのでしょうか?

A.あなたが新築ビルの一部を市場価格(3,000万円)よりも安い価格(1,000万円)で購入した場合、その差額(2,000万円)が実質的に立退料とみなされ、譲渡所得として申告する必要があります。立退料として直接お金を受け取っていなくても、市場価格と実際の購入価格の差額は、立退料に相当する額として考慮されます。このように不動産を安価で得ることによる利益は、直接的な立退料の支払いと同じく、税金の対象となるため、適切に申告する必要があります。ただし、この所得は土地や建物の譲渡所得とは異なるため、分離課税の対象にはならず、特定事業用資産の買換え特例の規定も適用されません。