「資産税」カテゴリーアーカイブ

贈与により取得した土地を譲渡した場合の取得費

Q.私は、昭和45年8月に兄から土地の贈与を受けて、贈与税の申告書を提出し、既に納付も済ませています。兄は、みなし譲渡の課税を受けないため「贈与等に関する明細書」を提出しました。この度、その土地を売却することにしたのですが、この場合の取得費はどのようになるのでしょうか。

A.贈与により取得した土地を売却する際の取得費は、土地を贈与してくれたお兄さんがその土地を手に入れた時のコストで計算されます。土地やその他の資産を贈与などで手に入れた場合、その取得費はもともとの所有者(この場合はお兄さん)が購入した時の価格とみなされます。これは、相続、遺贈(遺言による贈与)、または贈与を通じて資産を取得した時のルールに基づいています。もし昭和47年12月31日までに資産を取得していた場合、その取得費はもとの所有者の購入価格です。しかし、「贈与等に関する明細書」を提出していた場合は、資産の価値が時間とともに変わらないとみなされ、その場合でも元の所有者が購入したときの価格が取得費となります。

相続争いのための訴訟費用

Q.本年1月に父が亡くなり、私はその財産を相続しました。しかし、兄弟間で遺産の分配を巡って争いが起こり、弁護士費用が発生しました。資産の所有権を確かなものにするために直接支払った訴訟費用は、その資産の取得費に加算できると聞きましたが、私の場合も同じですか?

A.ご質問の内容に基づくと、訴訟費用を資産の取得費に加算することはできません。訴訟費用は、通常、資産の所有権の確保に直接関連した費用として扱われますが、遺産分割のための費用はこの範疇には含まれません。したがって、お手数おかけしましたが、遺産分割による弁護士費用は資産の取得費に加算することはできないとみなされます。

訴訟費用と取得費

Q.私は、父から相続により取得していた土地を譲渡しようと思っていますが、この土地は父の生前中から材料置場としてAが使用していました。ところがAは、この土地は以前に父から譲り受けており自分のものであると主張し、登記名義変更の訴えを起こしてきました。裁判では私の主張が認められましたが、訴訟に際して弁護士費用等が相当かかりました。この場合、訴訟費用及び弁護士費用は、譲渡した土地の譲渡所得の計算上取得費又は譲渡費用になるのでしょうか。

A.ご質問の訴訟費用及び弁護士費用は、譲渡所得の計算において取得費や譲渡費用には含められません。通常、取得費には資産を購入する際の金額や設備費、改良費の合計が含まれます。資産が減価するタイプであれば、減価償却費を取得費から差し引けます。所有権に関する争いで直接発生した訴訟費や和解費用は、他の種類の所得計算で必要経費として扱われない限り、取得費に算入されます。譲渡費用では、譲渡に関係する費用で、取得費とは異なるものが該当します。これには仲介手数料や土地上の建物撤去費用など、譲渡のために直接かかった費用が含まれますが、修繕費や固定資産税など譲渡資産の維持管理費は含まれません。あなたのケースでは、既に所有していた資産に対する争いで発生した訴訟費と弁護士費用は、資産の維持管理費に該当します。

取得費に算入されない借入金の利子

Q.本年、居宅を譲渡しました。譲渡損失を計算する際、取得日から譲渡日までの間の借入金の利子は全額取得費に算入できると計算しましたが、これで正しいでしょうか?

A.いいえ、正しくありません。取得費に算入できる借入金の利子は、居住用の建物を使用開始した日までの期間に対応する利子のみです。従って、500万円全額を取得費に含めることはできません。固定資産を取得する際に借入れた利子は、資産を使用開始するまでの期間に関するものだけが取得費に算入され、譲渡所得の計算時に必要経費として控除できます。使用開始後の期間にかかる利子は、譲渡所得の必要経費として控除することはできません。この原則は業務用固定資産にも適用されますが、使用開始後の利子については経費として控除することが可能です。ただし、使用開始後の利子を取得価額に含めることはできません。また、非業務用資産の取得に関する利子のうち使用開始後の期間にかかる利子は、その資産を使用して得られる利益に対応する費用とみなされ、必要経費として控除することはできません。

取得費に算入できる借入金の利子と使用開始の日

Q.借入金で土地を買い、家屋を建てて住んでいたのですが、売却することになりました。借入金の利子は使用開始の日までの期間に対応する部分を取得費に算入できると聞きましたが、使用開始の日とは具体的にどのような日を指すのですか。

A.使用開始の日とは、建物を居住の用途で使用し始めた日を指します。したがって、その日までにかかった借入金の利子は取得費に算入することができます。この点に関しては、固定資産を実際に使用し始めた日が使用開始の日であり、土地や建物、構築物などの用途や種類に応じて使用開始の日が異なります。例えば、新たに建てられた建物は居住または事業用途で使用し始めた日、既にある建物や構築物が居住または事業用途で使用されている場合は、それが続いて使用されている場合、土地の取得日を使用開始の日とします。さらに、建物や構築物が不要な土地は、その土地の本来の目的で使用を開始した日が使用開始の日です。特定の資産、例えば美術品などはその性質上、取得時が使用開始と見なされます。

 取得費

Q.土地の取得に係る借入金の利子は、土地の上にアパートを新築し、貸付けた後の期間では不動産所得の計算上、必要経費として差し引いていますが、それまでに支払った利子を譲渡所得の計算上必要経費として差し引くことはできるでしょうか。

A.土地取得からその使用開始日までの期間に対応する借入金の利子は、譲渡所得の計算で取得費に算入できます。資産の取得費には、購入に必要だったお金や、改修や設備投資の費用が含まれます。借入金で資産を購入した場合、その資産を使用開始する日、または売却する日までに支払った利子は取得費に含めることができます。ただし、不動産などの所得を生む前に購入した場合、業務開始前の期間に対する借入金の利子はこのルールの対象外です。借入時に発生した抵当権設定登記費用や公正証書作成費用なども、借入金の利子と同じ扱いを受けます。

譲渡の時期

Q.今年、貸地を更地にして引き渡すことを条件に1億円で売却しましたが、借地人が立ち退かないため土地の引き渡しができなくなりました。そこで、土地の底地部分のみを譲渡したものとして契約ベースで申告し、上地の部分については引き渡しが完了した時に申告したいのですが可能でしょうか?

A.貸地を更地にして引き渡した年の収入として全額申告する必要があります。契約に基づく譲渡に関して、契約ベースと引き渡しベースに分割して申告することは認められていません。申告が可能かどうかは契約した年にその契約が法的効力を持つかによりますが、あなたの場合は更地にする条件が履行されていないため、契約ベースでの申告は適切ではないと考えられます。

譲渡の時期(同年中に複数の契約を結んだ場合の分割申告)

Q.今年、A法人とB法人にそれぞれ宅地を売却する契約を結びました。宅地の引渡しは両方とも来年になります。この場合、A法人に対する譲渡については契約ベースで行い、B法人に対する譲渡については引渡しベースで申告を2年間に分けても大丈夫でしょうか。

A.はい、申告を2年間に分けても問題ありません。譲渡所得の申告において譲渡の時期は、取引ごとに選ぶことができます。

賦払方法の場合の譲渡収入金

Q.本年2月に知人に宅地を3,000万円で売却し、分割して譲渡代金を受領した場合、利息相当分として受領する200万円はどのように課税されますか?

A.利息相当分として受領する200万円は雑所得として課税されます。資産の売却によって得られる収入とは、通常、売買契約に基づく金額です。財産、権利、その他経済的利益を金銭以外の形で受け取る場合、その時価や価値が収入に含まれます。しかし、あなたの場合は金銭以外を受け取っておらず、売買契約金額の3,000万円が収入となり、譲渡所得として課税されます。また、分割払いの利息相当分は、賦払い方法の一部として受け取るものであり、譲渡の対価には含まれません。

譲渡時期及び譲渡価額

Q.私は、令和5年11月に宅地を800万円で売却し、その時に代金決済も完了しましたが、所有権移転登記を令和6年1月に行いました。この場合、いつ確定申告をするべきですか?

A.令和5年分の確定申告で譲渡所得を申告する必要があります。譲渡時期は基本的には物件の引渡しが行われた日とされており、代金の決済日がそれよりも後になることはありません。ですから、令和5年11月に代金が決済された場合はその時が譲渡の日となり、その年度の確定申告で申告することになります。