「資産税」カテゴリーアーカイブ

信託財産を譲渡した場合の譲渡費用

Q.私は土地を信託し、その信託の受益者となっていますが、この度、その信託財産である土地の一部が譲渡されることとなります。この土地の譲渡に際しては、信託報酬を受託者に支払っていますが、この支払った金額は譲渡所得の計算上何か考慮されるのでしょうか。

A.譲渡される土地に関する信託報酬は譲渡費用として扱われます。具体的には、受益者がその信託の信託財産として資産や負債を有していると見なされる種類の信託で、信託財産が譲渡される場合、それはまるで受益者自身が直接その資産を譲渡したかのように取り扱われます。この状況で、資産の譲渡に関連して受益者などが受託者に支払う信託報酬は、譲渡費用に含まれることになります。

信託財産の取得費

Q.信託財産を譲渡した場合において収入金額から差し引くことができる取得費とはどのようなものをいうのですか。私の場合、売却する信託財産は、信託の設定以前に1,000万円で購入しています。

A.信託財産を売却するときに収入から差し引ける取得費は、信託財産となる前に支払った購入金額1,000万円と、あなたや受託者がその後に費やした設備費や改良費の合計です。これらを合わせた金額が取得費として考慮されます。信託財産の譲渡所得を計算する際、取得費には以下のようなものがあります。一つ目は、信託財産になる前の資産の取得費です。これは、委託者がその資産を引き続き所有しているものと見なし、所得税法に基づく計算によって算出されます。二つ目は、信託期間中に信託財産となった資産の取得費で、受託者がその資産を購入するために使った金額を所得税法に基づいて計算したものです。この際、資産取得に際して受託者に支払われた信託報酬も取得費に含まれます。さらに、算出された取得費が収入金額の5%未満である場合は、5%相当額を取得費として適用できます。

信託受益権の譲渡

Q.土地、建物を信託財産とする信託受益権を譲渡した場合、譲渡所得が課税されるかどうか聞きたいです。

A.はい、信託財産である土地や建物を譲渡した場合、譲渡所得として所得税がかかります。信託受益権の譲渡は、その受益権が対象とする信託財産全体(受益権の割合に応じた部分も含まれる)が一括して譲渡されたとみなされます。

信託財産の議渡

Q.私は、S信託銀行と土地信託契約を締結しました。その内容は、私所有の土地の上にマンションを建築して、その賃貸収入を得るというものです。ところが、信託銀行では、マンションの建築資金を調達するため、信託財産である土地の一部を売却するということです。この場合、その土地は信託銀行の名義となっていますが、譲渡所得についての課税関係はどうなるのでしょうか。

A.信託財産である土地の一部が売却された際、その譲渡所得については、受益者であるあなたに所得税が課税されます。信託契約が結ばれると、その信託財産の名義は信託銀行になりますが、土地の譲渡が行われると、その行為は信託銀行名義でされます。しかし、信託の受益者は、信託財産(資産や負債)を所有しているとみなされるため、このケースではあなたが直接土地を売却したと見なされます。そのため、譲渡収入から信託財産の取得費や譲渡費用を差し引いて、譲渡所得の計算が行われることになります。控除される取得費や譲渡費用の詳細については、他の資料を参照してください。

 信託の取扱い

Q.私は土地を信託して、ビル経営を始めることにしました。信託契約では土地の所有権を受託者に移転させることになっていますが、これによって私に課税問題が生じるでしょうか。

A.信託契約に基づいて土地の所有権の移転が行われ、一定の要件を満たしている場合は、課税の対象になりません。所得税では、信託の受益者は信託の財産や負債を有しているものとみなされます。ですから、あなたが信託の受益者であれば、土地の所有権を受託者に移転させても、あなたが土地の所有者であるとみなされ、税金の問題は起きません。ただし、このように扱われるのは集団投資信託、退職年金等信託、法人課税信託といった特定の信託に限定されます。

国外転出 (贈 与・相続)時課税制度の概要

Q. 国外転出 (贈 与・相続)時課税制度の概要について教えてください。

A. 国外転出時における贈与や相続に関する税制は、特定の条件を満たす居住者が海外に住む親族などへ大きな価値のある資産を贈与または遺贈する場合に適用されます。具体的には、1億円以上の財産を持つ居住者が贈与や相続で財産を譲渡する際、その財産があたかも売却されたかのように扱われ、含まれる利益に対して所得税が課されるというものです。つまり、国外に移住する親族に対して大きな資産を譲渡する際には、その利益に対して税金を納める必要が生じるわけです。また、これに伴い、贈与を行った人や相続人は、それぞれ必要な申告を行わなければならないとされています。

国外転出時課税制度

Q.国外転出時課税制度の概要について教えてください。

A.国外転出時課税制度とは、日本を離れる時に1億円以上の有価証券や未決済の信用取引など特定の資産を持っている人に対し、その資産の時価に基づいて所得税が課税される仕組みです。この制度は、2015年7月1日以降に日本を離れる人に適用されます。税がかかるのは、資産が売却された場合と同じく計算された含み益に対してで、これにより所得税を申告し支払う必要があります。

ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)の概要

Q.ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)とはどのような制度ですか。

A.ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)は、20歳未満(口座開設の年の1月1日現在)(2022年4月1日以後は18歳未満)およびその年に生まれた居住者などを対象にした制度です。平成28年から令和5年まで、未成年者口座を通じて取得した上場株式など(年間上限は80万円)に対して、配当や株式の売却により得た利益が、非課税管理口座が設けられた日から最大5年間、税金がかからないというものです。ただし、この制度では、配当や売却金の支払いに一定の制限が設けられています。非課税となるのは、金融機関を通じて得た配当などに限られ、直接発行者から得た配当などは課税対象となります。非課税管理口座の設定期間が終了した後(令和6年以降)、保有株式などを継続管理口座へ移管することで、未成年者口座を開設した人が18歳になるまで非課税の適用を受けることができます。また、未成年者口座で取得した株式などを売却して発生した損失は、特定口座や一般口座での損益通算や繰り越し控除の対象外となります。

非課税口座の変更

Q.非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得の非課税措置が改正されたと聞いたのですが、どのように変わったのでしょうか?

A.非課税口座に関しての変更点は、特にNISAの制度が改正されたことに注目が集まります。この改正により、投資者が利用できる非課税措置の幅が広がりました。具体的には、ロングタームでの投資が可能になり、非課税で保持できる期間に制限がなくなりました。また、年間の投資上限額が、積立投資では120万円、一般投資では240万円まで引き上げられました。非課税で保持できる総額の限度は1,800万円と定められ、そのうち一般投資枠が1,200万円まで利用可能です。これにより、投資者はより柔軟に資産を形成し、管理することができるようになりました。

非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税措置の概要

Q.非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得の非課税措置の制度とはどのような制度でしょうか。

A.少額投資非課税制度(NISA)とは、20歳以上(2022年4月1日からは18歳以上)の居住者などを対象に、2014年から2023年までの間に特定の非課税口座で取得した上場株式など(年間120万円が投資額の上限、2014年と2015年は100万円が上限)について、配当や売却により得た利益を最長5年間非課税にする制度です。さらに、2018年から2034年までの間に特定の非課税口座で設定した累積投資勘定に係る公募などの株式投資信託の受益権(年間40万円が投資額の上限)についても、配当や売却益を最長20年間非課税とした制度(つみたてNISA)があります。NISAとつみたてNISAは毎年どちらかを選択して適用できます。ただし、非課税対象とされるのは、非課税口座を開設した金融機関を通じて得られる配当などに限られ、直接発行者から得られる配当などは非課税の対象外です。また、非課税口座で上場株式などを売却して生じた損失は認められず、特定口座や一般口座での損益通算や繰越控除はできません。