「資産税」カテゴリーアーカイブ

同一の資産を二以上の年の代替資産とする場合

Q.私の所有地が令和4年に府立高校の用地として6,000万円で買い取られました。令和4年分の確定申告書提出時には代替地を取得していなかったため、見積額により代替資産を取得した場合の課税の特例を適用して申告しました。令和5年5月になり、私の別の所有地が市の小学校用地として7,000万円で買い取られました。代替資産となる土地を探したのですが、なかなか私の意にかなうものがなく、結局1億2,500万円の土地を買い取ることとしました。代替資産として取得した1億2,500万円の土地のうち6,000万円に相当する部分を令和4年の収用等により譲渡した土地の代替資産とし、6,500万円に相当する部分を令和5年の収用等により譲渡した土地の代替資産とすることができるでしょうか。

A.はい、代替資産を取得する期間内であれば、6,000万円に相当する土地の部分を令和4年の譲渡の代替資産として、そして6,500万円に相当する土地の部分を令和5年の譲渡の代替資産として設定することが可能です。この場合、資産を異なる年で得た収益で代替資産を取得する際に、それぞれ年ごとに異なる資産を取得する必要はありません。

代替資産としての宅地取得の扱い

Q.令和5年中に公共事業用地として宅地を2回譲渡し、その代金で宅地を取得した場合、代替資産として譲渡所得の計算にどのように取り扱えばよいですか?

A.令和5年中に2回の宅地譲渡があった場合、取得した宅地をどちらか一方の譲渡資産の代替として選択することができます。一つの代替資産を取得した場合、取得した代替資産は選択によりどちらかの譲渡資産の代替とすることが可能です。あなたが短期保有資産を譲渡した場合は、その取得した宅地を代替資産として選択すると税負担が減少する可能性があります。また、一つの収用事業に対して複数の資産を譲渡し、それらの譲渡資産について代替資産を取得し、買換差金が発生した場合、その買換差金は譲渡された各資産の価額の比率で分割して計算されます。

代替資産における譲渡所得の取扱い

Q.一組の資産を収用等された場合の代替資産について、収用事業の用地として自宅の敷地が7,000万円で買い取られ、建物については移転補償金として1,000万円を受け取りました。移転先を探したが見つからず、B市の土地に補償金の全額で家を新築しました。この場合、譲渡所得の取扱いはどうなるのでしょうか。

A.あなたが建物を取り壊したため、移転補償金は対価補償金として扱うことができます。さらに、補償金の全額で新しい家を建てたため、収用等によって代替資産を取得した場合の課税の特例の適用が受けられます。A市が行う小学校拡張事業は、この特例の適用対象であり、次のような資産を代替資産として取得できます。1) 収用された資産と同種の資産、2) 収用された資産が一組の資産である場合、同じ効用を有する他の資産、3) 収用された資産が事業用に供されていた場合、その事業用の土地など。所得税の確定申告時に新築家屋を代替資産として申告すれば、この特例の適用を受けることが可能です。この際、建物の取壊し費用は譲渡費用として補償金額から控除されます。

種類の異なる代替資産 (2)

Q.先代より耕作してきた農地がA市の小学校用地(収用事業の用地)として買い取られたので、同年中に代替資産として山林(同種の資産)と農業用機械(事業用資産)を取得しました。この場合、山林及び農業用機械が共に代替資産として認められるでしょうか。

A.あなたが取得した山林及び農業用機械は、代替資産に該当します。代替資産に関する税制において、「租税特別措置法第33条」は収用などで失った資産の代わりに新たに取得した資産についての課税の特例を規定しています。この特例では代替資産として、譲渡された資産と同じ種類の資産、一緒に使われることが前提の一組の資産、また事業で使用するための資産が認められています。そして、これらの条件に該当する資産は一つに限定されるわけではなく、複数該当する場合、それら全てが代替資産として認識されうるのです。

譲渡所得等の課税の特例

Q.種類の異なる代替資産として、耕作してきた農地が小学校用地として買い取られた場合、同年中に代替資産として取得した山林と農業用機械は代替資産として認められるでしょうか。

A.耕作してきた農地を小学校用地のために売った後、その年に山林と農業用機械を新たに手に入れた場合、これらは代替資産とみなされることができます。税法上、特定の事情で資産を手放した後に別の資産を入手するとき、その新資産はいくつかの条件を満たすことで代替資産として扱われます。具体的には、手放した資産と同じ種類のもの、同じ用途に使える一組の資産、または事業で利用可能な資産がこれに該当します。取得した代替資産をどのカテゴリーに分類するかを一つに絞る必要はありません。

譲渡所得等の課税の特例

Q. A市で農業を営んでいますが、今回居住用の土地及び家屋と農地が公共事業の用地として県に買い取られることになりました。居住用の土地及び家屋の補償金で居住の用に供するマンションの一室を取得するとともに、新しく商売を始めるため、農地の補償金で事業用店舗を建築したいと考えています。収用による譲渡の場合には、代わりの資産を取得すれば税金はかからない特例があると聞いていますが、私の取得しようとしているマンションと店舗は特例の適用を受けることのできる資産に該当するのでしょうか。

A. あなたが取得する予定のマンションと店舗は、特例の対象となる代替資産に該当します。この特例は、公共事業で買い取られた土地や建物などの資産を、収用の日から2年以内に、原則として同種の別の資産に置き換えた場合に適用されます。この特例により、新たに取得した代替資産の価格に相当する金額までの譲渡所得については、課税が延期されます。あなたのケースでは、居住用の土地及び家屋をマンションで置き換え、農地を事業用店舗で置き換える予定です。これらは、原則として同種の資産ではなくても、収用された資産と同じ使い道があれば代替資産と認められます。したがって、あなたが計画している資産の取得は、この特例の適用を受けることができます。

分離譲渡所得が特別控除額未満である場合の扶養親族等の判定

Q.私は無職の主婦ですが、この度、私たち家族が永年居住していた居宅を売却しました。その居宅は、私が所有していたものであり、その譲渡益は1,000万円です。しかし、居住用財産を譲渡した場合は、3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるため譲渡所得はないことになると聞いています。私の場合、夫の所得税の計算上、配偶者控除の対象になるのですか。

A.譲渡所得がある場合、特別控除額を引く前の譲渡所得の金額が所得税の計算において配偶者控除や配偶者特別控除の対象となるかどうかを決定します。所得税計算上、配偶者控除の対象がなれるのは、年間の合計所得金額が48万円以下の人です。さらに、年間の合計所得金額が133万円以上の場合、配偶者特別控除の適用を受けることはできません。あなたの場合、居宅の売却による譲渡益は1,000万円であり、特別控除額を引く前の金額として考えると、夫の所得税計算における配偶者控除や配偶者特別控除の対象にはなりえません。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私は以前800万円で購入した宅地を未利用のまま所有していましたが、この度、知人にこの宅地を譲ることになりました。ところが土地価格の下落により、この宅地の現在の時価は、500万円程度となっています。この土地を時価相当の500万円で売却すると300万円の損失がでますが、この損失は他の所得と通算できるのでしょうか。

A.あなたが譲渡することになった未利用の宅地に関して生じる損失は、他の所得と通算することができません。昔は個人が土地や建物を売って損失が出た場合、その損失を他の譲渡所得や様々な所得から引くことができました。しかし、平成16年1月1日以降に売却する土地や建物で損失が出た場合、その損失は他の土地や建物の売却で得た利益からのみ引くことができ、土地や建物以外の収益から引くことはできなくなりました。また、その年に他の資産を売って損失が出たとしても、その損失を土地や建物の売却利益から引くことはできません。ただし、5年を超える期間所有していた住宅用の財産を売った場合は、一定の条件下で損失を他の所得と通算することや、翌年以降3年間にわたって損失を繰り越して控除することが可能です。ですが、あなたのケースでは譲渡される物件が未利用の宅地であるため、他の所得との損益通算はできないこととなります。

転用未許可農地の譲渡

Q.私は、平成30年5月に2,500万円で取得した農地を令和5年7月に2,900万円で譲渡しました。この農地は私が農業を営んでいないため、農地法第3条の許可は受けておりません。この場合、土地の譲渡ではなく、権利の譲渡になり総合課税されるものと思いますがいかがでしょうか。

A.あなたが譲渡した農地については、農地法第3条の許可を受けずに取得し、その後売却した場合、これは土地の譲渡ではなく、権利の譲渡になるため、分離課税の対象となります。このケースでは、取得額と売却額の差額から計算される譲渡所得について、短期譲渡所得として課税されます。具体的には、売却価格が2,900万円、取得費が2,500万円で、その差額400万円に対しての税率30%を適用すると、所得税が120万円になります。さらに地方税も考慮する必要があり、その税率は所得税の30%の9%です。確定申告時には、所得税とともに復興特別所得税も申告し納付する必要があるので注意してください。

分離重課の適用が除外される短期譲渡

Q. 2年前に購入した土地が市の道路用地として市に買収されることになりました。短期保有資産ですが、税率の軽減はありますか?

A. 市へ売却する場合は、軽減税率の対象となります。所有期間が5年以下の土地や建物を譲渡すると、通常は30%の税率で所得税が課税されますが、国や地方公共団体等への譲渡の場合は、15%の税率で所得税が課せられ、税負担が軽減されます。この軽減税率を受けるためには、確定申告時に所定の書類が必要ですが、適正価格要件に関する証明の規定は、一時停止されています。確定申告では、復興特別所得税も併せて申告・納付が必要です。