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医療法人の出資持分の評価方法について

Q.医療法人の出資持分の評価方法について説明してください。

A.医療法人の出資持分の評価方法として、取引相場が存在しない株式の評価方法に基づくアプローチがとられます。具体的な評価方法は、医療法人の規模に応じて違い、原則として以下の3つの方法があります。

1. 大会社相当の場合、類似業種比準方式、あるいは純資産価額方式から選べます。

2. 中会社相当の場合、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式が使用され、この併用率(L)は医療法人の規模によって異なります。

3. 小会社相当の場合は純資産価額方式、または併用方式(L=0.5)が選択可能です。

具体的な計算においては、「総資産価額」を直前期末の簿価総資産価額に、「取引金額」を直前期末以前1年間の取引金額に基づいて決定します。評価額の計算では、利益金額や純資産価額を基に計算され、医療法人の規模や特定の条件に応じた計算式が用いられます。

また、医療法人の出資持分の特殊性により、類似業種比準価額の計算式における配当要素の考慮、特例的評価方式である配当還元方式、議決権割合が50%以下の同族グループの株主に適用される純資産価額の80%評価など、通常の株式の評価方法とは異なる点があります。

さらに、特定の評価会社の株式に該当する出資の場合は、原則として純資産価額方式で評価され、比準要素数1の会社の場合は、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式も可能です。類似業種比準価額の計算は、類似業種の株価、年利益金額、純資産価額などを基に算出されます。

企業組合等や農業協同組合等の出資の評価

Q.相続財産の中に、企業組合の出資金と信用金庫の出資金とがありますが、評価方法は同じでしょうか。

A.企業組合の出資金は純資産価額で評価し、信用金庫の出資金は、農業協同組合等の出資金の評価方法に従い、払込済出資金額で評価します。企業組合や漁業生産組合などは利益を目的とした事業を行うため、その出資金は組合の純資産価額で評価されます。一方、農業協同組合などは非営利を目的とし、会員への奉仕を目的としているため、出資金は払込済出資金額で評価されます。協業組合の出資金評価については、会社制度の要素を多く含むため、その実態に合わせた評価方法が用いられます。

合名会社等の出資の評価

Q.合名会社、合資会社の出資の価額は、財産評価基本通達に定められている取引相場のない株式の評価方法に準じて評価すると聞いています。合名会社、合資会社の無限責任社員は、死亡と同時に退社し、その持分については、定款に別段の定めがある場合のほかは払戻しを受けることになりますが、次のような場合の出資の価額は、どのように評価すればよいでしょうか。1. 持分の払戻しを受ける場合 2. 持分を承継する場合 (定款に出資持分の相続についての定めがある。) 3. その会社が債務超過であった場合

A.それぞれの場合についての評価は以下の通りです。1. 持分の払戻しを受ける場合は、持分の払戻し請求権として評価します。この時、その価額は、評価すべき合名会社または合資会社の課税時期における資産を財産評価基本通達に基づき評価した額(相続税評価額)の総額から、同じ時期の負債総額を差し引いた金額に、持分の比率を乗じて計算した金額です。2. 持分を承継する場合は、財産評価基本通達に定める取引相場のない株式の評価方法を用いて、持分の価額を評価します。3. その会社が債務超過である場合、債務超過の部分については無限責任社員が連帯債務として負担します(会社法に基づく)。課税価格を計算する上で、その人の負担する部分に関しては、債務を差し引く処理が行われます。

ストックオプションの評価

Q.父が亡くなり相続したストックオプションを相続税の申告で評価する方法を知りたいです。

A.スタートアップの株式など、上場している会社の株式に関連するストックオプションは、株式の現在の価値からストックオプションを使って株式を買うための価格を差し引いた金額を基に評価されます。この評価は、株式の価値がストックオプションを使うための価格よりも高い場合にのみ行われ、その差額にオプションで買える株式の数を掛けて算出します。税務上その株式の価値をどう判断するかについては、その株式の課税時点での最終価格や、直近1~3ヶ月の平均価格の中で最も低い価格を使用します。たとえば、課税時点の株価が5,000円で、ストックオプションで株式を買うのにかかるコストが3,000円の場合、このストックオプション1つの価値は2,000円と見なされます。そして、オプション1つにつき100株購入できるため、合計で200,000円(2,000円×100株)の価値となり、10個のオプションなら合計で2,000,000円(200,000円×10)の価値と評価されます。ストックオプションは、特定の価格で会社の株を購入する権利で、会社から従業員に対して特定の条件で付与されます。したがって、ストックオプションは自身の価値と潜在的に利益を生む可能性を持ちます。

買取価格の定められている非上場株式の評価

Q.父が持っていたA社の株式を、父の死後何らかの方法で評価する必要があります。A社には従業員が死亡または退職した場合、一定金額で株式を買い取る規程がありますが、この買取価格で株式を評価してもいいですか。

A.いいえ、相続税法上での株式の評価に際して、規約で定められた買取価格を直接時価として用いることはできません。相続税においては、財産の価値はその時点での市場価値、つまり時価に基づいて評価されます。この時価は「財産評価基本通達」に従って決定されるもので、従業員持株会の規約による買取価格がその時価を正確に反映しているとは限らないため、財産評価基本通達に基づき適切に評価する必要があります。

種類株式の評価 (2)(社債類似株式の評価)

Q.私が経営する会社は、種類株式を発行しており、この種類株式は資金調達のために取引先に引き受けてもらったもので、議決権はありませんが、利息の代わりに配当を優先して分配することや、発行後10年を期日として全て発行価額で償還することになっています。この度、長男に私が所有しているこの会社の普通株式を贈与しましたが、どのように評価するのでしょうか。

A.社債類似の特徴を持つ株式を発行している場合、その株式は社債とみなして評価されます。これには条件があり、配当は優先され、不足があれば次の年に持ち越され、利益が優先配当を超えることはなく、残りの財産は発行価額を超えて分配されず、一定期日には発行価額で全部償還し、議決権がなく、他の株式と交換する権利がないものが含まれます。社債類似株式は、経済的な性質が社債に似ているため、普通株式を評価する際には社債類似株式を社債として考慮します。評価方法としては、類似業種比準方式で1株あたりの資本金等を計算したり、社債類似株式に関する配当金を考慮せず計算したりします。純資産価額方式では、社債類似株式の発行価額を全体の負債として記録し、社債類似株式自体は発行価額で評価されますが、既経過利息に相当する配当金の加算は行いません。

種類株式の評価 (1)(配当優先株式の評価)

Q.父が今年の春に亡くなり、兄弟3人で父が経営していた非上場の会社の株式を相続することになりました。兄が議決権のある普通株式を、私と弟は配当優先の無議決権株式を相続します。このような状況で、配当優先の無議決権株式を評価する方法について、通常の方法とは異なる部分はありますか。

A.はい、配当優先の無議決権株式を相続により取得した場合、その評価方法には特別な考慮が必要です。通常の評価とは異なり、配当優先株式の実際の配当金額を使って、「1株当たりの年配当金額」として計算します。さらに、特定の条件を満たしている場合、評価額から5%を控除して評価することが可能です。要するに、配当優先株式は実際に受け取ることができる配当金額に基づいて評価され、条件によっては控除を適用することで評価額を調整することができます。

株式等保有特定会社の評価方法

Q.株式等保有特定会社の株式評価について純資産価額方式以外の評価方法があるとのことですが、どのような方法でしょうか。

A.株式等保有特定会社の株式評価には、主に純資産価額方式が用いられますが、その他にも特定の方法が存在します。具体的には、次のような計算式を用いた評価が可能です。まず、株式等保有特定会社が所有する株式等の価額を、財産評価基本通達に従って求め、評価差額に対して37%の控除を適用した金額で評価します。この際、比準要素数1の会社に該当する場合、比準要素数1の会社の評価方法(併用方式で0.25を割合として計算)に基づいて評価額を算出します。

Slの金額の求め方としては、類似業種比準価額を用いた計算があり、株価や配当金額、純資産価額等に基づき計算します。評価会社の1株当たりの配当金額や利益金額、純資産価額をもとに、受取配当金等収受割合を適用して計算を行います。純資産価額での計算方法もあり、株式等保有特定会社が有する「各資産」から「株式等」を除いた純資産価額の算出がこれに該当します。

S2の金額の計算には、所定の計算式を用いて、評価した価額から特定の割合を控除した金額を基に算出します。この方法を使うことで、株式等保有特定会社の株式の価値を、純資産価額方式とは異なる視点から評価することが可能です。

特定評価会社について

Q.土地保有特定会社及び株式等保有特定会社とは、具体的にはどのような会社をいうのでしょうか。

A.「土地保有特定会社」及び「株式等保有特定会社」とは、会社が持っている資産のうち、土地や株式などの割合が非常に高く、他の同業種の会社とは大きく異なる保有状況をしている会社のことを指します。このような会社は、通常の類似業種比較方法では適切に評価できないと考えられます。「土地保有特定会社」は、会社の規模に応じて土地などの価額の総資産に占める割合が大会社で70%以上、中会社で90%以上、小会社では大会社または中会社の基準に該当する場合に、その会社に該当します。これに対し、「株式等保有特定会社」とは、会社の規模に関わらず、総資産のうち株式や出資、新株予約権付社債などの価額が50%以上を占める会社を指し、こちらも特定の判定基準を満たす場合に該当します。

議決権に制限のある株式がある場合の議決権総数

Q.評価会社が会社法第108条第1項に掲げる議決権制限株式を発行している場合の評価会社の議決権総数はどのように計算するのでしょうか。

A.会社法第108条第1項に掲げる議決権制限株式は、普通株式と同様の議決権があるものとして扱われ、評価会社の「株主の有する議決権の数」及び「評価会社の議決権総数」に含まれます。これは、議決権制限株式が、株主総会の一部の事項においてのみ議決権を行使できない株式であっても、議決権の計算においては普通株式と同等に考慮されるという意味です。過去の商法改正により、無議決権株式や議決権制限株式など種類株式の発行が認められ、さまざまな形態の株式が存在するようになりました。そして、議決権制限株式は、評価会社の議決権総数を決定する際に普通株式と同じく議決権があるものとして取り扱われ、計算に含められることになります。