「資産税」カテゴリーアーカイブ

保証債務の範囲 (相続開始があった場合)

Q. 私の父が経営していた会社が破産し、会社の銀行借入金5,000万円を担保としていた父が支払う必要があります。現在、医師から回復不可能と診断された父が亡くなった後、私がその居宅と保証債務を相続し、既に所有している土地を売却して債務を弁済したいと考えています。この場合、資産を売却する際の特例の適用を受けることは可能ですか?

A. 保証債務を相続し、それを返済するために相続資産以外の資産を売却した場合でも、特例の適用を受けることが可能です。保証債務が誰かが返済できない場合に支払うもので、その債務に求償権の行使が不可能な状況であれば、その保証債務は債務控除の対象となります。したがって、相続により保証債務を引き継ぎ、それを返済するために相続財産やその他の財産を売却する場合、税制上の特例が適用されます。また、保証債務の返済のために借入金を利用し、その借入者が亡くなり、相続人がその返済のために財産を売却した場合も、売却が保証債務の履行後1年以内であれば特例の適用が受けられます。

保証債務を履行した場合の譲渡所得の計算方法

Q.保証債務を履行した場合の譲渡所得の金額の計算方法はどうなるのでしょうか?

A.もし二つ以上の異なる資産を売却した場合、そしてそれらからの収入に対して保証債務(求償権行使不能額)の影響を考慮する必要がある場合、譲渡所得の計算方法は以下のようになります。

1. 保証債務額(求償権行使不能額)の配分を計算します。短期保有資産と長期保有資産について、その土地の売却収入に関連する求償権行使不能額を割り当てます。

2. 次に、実際の譲渡所得額を計算します。これは、売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引いた後、求償権行使不能額の配分を考慮して計算されます。短期保有資産については、売却価格から取得費用と譲渡費用、求償権行使不能額を差し引いた後の金額が、短期譲渡所得です。長期保有資産の場合も同様の計算が行われますが、求償権行使不能額を含む計算結果からさらに短期譲渡所得の損失(もし存在すれば)を差し引き、最終的な長期譲渡所得を求めます。

税法上、売却により生じる損益は、売却した資産の特性(短期か長期か)によって異なる税率が適用される可能性があります。このため、複数の資産を譲渡した場合、それぞれの資産に対する効果的な税負担を正しく計算することが重要です。

保証債務を履行するための資産の譲渡

Q.保証債務を履行するために資産を譲渡した場合でも所得税は課税されるのでしょうか?

A.このようなケースでは、「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の課税の特例」が適用されます。これにより、資産の譲渡がなかったものとして扱われ、その結果所得税の課税を避けることができます。具体的には、あなたが保証人として他人の借金を返済するために資産を手放した場合、その資産譲渡によって生じた損失に対し、返済できなかった金額に相当する分は所得税の計算において譲渡が存在しなかったものとみなされます。これは、求償権の全てまたは一部を行使できなくなった場合に適用される規定です。したがって、もしあなたが代表取締役として会社の借金の保証人になり、結果として資産を失うことになった場合でも、一定の条件下で所得税の課税を免れる可能性があります。

保証債務の履行のために資産を譲渡した場合の取得費

Q.保証債務を履行するために自分の所有地を売り、そのお金で借入金を返済した場合、この土地の取得費の計算はどうなるのか?

A.このケースでは、概算取得費の計算方法を利用することができます。つまり、売却価格(7,000万円)の5%にあたる350万円が土地の取得費として計算されます。このように計算する理由は、保証債務の履行で発生した求償権が行使できない場合、通常よりも少ない税額で済むように考慮されるからです。保証債務の履行によって返済した部分に対して、その分の取得費も売却収入から差し引くことができ、結果的に課税される譲渡所得が減少します。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越 控除の特例

制度の概要

Q.マンションを売却することになりましたが、売却代金だけでは住宅ローン全額を返済できません。マンションの譲渡損失を他の所得と通算することはできるのでしょうか。

A.特定居住用財産を売却した際に生じる譲渡損失については、特定の条件を満たす場合に限り、他の所得と損益通算することが可能です。損失が完全に控除できなかった場合は、その損失を譲渡した年の翌年から3年間にわたって繰り越して、各年の所得から控除することもできます。ただし、損益通算や繰り越し控除できる損失の金額には制限があり、譲渡契約を締結した日の前日において、譲渡価格より多い住宅ローン残高の部分に限定されます。損益通算と繰り越し控除を受けるためには、特定の期間中に譲渡している、所有期間が5年を超える居住用財産である、譲渡契約締結日の前日に譲渡価格を上回る住宅ローンが存在する、繰り越し控除を行う年の合計所得金額が3,000万円以下であることなど、複数の条件が設けられています。さらに、特定の年に他の特例の適用を受けていないことも条件になっています。

買換資産の取得をしなかった場合

Q.居住用財産を売却し、譲渡損失が発生した後、損益通算の特例を受けましたが、予定していた買換資産の取得ができなくなりました。この場合、どのような手続きを行う必要がありますか?

A.居住用財産を売却した際に発生した損失を、予定していた新しい居住用財産の購入によって相殺する特例を受けた場合、もし新しい居住用財産の購入ができずに特例の条件を満たさなくなったら、特例を適用した年の所得税に対して修正申告を行う必要があります。この修正申告は、財産を売却した年の翌年末から4ヶ月以内に提出する必要があり、修正申告により追加で納付すべき税金も同期間内に納付する必要があります。修正申告と税金の納付が期限内に行われた場合、加算税や延滞税は発生しません。

譲渡する土地の面積が500㎡を超える場合に適用される特例

Q.私が売却した居宅の敷地面積は600㎡あります。売却した居宅については譲渡損失が生じており、令和5年分の所得税の確定申告において「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用したいと思っていますが、生じた譲渡損失の全額を特例の対象とすることはできるでしょうか。新居はすべて居住用として利用しています。

A.令和5年分の確定申告では、生じた譲渡損失の全額を損益通算の対象とすることができます。しかし、譲渡資産の土地などの面積が500㎡を超える場合、500㎡を超える部分に相当する金額の損失は、翌年以降に繰り越して控除することができません。計算では、例えば居住用財産の譲渡損失が2,000万円(そのうち、土地に関する譲渡損失が1,500万円)、給与所得が1,000万円で他の所得がない場合、(2,000万円 – 1,000万円) の差額に500㎡を超える部分の売却に関する計算を加えた結果、125万円が繰り越しの対象とならない損失となります。それゆえ、翌年以降に繰り越される譲渡損失は875万円となります。

住宅借入金等を繰上返済した場合の繰越控除特例の可否

Q.令和4年6月に居住用財産を売却し、その資金で新居を購入しました。売却による損失があったため、令和4年分の確定申告で譲渡損失の特例を受けましたが、すべてを控除しきれず、令和5年分の確定申告で繰越控除の特例を受ける予定です。令和5年6月に住宅ローンを繰上返済し、ローンの期間が6年短縮されました。この場合、令和5年分の確定申告で繰越控除の特例を受けることは可能でしょうか?

A.繰越控除の特例を受けることはできません。住宅借入金とは、償還期間が10年以上の特定の借入金を指します。繰上返済によって償還期間が短縮され、「住宅借入金等」として必要な最低償還期間10年を満たさなくなった場合、その時点で特例の対象とはなりません。したがって、あなたが令和5年6月にローンの償還期間を短縮した結果、償還期間が10年未満になったため、令和5年分以降の繰越控除の特例を受けることはできないとされています。

住宅借入金等を借換えた場合の繰越控除の適用

Q.令和4年6月に住宅を売却し、新しい住宅を購入するために10年のローンを組みました。損失が出たため令和4年に確定申告し、損失を控除し切れなかった分は令和5年の確定申告で繰越控除を受ける予定です。しかし、今年に入りローンを9年のものに借り換えました。令和5年の確定申告で繰越控除の特例を受けられるでしょうか。

A.繰越控除の特例は受けられません。購入した住宅に対するローンを別のローンに借り換えた場合、新しいローンが元のローンを取り消す形で、新しいローンが特定の金融機関からのものであること、そしてローン返済期間が10年以上である場合に限り、新しいローンが住宅購入に関するローンとみなされます。しかし、あなたが借り換えたローンの返済期間が10年に満たないため、これは繰越控除の特例の適用対象外となります。その結果、令和5年以降については繰越控除の特例を受けることはできません。

「住宅借入金等」の範囲

Q.居住用財産を売却し、新しい家を償還期間5年で1,000万円の住宅ローンで購入した場合、居住用財産の買換え等による譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用は可能ですか?

A.このケースでは、居住用財産を買い替えた際の譲渡損失に対する特例を使うことはできません。特例を利用するためには、住宅購入に際して「住宅借入金等」を有している必要がありますが、「住宅借入金等」とは、銀行などから借り入れたお金で、新しい家やその土地を購入するために使い、返済期間が10年以上のローンを指します。しかし、あなたが組んだのは償還期間が5年のローンで、この条件では「住宅借入金等」を持っているとはみなされないため、特例の利用はできません。