「資産税」カテゴリーアーカイブ

山林の収用の場合の特別控除の特例

Q.先祖伝来の山林が公共事業のために買収され、土地(林地)の買収価額のほかに立木補償金を受け取りました。この場合、5,000万円の特別控除ができると聞きましたが、土地に対する譲渡所得、立木に対する山林所得のどちらからも、それぞれ5,000万円控除できますか?

A.5,000万円の特別控除額は、まず山林所得から控除し、足りない部分については譲渡所得から控除することになります。山林が収用された場合、立木補償金に対しても、特定の条件を満たす場合には5,000万円の特別控除が適用されます。しかし、この特別控除はすべて合わせても5,000万円が限度であり、最初に短期譲渡所得から控除し、次に譲渡所得、山林所得、最後に長期譲渡所得から控除する順序になっています。

山林の収用の場合の課税の特例

Q.私の所有する山林が公共事業のために収用されることになった場合、課税の特例はありますか?

A.山林が公共事業のために収用された際に受け取る補償金には、譲渡所得に適用される様々な税の軽減措置が存在します。ですが、保有期間が5年未満の山林の場合はこれらの軽減措置は適用外です。通常、山林が収用される際には、その土地に生育する立木の伐採も必要になる場合が多く、伐採により受ける損失に対して補償が行われます。この補償金には、次の課税の特例が適用されます。一つは、収用等された山林の代わりに新たな山林を購入した場合、その山林所得に対する課税を繰り延べられる代替資産の特例です。また、収用された山林に代えて別の山林を取得した場合で、対価補償金がない場合には、課税の繰り延べが適用される交換処分の特例があります。さらに、代替資産を購入しない場合にも、一定の要件を満たせば、5,000万円の特別控除が適用されますが、代替資産の特例との併用はできず選択する必要があります。特例を適用する際の山林所得の計算方法には具体的な式があります。詳細な適用要件や手続きについては、税法の関連章を参照してください。

山林所得の損益通算

Q.山林所得の金額の計算上生じた赤字は、他の所得の金額と通算できますか。

A.山林所得で損失が出た場合、その損失は最初に利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得から差し引かれます。その後、損失がまだ残っていれば、譲渡所得と一時所得から差し引き、それでもまだ残っている場合は退職所得から控除されます。譲渡所得から損失を控除する際に、短期譲渡所得と長期譲渡所得がある場合、最初に短期譲渡所得から差し引かれ、それでも損失が残る場合には長期譲渡所得から控除します。さらに、その後でも赤字が残る場合、青色申告書を提出しているか、または山林の赤字が山林災害によるものである場合、3年間の繰越控除が認められます。

強制換価手続による山林の譲渡

Q.私は事業を経営していましたが、事業不振で倒産し、担保に入れていた財産は全部債権者に処分され、親から相続した山林まで競売されました。この山林について所得税がかかりますか。現在、私は生活にも事欠くような状態で、納税する能力がありません。

A.あなたの状況のように、経済的に困難な状態で債務を返済するのが非常に困難と判断され、競売などの強制換価手続きにより財産が処分された場合は、そのような競売等による山林の譲渡については一般的に所得税が課税されません。具体的には、強制的に処分された山林の代金で直接債務が返済された場合、その収入は非課税とされています。ただし、もし山林を経済活動として営利目的で、継続的に伐採や譲渡を行っていた場合には、これが非課税対象外となります。つまり、個人の経済的困窮状態により強制的に譲渡された場合の所得は課税されないが、営利目的で継続的に山林経営を行っていた場合は非課税扱いではないということです。

保証債務の履行による山林の譲渡

Q.保証人となった義兄が倒産し、義兄の借入金の支払いのために先祖の山林を売却しました。この山林所得の計算上で何か考慮されることはありますか?

A.保証債務のために5年以上保有していた山林を売却し、その売却代金の一部を借入金の返済に使用した場合、返済が不可能となった分の金額は山林所得の計算上考慮される場合があります。これには二つの条件が必要です。まず、保証債務の履行であること、そして、求償権の行使が不可能であることです。求償権の行使が不可能であるかどうかは、主たる債務者の破産、事業閉鎖、行方不明などの状況から判断されます。この特例を受けるには、確定申告書に必要な情報を記載し、関連書類を添付する必要があります。あなたのケースでこれらの条件に該当している場合、銀行に支払った500万円は、指定された計算により山林所得から除外されます。ただし、山林経営を業としている人や、営利目的で山林を譲渡している人の場合はこの特例の適用はありません。

森林計画特別控除制度

Q.山林所得を計算する際に、「森林計画特別控除」という制度があると聞きましたが、どのような内容の制度でしょうか。適用するためにはどのような手続をすればよいか教えてください。

A.「森林計画特別控除」は、個人が所有する山林で森林法に基づく市町村長の認定を受けた森林経営計画に従って、特定の時期(平成24年から令和6年まで)に森林の一部または全部を伐採して譲渡、もしくはそのまま譲渡した場合、山林所得から特定の計算式によって算出された金額を控除できる制度です。ただし、森林の健康機能を向上させる目的で設置される森林保健施設に関する伐採や譲渡には適用できません。

この特別控除を受ける場合の計算方法には二つあります。一つ目は概算経費控除率を使用する方法で、所得額が2,000万円以下の場合は20%、超える場合は10%プラス200万円の控除が適用されます。二つ目は実際にかかった必要経費を計算する方法で、控除額は前述の方法と実費どちらか低い方が適用されます。ただし、伐採費や運搬費などが含まれます。

適用を受ける手続きとしては、確定申告書に特例適用条文として「措法30条の2」と記入し、山林所得の計算明細書、森林経営計画に基づく伐採や譲渡を証明する市町村長等の証明書、林地の測量図、森林経営計画書のコピーを添付して提出する必要があります。

山林所得の計算の特例

山林の交換

Q.隣村の甲さんから、お互いの所有する山林を交換してほしいと頼まれました。土地を交換した場合の課税の特例は知っていますが、立木の交換にも同様の特例があるのでしょうか?

A.立木を交換する場合、その交換事象に特別な税法上の扱い(つまり、譲渡として認められないための特例)が適用されません。このため、交換した立木に関しては、お互いに所得税(具体的には山林所得として)が課税されることになります。資産を交換すると一定の条件を満たす場合、税の支払いが先延ばしになる場合がありますが、この特例はすべての資産に適用されるわけではなく、立木やその他の土地に密着した物件はこの特例の範囲外です。

概算経費控除と通常の計算方法による必要経費の選択

Q.私は、例年山林所得の必要経費の計算に当たって、取得費を通常の計算方法による植林費、育成管理費の合計額によることにしています。ところが今年は、通常の計算方法による必要経費の額より、概算経費率を適用して計算した必要経費の方が有利になると思われますので、そのように計算して申告することができるでしょうか。

A.はい、概算経費率を適用して計算して申告することができます。所得税法に定められた必要経費の計算方法にこだわらず、納税者の選択によって概算経費率を用いて計算することが可能です。

概算経費の控除

Q.山林所得の金額を計算する際、その控除する必要経費を簡略化した方法で計算する制度について教えてください。

A.山林所得の金額を計算する際に考慮すべき必要経費には、基本的な方法と簡単に計算できる概算経費控除の方法の2種類があります。概算経費控除は租税特別措置法に基づいており、15年以上連続して所有された山林を伐採または譲渡した場合、その収入から特定の割合によって計算される金額を必要経費として控除することができます。このとき、取得費や植林費、育成費、管理費などは控除の対象外となります。一方で、伐採費、運搬費、譲渡のための仲介手数料、測樹費など特定の経費は別枠で控除可能です。この概算経費控除を用いる場合の山林所得計算式は、15年前以前から所有する山林の収入から特定費用と被災事業用資産の損失額などを加算して控除した金額になります。概算経費控除を利用する場合は、確定申告書にその旨を記載する必要があります。

山林の火災による損失

Q.私の所有している山林がハイカーの失火から山火事となり焼失しました。その損害額は、時価にすれば約1,000万円ですが山林所得の計算上火災による損失額として控除してもらえるでしょうか。なお、火災保険金や損害賠償金などは受け取っていません。

A.はい、山林の火災による損失は山林所得の計算上で控除できる項目ですが、その額は山林の時価1,000万円ではありません。控除できるのは、その山林を売ったとした場合に必要経費として考えられる植林費、取得費、育成費、管理費などの合計額です。具体的には、その山林に対してかかった費用のうち、収益(例えば間伐の収益)でまだ回収されていない部分から、もし受け取っていれば保険金や損害賠償金を引いた金額が必要経費に算入できます。したがって、損失の計算には山林の直前の時価ではなく、これまでにかかった費用が基準となります。