「資産税」カテゴリーアーカイブ

所有権留保契約に基づいて買い入れた物品の課税財産の取扱い

Q.父が生前にA割賦販売会社から所有権留保契約により100万円で購入していたピアノを相続することになりましたが、父の死亡日現在で未払金が50万円あります。この場合、相続税の申告の際、どのように取り扱えばよいでしょうか。

A.ピアノを相続財産として申告し、未払金50万円を債務として計上することができます。所有権留保契約とは、売買代金の完済まで物品の所有権が売主に残る契約です。ただし、この契約が割賦未払代金の保証目的であり、買主が物品を使用、収益、処分できる状態の場合、相続税の申告ではその物品を財産として、未払の代金を債務として申告することが適切です。

相続財産の意義

Q.相続税の課税の対象となる財産とはどのようなものをいうのでしょうか。

A.相続税の課税対象となる「財産」とは、金銭に換算することが可能な経済的価値を持つ全てのものです。これには被相続人が亡くなった時点で持っていた土地、建物、借家権、借地権、株式や債権などの有価証券、銀行預金、現金、金や銀などの貴金属、美術品や古美術品、さらには立木など全ての財産が含まれます。具体的詳細には、物権や債権、無形の財産権のほか、信託受益権や電話加入権なども対象になります。また、法的に正式な根拠がないものでも、経済的価値があれば財産として扱われます。例として、営業権のような無形の価値も対象に含まれます。ただし、質権や抵当権のような権利は、他の権利の値を高める役割を持つので、それ自体が独立した財産とはみなされません。また、通常の相続や遺贈で得られた財産でない場合でも、被相続人の死亡退職金や生命保険金など、実質的に相続や遺贈を通じて得られたものと同じ経済的効果があるものは、相続税法上、相続や遺贈を通じて得たとみなされ、相続税の対象となります。

売買契約成立後に相続があった場合の相続税の扱い

Q.売買契約成立後に相続の開始があった場合、相続税の課税の関係はどうなるのでしょうか?

A.契約によって譲渡される土地などの取引が完了する前に売主や買主のどちらかに相続が発生した場合、その土地などの課税価格は次のように決まります。もし相続が売主に発生した場合、相続人が取得する財産はその契約に基づく未収入金となります。これは売主が生前に契約を結んでいた土地の残代金請求権で、相続開始時の未収入金の金額です。反対に買主に相続が起こった場合、相続人が取得する財産はその契約による土地の引渡し請求権などになります。この場合、相続人が負担するべき債務は相続開始時の未払い金になります。なお、買主に相続が発生し、その土地を相続財産として申告する際の土地の価値は、財産評価基本通達に基づいて評価された価格で決まります。

譲渡担保の取扱い

Q.譲渡担保の目的となっている財産に係る相続税の課税については、どのように取り扱われますか。

A.譲渡担保とは、金銭を貸し借りする際に、その返済の担保として物や権利を移動させることをいい、相続税の取扱いは以下のようになります。被相続人がお金を貸している立場(債権者)の場合、その貸しているお金に相当する金額は相続税の計算に入れますが、担保として設定された財産の価値は計算に入れません。一方で、被相続人がお金を借りている立場(債務者)の場合、担保にされた財産の価値を相続税の計算に加え、借りているお金に相当する金額は相続税から引きます。

海外留学者等の住所の判定

Q.令和5年5月に父が死亡し、相続人は母、私、及び私の長男(父と養子縁組されている)の3人です。私の長男は、令和2年9月からアメリカの大学に3年間の留学中であり、その間の長男の生活費や教育費は、私が日本から送金しています。父の相続財産の中にはハワイの別荘がありますが、これを長男が相続する予定です。海外に住所を有する者が、海外にある相続財産は課税されますか。

A.はい、課税されます。日本国内に住所を持たない者が、相続によって日本国内の財産を取得した場合は、その財産についてのみ相続税が課せられます。しかし、日本国民で、留学などの理由で一時的に日本国内を離れていても、次の条件に当てはまる場合は住所が日本国内にあるとみなされ、それに応じた税制が適用されます。主に、学術や技芸を学ぶため海外に留学しており、日本にいる家族から経済的な支援を受けている者、または仕事などで一時的に海外にいるが、その期間が大体1年以内である者です。質問の状況では、長男が留学生として認められ、扶養家族の扱いを受けるため、アメリカにある別荘も相続税の対象となります。

国外財産を相続又は遺贈により取得した場合の相続税

Q.外国人と結婚し日本から配偶者の本国に移住している場合、日本に住む父から遺贈された国内の預貯金と配偶者の本国にある居宅は、相続税の課税対象になるか?また、配偶者は外国籍で、私は日本国籍を持っています。

A.あなたと配偶者のどちらにも、預金と居宅に関しては、全て相続税の課税対象になります。これは、あなたが日本国籍を持つ者として、外国籍の配偶者と共に、日本と配偶者の本国にある財産を相続することになるので、国内外の財産に関わらず、相続により得た全ての財産には相続税が課されるためです。

相続税の納税義務者

Q.相続税の納税義務者及び課税財産の内容について教えてください。

A.令和3年4月1日以降、相続や遺贈によって財産を取得した場合、相続税の納税義務者と課税される財産の範囲は以下のようです。まず、日本国内に住所を持つ人が相続や遺贈で財産を手に入れた場合、取得した全ての財産について納税義務があります。ただし、被相続人が外国人または日本に住所を持たない場合は除かれます。次に、日本国籍を持つが日本国内に住所を持たない人も、一定の条件下で取得した全財産について納税義務が発生します。この場合、相続の開始前10年以内に日本に住所を持っていたかどうかがポイントとなります。さらに、日本国内にある財産を相続又は遺贈で取得したが、日本に住所を持たない人も日本国内の財産について納税義務があります。この納税義務に関しては、日本国籍の有無や遺贈者の状況(日本に住所があったか、あるいは日本国籍を持っていたかなど)に応じてさまざまな条件が適用されるため、具体的なケースに応じて納税義務が決定されます。最後に、所得税法の特定の条文に基づく納税猶予の適用を受ける人が亡くなったり贈与をした場合の相続税または贈与税の納税義務も別途規定されています。

特別寄与料を受けた場合

Q.夫の母と長年同居し介護をしていた私ですが、夫と義母が亡くなり、義母の相続人には当てはまりません。しかし、療養看護した者が相続人から金銭を請求できる制度について知りたいです。

A.民法には「特別の寄与」という規定があります。これは、相続人以外である被相続人の家族が被相続人の看護などを行った場合、一定の条件のもとで相続人から金銭を請求できる制度です。特別寄与料というものは、直接相続や遺贈によって得られるものではないですが、遺産の取得と類似した性質を持っているため、相続税法では、この特別寄与料を遺贈とみなして扱います。この場合、特別寄与者(相続人以外で看護などを行った人)は遺贈を受けたように扱われ、相続税の計算方法も同じです。ただし、法定相続人ではないため、一部の税額控除は適用されません。また、通常相続人でない場合には、相続税額に20%加算されることがあります。特別寄与料を支払う側の相続人は、支払った特別寄与料を相続財産から差し引けます。この制度によって、看護などの労をした人が、相続人以外であっても、その貢献に対してある程度の報酬を受け取ることが認められています。

停止条件付遺贈があった場合の取扱い

Q.父が死亡しましたので、その財産を相続することになりましたが、父は、甥に対して停止条件付の遺贈をしていました。この条件の成就する前に、相続税の申告をしなければなりませんが、どのように計算すればよいのでしょうか。

A.停止条件付の遺贈がある場合、その条件が成就するまでは遺贈による効果は発生していません。このため、条件が成就するまで相続人はその財産を仮に所有することになります。相続税の申告期限までに条件が成就しなければ、その財産はまだ甥に帰属しているとは言えません。これにより、遺贈の対象となる財産は、相続人が法律で定められた相続分に従って取得したものと見なされ、未分割財産として扱われることになります。相続人が実際にその財産を相続財産として分割している場合も、分割された割合に従って取得したものとして扱っても問題ありません。後に条件が成就し、甥が遺贈による財産を取得する場合、相続人は更正の請求を行うことができます。さらに、甥が財産を取得した事実は、条件が成就した日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告を行う必要があります。

特別縁故者が財産分与を受けた場合の課税

Q.特別縁故者が財産分与を受けた場合の課税関係はどうなりますか。

A.特別縁故者が誰からか遺産の一部を受け取る場合、その遺産はまるで遺言によってもらったかのように扱われ、相続税がかかることになります。課税される遺産の評価は、遺産を受け取った時点の価値で計算されます。ただし、相続税の具体的な計算は、遺産を残した人が亡くなった時に適用される法律に基づき行われるので注意が必要です。相続税の計算では、遺産の価値から一定額を引いた後に税率を適用します。具体的な計算例では、遺産の価値が5,500万円で、基礎控除額3,000万円を引いた2,500万円に15%の税率を適用し、更にその税金に20%を加えた金額が最終的な相続税額になります。遺産を受け取るには正式な手続きが必要で、その結果通常の申告期限を過ぎてしまうことも考えられるため、遺産を受け取った事実を知った翌日から10か月以内に相続税を申告する必要があります。