「資産税」カテゴリーアーカイブ

配偶者が分割前に死亡している場合

Q.父が死亡し、相続税の申告をしましたが、遺産の分割をしていませんでした。配偶者の税額軽減の特例適用について記載しましたが、遺産を分割する前に母が死亡しました。私たち兄弟間で父の遺産の一部を母の取得分として確定させましたが、この場合、母が受けるべきだった配偶者の税額軽減の特例の適用を受けることができますか?

A.お母さんの相続人がお母さんの取得する財産を確定させたので、配偶者の税額軽減の特例の適用が可能です。相続によって得た財産が相続人によって分割される前に、その相続に関わる被相続人の配偶者が亡くなった場合、第一次相続で得た財産の全部または一部がその配偶者以外の相続人及び亡くなった配偶者の相続人によって分割され、その分割によって配偶者が取得した財産が確定した場合、その財産は配偶者が取得したものとして税額軽減の特例計算を行うことになります。

重婚の場合の相続税の総額と配偶者の税額軽減額の計算

Q.被相続人甲はアメリカ国籍の女性Aと婚姻しており、同時に日本人の女性Bとも婚姻しております。重婚状態で亡くなった場合、相続税はどのように計算しますか?また、配偶者の税額軽減はどうなりますか?

A.重婚状態にあるときの相続税の計算では、法定相続分において配偶者が二人いるものとして扱います。つまり、民法が定める配偶者の法定相続分の半分を、それぞれの配偶者に割り当てます。相続人の総数は、甲とA、甲とBの間にいる子供たちを含む配偶者AとBの合計人数で決まります。配偶者への税額軽減も、AとB両方に適用されます。この軽減額は、相続税の総額とA及びBの課税価格の合計を基に計算し、2人の配偶者で1人分の税額軽減額を共有します。それぞれの課税価格の比率に応じて軽減額を分割して控除することが可能です。

財産の分割の協議に関する書類等

Q.私は、配偶者の税額軽減の特例を受けようと思っていますが、相続税の申告書に添付することとされている「財産の分割の協議に関する書類」、「その他の財産の取得の状況を証する書類」はどのような書類をいうのですか。

A.「財産の分割の協議に関する書類」とは、相続または遺贈に関わる財産をどのように分けるかについて協議した内容を記した文書のことです。この文書には特定の形式が求められるわけではありませんが、全ての共同相続人や受遺者が署名をし、それぞれの住所地を管轄する市区町村長から得た印鑑証明の押印を受けたものでなければなりません。また、相続人の中に未成年者が含まれる場合は、家庭裁判所から特別代理人を指名してもらい、その代理人が未成年者に代わって分割協議を行い、署名と印鑑証明の押印をする必要があります。なお、日本に住所がない人の場合は、公証人が発行する私署証書の認証で印鑑証明書の代わりとすることがかのうです。 次に、「その他の財産の取得の状況を証する書類」とは、財産が調停や審判によって分割された場合はその調停調書や審判書の写しを指します。また、法律に基づいて相続や遺贈によって取得したとされる財産(例えば生命保険金や死亡退職金など)の場合は、その支払い通知書やそれに相当する財産の取得を証明する書類を指します。

配偶者の税額軽減の計算例

Q.夫が亡くなり、その遺産を私と子供2人で相続することになりました。総遺産は債務控除後3億5,000万円、私は2億6,000万円、子はそれぞれ4,500万円を受け取ります。私の配偶者の税額軽減額と納付税額はどのくらいになりますか?

A.あなたが相続する遺産に対して計算される相続税額は次の通りです。

1. 基礎控除額: 基礎控除額は遺産額から差し引かれる金額で、3,000万円プラス600万円を相続人の人数(この場合は3人)で乗算した4,800万円です。

2. 課税遺産総額: 総遺産から基礎控除額を差し引いた金額が課税遺産総額で、3億5,000万円から4,800万円を引いた3億200万円です。

3. 相続税の総額: 相続税の総額は、課税遺産総額に応じた税率と控除額を用いて計算され、結果として7,470万円になります。

4. 各人の相続税額: 相続税額は、法定相続人ごとに取得金額に基づいて計算されます。この場合、配偶者には特別な税額軽減が適用され、その軽減額は37,350,000円です。したがって、配偶者が支払う納付税額は、配偶者の相続部分から計算された税額55,491,428円から税額軽減額37,350,000円を差し引いた18,141,400円になります。

配偶者の税額軽減の特例

Q.配偶者の税額軽減の特例計算では、「相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産」の価額は含まれますか。

A.配偶者の税額軽減の特殊計算で考慮される財産の価額には、「相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産」も含まれます。この計算では、法定相続分や、配偶者が実際に取得する財産(遺産分割によるもの、生命保険金、死亡退職金等)の価格を含め、さらには相続税の課税価格に加算される相続開始前3年以内に受けた贈与財産も含むことになります。この点は、相続税の計算基準における重要な要素で、相続開始前3年以内の贈与財産も、税額軽減の対象として考慮されることを意味しています。

配偶者の税額軽減の特例の申告手続き

Q.配偶者の税額軽減の特例の適用を受けたいと思っていますが、この場合の申告手続を教えてください。

A.配偶者の税額軽減の特例を利用するには、相続税申告時に特例の適用を要求する旨とその計算の詳細を相続税の申告書(期限後申告書や修正申告書も含む)や更正請求書に記入し、次に示す書類を添付して提出する必要があります。

1. 遺言書のコピー、遺産分割協議書のコピー、その他財産取得を証明する書類

2. 遺産の一部または全部がまだ分割されていない場合、その理由と詳細を書いた書類

もし遺産が申告期限までに分割されていない場合でも、通常は申告期限より3年以内に分割された場合、特例の適用が受けられます。そのような状況では、申告書に未分割の理由と分割の見込みについても記述してください。

配偶者が申告期限内に相続税申告を行い、その後3年以内に分割された財産について特例を受ける場合は、分割日の翌日から4ヵ月以内に更正の請求が可能です。

税額控除

Q.次のような場合、相続税法に規定されているそれぞれの税額控除の対象になりますか。

A.以下は相続税法における税額控除の対象についての詳細です。

1. 内縁の妻には「配偶者の相続税額の軽減」が適用されません。これは、婚姻届を出している夫婦のみが対象とされているためです。

2. 未成年者が令和4年3月31日までに結婚している場合でも、「未成年者控除」は適用されます。結婚しても未成年とみなされるためですが、海外に住む日本人未成年者には適用外です。

3. 外国籍でも、日本国内に住所がある障害者には「障害者控除」が適用されます。国籍は相続税の控除適用には影響しません。

4. 相続を放棄した人や相続権を失った人が遺贈で財産を得た場合、「相次相続控除」は適用されません。遺贈でも控除の対象外とされています。

代襲相続人が相続放棄した場合の相続税の2割加算

Q.代襲相続人である孫が相続を放棄した後、遺贈により財産を受け取ることになった時、相続税の2割加算の規定は適用されるのでしょうか?

A.孫は、本来代襲相続人になり得る立場でしたが、相続を放棄したために代襲相続人とはなりませんでした。その結果、孫は一親等の血族としては扱われず、二親等の血族として扱われます。これにより、孫が遺贈を通じて財産を受け取る場合でも、相続税の額に20%を加算する規定が適用されることになります。通常、被相続人の一親等の血族や配偶者以外が財産を受け取る場合に、相続税額に20%を加算する規則があります。しかし、代襲相続人として一親等の血族として扱われる場合はこの規則が適用されませんが、相続放棄により代襲相続人ではなくなった孫はこの加算の対象となります。

相続税額の 2割加算が行われる場合の範囲

Q.次の者が相続又は遺贈により財産を取得した場合、相続税法に規定されている税額の2割加算は適用されるのでしょうか。① 被相続人の養子 (被相続人の孫ではない場合) ② 被相続人の養子 (被相続人の孫である場合) ③ 代襲相続人たる孫 ④ 相続を放棄した被相続人の子 ⑤ 被相続人の兄弟姉妹

A.相続や遺贈で財産をもらった人が、被相続人の配偶者や直接の血のつながりのある家族である場合(子や孫が代わりに相続する状況も含む)、相続税の20%の加算はされません。ただし、このルールには例外があり、ひとりの親から直接血のつながりがある子どもが、その親の養子となっている場合は除外されます(ただし、その子どもが亡くなって孫などが代わりに相続する場合はこの限りではありません)。 したがって、被相続人の養子である①は血のつながりがあるので加算はされませんが、②の養子は、直系血族であるため相続税法第18条により20%の税額加算の対象になります。③の孫は本来は加算対象ですが、代襲相続人として相続する場合は加算されません。④の場合、相続を放棄した子でも遺贈で財産を得た場合は加算されません。一方で、⑤の兄弟姉妹は二親等の血族にあたり、相続や遺贈により財産を取得すると20%の税額加算が適用されます

相続税の総額の分割計算方法

Q.相続税法第17条の規定による相続税額の計算について教えてください。私(妻)が3分の1、長男が3分の2を相続する状況で、相続税の総額を各相続人の割合で分ける際、割合を妻0.33、長男0.67とせず、妻0.34、長男0.66として申告してもよいのでしょうか。

A.はい、妻を0.34、長男を0.66として申告しても問題ありません。相続税法の第17条では、相続財産の価値がその財産を受け取る全ての人々の中で占める割合に関して述べています。ここでは、小数点以下第2位の数字を調整して、全ての受け取る人々の割合の合計が1になるようにすることが許されています。つまり、すべての相続人が同意する方法で割合を調整し、相続人それぞれの税額を計算する際に、その調整後の割合を使うことが可能です。