「資産税」カテゴリーアーカイブ

胎児がある場合の申告期限の延長

Q.夫が交通事故で死亡し、5700万円(債務控除後)の遺産を相続することになりましたが、相続人には、私(妻)のほか、子供3人と相続税の申告期限後に出産予定の胎児がおります。そこで、この胎児がないものとして相続税の計算をすると、申告書を提出しなければなりませんが、胎児が生まれたものとすると提出義務がなくなります。このような場合にも、法定の申告期限までに、いったん申告書を提出しなければならないのでしょうか。

A.相続が始まった時点で相続人になる胎児がいて、その胎児が相続税の申告期限までに生まれていない場合は、まずはその胎児を考慮せずに相続税を計算して申告する必要があります。その後、その胎児が実際に生まれた場合は、更正の請求を行うことで相続税を再計算することになります。また、胎児以外の相続人は税務署長に申請して認められた場合、その胎児が生まれた日から2ヶ月以内に申告期限を延長することが可能です。

申告書提出期限の延長

Q.共同相続人間で遺産分割協議も終え、申告の用意をしていたところ、申告期限の20日前に認知請求に関する裁判が確定し、新たに相続人が増えました。このような場合にも、元の申告期限までに申告しなければならないのでしょうか。

A.元々の相続人3名(A、B、C)は、税務署長に申請し、認められると、認知請求が認められた日から2ヶ月以内に申告期限を延長することができます。相続税の申告期限が迫っている中で、相続人に関する変更(認知、排除、取消等)が生じた場合、税法上の規定に従って、事実が起こった日から2ヶ月の範囲で申告期限の延長を求めることが可能です。新たに認知された相続人については、認知請求が認められた日から10ヶ月以内に申告を行う必要があります。

失そう宣告を受けた場合の申告期限

Q.私の友人Aは海外へ出張中に行方不明となり、7年間生死不明のため、Aの妻は家庭裁判所へAの失そうの宣告を請求し、この度、失そうの宣告を受けました。この場合の相続税の申告期限はいつになりますか?

A.失そう宣告を受けた場合、相続税の申告期限はその失そう宣告に関する家庭裁判所の審判の内容を知った日の翌日から10ヶ月後の日に設定されます。一度失そう宣告を受けると、その人は法的に亡くなったとみなされます。このため、失そう宣告に関する裁判所の審判が確定したことを知った日が、相続が始まったと認識される日になるのです。

共同相続人に行方不明者がいる場合の相続税の申告

Q.父が死亡し、兄弟5人が父の相続をすることになりましたが、その中の次男が行方不明です。この状況で民法上の手続き及び相続税の申告はどうなりますか?

A.民法上の手続きでは、行方不明者が7年経過しない内に家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることはできません。その場合、他の共同相続人が家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることができます。選任された管理人は、家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議を行うことができます。

相続税の申告に関しては、相続が開始されたことを知った翌日から10ヶ月以内に申告する必要があります。行方不明の次男を除いた4人の相続人は、翌年7月8日までに申告を行う必要があります。行方不明の次男も、もし現れたら同様に相続の開始を知った翌日から10ヶ月以内に申告をしなければなりません。

相続登記 と相続税

Q.私の父は、昭和19年に死亡しましたが、その際に不動産の相続登記をしなかったため、現在も父名義のままとなっています。私も高齢になりましたので、この度、長男である私と弟2人で相続登記をしたいと思います。この場合に相続税はかかるでしょうか。

A.今回、不動産の相続登記をしても新たに相続税がかかることはありません。しかし、弟さんはこの相続によって財産を得ることはできません。相続税とは、誰かが亡くなったり遺言によって財産をもらった場合にかかる税金です。相続があった場合、相続税の申告は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内にしなければなりません。不動産の相続登記があってもなくても、相続財産として申告が必要です。昭和19年にお父さんが亡くなったとき、当時の法律により、あなたが家督を継いで全財産を引き継いでいます。したがって、今回相続登記後にその財産を弟さんに名義変更すると、その行為が贈与と見なされ、弟さんには贈与税がかかります。

相続税の申告書の提出先

Q.私の父は先日住所地のA市で死亡しました。相続人は父と同居していた母とB市に住所のある私、それにC市に嫁いでいる姉の3人です。それぞれの相続税の申告書の提出先はどこになりますか。

A.相続税の申告書の提出先は、亡くなった人の住所があったA市を管轄する税務署になります。相続が発生してから知った翌日から数えて10ヶ月以内に申告が必要です。要するに、亡くなった人の住所地の税務署長に対して、相続人全員が相続税の申告をする必要があります。

相次相続控除の計算方法

Q.祖父から父へ、そして父から私へと短期間で相続があった場合、相続税において特例はありますか?

A.はい、特例として相次相続控除が適用されます。これは、第1次相続で受けた財産を基に計算された相続税額から、特定の計算式によって算出された相次相続控除額を差し引くことができる措置です。具体的には、第1次相続で得た財産にかかった相続税(及び特定の条件下での贈与税)と、第2次相続で相続人全員が得た財産の価値を考慮して控除額が計算されます。この控除は、第1次相続の開始から第2次相続の開始までの期間が10年以内である場合に適用されます。また、相続を放棄した人や相続権を失った人はこの控除を受けることができません。

障害者控除額の計算

Q.本年5月に甲の父である乙が死亡しました。55歳の特別障害者である甲が、相続により財産を取得した場合には、障害者控除の対象となるそうですが、その控除額の計算はどのようになるのでしょうか。なお、甲は5年前にも相続により財産を取得しており、このときは一般障害者として60万円の障害者控除を受けています。

A.甲が今回の相続で控除できる金額は、特別障害者に対する計算基準に従って計算されます。具体的には、特別障害者に対する障害者控除額は、その人が85歳になるまでの年数に20万円を乗じた額と、その人が55歳から50歳までの5年間に10万円を乗じた額を足して計算され、さらに以前に受けた60万円の控除を差し引いた金額が適用されます。この計算により、590万円が今回の相続における障害者控除として甲の相続税から控除される金額となります。障害者控除は、法定相続人である障害者が遺産を受け取る際に適用されるもので、具体的な計算法は前回の相続時における相続人の年齢(X)、今回の相続時における年齢(Y)、そして前回控除を受けた金額(A)を基に算出されます。

未成年者控除額が相続税額を上回る場合の取扱い

Q.未成年者控除を適用した場合、控除不足額はどうなるのでしょうか?

A.未成年者控除によって、12歳の弟Cの相続税額から30万円を控除すると、控除不足額として30万円が生じます。この控除不足額は、扶養義務者であるAとBが話し合いによって分配を決めた場合、その話し合いに基づいて分配します。話し合いがない場合は、Aから10万円、Bから20万円を控除することになります。未成年者控除は、18歳未満の法定相続人が相続税を計算する際に適用できるもので、亡くなった時点で18歳に達していない期間に対して、1年につき10万円の控除を受けられます。控除可能な金額以上の相続税が発生した場合、その超過分は未成年者の扶養義務者が負担することになります。また、この控除は婚姻によって成年とみなされる場合や生まれてくる胎児にも適用され、胎児の場合は最大180万円(18歳×10万円)が控除額として計算されます。成年年齢の変更に伴い、18歳未満の期間に対する控除が適用されるようになりました。

贈与税額控除の額が相続税額を上回る場合の取扱い

Q.父が死亡し、私は相続により財産を取得しましたが、相続税額を計算していたところ、贈与税額控除の額が相続税額を上回ることになりました。この場合の上回る贈与税額はどうなるのでしょうか。

A.贈与税額控除が算出した相続税額を上回る場合、その超過分を還付してもらうことはできません。ただし、相続時精算課税の適用を受けていた場合に限り、相続時に算出した贈与税額が相続税額を上回れば、その差額の還付を受けることが可能です。これは、亡くなる前の3年以内に受けた贈与に関して適用される制度で、相続や遺贈を受ける際、以前に贈与税として支払った税額を相続税の計算において控除することができますが、これは二重課税を避けるための制度であり、支払った贈与税を相続のタイミングで調整する目的で設けられました。相続時精算課税の場合、特定の条件に一致する贈与税額が相続税額から控除できず、残額が発生する場合、その未控除分について還付を受けることが可能です。