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延納制度

Q.相続税の延納制度について説明してください。

A.通常、税金は現金で一括で支払う必要がありますが、相続税や贈与税の場合は、それらが財産に課せられる税であるため、支払いを延期できる特別な制度があります。これを延納制度と呼びますが、一定の条件を満たす場合に限り適用されます。相続税の延納については、相続税額が10万円を超える場合で、納税者がその納税期限まで、または納税すべき日に金銭で支払うことが困難な場合、申請により最大5年間(税額が100万円未満の場合は、延納税額を10万円で割った年数、1年未満の端数は1年として計算)、分割して支払うことが可能です。相続財産の半分以上が不動産等である場合、延納期間は最大15年に延長され、特定の割合以上の場合は20年まで延長可能ですが、毎年の支払いは最後の年を除き、最低10万円です。延納を希望する場合は、相続税額に関わる申告書の提出期限までに、またはそれが期限後や修正の場合は提出日までに延納申請書を提出し、延納税額が100万円を超えるか、延納期間が4年を超える場合は担保の提供が必要となります。延納期間及び延納にかかる利子税の割合は、不動産などの割合に応じて定められています。

物納を撤回する場合

Q.物納の許可後でも、物納を撤回することができるのはどのような場合でしょうか。

A.物納を撤回できる条件は以下の通りです。第一に、物納に関わる財産が賃借権など不動産の使用権を対象としており、第二に、その財産が市場に出されずに現存していること。第三に、物納の許可を受けた人が許可を受けてから1年以内に撤回を申し出ること。そして第四に、物納に代わる相続税を一括で払うか、延納を許可されて支払うことができる場合です。物納を選ぶ理由としては、相続した不動産に複雑な権利関係が絡むケースがあり、税の納期内に売却等が難しく現金での納税が困難になる場合があります。そのため、後になって税を現金で納めたいと考える場合も考慮し、物納許可後に限り1年以内であれば撤回を認める制度が設けられています。申請があれば、税務署長がその内容を検討し、承認または却下を決定し納税者に書面で通知します。

物納制度

Q.相続税の物納制度について説明してください。

A.相続税は通常、金銭で支払われますが、金銭での支払いが難しい場合のために物納制度が設けられています。これは、相続か遺贈で得た土地や家屋などの換金が難しい財産が多い場合に、物納を利用して相続税を納められる規定です。物納を行うためには、納税者が金銭での支払いが困難であること、物納申請書を提出すること、そして課税価格計算の基礎となった財産が適格であることなどの条件を満たす必要があります。物納できる財産は、優先順位に従って不動産、船舶、国債証券、上場株式などがあります。また、財産の価値が変動した場合、収納価額は税務署長がその時点の状態を基に決定します。特定登録美術品については、順位に関わらず物納を申請でき、その際には特定登録美術品に関する詳細な情報を提出する必要があります。

運帯納付の責めにより相続税の納付があった場合

Q.私の父が亡くなり、兄と私で遺産を相続しました。私は相続税を納めましたが、兄は資金不足で納められず、その代わりに私が納めようとしています。この場合、兄に贈与税がかかることはありませんか?

A.お兄さんが資力を失い、相続税を納付できない状況で、あなたが代わりに相続税を納付する場合、これを贈与とはみなされません。相続税の連帯納付責任は相続人間の公平な税負担を保ち、税金の徴収をスムーズにするためのもので、民法上の連帯保証人の責任に近いものとされています。そのため、あなたが連帯納付責任を果たした際、本来の納税義務者であるお兄さんに対する求償権が発生します。しかし、お兄さんが資力を失っており、あなたがその求償権を放棄する場合でも、これは贈与とはみなされず、兄に贈与税が課されることはありません。

延納の許可を受けた場合の相続税の連帯納付の義務

Q.昨年、私と弟で父の財産を相続しました。私たちは相続税を年賦延納で納付していますが、弟の事業が不振で納税できなくなりました。この場合、私は弟の分の相続税も納付しなければならないでしょうか?

A.あなたは弟の納付できなくなった相続税について、連帯納付の義務を負いません。法律では、同一の被相続人から財産を受け継いだ全員が、その財産に関連する相続税について限定された価額まで互いに連帯して支払う責任があると定めています。しかし、もし納税義務者が延納の許可を受けていた場合、その人に関連して他の連帯納付義務者には、その延納による相続税に対する連帯納付の責任は発生しません。

相続税の連帯納付の義務

Q.今年、私は兄と2人で父の財産を相続しました。私は期限内に相続税を納付しましたが、兄は相続税を納付していません。この場合、私が兄の代わりに相続税を納付しなければならないでしょうか。

A.はい、あなたと兄が共同で父の財産を相続した場合、それぞれが受け取った財産の価値に応じた範囲で相続税の連帯納付義務を負います。つまり、兄が相続税を支払っていないなら、あなたは兄の分の相続税も、あなたが受け取った財産の価値の範囲で納付する義務があります。ただし、納税猶予や免除が適用される特定のケースでは、この連帯納付義務が免除される場合があります。これには、納税猶予を受ける条件として指定された農地や山林、特定の美術品、非上場株式などに関する資産や、特定条件下での納税猶予の適用を受けた場合などが含まれます。

期限後申告の特則

Q.父の死亡で相続を予定していましたが、全財産が兄に贈与されていたため相続財産がないと判明した後、兄に遺留分侵害額の請求をし、遺産分割により相続税の申告が必要になりましたが、相続の開始から10カ月が過ぎています。この場合、延滞税はかかるのでしょうか?

A.期限後に相続税申告書を提出する場合、納税期限の翌日から申告書提出日までの期間は延滞税の対象期間に含まれないため、その期間に対する延滞税は発生しません。相続税申告の期限が過ぎた後に新たに納税が必要になることには様々な理由がありますが、それに伴う申告であればこの特例が適用されます。例えば、財産分割が後から行われた場合、相続人の変更、遺留分侵害額の請求により支払う額が確定した場合、遺言による遺贈が発見された場合、物納が規定により許可されていたが後に取消しとなった場合などがあります。これらの事情により納めるべき相続税額が新たに発生した際には、延滞税の免除が適用される特則があることを覚えておきましょう。

修正申告等の特則

Q.当初提出していました相続税の申告書は、未分割の状態でしたが、この度、相続人間において遺産の分割が確定し、その結果、相続税額に異動が生じることとなりましたが、この場合の修正申告書等の提出について説明してください。

A.修正申告書や更正の請求書を提出できます。提出納期限の翌日から修正申告書を提出した日までの期間は、延滞税の計算期間には含まれないので、その期間に対する延滞税はかかりません。相続税法は、一般の修正申告の特例を持っており、相続税額が不足していた場合は、修正申告が可能です。このとき、修正申告書の提出期間は延滞税の計算には含まれません。また、申告や決定による課税価格や税額が過大だった場合は、事由を知った翌日から4ヶ月以内に限り、更正の請求が可能です。

胎児がある場合の相続税の申告方法

Q.私の友人Aは2か月前に急死しました。Aの妻は妊娠3か月で他に子供はなく、またAの両親は健在です。この場合、Aについての相続税の申告について説明してください。

A.日本の法律では、胎児もすでに生まれたものと同じように扱い、相続権を認めています。しかし、相続税の申告時にその胎児がまだ生まれていない場合、その胎児がいないと仮定して相続人たちの相続分を計算し、その基に税金を申告します。この時、Aの妻とAの両親が申告を行います。胎児が実際に生まれれば、生まれた日の翌日から10ヶ月以内に、親権者などが胎児に代わって申告を行う必要があります。もしAの両親がすでに申告済みで、胎児が生まれたことで相続権が変わる場合は、その出生を知った翌日から4ヶ月以内に申告内容の更正を請求できます。未成年者の相続に関する法律行為には、法定代理人の同意が必要であり、未成年者の相続人が複数いる場合や父母と利害が対立する場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求することになります。

制限納税義務者が相続税の申告書に添付する印鑑証明書

Q.被相続人が亡くなった後、米国籍の共同相続人Aが遺産分割協議を行う際、分割協議書に印鑑証明書を添付しなければならないと聞きました。しかし、Aは米国籍を持っていてどうしたらいいですか?

A.米国籍を持つAは、印鑑証明書を取得することができません。そのため、パスポートで身元を証明し、アメリカ領事館または公証人役場で署名の認証を受けるべきです。この認証をもって、遺産分割協議書に添付することが推奨されます。アメリカの領事は公証人の資格を持ち、日本の印鑑証明書に相当する役割を果たしています。不動産の登記に際しては、日本に住所を持たない外国人でも、公証人役場の認証を用いて印鑑証明書に替えることが可能です。