「資産税」カテゴリーアーカイブ

贈与契約の取消しをした場合

Q.2年前に養親から山林1ヘクタールを贈与され、贈与税を納付しました。しかし、養縁離縁となり、その山林を養親に返すことにしました。この場合、納付した贈与税は返してもらえますか?

A.残念ながら、贈与を受けた財産を返還したとしても、贈与税の返還は受けられません。贈与契約が法的に取り消しや解除された場合でも、いくつかの特定の条件(法定取消権等に基づく場合、贈与税の申告期限内に取消しや解除が行われるなど)が当てはまるケースを除いて、贈与された財産に対しては贈与税が課税されます。あなたのケースでは、養縁の離縁が贈与契約の直接的な取消しや解除につながるわけではなく、おそらくは道義的や地方の慣習に基づく合意での返還と見られるため、返還した贈与に対する税金の返還の条件を満たさないと考えられます。

低額譲受け

Q.自宅を建てる予定で、時価1,000万円の土地を400万円で購入した場合、贈与税は課税されるか?

A.このケースでは、1,000万円の時価から400万円で土地を購入したことにより、600万円分が叔父さんからの贈与とみなされ、贈与税がかかります。さらに、叔父さんは土地を400万円であなたに譲渡したため、譲渡益がある場合は所得税(譲渡所得)が課税されます。 著しく低価格で財産を譲り受けた際には、その価格と時価との差額を贈与されたものとみなして、贈与税が課税される仕組みです。ここでいう財産の時価は、通常の取引価格を意味し、相続税で用いられる評価額とは異なります。

他人名義による取得財産の処分代金を自己名義とした場合

Q.昨年の秋に購入した宅地を息子名義で登記した後、今年1月に原価で人に譲渡した。その土地は実際は息子に贈与する意図はなかったが、贈与税はかかるか。息子は名義人であることを知らず、土地の管理運用も私が行っていた。 A.息子が名義人であること知らなかったし、登記識別情報を保持していなかった場合、土地の譲渡代金をあなたの名義とした等、本来の取得者名義であることが確認できれば、贈与がなかったものとして扱われます。財産取得時に家族名義にしたり、名義変更があった際は原則として贈与と見なされますが、特定の条件下では、贈与したことにならない場合があります。これには、実際の取得者や所有者に名義を戻した場合や、名義変更が過誤や軽率に基づいた場合が含まれます。また、取得した財産が災害等で失われたり処分された場合、本来の取得者がその代金等を取得し、それが名義変更の確認できる状況なら、贈与がなかったものとして扱われます。ただし、宅地譲渡における所得税の申告は、息子ではなくあなたが行う必要があります。

過誤等により取得財産を他人名義とした場合の贈与税の取扱い

Q.不動産取引において、登記手続きを友人に任せた結果、妻との共有名義で登記されたが、実際には自分の単独取得である。この状況で贈与税はどのようになるのか。

A.妻の名義で共有持分が登記されている場合、その名義を贈与税の申告、決定、または更正の日前に自分の名義に戻さない限り、贈与税がかかります。不動産などを過誤や軽率な理由で他人名義にした場合、贈与税の申告、決定、または更正の日前に元の名義に戻せば、贈与されたとはみなされません。しかし、贈与税が課せられた後でも、異議申し立てがある、税務署からの説明を受けていなかった等の条件を満たす場合、税額の更正が可能です。このためには、元々自分が単独で不動産を取得したことを示す書類を保持しておく必要があります。

他人名義により不動産等を取得した場合

Q.他人名義により不動産、有価証券等を取得した場合における贈与税の一般的な取り扱いについて説明してください。

A.通常、他人の名義で不動産、有価証券などを取得した場合は、その名義人が贈与を受けたとみなされます。これには不動産、船舶、自動車、有価証券の取得や建築物の建造・登記などが含まれます。ただし、例外もあります。具体的には、贈与税に関する最初の申告、決定、または更正の日前にその財産を名義上取得したり建築・建造した者の名義にしていた場合で、以下の二つの条件が当てはまる時は、贈与がなかったとみなされる場合があります。

① 名義人がその事実を知らなかった場合。これには、名義人がその時点で外国に旅行していたり、登記情報を持っていないなど、状況からその事実を知らなかったことが確認できる場合が含まれます。

② 名義人がその財産を管理・運用したり、使用して収益を得ていない場合。

しかし、この例外を使って意図的に贈与税を逃れることを企んだり、過去にこの方法を利用した経験がある場合は、この例外は適用されません。

財産の名義変更

Q.長男が個人事業を行っていたところ、資金繰りが悪化し、経営不振のため倒産しました。債権者会議等、借財の整理に当たって債権者の追及が厳しく、私財の処分を求められましたが、これらの財産がなくなると私たちの生活ができなくなるため、やむを得ず親族や知人の名義に財産を名義変更しました。この場合でも贈与税が課税されるのでしょうか。

A.財産の名義変更が、借金の返済や法的な責任を避けるためであっても、その行動を取ることに避けられない理由がある場合、贈与税は課税されません。ただし、この例外は配偶者や近い親族に名義変更した場合は適用されず、贈与税が課税される対象となります。要するに、贈与税は財産を無償で他人に渡す時に課税される税金です。通常、物やお金の所有権が無償で移転することを贈与と呼び、税務上では物や金融資産の名義変更も贈与とみなされがちです。しかし、倒産などで財産を失うと生活に支障が出るなど、やむを得ない理由で名義変更した場合は贈与税が免除されることがあります。ただ、この例外は配偶者や三親等以内の親族への名義変更には適用されません。

相続を放棄した者の贈与税の課税価格

Q.今年の4月に父から現金300万円ずつの贈与を受けましたが、6ヶ月後の10月に父が亡くなりました。父の遺産は母と兄が相続し、私は相続を放棄しました。この場合、その贈与の年に贈与者の相続開始があった場合は、相続税として申告するのでしょうか、それとも贈与税として申告するのでしょうか。

A.兄の場合、相続により財産を取得していますので、受けた300万円は相続税の対象となります。あなたの場合は、相続を放棄したので、相続や遺贈による財産取得がないため、贈与税の申告が必要です。相続や遺贈で財産を取得した人が、相続開始のある年にその故人から贈与を受けていた場合、その贈与財産は贈与税ではなく相続税の計算に加わります。しかし、故人から贈与を受けたものの、相続や遺贈で財産を取得しない場合は、この規定は適用されず、通常どおり贈与税が課税されます。

共有持分の放棄

Q.昨年父から相続した土地を遺産分割協議によって私と兄の共有にしておきました。今年になって私がその土地の上に家屋を建築することになり、兄はその土地の共有持分を放棄しても良いと言っています。このような場合についても贈与税が課税されるのでしょうか。

A.はい、お兄さんが共有持分を放棄する場合、お兄さんの放棄した持分はあなたが贈与によって取得したものと見なされ、贈与税が課税されます。共有財産の一部を持つ人が、その持分を放棄する(相続の放棄はこのケースには含まれません)か、またはその人が亡くなり、相続人がいない場合、残る共有者がその持分を贈与または遺贈によって取得したものとして扱われます。

口約束で受けた財産の取得時期

Q.昨年末に父から宅地の贈与を受けましたが、書類は作らず口約束だけで済ませていました。今年の6月末日に不動産の名義を私に移しましたが、贈与による財産の取得の時期が昨年末の口約束の日であれば、贈与税の申告期限が過ぎており、また、登記の日であれば、来年に申告すればよいことになりますが、どちらが正しいのでしょうか。

A.書類によらない贈与の場合、財産の取得時期は贈与が実行された時です。つまり、昨年に贈与の証明ができない限り、登記をした本年6月末日が取得日となり、来年に贈与税を申告する必要があります。重要なのは、財産取得の時期が税の申告期限、納税、そして財産の評価に関係するためです。具体的な取り扱いは、書面による贈与の場合は契約が効力を発生した時、書面によらない贈与は履行の時、農地などの特定条件下の贈与は特定の日、そして登記や登録を必要とする財産の場合、贈与の日が明確でなければ登記や登録のあった日が贈与日とされます。

農地の贈与を受けた場合の取得時期

Q.祖父から農地を贈与してもらうため、農業委員会を通じ県知事へ農地法に規定する許可の申請をしていましたが、本年12月20日に許可がありました。所有権の移転登記は来年にしようと考えていますが、不動産は登記の日に贈与があったとして申告すればよいのでしょうか。

A.祖父からの農地の贈与で、県知事からの許可が下された日、すなわち本年12月20日が贈与と考えられる日となります。そのため、所有権の移転登記を翌年に行う予定でも、この許可があった日が贈与の日とみなされます。よって、来年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告が必要です。農地および採草放牧地の贈与に関しては、土地の贈与による財産取得の日は、都道府県知事の許可があった日または届出が効力を持った日とされています。ただし、許可や届出の後に贈与が実施される場合は、その日が財産取得の日となります。また、特定の条件を満たす場合、提出した申請書等の日を贈与の日としても良いとされています。これには、許可等の効力が発生する年の翌年1月1日から3月15日までの間に生じていること、そしてその効力が発生した日からその年の3月15日までの間に贈与税の申告書が提出されていることが含まれます。許可等の効力が発生した日は、許可の場合は許可書が申請者に届いた日、届出の場合は受理通知書に記載された日と定義されています。