「資産税」カテゴリーアーカイブ

公益事業を行うものが贈与を受けた財産

Q.老人ホームを経営している友人に金銭を贈与した場合、その金銭は贈与税の非課税財産として扱われますか?

A.贈与された金銭が贈与税の非課税財産として扱われるかどうかは、老人ホームの経営者や経営内容が一定の要件を満たしているかに依存します。具体的には、受け取った財産を公益を目的とする事業に有効に使用することが確実である必要があります。これには、社会福祉事業、更生保護事業、学校の設置運営、またはそれ以外の公益を目的とした事業が含まれます。ただし、公益事業を実施していても、特定の個人やグループに不当な利益を提供するような場合は、贈与税の課税対象となる場合があります。したがって、あなたの友人の老人ホームの経営が上記の条件を満たしており、不当な利益提供などの問題がなければ、贈与された金銭は非課税財産として扱われる可能性があります。

生活費等を一度に受けた場合

Q.東京の大学に入学することになった長男に、生活に責任を持たせるために在学中4年間の生活費として、720万円(月15万円)を一度に渡したいと思います。学校に納入する授業料等については、支払期の都度、銀行振替によって支払うことにします。生活費、教育費には贈与税は課税されないと聞きましたが、この場合はどうなりますか。

A.在学中に必要な生活費720万円を一度に渡す場合には、贈与税が課税されます。また、この生活費を月々15万円渡すことにしても、通常必要な生活費を超えると認められる場合には、その超える金額については課税されます。教育費については、必要に応じその都度支払われる場合には、贈与税は課税されません。民法第877条では、親子、夫婦、兄弟姉妹などは、互いに扶養する義務のあることを定めています。税法上は、扶養義務者間で、日常生活に必要な生活費や教育上必要な費用に充てるために行われた財産の贈与について、通常必要と認められる範囲の生活費や教育費に限り贈与税が課税されないことになっています。しかし、生活費や教育費を名目に取得した財産を貯金や株式購入などに使用した場合、通常必要と認められる範囲を超える部分については贈与税が課税されます。また、生活費や教育費に充てるために財産(土地、家屋、株式など)の名義を変更した場合も、その時点で贈与税が課税されます。

債務免除を受けても課税されない場合

Q.私はAから500万円の借金をしていましたが、事業に失敗し、借金の返済ができなくなりました。私の父とAは相談の結果、父が私に代わってAに400万円を現金で支払い、残り100万円及び利息50万円は免除してもらうことになりました。私は無財産の状態ですが、それでも贈与税は課税されますか。

A.あなたが父親から事実上支援を受けた400万円とAから免除された150万円は贈与税の対象外です。法律では、債務の免除や他人が債務を贖ってくれた場合、債務者が得た利益について贈与と見なし、贈与税の対象になる可能性があります。しかし、債務者が資力を失い返済が難しい場合は、このような支援が贈与税の課税対象外となることがあります。具体的には、債務者が資力を失って返済が困難な場合や、債務者の扶養義務者によって債務が支払われた場合などは、負債引受けや支払いによる利益を贈与税の課税対象外とすることができます。

父の所有家屋に子が増改築を行った場合

Q.父の所有する家屋に私が1,000万円を投じて増築及び内装工事を行う予定ですが、その費用を出す際、家屋の名義が父のままだと贈与税が発生すると聞きました。名義を変更して贈与税がかからないようにする方法はありますか?増築前の家の時価は3,000万円で、取得価格から減価償却相当分を引いた金額とほぼ同じだと思います。

A.他人の家に増改築を施した場合、その費用を提供した人が得た家の価値の割合に応じて、家の所有権の登記名義を変更しないと贈与と見なされて贈与税の対象になります。あなたの場合は、増改築後の家の時価に対してあなたが支払った費用の割合(1/4)があなたの持分として登記変更されるべきです。そうすることで、贈与税は発生しません。この操作により、父からあなたへの経済的利益の移転はないと見なされます。ただし、この持分の譲渡によって、父の方に登記変更後の家の取得費として認識される持分が時価より低い場合には、譲渡所得税の対象になる可能性があります。しかし、質問の状況では、家の時価が取得価額から減価償却分を差し引いた価額と同等であるため、譲渡所得に関する課税は生じません。

農地等の使用貸借による権利の設定と贈与税の取扱い

Q.私は農業をしており、兄が所有する農地を借りることを考えています。農地法第3条に基づく許可を得て使用貸借の権利を設定する場合、この農地の使用貸借権にかかる贈与税の扱いはどうなりますか?

A.設定する使用貸借の権利に関わる贈与税は発生しません。しかし、将来この土地が相続または贈与として課税される場合、その土地は借地権などが設定されていない自用地としての評価で考慮されます。使用貸借の権利の設定や消滅時における贈与税の観点からは、使用貸借権は贈与税の課税対象外とされ、0円と評価されます。さらに、使用貸借の権利が設定された農地は、相続税や贈与税を考慮する際に、個人が自分自身で使う土地としての価値で評価されることになります。

使用貸借に係る土地の上にある建物の贈与

Q.会社員である兄は、平成10年頃、父の土地を無償で借りて家屋を建築し居住していました。ところが、兄は遠方に転勤することになったため、その家屋を私に贈与してくれることになりました。なお、家屋の敷地は今までどおり父から無償で借りることになっています。この場合の贈与税の課税関係を教えてください。

A.お兄さんから家屋を贈与された場合、その家屋の価値に基づいて贈与税がかかります。土地に関する使用する権利の価値は贈与税の評価から除外されますので、贈与された建物そのものの価値だけが課税の対象になります。

賃借土地の親族への転貸

Q.私の自宅の敷地は他人からの借地です。この度、長男がこの敷地の一角を利用して店舗兼居宅を新築することとしました。私と長男の間では地代の授受は一切行いませんが、このような場合でも土地の転貸に伴う贈与税の課税関係は生じますか。

A.ご長男は借地権の使用貸借による転借を受けたことにより、借地権者であるあなたから経済的利益を受けたことになりますが、「借地権の使用貸借に関する確認書」を税務署に提出し、使用貸借であるとの確認を受ければ、贈与税の課税関係は生じません。個人が借地権を持っている人からその借地権の目的となっている土地の全部または一部を使用貸借によって借り受けて、その土地の上に建物を新築した場合、その土地の使用権について贈与税の課税対象にはなりません。このような転貸借が使用貸借であることを確認するため「借地権の使用貸借に関する確認書」を税務署長に提出します。個人間で土地を使用貸借した場合は、土地を無償使用しているとの確認書の提出を求められることはなく、贈与税の課税はされませんが、転貸借の場合には贈与税の課税対象となる可能性があります。ただし、借地権または転借権の贈与がなかった場合、つまり無償貸与の場合でも、将来その借地権の帰属をめぐって紛争が生じるおそれがあります。このような問題を防止するため、使用貸借による転借の場合は「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出することとしています。

相当の地代を支払っている場合等の借地権についての贈与税

Q.義兄が所有する宅地について義兄と賃貸借契約を結び地代を払って土地を借り受けるつもりですが、権利金は支払いません。この場合、贈与税が課税されると聞きましたが、本当でしょうか。

A.その地域が、借地権の設定に際して権利金その他の一時金を必要とする取引慣行がある場合、借地権評価額に相当する金額が贈与と見なされ贈与税が課税されることがあります。しかし、支払う地代が相応と認められる場合には、贈与税は課税されません。「相当の地代」とは年間約6%相当の地代を指し、権利金の部分支払いや金銭の低利貸しのような特別な経済的利益を受けた場合、これらの利益の額を相続税評価額から差し引いて計算することになります。また、支払う地代がその地域の通常の地代を超えるが相当の地代に満たない場合、差額について贈与があったものと見なされます。

使用貸借による土地の借受け

Q.私は叔父の宅地を借り受け、居宅を新築することになりました。その土地の地代、権利金などは一切支払いませんが、その土地の固定資産税は支払うことになっています。このような場合、贈与税が課税されますか。

A.この場合、贈与税は課税されません。無料で借りた土地や、公租公課(公的な税金や料金)のみを支払うといった形で土地を借りる状況では、土地使用権の価値は0円とみなされます。ただし、このような土地について、将来、所有者が亡くなったり土地を贈与したりした際の評価は、借地権などが設定されていない土地、つまり更地のように評価されます。

借地権の目的となっている土地をその借地権者以外の者が取得した場合

Q.父の建物は借地上にあり、ずっと地代を支払ってきましたが、今年になって地主からその土地を購入してほしいとの申出がありました。父は無職で資金もないため私がその土地を買い取りました。もちろん、父との間では地代の授受は一切ありません。このような場合でも、贈与税が課税されますか。

A.「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出すれば贈与税は課税されません。本件の状況では、土地を借地権者以外の人が買った場合、通常はその土地に関する借地権が贈与されたとみなされ、贈与税がかかります。しかし、土地の使用に関する地代のやり取りがない場合、理由が使用貸借に基づくものでなければ、土地を買った人が「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を税務署に出せば、贈与税はかからなくなります。提出後も、あなたの父親の借地権者としての地位は変わらず、父親が亡くなった後は建物と借地権の価値が相続税の計算に入ります。