「資産税」カテゴリーアーカイブ

相続時精算課税の適用手続 (4)

Q.私は、令和5年 4月 1日 に父から財産の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けようと思っていたのですが、贈与者である父が同年 4月 15日 に死亡してしまいました。この場合、相続時精算課税を適用することはできないのでしょうか。

A.お父さんが亡くなった年の贈与について相続時精算課税の適用を受けたい場合は、令和6年2月15日までに(それはお父さんの住んでいた場所の税務署の期限です)関連書類と一緒に「相続時精算課税選択届出書」を、お父さんの住所地の税務署に提出すれば、相続時精算課税を利用することができます。提出が必要な期限は、贈与税の提出期限またはお父さんの死による相続税の申告期限のどちらか早い日です。もし相続税の申告自体が不要な場合でも、相続時精算課税を受けるにはこの届出を提出する必要がありますので注意しましょう。お父さんの死亡に関する相続税の申告期限が贈与税の申告期限よりも先に来るため、令和6年2月15日までに必要な書類を提出する必要があります。

相続時精算課税の適用手続 (3)

Q.今年8月の父からの贈与について、相続時精算課税制度を適用して申告しようと思っていますが、来年以降、新たに父から贈与を受けた場合、何か影響があるのでしょうか。

A.お父さんからの贈与に関しては、来年以降も相続時精算課税の適用を受けることになります。相続時精算課税の適用を希望する場合、その贈与を受けた財産に関して贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」と必要な書類を贈与税の申告書に添えて提出する必要があります。特定の贈与者から受けた贈与に関しては、この届出書を提出した年度以降、相続時精算課税の適用を受けることになります。一度提出すると、この届出は取り消しできないため注意が必要です。また、届出書の提出はその初回のみで、以後は改めて提出する必要はありません。

相続時精算課税の適用手続 (2)

Q.今年父と母から財産の贈与を受けました。父からの贈与についてのみ、相続時精算課税制度の適用を受けようと思うのですが、この場合、どのようになりますか。

A.お父さんからの贈与には相続時精算課税の適用を受けられますが、お母さんからの贈与は通常の贈与税制、つまり暦年課税が適用されます。相続時精算課税制度は贈与者ごとに選択することが可能です。したがって、お父さんからの贈与で相続時精算課税を適用し、一方でお母さんからの贈与には別の計算方式として暦年課税を適用することになります。もし一年の間に相続時精算課税の適用を選んだ贈与者と選んでいない贈与者から贈与を受ける場合、贈与税の計算はそれぞれ別々に行われます。

相続時精算課税の適用手続

Q.私は今年10月に父から土地の贈与を受け、相続時精算課税を選択しようと思っていますが、手続はどのようにすればよいのでしょうか。

A.相続時精算課税の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの期間内に、「相続時精算課税選択届出書」と必要書類を、贈与税の申告書に添えて、贈与者の住所地を管轄する税務署へ提出する必要があります。この「相続時精算課税選択届出書」には、受贈者の氏名、生年月日、受贈者が直系尊属の推定相続人または孫であることを証明できる戸籍の謄本や抄本などの書類を付け加えなければなりません。これらの書類は、贈与を受けた日以降に作成されたものに限られます。この届出書を期限内に提出しないと、相続時精算課税の適用を受けられないので注意が必要です。

相続時精算課税の適用対象者

Q.私は叔父と養子縁組をしており、今回、この叔父(養父)から土地の贈与を受けようと思っていますが、相続時精算課税を選択することができますか。なお、叔父(養父)は現在75歳で、私は25歳になります。

A.はい、相続時精算課税を選択することができます。相続時精算課税の適用対象者は以下の通りです。まず、受贈者は贈与者の推定相続人であり、直系卑属または孫で、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上である必要があります。2022年4月1日以降の贈与については年齢要件が20歳から18歳に引き下げられています。贈与者は贈与をした年の1月1日に60歳以上である必要があります。あなたの場合、叔父と養子縁組をしているため、あなたは贈与者の推定相続人に当たります。したがって、相続時精算課税を選択できます。ただし、この制度を利用しようとする場合は、「相続時精算課税選択届出書」を贈与を受けた財産に関する贈与税の申告期間内に税務署に提出する必要があります。提出期限までに届出書を提出しなければ、相続時精算課税の適用を受けられないことに注意してください。

相続時精算課税制度の概要 (2)

Q.令和6年 1月 1日 以後に受ける贈与について、相続時精算課税制度の改正があると聞きましたが、どのような内容でしょうか。

A.令和6年1月1日以降に贈与される財産に関する相続時精算課税制度の改正内容は、相続時精算課税を選択した人(相続時精算課税適用者)に対して、特定の贈与者から財産を贈与された際のその年の贈与税計算方法に変更があります。改正により、相続時精算課税における贈与税の計算時に、基礎控除として110万円が控除されます。複数の特定贈与者から贈与を受けた場合、それぞれの贈与者ごとに110万円の基礎控除を適用し、その割合を計算します。たとえば、父から300万円、母から200万円の贈与を受けた場合、父に対する基礎控除は66万円、母に対する基礎控除は44万円と計算されます。さらに、特定贈与者からの贈与により得た財産のその年の贈与税計算では、110万円の基礎控除後の贈与税評価額から、最大2,500万円までの特別控除を差し引いた後に、20%の税率を適用して計算されることになります。

相続時精算課税制度の概要

Q.「相続時精算課税制度」の概要について、教えてください。

A.相続時精算課税制度は、贈与を受けた時にその贈与財産に対する贈与税を払い、後にその人が亡くなった時、その時に受けた贈与財産の価値とその人が残した財産の価値を合わせた上で相続税を計算します。この時、すでに払った贈与税の分は相続税から引くことができます。この制度の対象となるのは、主に直系卑属と孫であり、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上、贈与者はその年の1月1日時点で60歳以上の人です。この制度を適用するには、「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告期間内に提出する必要があります。この選択は一度決めると変更不可で、贈与税の申告が不要な場合でも届出書の提出が義務付けられています。贈与財産の種類や金額、回数に制限はなく、贈与税は特別控除後の金額に一律20%の税率を乗じて計算されます。そして、相続税は贈与時の価額と相続財産の価額を合わせて計算し、既に支払った贈与税を引き、足りない場合は還付を受けられます。

低額譲受けによる利益相当額についての配偶者控除の適用

Q.婚姻期間30年を迎え、時価2,500万円の自宅とその敷地を贈与しようと思っていましたが、事業の悪化により自宅のローン返済が困難になり、妻が相続した1,500万円で自宅と敷地を売却しようと思っています。この場合、2,500万円の不動産を1,500万円で妻が取得することで生じる1,000万円の差額は低額譲受けによる利益として贈与税の課税対象になると聞きましたが、この利益について贈与税の配偶者控除を適用することは可能ですか?

A.はい、配偶者控除を適用することが可能です。法律では、大幅に低い価格で財産を受け取った場合、その差額は贈与とみなされ、贈与税が課税されます。しかし、婚姻期間が20年以上であり、国内にある居住用不動産を夫婦間で贈与する場合には、2,000万円までの特例として配偶者控除が適用されます。あなたのケースでは、奥様が1,000万円の差額で居住用財産を取得することは、事実上あなたからの贈与と見なされます。ですが、この自宅と敷地は居住用不動産として配偶者控除の要件を満たしており、そのため贈与税が課税されるその1,000万円に対して配偶者控除を適用することができるというわけです。

2棟の建物の敷地の持分を贈与した場合

Q.私は下図のような2棟の建物の敷地となっている土地について、2分の1の持分を妻に贈与しようと思います。この場合、贈与税の配偶者控除の特例を受けることができるでしょうか。

A.ご質問の土地は、1棟が店舗でもう1棟が住宅であるという設定ではなく、2棟それぞれが独立した建物の敷地として存在します。そのため、贈与する土地の持分の中で店舗の敷地部分に関しては、住居用不動産としての配偶者控除の対象外となります。ただし、このような状況であったとしても、2棟の敷地部分をそれぞれの利用状況に応じて合理的に分割(分筆)し、その中で住居用となる部分について贈与を行う場合は、そこが全て配偶者控除の対象となる住居用不動産として該当するようになります。

併用住宅の取得と配偶者控除の適用

Q.店舗兼住宅を購入した際の配偶者控除の適用について知りたいです。

A.ご主人から受けた500万円全額が配偶者控除の対象になります。お父様から受けた500万円のうち、基礎控除の110万円を差し引いた390万円が贈与税の課税価格となります。配偶者から贈与されたお金は、居住用不動産の購入に最初に使われたとみなされます。