「資産税」カテゴリーアーカイブ

都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価

Q.都市計画道路予定地にあるため、その利用に制限を受けている宅地の価額はどのように評価するのですか。

A.都市計画道路予定地に位置するため、例えば建物を建てる際に制限を受ける宅地の場合、その利用制限を考慮して評価します。宅地を通常の目的で利用できない場合には、まず利用制限がない状態での評価額を出します。その後、その土地が位置する地区区分や容積率、地積割合に応じて、予め定められた補正率を掛け合わせて評価額を算出します。さらに、特定の倍率地域にある場合や他の条件が該当する際には、異なる補正率を適用することがありますが、固定資産税の評価や評価倍率が既に都市計画道路予定地であることを考慮している場合には、この方法は使えません。具体例として、高度商業地区で容積率が600%の場合、計算式を使って評価額を導きます。

利用価値の著しく低下している宅地の評価

Q.付近の宅地の利用状況に比べて、利用価値が著しく低下していると認められる宅地は、どのように評価しますか?

A.付近の他の宅地と比べて利用価値が著しく低下していると認められる宅地の価額は、利用価値が低下していない状態で評価した価額から、利用価値の低下している部分の面積に対応する価額に10%を掛けて算出した金額を差し引いた価額で評価することが許されます。但し、その宅地についての路線価、固定資産税評価額、または倍率が、利用価値の低下を考慮して設定されている場合は、この方法を用いません。利用価値が著しく低下しているとは、例えば以下のような状況を指します。

1. その地域の他の宅地と比べて明らかに高低差のある宅地、例えば道路よりかなり高い位置や低い位置にある宅地

2. 地盤の凸凹が非常に激しい宅地

3. 震動が強い宅地

4. 上記の条件以外で、騒音、日照権の妨げ(建築基準法で定められた日影時間を超える日照の妨げ)、悪臭、またはそれらに伴う他の要因で取引価値が影響を受けると考えられる宅地

さらに、宅地比準方式で評価される農地や山林が宅地として利用した場合、造成費用をかけても付近の他の宅地と比べて利用価値が著しく低下していると判断される部分がある場合にも、同じ方法で扱われます。

セットバックを必要とする宅地の評価

Q.セットバックを必要とする部分がある宅地は、通常の宅地と同じように評価されるのですか?

A.セットバックが必要な部分を持つ宅地の評価は、まずセットバックがないと仮定してその価格を算出します。その後、セットバックを必要とする部分の価値の70%相当を控除して、最終的な評価額を出します。これは、建築基準法によって道路に面する宅地の場合、道路の中心線から一定の距離(2mなど)の部分を将来的に道路として提供しなければならない規定があり、そのためにセットバックを要求されることがあるためです。その結果、セットバックが必要な宅地は、必要のない宅地と比較して価値が減少することから、その差額を評価額から控除することとなっています。例えば、セットバックがないものとして評価した価格が6,000万円だった場合、その70%相当を控除した評価額は57,900,000円になります。

未分割財産の分割後の評価額

Q. 正面と裏面に道路がある空き地を相続で取得した後、未分割の状態で評価額を計算しました。その後、遺産分割協議を行い、4人の相続人がそれぞれ分割して取得することになりました。この場合、分割後も分割前と同じ評価額にする必要がありますか?

A. 分割前に1つの土地として計算された評価額は、遺産分割協議の結果、各相続人が分割して取得したそれぞれの部分について、別々に計算する必要があります。すなわち、A、B、C、およびDがそれぞれ取得した土地を個々の土地として評価し、これらの合計をその土地の評価額とします。これにより、初めに1つの土地として計算された評価額とは異なる金額となり、評価額が減額されることがあります。ただし、遺産分割後には相続登記などを行い、土地が分割された事実を明確にする必要があります。

固定資産税評価額がついていない土地の評価

Q.固定資産税評価額に倍率を乗じて評価するべき土地に固定資産税評価額が付されていない場合、どのようにして評価すればよいですか。

A.その土地の固定資産税評価額に相当する金額を算定し、その額に倍率をかけて土地の評価額を出します。倍率方式での土地評価を行う場合、もし評価時に固定資産税評価額がない、または地形の変更などで現状に合った固定資産税評価額が付与されていない場合には、その土地の状況に応じて似た状況を持つ周辺の土地の固定資産税評価額を基準にします。そこから、その土地と周辺土地の位置や形状の違いなどを考慮して、固定資産税評価額に相当する金額を割り出し、その金額に倍率を掛けて評価を行います。ただし、評価計算を行っている間にその土地に固定資産税評価額が新しく設定された場合は、その新しい評価額を基に評価をします。

倍率方式によって評価する土地の実際の地積が台帳地積と異なる場合の取扱い

Q.実際の地積が公簿地積と異なる土地を倍率方式で計算する具体的な方法、及びすべての土地に実測が要求されるかについて説明してください。

A.倍率方式による土地の評価では、まず実際の地積に基づく固定資産税評価額を暫定的に算出し、この額に倍率を掛けて最終的な評価額を求めます。このプロセスは、登記簿上の地積(台帳地積)と実際の地積が異なる場合に採用されます。ただし、実際に全ての土地を実測することが必須ではありません。基本的には、台帳地積と登記簿上の地積が一致することが多いですが、実際の地積との間に差異がある場合もあります。このようなケースにおいて、実測に基づき実際の地積に対応する固定資産税評価額を一旦仮定し、その後に倍率方式で最終的な評価額を計算します。固定資産税評価額の暫定算出には、特別な計算式が用いられるわけではありませんが、実際地積に適応する価額で評価を行うことが原則です。ただし、すべての土地に実測が求められているわけではなく、特に森林など縄延びが問題になる土地については、地域の平均的な縄延び割合を適用し実地積を把握する方法もあります。

倍率地域の不整形地等の個別事情の清書

Q.私が相続した宅地は、奥行が長大で、かつ、不整形です。倍率方式で評価する地域内にありますが、倍率を乗じた上で画地計算することができるでしょうか。

A.倍率方式で評価する宅地については、その評価には既に不整形地などの個別の事情が考慮されています。そのため、評価額に改めて画地計算を加えることは原則として不可能です。ただし、倍率地域内にある、特定の基準に当てはまる大きな宅地については、例外的に異なる計算が可能です。具体的には、その評価額が通常の、標準的な間口距離および奥行距離を持つ宅地として計算した一平方メートル当たりの価額を超える場合、特定の基準に基づいて計算した価額で評価されます。

土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価

Q.土砂災害特別警戒区域内にある宅地でがけ地等を有する場合は、どのように評価するのですか。

A.土砂災害特別警戒区域内にある宅地で、更にがけ地等を含む場合の評価方法は次の通りです。まず、特別警戒区域内の部分の地積を総地積に対してどの割合で占めているかを計算します。次に、がけ地の地積の割合を求めます。その後、「特別警戒区域補正率表」を参照し、その補正率にがけ地に対する補正率を乗じて、「特別警戒区域補正率」を求めます。計算によって得られた補正率は、最小で0.50となります。最終的な評価額は、路線価、奥行価格補正率、特別警戒区域補正率、地積を用いて計算されます。この方法で得られた評価額は、平成31年1月1日以降に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用されます。

がけ地等を有する宅地の評価

Q.私が相続により取得した宅地は、一部がけ地があり利用できません。このような宅地は、どのように評価するのですか。

A.がけ地等を有する宅地は、「がけ地補正率表」に記載されている補正率を使って評価されます。具体的には、がけ地等がなかったと仮定した場合の宅地の価額に対して、がけ地部分が全地積に占める割合とその部分が面している方向に基づく補正率を乗じて得られる価額で評価します。この補正率は、がけ地の面積が宅地全体の面積に占める割合と、がけ地が面する方向に応じて「がけ地補正率表」から選ばれます。評価の過程ではまずがけ地が無い場合の価額を算出し、その後でがけ地補正率を適用して最終的な評価額を決定します。例えば、がけ地がないとした場合の宅地価額が60,000,000円で、がけ地補正率が0.92だとすると、評価額は55,200,000円になります。この方法を通じて、がけ地等の特性を反映した宅地の評価が行われます。

無道路地の評価 (2)

Q.次のような場合、B土地は無道路地として評価することができますか。

A.図1のケースでは、A土地とB土地の所有者が同一であるため、A土地の一部を通路として使用できることから、B土地は無道路地ではなく不整形地として評価されます。一方で、図2ではA土地が他人の所有であるため、B土地を無道路地として評価します。無道路地の価格は、利用されている路線の価格に基づいて計算された不整形地の価格から、適切な割合(最大40%)を控除して算出されます。この割合は、建築基準法などの法令で要求される、建築物を建てるために必要な最小限の道路への接面距離を満たすために必要な最小限の通路を設けた場合のその通路部分の価格(路線価に面積を乗じた価格)を基準に判断されます。