「資産税」カテゴリーアーカイブ

使用貸借に係る土地の評価 (2)

Q. 2年前に父から共同アパートの贈与を受け、その敷地は父から無償で借り受けていました。今回、その敷地の贈与を受けることになったのですが、その宅地の価額は貸家建付地として評価してよいのですか。

A. はい、ご質問の通り、貸家建付地として評価します。このケースでは、貸家建付地、つまり貸家の目的に供されている宅地の価額を計算します。貸家建付地の価額計算では、特定の算式を用いて、その貸家に関する各独立部分が賃貸されている状況を反映した賃貸割合を算出します。具体的には、その家屋のうち賃貸されている各独立部分の床面積の合計を、その家屋の各独立部分の床面積の合計で割ったものが賃貸割合となります。この賃貸割合をもとに、貸家建付地の価額を算出します。

使用貸借に係る土地の評価 (1)

Q. 土地を使用貸借により借り受けた者が、その土地の上に建物を建て、その建物を他人に賃貸しました。その後、土地の所有者が死亡しましたが、相続税の課税価格に算入されるべきその土地の価額は、貸家建付地として評価してもよいのですか。

A. 貸家建付地として評価せず、自用地として評価しなければなりません。通常、使用貸借によって借りた土地に建てられた建物が賃貸されている場合、その建物の賃借人による土地利用権は、土地を借りた建物の所有者の土地利用権に依存しており、独立したものではありません。そのため、土地を使用している建物の所有者の土地利用権を価値なしとみなす以上、建物の賃借人の土地利用権も同様に価値なしとするのは当然であり、その土地自体の価値も、自用地として評価される価格に基づいて評価されます。

貸ビル業務上駐車場に利用している土地の評価

Q.私が所有する貸ビルの敷地内にある駐車場も貸し出していますが、この駐車場をどのように評価すれば良いですか?

A.駐車場も含めた敷地全体を「貸家建付地」として評価します。たとえ駐車場の貸し出しとビルの貸し出しが別々の契約であっても、駐車場の利用者全員がビルの賃借人であり、駐車場がビルの敷地内に位置しているなど、駐車場の貸し出しがビルの貸し出しと密接に関連している場合、全体を一つの単位として考え、「貸家建付地」として評価します。

区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の評価

Q.特別高圧架空電線が架設されることになり、宅地の一部に地役権が設定された場合、その宅地の価額はどのように評価するのでしょうか?

A.このような場合には、まず宅地全体を一つの土地としてその価値を評価します。この評価価額は、宅地の自用地としての価値から出発します。次に、特定された地役権が宅地に与える影響を考慮して、その地役権の価値を初めに算出した自用地の価値から差し引きます。地役権の価値は、その地役権によって宅地に設定される建築制限の内容に基づき評価されます。たとえば、家屋を建築できない場合、地役権の価値は自用地の価値の最大50%となり得ます。もし家屋の構造や用途に制限がある場合、この割合は30%になります。お問い合わせの状況において、地役権の影響で宅地全体の価値から30%の価値が差し引かれることになり、最終的に宅地の評価額が得られます。

区分地上権の目的となっている宅地の評価

Q.私の所有する宅地は本来地上8階地下2階のビルが建築できるのですが、地下鉄のトンネルの所有を目的とする区分地上権が設定されているため、地上5階地下1階の建物しか建築できません。このような土地の価額は、どのように評価するのですか?

A.その宅地の自用地としての価額から、区分地上権の価額を控除した金額で評価します。区分地上権の価額は、宅地の自用地としての価額に、区分地上権の設定契約の内容に基づく土地利用制限率を乗じた金額で計算します。例えば、その土地の自用地価額が1億円の場合、階層別利用率を考慮して、土地利用制限率に基づいた計算を行い、その結果に基づいて評価します。簡便法により、地下鉄などのトンネルの所有を目的とする区分地上権の割合を0.3として計算し、70,000,000円として評価することも可能です。土地利用制限率とは、公共用地の取得時の損失補償に関する基準に基づいて定められたものです。

土地区画整理事業施行中の宅地の評価

Q.父の所有していた宅地は、土地区画整理事業施行地内にあり、仮換地の指定があってから3か月後に父が死亡しました。この宅地の価額は、どのように評価すればよいのでしょうか?

A.土地区画整理事業が行われている地域内で、仮換地が指定されている宅地は、その仮換地の価額を基にして評価されるべきです。土地区画整理事業中は、もともとの土地の権利関係などが、新しい配置に移行されますが、この移行は一定の期間が必要です。その間に土地の使用権やその他の権利を安定させるために、仮換地が指定されることがあります。仮換地の価額を評価する際には、その地の造成工事が完了したと仮定した状態での価額の95%を用います。ただし、仮換地が使用や収益を始められない特定の状況下では、元の宅地の価額で評価することになります。

路線価の設定されていない道路にのみ接している宅地の評価方法

Q.路線価が設定されていない私道に接している相続した貸家の敷地の評価は、正面路線価を基にするのでしょうか。

A.路線価が設定されていない道路にのみ接している土地の評価には、その道路に特定路線価を設定した上で評価を行います。相続税や贈与税の申告に際して、このような土地を評価する必要がある場合、特定路線価は納税義務者からの申出によって設定されます。路線価が設定されていない道路に接している宅地の評価では、該当する私道に特定路線価を設定し、その基に画地調整計算を行うのが適切な方法とされています。この特定路線価はその宅地の評価専用であり、他の評価では影響加算の対象外です。特定路線価の申出には専用の申出書と明細書が必要で、私道の評価は原則として正面路線価を基に算出されますが、特定路線価を基にした評価も可能です。貸家建付地の私道の場合、私道の価額に貸家の割合を乗じた価額が評価額となります。

余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価

Q.余剰容積率の移転がある場合、宅地の価額はどのように評価されますか?

A.余剰容積率の移転がある場合、宅地の価額の評価には以下の方法が用いられます。まず、余剰容積率を移転している宅地の評価額は、区分地の権利設定などで受け取った対価の額を基準に計算されます。一方、余剰容積率の移転を受けている宅地の評価額は、移転している宅地の通常の取引価額に、区分地上権の設定等で支払った対価の額を加え、さらに余剰容積率の移転を受けている宅地の通常の取引価額で調整します。例として、甲が乙の所有するB土地に対して区分地上権を設定することで余剰容積率の移転を受けた場合、A土地とB土地の価額は特定の計算式により求められます。具体的には、A土地の評価額は360,000,000円を基に、一定の比率を用いて計算され、その結果440,000,000円と評価されます。同様に、B土地の評価額は240,000,000円を基に計算され、結果として160,000,000円と評価されます。

1画地の宅地が容積率の異なる2つの地域にわたる場合

Q.1画地の宅地で路線に面する側と奥側とで容積率が異なる場合、どのように評価するのですか。

A.1画地の宅地が容積率が異なる複数の地域にまたがる場合、その土地の価値はまず、路線価と画地調整計算(奥行価格補正率などを含む)を行った後の価値を算出します。その後、特定の計算式を用いて算出した割合をその価値に乗じ、その結果得られた金額を差し引いて最終的な土地の評価を行います。

この計算において、容積率が土地の価値に及ぼす影響を考慮し、異なる容積率の区域の各部分に適用される容積率とその地積を乗じた数値の合計を用います。容積率には、都市計画に基づいて設定されるものと建築基準法に基づくものがありますが、これらの低い方を適用します。さらに、容積率の異なる部分に応じて「容積率が価額に及ぼす影響度」を適用し、この影響度は地域によって異なります。例えば、高度商業地区では影響度が0.8となります。計算で得られた割合は小数点以下三位を四捨五入して求めます。ただし、この割合が負数となる場合や、算出した価値が他の方法で計算した価値を下回る場合には、特定の例外規定が適用されます。

河川を隔てて道路がある宅地の評価

Q.河川に橋を設置して道路に接している宅地は、どのように評価することになりますか。

A.河川や水路があり、橋を設置して道路につながっている宅地は、不整形地として評価します。具体的には、該当地域の路線価と奥行価格補正率、そして土地の面積を考慮して価額を算出します。不整形地の評価では、地域区分や容積率に応じた奥行価格補正率を適用し、さらに不整形地補正率を適用します。この補正率は、土地の特性に合わせて調整され、最終的に評価額を導き出します。橋が設置されていない場合、評価後の通路部分の価値を差し引きますが、この価値は橋の設置に必要な費用を上限とします。