「消費税法」カテゴリーアーカイブ

Q.当社は、外国人タレントが来日するイベントを企画・運営しており、国内での出演について報酬を支払っています。この消費税の課税方式について教えてください。

A.国外事業者である外国人タレントが日本で行う役務の提供(例:コンサートやスポーツイベントへの出演)は日本国内で行われるため、消費税の課税対象となります。御社は、外国人タレントに支払った報酬に対して、リバースチャージ方式により消費税の申告・納税を行う必要があります。ただし、この方式の適用は、課税売上割合が95%未満の一般課税事業者に限定され、経過措置として課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度を適用している事業者には適用されません。適用されない場合、外国人タレントへの報酬は課税標準額や仕入控除税額に含まれないので注意が必要です。

国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式(リバースチャージ方式)、税務署、令和2年改正法等。

参考:法2①八の五、5①、28② 、45①一、令2の 2、 平27改 法附42、 44②

芸能・スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税関係

Q.当社は、外国人タレントが来日するイベントを企画・運営しており、国内での出演について報酬を支払っています。この消費税の課税方式について教えてください。

A.国外事業者である外国人タレントが日本で行う役務の提供(例:コンサートやスポーツイベントへの出演)は日本国内で行われるため、消費税の課税対象となります。御社は、外国人タレントに支払った報酬に対して、リバースチャージ方式により消費税の申告・納税を行う必要があります。ただし、この方式の適用は、課税売上割合が95%未満の一般課税事業者に限定され、経過措置として課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度を適用している事業者には適用されません。適用されない場合、外国人タレントへの報酬は課税標準額や仕入控除税額に含まれないので注意が必要です。

国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式(リバースチャージ方式)、税務署、令和2年改正法等。

参考:芸能・スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税関係

リバースチャージ方式

Q.国内で宿泊施設を運営している当社が、インターネットで外国人向けの宿泊予約サイトを運営している国外事業者に対して掲載料を支払っている場合、消費税の課税方式について教えてください。

A.当社のような国内事業者が国外事業者からインターネットを通じて電気通信利用役務(例:ウェブサイトに自社の宿泊施設情報を掲載するサービス)の提供を受ける場合、通常は提供を受けた国内事業者が消費税を申告・納税する「リバースチャージ方式」が適用されます。これにより、宿泊施設の情報掲載サービスに関して支払った対価が課税標準となりますが、リバースチャージ方式の適用は、一般課税を行い、かつ課税売上割合が95%未満の事業者に限定される経過措置があるため注意が必要です。

参考:法 5①、28② 、30① 、45①一、平27改法 附42、 44②

消費者向け電気通信利用役務の提供

Q.「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは具体的にどのようなサービスを指しますか?

A.「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは、事業者ではなく一般の消費者に向けて提供される電気通信サービスのことを指します。これには、対価を得て提供される以下の種類のサービスが含まれます:

– インターネットを通じた電子書籍、電子新聞、音楽、映像、ソフトウェア(ゲームや各種アプリケーションなど)の配信

– 顧客にクラウド上のソフトウェアやデータベースの利用を提供するサービス

– クラウド上で顧客の電子データを保存するスペースを提供するサービス

– インターネット上のショッピングサイトやオークションサイトの利用を提供するサービス

ただし、事業者間で個別に交渉して締結された契約に基づいて提供されるサービスや、明確に事業者向けとされる条件下でのサービス提供は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当します。

参考:基通5-8-4

事業者向け電気通信利用役務の提供の範囲

Q.「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは具体的にどのようなものを指しますか。

A.事業者向け電気通信利用役務の提供とは、主に国外の事業者によって提供される電気通信によるサービスで、サービスの性質や取引条件などから、普通には事業者のみがサービスを利用すると見られるものを指します。事例としてはインターネットを通じた広告配信や、オンラインでのゲームやソフトウェアの販売スペースを提供するサービスなどがあります。これらのサービスは、複数の事業者が反復継続してゲームソフトなどをインターネット上で販売する活動に利用されるため、事業者向けとみなされます。また、クラウドサービスなどで、サービス内容が取引当事者間で個別に交渉され、その利用が事業の目的であることが明確な場合も事業者向け電気通信利用役務の提供に該当します。ただし、Webサイト等で事業者向けサービスとしていても、事業者以外からの申込が事実上制限できない場合はこの範疇には含まれません。

参考:法2①八の四、基通5-8-4

電気通信利用役務の提供の範囲

Q.「電気通信利用役務の提供」とは、具体的にどのような取引が該当しますか。

A. 「電気通信利用役務の提供」に該当するのは、対価を得て提供される以下の種類のサービスです。

1. インターネットを通じて提供される電子書籍、電子新聞、音楽、映像、ソフトウェア(様々なアプリケーション含む)の配信

2. 顧客にクラウド上のソフトウェアやデータベースの利用を提供するサービス

3. 顧客のデータをクラウド上で保存する場所を提供するサービス

4. インターネットを通じた広告の配信や掲載

5. インターネット上のショッピングサイトやオークションサイトの利用サービス(商品の掲載料金等を含む)

6. インターネット上でゲームソフトなどを販売する場所を提供するサービス

7. インターネットを介して宿泊予約や飲食店予約サイトを運営する(宿泊施設や飲食店から掲載料等を取るもの)

8. インターネットを介して提供される英会話教室など

以下は「電気通信利用役務の提供」には該当しません。

9. 電話、FAX、電報、データ伝送、インターネット回線の利用など、情報伝達を単に媒介するサービス

10. ソフトウェアの制作

11. 国外に所在する資産の管理・運用(ネットバンキング含む)。ただし、クラウド上の資産運用ソフトウェアの利用には該当する場合がある

12. 国外事業者による情報の収集・分析。ただし、自身で収集・分析した情報を対価を得て提供する場合は該当

13. 国外での訴訟遂行に関連するサービス

14. 著作権の譲渡・貸し出しは、インターネットを介して行われても該当しない

「電気通信利用役務の提供」に該当しないものについて、その資産の譲渡・貸し出し、役務の提供の種類に応じて消費税の課税を判断します。

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係

Q.国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について教えてください。

A.国境を越えた役務の提供に関しての消費税の課税関係は以下の通りです。

1. 電子書籍、音楽、広告配信などのインターネットを使ったサービスは「電気通信利用役務の提供」と呼ばれます。これらのサービスが消費税の課税対象になるかどうかは、サービスを受ける人の住所等によって判断されます。日本国内の住所を持つ人に提供される場合は、提供の場所に関わらず国内取引とみなされます。

2. 海外事業者が提供するビジネス向けのサービスは、国内の事業者が「リバースチャージ方式」に基づいて申告・納税を行います。この方式では、サービスを受けた国内事業者が消費税を申告し、納税します。

3. 消費者向けに提供されるサービスについては、提供者が消費税の申告・納税を行いますが、海外事業者からのサービスにおいては一定期間、仕入税額控除ができません。例外的に登録国外事業者からのサービスの場合は仕入税額控除が可能です。

4. 登録国外事業者制度とは、登録を受けた国外事業者からの消費者向けサービスに対して仕入税額控除を可能にする制度です。この制度は、インボイス制度の導入により2023年10月1日に廃止されます。廃止に向けた経過措置として、一定条件を満たす国外事業者は適格請求書発行事業者とみなされます。

参考:法 2①八の三、2①八の四、4③三、5① 、28① 、45① 一、平27改 法附35、 38① 、39、 平28改 法附45

簡易課税制度を適用している場合の売上税額の計算の特例

Q.簡易課税制度を適用している場合に適用できる売上税額の計算の特例について教えてください。

A.簡易課税制度を適用する場合、売上税額の計算には「軽減売上割合の特例」が利用できます。これは軽減売上割合を使って、軽減税率の対象となる資産の課税売上(税込み)を計算する方法です。特に計算が難しい中小事業者は、課税売上(税込み)の50%を軽減税率対象資産の課税売上(税込み)として扱うことができます。

参考:平28改法附38①④

簡易課税制度を適用していない場合の売上税額の計算の特例

Q.簡易課税制度を適用していない場合に使える売上税額計算の特例について説明してください。

A.簡易課税制度を適用していない場合に使用可能な売上税額計算の特例には、以下の2つがあります。

1. 「軽減売上割合」を使用して、軽減税率の対象となる資産の課税売上額(税込)を計算する「軽減売上割合の特例」

2. 卸売業または小売業を営む中小企業で、仕入率を税率ごとに管理できる場合、「小売等軽減仕入割合」を使用して、軽減税率の対象となる資産の課税売上額(税込)を計算する「小売等軽減仕入割合の特例」

また、これらの計算が難しい中小企業(主に軽減税率の対象商品を扱う企業)の場合、その割合を50%として計算することが許されています。

参考:平28改法附38①②④

Q.経過措置として設けられている売上税額の計算の特例を用いた売上税額の計算方法を教えてください。

A.税率が異なる取引を区分することが難しい中小事業者向けに、以下の特例に基づいた売上税額の計算方法があります。

1. 小売等軽減仕入割合の特例による売上税額の計算方法

– 軽減税率の対象となる課税売上げの計算:

  卸売業や小売業の課税売上げ(税込み)× 課税売上げ(税込み)に必要な軽減税率対象の税込み仕入れ額 ÷ 卸売業や小売業の課税仕入れ総額(税込み)

– 計算が困難な場合、軽減仕入割合を50%としても良い

– 売上税額の計算:

  軽減税率対象の課税標準額×6.24%、標準税率対象の課税標準額×7.8%

2. 軽減売上割合の特例による売上税額の計算方法

– 連続する10営業日の課税売上げ(税込み)の中で、軽減税率の対象となる部分の金額を用いて、軽減税率対象の課税標準額を計算

– 計算が困難な場合、軽減売上割合を50%としても良い

– 売上税額の計算:

  軽減税率対象の課税標準額×6.24%、標準税率対象の課税標準額×7.8%

最終的な納付すべき税額は、売上に係る消費税額の合計から、税率ごとに区分して合計した仕入れに係る消費税額の合計を控除して求めます。また、納付すべき地方消費税額は、納付すべき消費税額の22/78となります。

参考:平28改法附38①②