「消費税法」カテゴリーアーカイブ

外航船舶等の範囲

Q.国際輸送用の船舶や航空機の譲渡などが消費税の輸出免税の対象になる場合の詳細を教えてください。

A.旅客や貨物を国内外で輸送する用途に供される船舶や航空機(以下、「外航船舶等」と呼ばれます)の譲渡、貸付、または修理が消費税の輸出免税対象となります。これらのサービスは、船舶運航事業者や航空運送事業者などに提供される場合が該当します。「船舶運航事業者等」とは、船舶運航事業、船舶貸渡業、または航空運送事業を行う者を指します。外航船舶等か否かは、その船舶や航空機の属性によって判断されます。例として、海上運送法に基づき国際航海専用と明確にされた船舶や、国際輸送に80%以上使用されることが証明された船舶や航空機の譲渡、貸付、修理が対象になります。航空機も同様に、使用割合が80%以上国際輸送向けであれば、外航船舶等として扱われます。

参考:法7、令17①、②

船舶運航事業者等の範囲

Q.我々は船舶修理業を営んでおり、外国向け航海をする船舶の修理を行った場合、輸出免税の対象になるかと聞かれました。この場合の船舶運航事業者とは、国内に限定されるのでしょうか?

A.国内だけでなく、国外にまたがる旅客や貨物の輸送に用いられる船舶や航空機を、船舶運航事業や航空運送事業といった海上運送法や航空法に定められた事業を営む事業者から修理の依頼を受けた場合、消費税の輸出免税の対象となります。この時、海上運送法や航空法の引用は事業内容の定義を明確にするためであり、これらの法律の適用を受ける事業者に限られるわけではありません。従って、国内に支店等を持つ外国の事業者や、国内に支店を持たない外国の事業者でも、海上運送法などによる船舶運航事業等の定義に適合する事業を行っている場合は、消費税の輸出免税対象となります。

参考:法7、基通7-2-8

出国に際して携帯する物品の輸出免税

Q.居住者が海外旅行のために出国する際、旅行先への贈答品として物品を購入した場合、免税となるのでしょうか。

A.海外旅行などで出国する居住者が、贈答目的で購入し、帰国または再入国時に持ち帰らない物品、または旅行先で使用や消費されることが明確な物品(商品1個当たりの価格が1万円以上のものに限る)は、特定の手続きを経て消費税が免除されます。免税を受けるための手続きとしては、①出国者が「海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書」を記入し、それを消費税法に基づく輸出物品販売場の許可を受けている事業者に提出すること、そして②出国時に税関へ「輸出証明申請書」を提出して、輸出証明書を受け取り、それを販売した事業者が保管することが必要です。

参考:法7、基通7-2-20、7-2-21、様式通達第16号 様式、第17号 様式

輸出物品の返品による引取り

Q.輸出した物品が国内に返品される場合、消費税はかかるのでしょうか?

A.我が国から輸出された物品が返品されて国内に引き取られる場合、輸出時の性質や形状が変わっていない場合に限り、関税も消費税も免除されます。これは、仕様の違いや製品の瑕疵が返品の理由である場合、および修理の必要があるため返品され、1年以内に再輸出される物品にも適用されます。

参考:輸徴法13① 一、四 

保税地域経由の三国間貿易

Q.国外で調達した商品をいったん我が国の保税地域に搬入した後、そのまま第三国に納入する三国間貿易の場合、消費税法上の取扱いはどのようになりますか。

A.国外で調達した商品を我が国の保税地域に搬入する行為は輸入とは見なされないため、消費税の課税対象外です。しかし、保税地域にある外国貨物を外国企業等に有償で譲渡し、国外へ搬出する行為は、国内での外国貨物の譲渡とみなされますので、消費税の輸出免税の規定が適用されます。また、その外国貨物を外国企業等へ販売した際の代金は、税額計算時における課税仕入れ等の割合を算出する際、分子と分母の両方に含まれます。

参考:医法7①二、30⑥、基通7-2-3

保税地域で外国貨物を原材料として使用した場合の課税関係

Q.保税地域で外国貨物を課税貨物の原材料として使用した場合、その外国貨物についての課税関係はどうなりますか?

A.保税地域で外国貨物を課税貨物の原材料として使用した場合、その使用時には保税地域からの引き出しとはみなされず、実際に製品として完成した課税貨物を引き取る際に、その課税貨物の引き取りとして課税されます。

参考:法4条2項6号、基本通達5-6-5

保税工場製品の商社への譲渡における消費税の課税関係

Q.保税工場で製造した製品を商社に譲渡し、商社がその製品を国外の事業者に販売する場合の消費税の課税関係はどうなるのでしょうか。

A.保税工場で製造された製品が内国貨物か外国貨物かによって、消費税の課税関係が異なります。具体的には以下の通りです。

1. 内国貨物のみで製造された製品は内国貨物とみなされ、その譲渡は消費税の課税対象です。当該製品を商社が国外に販売する場合、輸出として輸出免税が適用されます。

2. 外国貨物の部品を使用して保税作業により製造した製品は全体が外国貨物とみなされ、商社に譲渡する場合も、輸出類似取引として免税対象です。保税作業による課税仕入れがある場合には仕入税額控除が適用されます。商社が国外の事業者にその製品を販売する場合も免税ですが、商社における製品の受け取りは課税仕入れとはなりません。

3. 税関長の承認を受けた外国貨物と内国貨物の混合保税作業によって製造された製品は、外国貨物に相当する部分のみが外国貨物とみなされ、その製品の譲渡では内国貨物に相当する部分が課税され、外国貨物に相当する部分は免税とされます。

4. 外国貨物を原材料として使用し、製造された製品が課税貨物である場合、その外国貨物については消費税の課税対象外となります。

参考:法4⑥、7①一、二、基通5-6-5 

名義貸しがある場合の輸出免税の適用者

Q.名義を貸した場合において、輸出免税制度の適用は誰が受けることができますか?

A.消費税の輸出免税の適用は原則として輸出申告をする名義人に限られますが、名義貸しの事由で実際の輸出者が名義人以外の場合、特定の措置を講じることで、名義人ではない実際の輸出者も輸出免税規定の適用を受けることが可能です。実際の輸出者は、輸出申告書等の原本を保存し、「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」を名義貸しをしている事業者に交付する必要があります。名義貸しを受けた事業者は、この一覧表のコピーを確定申告書提出時に税務署に提出します。ただし、提出に係る課税期間中に輸出免税制度の適用を一切受けていない場合はこの限りではありません。

参考:法 7① 一 、 ② 、 規 5① 一 、 基 通 7-2-2

商社経由の場合の輸出者の判定

Q.メーカーが輸出先と商談をまとめ、商社が通関業務のみを行っている場合、メーカーを輸出者として扱うことはできますか?

A.消費税の輸出免税を受けられるのは、輸出申告を行った名義人です。そのため、ご質問の状況では、商社が輸出申告の名義人のため、商社が輸出免税の適用を受け、メーカーは輸出免税の適用を受けることができません。

参考:法7②、規5

輸出向け物品の下請加工の消費税処理について

Q.最終的に輸出される物品の加工を請け負った場合、消費税の輸出免税の対象になりますか。

A.消費税は、日本国内で事業者が資産の譲渡などをする場合に課税されます。そのため、最終的に輸出される物品であっても、国内で事業者間での取引が行われる場合は消費税の課税対象となります。輸出する者は、輸出の際に輸出免税の適用を受け、それまでに支払った消費税を控除できます。従って、輸出物品の製造のための下請加工や、輸出取引のために行う国内での資産譲渡等については、輸出免税の適用はなく、消費税が課されます。

参考:法7、基通7-2-2