Q.適格請求書等保存方式の開始後、売手が代金請求の際に既に適格請求書を交付している場合、売手が振込手数料相当額を負担する商慣行においてどのような対応が必要ですか?
A.取引当事者間の契約により、以下のような対応が必要です。
1. 売手が振込手数料相当額を売上値引とする場合:
売手は、振込手数料相当額を売上値引と考えているとき、原則として、適格返還請求書を買手に交付する必要があります。しかし、振込手数料相当額が1万円未満の場合、この適格返還請求書の交付義務は免除されます。例えば、売上値引きが440円の場合は、適格返還請求書の交付は不要です。振込手数料相当額の売上値引きに関して適用される税率は、その課税資産の譲渡に関する税率に準じます。
2. 売手が代金決済上の役務提供(支払方法の指定に関する便宜)を買手から受けた対価とする場合:
売手は、買手から請求金額から差し引かれた振込手数料相当額について、仕入税額控除を受けるために適格請求書の保存が必要になります。また、売手は、振込手数料相当額に関する仕入明細書などを作成し、買手の確認を得て仕入税額控除を行うことができます。
3. 買手が売手のために金融機関に対して振込手数料を立替払した場合:
買手が売手に代わって振込手数料を立替払いした場合、売手は、買手が金融機関から受け取った振込手数料に関する適格請求書及び買手が作成した立替金精算書などの交付を受け、振込手数料に関連する仕入税額控除を行います。買手が金融機関のATMを使用して振込手続を行った場合は、ATM手数料は自動販売機特例の対象となり、適格請求書及び立替金精算書の保存は必要ありません。
参考:新法30⑨三、57の 4③、新令70の 9③二、平28改法附53の 2、 平28改令附 24の 2①